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葬儀の案内や白木の位牌に書かれた「◯◯院△△□□居士」という文字列を前にして、何と読むのか、どこまでが名前なのか分からないまま手を合わせた——。戒名は、人生でそう何度も向き合うものではありません。だからこそ、意味が分からないまま話が進んでいくことに、落ち着かなさを感じる方は少なくないと思います。
この記事では、戒名とは何か、どんな部品でできているのか、そして「ランク」と呼ばれているものが実際には何を指しているのかを、各宗派が公開しているページの記載にそって整理します。浄土真宗の「法名」や日蓮宗の「法号」など呼び方が変わる場合、生前にいただく場合、お布施の考え方まで、当メディア編集部が天台宗・曹洞宗・浄土真宗本願寺派・真宗大谷派・浄土宗・臨済宗妙心寺派の公式サイトと公的機関の公表資料を調査してまとめました(2026年8月時点)。
戒名の考え方は宗派・寺院・地域によって大きく異なります。この記事はあくまで一般的な整理であり、最後はご自身の家の菩提寺にご確認いただくための下地としてお読みください。


【一言でいうと】戒名とは?意味と構成の早見表

戒名とは、戒(仏教徒が守るべきいましめ)を受けて仏弟子となった証しとして授かる名前のことです。天台宗の公式サイト「葬儀と供養について」は「戒を受け終わった証(あかし・しるし)が戒名です。戒名は仏の弟子としての名前です」と説明しています(天台宗「葬儀と供養について」)。
亡くなってから付けられる名前という印象が強いものですが、同じ天台宗のQ&Aは「戒名というと、人が亡くなってから授かるものと思われている方が多いと思いますが、本来はそうではありません」と述べています(天台宗Q&A)。まずは全体像を早見表で確認してみましょう。
| 項目 | 2026年8月時点で確認できる一般的な整理 |
|---|---|
| 意味 | 戒を受けて仏弟子となった証しとして授かる名前(天台宗・曹洞宗の公式サイトの説明) |
| 中心にある部分 | 二文字。天台宗は「仏弟子としての大切な名前は法名の二文字」と説明している |
| 外側に付く部分 | 院号などの各号(上)と、居士・大姉・信士・信女などの位階(下) |
| 宗派による呼び方 | 浄土真宗=法名/日蓮宗=法号/浄土宗の五重相伝では譽号/神道は戒名を用いず諡(おくりな) |
| 授かる時期 | 本来は生前とされる。生前に受けられなかった場合に葬儀の際に授かる(曹洞宗の説明) |
| お金の考え方 | お布施は読経や儀式の対価ではないと案内されている(真宗大谷派・浄土宗)。金額に決まりはないとまで明記しているのは真宗大谷派 |
※上記は各宗派が公開しているページの記載をもとにした編集部の整理です。考え方・呼び方・作法は宗派・寺院・地域によって異なります。
戒名の構成|院号・道号・戒名(法名)・位号の4つの部分

長い漢字の並びに見える戒名も、部品に分けてしまえば読み解けます。臨済宗妙心寺派が公表している「人権擁護推進指針」は、戒名について「通常『道号』『諱(いみな)』を中心として、『院』『軒』『庵』『斎』といったような各号と『居士』『大姉』『信士』『信女』といった位階とにより成り立っています」と説明しています(臨済宗妙心寺派「人権擁護推進指針(三)」)。
中心にあるのは「二文字」の部分
いちばん大切なのは、真ん中にある二文字です。天台宗の「葬儀と供養について」は「法名は二文字です。現在では法名の上に道号二文字やさらに院号などを付けますが、仏弟子としての大切な名前は法名の二文字です」と明記しています。位牌や墓石に並ぶ文字のうち、名前にあたる本体はこの二文字だと考えると、全体の見通しがつきやすくなります。
この二文字には、生前の名前から一字を取ることもあれば、経典や祖師の語録から選ぶこともあります。妙心寺派の指針も、戒名は「仏弟子としてふさわしいものでなければならず、一般的には経典や祖師の語録などの語句から選ばれます」と述べています。どの字をどう選ぶかは授ける寺院の判断によるため、決まった正解があるわけではありません。
道号・院号・位号はその外側に付く
二文字の上に置かれるのが道号や院号、下に置かれるのが位号(位階)です。おおまかには次のように並びます。
- 院号:いちばん上に置かれる「◯◯院」の部分。妙心寺派の指針では「院」「軒」「庵」「斎」などとともに「各号」として整理されている
- 道号:中心の二文字の上に付く二文字。天台宗は「現在では法名の上に道号二文字やさらに院号などを付けます」と説明している
- 戒名(法名):中心の二文字。仏弟子としての名前そのもの
- 位号:いちばん下に置かれる「居士」「大姉」「信士」「信女」などの部分。妙心寺派の指針では「位階」と呼ばれている
なお真宗大谷派の公式サイトは、院号について「明治期に御影堂・阿弥陀堂を再建するにあたって、法義相続・本廟護持…を願いとして相続講制度(必要な経費を僧侶・門徒全体で支える仕組み)を設けました。以来、今日までひろく法義相続・本廟護持にご尽力くださった方々への賞典として、院号がおくられています」と説明しています(真宗大谷派「法名と戒名」)。院号の由来や位置づけは宗派によって説明が異なるため、一般論としてまとめてしまわないほうが確実です。
戒名の文字数が人によって違うのはなぜか
「戒名の文字数」で検索される方が多いのは、長さの違いが目につくからだと編集部はみています。ここまで見たとおり、長さの違いは中心の二文字ではなく、その外側に何が付いているかの違いです。院号が付けば四文字増え、道号が付けば二文字増える、という数え方になります。
一方で、文字数と金額を結びつけて説明している宗派の公式ページは、今回の調査では見当たりませんでした。真宗大谷派は浄土真宗の法名について「僧俗の区別や身分、字数による階級の別もありません」と述べています。文字数の話をどう受け止めるかは宗派によって前提が違うため、気になる場合は菩提寺に直接おたずねください。
なお、この二文字や位号が実際に書かれるのが位牌です。位牌そのものの種類や作る流れは、こちらの記事でまとめています。
「戒名のランク」と言われるものの正体

検索すると「戒名ランク一覧」という表が数多く出てきます。ただ、そこで並べられているのは戒名そのものではなく、多くの場合いちばん下に付く位号と、いちばん上に付く院号の有無のことです。中心の二文字が変わるわけではありません。
「位号」「院号」と呼ばれる部分のこと
位号として使われる語には、妙心寺派の指針に挙げられているとおり「居士」「大姉」「信士」「信女」などがあります。真宗大谷派の公式サイトも「『○○信士』や『○○信女』は『戒名』と言い、五戒や十戒など、定められた戒律を受けた者に付けられる名です」と説明しています。
どの位号を用いるか、どのような場合に付すかは寺院や宗派によって考え方が異なります。当メディアでは、どれが上でどれが下といった並べ方はいたしません。理由は次の項目のとおりです。
宗派の側は「人格や人間的な価値を表すものではない」と述べている
臨済宗妙心寺派の「人権擁護推進指針(三)」は、位階の部分について「往々にして差別性があるとして問題にされるのは、この『院号』や『居士』『大姉』といった位階の部分です」としたうえで、「位階というものが、そのまま、その人の人格や人間的な価値を表すものとして受け入れられているところに問題があるのです」と述べています。同じ指針では、多額の寄進を物的功労として捉える考え方があることにも触れ、一方的な断定を避けた書き方がされています。
つまり、位階を人の価値の序列として読むこと自体に、宗派の側から問題提起がなされているということです。この記事で「ランクの一覧表」を作らないのは、その指摘をふまえてのことです。
ネットの「戒名一覧」「戒名 漢字一覧」をどう見ればよいか
「戒名一覧」「戒名 漢字 一覧」といったページも多く見かけますが、今回調べた範囲では、位号の一覧や使ってよい漢字の一覧を公式に掲げている宗派のページは見当たりませんでした。浄土真宗本願寺派には法名に用いることができない文字などの基準を定める旨の規程がありますが、その基準そのものは公開されていません(浄土真宗本願寺派「法名の授与に関する寺達」第4条)。
一覧を見るときは「これは誰が、どの宗派を前提にまとめたものか」を確かめ、自分の家の宗派の説明として読み替えないほうが安全です。曹洞宗の公式サイトも「戒名や葬儀の方法は、菩提寺によく相談して決めていただきましょう」と案内しています(曹洞宗「よくあるご質問」)。
宗派による呼び方の違い|浄土真宗の「法名」・日蓮宗の「法号」

「戒名」という言葉をそもそも使わない宗派があります。同じものの別名という単純な話ではなく、名前の意味づけ自体が違うため、ここは混ぜずに分けて読んでいただくのが確実です。
| 宗派 | 呼び方 | 公式サイトでの説明(要旨・2026年8月時点) |
|---|---|---|
| 天台宗 | 戒名(法名とも) | 戒を受け終わった証しが戒名。法名は二文字で、上に道号や院号を付ける |
| 曹洞宗 | 戒名 | 三帰戒・三聚浄戒・十重禁戒の十六条戒を受けたときにいただく名前 |
| 臨済宗妙心寺派 | 戒名 | 受戒を行い戒律を持つ誓いを行った人に、仏弟子となった証しとして与えられる得度名 |
| 浄土真宗本願寺派 | 法名 | 「浄土真宗では“戒名”という言い方はしません」。法名は漢字2字で「釋」の字を冠する |
| 真宗大谷派 | 法名 | 「釋○○」「釋尼○○」。受戒はなく、身分や字数による階級の別もないと説明 |
| 浄土宗 | 法名(いわゆる戒名) | 位牌には法名(いわゆる戒名)を記す。五重相伝では戒名の一つである「譽号」が授与される |
| 日蓮宗 | 法号 | 宗の研究機関の論考に「戒名とは戒をたもつ者の名である。日蓮宗では法号と言う」との記述 |
| 神道 | 戒名は用いない | 霊璽や墓石には、生前の姓名の下に尊称を付した諡名(おくりな)を用いる |
※各宗派の公開ページの記載をもとにした要旨です。同じ宗派でも寺院・地域によって説明や作法が異なることがあります。
浄土真宗|「戒名」とは言わず「法名」
浄土真宗本願寺派(西本願寺)の仏事・行事Q&Aは、「浄土真宗では“戒名”という言い方はしません。なぜならば、戒名は、自力修行をめざし受戒した人に対して授けられる名前であり、自力修行をしない浄土真宗にはそぐわないからです」と明記しています(浄土真宗本願寺派「よくあるご質問」)。同じQ&Aは、法名は「仏教徒としての自覚を持って生きる」証しの名前であり、生きている間に授かるべき性質のものだと説明しています。
形も規程が定めています。本願寺派の「法名の授与に関する寺達」第2条第2項は「法名は、漢字2字とし、『釋』の字を冠するものとする」と定め、例示として「釋○○」を挙げています。真宗大谷派も「浄土真宗には受戒はなく、僧俗の区別や身分、字数による階級の別もありません。すべては『釈』の名のもとに差異なく、共に仏弟子となるのです」と説明しています。
浄土真宗の女性の法名|2025年から「釋」「釋尼」を選べるようになった
「浄土真宗の法名は女性だと違うのか」という点は、近年に変更があった部分です。真宗大谷派は2024年12月27日付で「法名の取り扱いの変更について」を公表し、2025年1月1日から、帰敬式の法名について男性に「釋○○」・女性に「釋尼○○」という授与を基本としつつ、受式される方の願い出に応じて「釋○○」もしくは「釋尼○○」を選択できるとしています(真宗大谷派「法名の取り扱いの変更について」)。同告知では、選択事由の説明は必要としないとも記されています。
変更の理由として、同派は「尼」の語が女性の出家者である比丘尼に由来するという歴史をふまえつつ、現代においては多様な性を尊重する法名のあり方が問われている、と説明しています。古い解説記事では触れられていない点なので、ご自身やご家族の法名を考える際は最新の案内をご確認ください。
曹洞宗・天台宗|戒を受けた証しとしての戒名
曹洞宗の公式サイトは、戒名を「戒を受け仏弟子となったものが授かる名前」とし、同宗では三帰戒・三聚浄戒・十重禁戒の十六条戒を授けると説明しています。そのうえで「これら十六条の戒を受けたときにいただくお名前が『戒名』でありますから、本来は、仏弟子としての自覚が生まれた時にいただくものです。しかし、この一生の営みの中でそのような機会に恵まれなかった場合、亡くなられたときに、これを授かるのです」と続きます。
天台宗も同様に、受戒会という儀式で俗名とは別に与えられるのが戒名であるとし、「キリスト教徒が洗礼を受けたときにクリスチャンネームをもらうのと似ています」と説明しています。宗派によって授ける戒の内容は異なりますが、「戒を受けた証し」という位置づけは共通しています。
日蓮宗の「法号」・浄土宗の「譽号」
日蓮宗では「法号」と呼びます。日蓮宗 現代宗教研究所が公開している論考には「戒名とは戒をたもつ者の名である。日蓮宗では法号と言うが、『題目受持の一戒』はたもたなければならない」と記されています(日蓮宗 現代宗教研究所「葬儀を考える─法号について」)。
浄土宗のよくあるご質問は、位牌について「木の札に亡くなった方の法名(いわゆる戒名)や俗名、命日、行年(享年)を記してお祀りします」と説明しています。また同ページは、檀信徒が教えを相伝する五重相伝会で「戒名の一つである『譽号』」が授与されるとしています(浄土宗「よくあるご質問」)。
神道には戒名がない|「諡(おくりな)」
神道では戒名を用いません。北海道・西野神社の公式サイトは「当然仏式の戒名は用いず、霊璽や墓石に故人の名を刻むときは大人(うし)や刀自(とじ)、また命などの尊称を、生前の姓名の下に付した諡名(おくりな)を用います」と案内し、年齢の目安ごとに用いる尊称の表も載せています(西野神社「諡名(おくりな)」)。表記や考え方は神社・地域によって異なるため、実際には斎主をお願いする神社にご確認ください。
白木の位牌から本位牌に書き写す流れなど、仏式で名前が移っていく場面については、こちらの記事でまとめています。
戒名は亡くなってから授かるもの?|生前にいただく場合

ここまで見てきたとおり、複数の宗派が「本来は生きているうちに受けるもの」と説明しています。天台宗は「法名は生前に頂くことができます。むしろ生前に授戒して仏様を心に頂いて生活することが本来の在りかたです」とし、真宗大谷派も帰敬式について「生きている『今』受式することに、帰敬式の本来的意味があります」と案内しています(真宗大谷派「法名をいただく(帰敬式)」)。
生前に名前をいただく儀式の例
生前に名前をいただく機会は、宗派ごとに用意されています。天台宗のQ&Aは「円頓受戒(えんどんじゅかい)や結縁潅頂(けちえんかんじょう)という授戒会や仏縁を結ぶ儀式が開催されています。まずは菩提寺にご相談ください」と案内しています。浄土真宗では帰敬式(おかみそり)がこれにあたり、真宗大谷派の案内は、ご本尊の前で三帰依文を唱和し、執行者から剃刀が3度頭にあてられる儀式だと説明しています。
金額が公表されている例もあります。真宗大谷派の真宗本廟(東本願寺)で帰敬式を受ける場合の礼金を、公式の受式案内は18歳以上が10,000円、18歳未満が5,000円としています(真宗大谷派「帰敬式 真宗本廟での受式」・2026年8月時点)。これは真宗本廟で生前に帰敬式を受ける場合の礼金であって、葬儀の際にお渡しするお布施の相場を示すものではありません。他の宗派・他の寺院にそのまま当てはめられる数字でもない点にご注意ください。
生前に考えるときに先にすること
生前に名前をいただく場合、順番を間違えると後が難しくなります。菩提寺がある場合は、他所に相談する前に必ず菩提寺へ——これが各宗派の案内に共通する助言です。曹洞宗のQ&Aには、菩提寺に連絡せず葬儀社の紹介で戒名を授かった方の相談に対し「場合によっては再度葬儀を行い、お戒名を授けてもらう必要があります」と回答した例が載っています。
また天台宗のQ&Aは「最近では、『長生きができます』『高額な戒名料を支払わなくてもいいです』『どの宗派の戒名でもお付けします』と、生前戒名を勧誘している団体などがありますが、仏弟子となって生きるという生前戒名の意味をよくご理解していただきたいと思います」と注意を促しています。生前に、という言葉に金額の話が結びついている勧誘には、いったん立ち止まったほうがよさそうです。
戒名は自分で付けてもよいのか

「戒名を自分でつける」という検索も多くあります。この点について曹洞宗の公式サイトは、はっきりと立場を示しています。「お戒名は自分でつけていいものですか?」という問いに対し、「戒名は仏さまの弟子となったときに、その証として住職から授けられる名前です。自分で好きな名をつけるものではありません」と回答されています。
宗派としての考え方はこのとおりですが、実務の面でも押さえておきたい点があります。先に触れた曹洞宗のQ&Aの事例のように、菩提寺を通さずに名前が決まってしまうと、納骨の段階で改めて相談が必要になることがあります。「付けられるかどうか」よりも、「そのあとお世話になる寺院と話がついているか」が実際には効いてくる、と考えたほうが現実的です。
逆に、菩提寺との関係がなく、これからお付き合いする寺院を探すところから始める方もいます。その場合も、自分で文字を決めてしまう前に、宗派の宗務庁や本山の相談窓口、あるいは近隣の同じ宗派の寺院に事情を伝えて相談するほうが、行き違いが起きにくくなります。何を選ぶかはご家族の判断であり、当メディアが是非を申し上げるものではありません。
戒名とお布施の考え方|「戒名料」に決まった金額はあるのか

戒名にまつわる不安の多くは、お金の話に集まります。ここは相場を示せる領域ではないため、各宗派が公開している「考え方」と、金額を尋ねるときの具体的な方法をお伝えします。
お布施は対価ではないと案内されている
真宗大谷派の公式サイトは「『御布施』は『読経料』などといった、仏事を行っていただいたことへの対価ではありません。どこまでも、仏さまの教えに会い得た喜び(法施)の心を表現したものとして、仏さまへの感謝の気持ちを表しているものなのです」と説明しています(真宗大谷派「金封の表書き」)。同じページには「仏さまへの気持ちは価格をつけられるものではありませんから、本来金額にも決まりはないのです」とも記されています。
浄土宗のよくあるご質問も「お布施は読経・ご法事に対する報酬ではなく、『布施行』といわれる仏道修行に由来します」と説明しています。宗派は違っても、料金表のような性質のものではない、という説明は共通しています。逆に言えば、金額が一律に決まっていないからこそ、寺院・宗派・地域・お付き合いの度合いによって実際の額には大きな幅が生まれます。
金額の目安を知りたいときの尋ね方
とはいえ、包む側としては何らかの目安がほしいものです。真宗大谷派のページは、この点にも触れています。「いくらにすれば良いのか困惑されることもあるでしょう。その際は、地域によって違いもあるので、ご近所の方をはじめ地域の方々に聞かれたりして、参考にされたらいかがでしょうか。また、お世話になるお寺の住職さん方に事前に尋ねられてみてはいかがでしょうか」との案内です。
つまり、ネットの相場表よりも、その地域とその寺院に聞くほうが確実ということになります。同じ檀家の方や親族に「うちの地域ではどのくらい包まれていますか」と聞く、住職に事前にたずねる——遠慮してしまいがちな部分ですが、公式サイト側がそう案内していると知っておくと、切り出しやすくなるのではないでしょうか。
封筒の表書きと包み方
「お布施 戒名料 封筒」で調べる方も多い部分です。書き方についても公開されている案内があります。
- 表書き:真宗大谷派は僧侶への御礼について「『御布施』『御法礼』が望ましいでしょう」と案内している
- 水引:同派は、年忌法要や葬儀などの法礼の場合は黒白や黄白を用いるのが一般的とし、真っ白な無地の袋でもかまわないとしている
- 中袋:浄土宗は「お金は袋に直接包まず、白無地の封筒を中包みとして用いるとより丁寧です」とし、中袋の表に金額、裏に住所・氏名を書くよう案内している
- 金額の書き方:浄土宗は「金額は旧字体で書くのが一般的」として、壱・弐・参・伍・拾・萬の字を挙げている
ここに挙げたのはあくまで各宗派が公開している案内であり、地域の慣習によって異なる部分もあります。迷ったときは、やはり菩提寺やご親族に確認するのが確実です。
葬儀全体の料金でもめないために
戒名そのものより、葬儀全体の費用で行き違いが起きるほうが多いと考えられます。独立行政法人国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、全国の消費生活センター等に寄せられた葬儀サービスに関する相談は2025年度で917件、うち「高価格・料金」に関する相談の割合は52.6%と、増加傾向で推移しています(国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」)。同資料は、葬儀サービスに僧侶の依頼等葬式に関連する相談も含まれるとしています。
同資料の消費者へのアドバイスは、①葬儀の希望やイメージを考えて情報収集をする、②葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行う、③見積書は必ず受領し内容(明細)をよく確認する、④不安に思った場合やトラブルが生じた場合はすぐに最寄りの消費生活センター等に相談する、の4点です。相談先として同資料が挙げているのは、消費者ホットライン「188(いやや!)」番です。
同センターの「墓・葬儀サービス」のページも、「価格やサービス内容について十分な説明がない」「質素な葬儀を希望したのに高額な料金を請求された」といった相談が寄せられていると伝えています(国民生活センター「墓・葬儀サービス」・2026年7月31日更新)。誰に何を支払うのか(葬儀社への費用なのか、寺院へのお布施なのか)を分けて確認しておくと、あとから慌てずに済みます。
仏壇を手放す際の閉眼供養など、戒名以外の場面のお布施については、こちらの記事でも触れています。
戒名を授かったあとに関わってくること

授かった名前は、その後いくつかの場面に登場します。それぞれ判断のポイントが違うため、順に確認しておくと迷いが減ります。
- 位牌:浄土宗の案内にあるとおり、位牌には法名(いわゆる戒名)や俗名、命日、行年(享年)が記される。四十九日までの白木位牌から本位牌への切り替えがある
- 墓石・霊璽:墓石に刻む場合、彫り直しには石材店の作業が伴う。神道では諡名を用いる
- 過去帳・法要:年忌法要の案内や過去帳の記載に用いられる。宗派によって法要を営む年の数え方が異なる
- お墓の引っ越しや承継:墓じまいや永代供養に切り替える際、名前の扱いも寺院・霊園と相談することになる
お墓そのものをどうするか、承継する人がいない場合にどうするかは、戒名とは別に検討が必要な大きなテーマです。費用や手続きの流れは、それぞれ別の記事にまとめています。
戒名についてよくある質問(FAQ)
※本記事は、各宗派・神社の公式サイトおよび公的機関の公表資料の記載をもとにした2026年8月時点の編集部まとめです。戒名・法名・法号の考え方、作法、金額の扱いは宗派・寺院・地域によって大きく異なり、同じ宗派でも寺院ごとに説明が違うことがあります。実際の判断は必ず菩提寺やお付き合いのある寺院にご確認ください。
まとめ
戒名とは、戒を受けて仏弟子となった証しとして授かる名前です。長い漢字の並びに見えても、中心にあるのは二文字で、その上に道号や院号、下に居士・大姉・信士・信女といった位階が付くという構造になっています。「戒名のランク」と呼ばれているものは、多くの場合この外側の部分を指しています。
呼び方も考え方も宗派によって異なり、浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」と呼ばれ、神道では戒名を用いず諡名が使われます。お布施は読経の対価ではなく金額に決まりはないと案内されており、目安を知りたいときは地域の方や菩提寺の住職に直接たずねるのが確実です。迷ったときは思い込みで進めず、まず菩提寺にご相談ください。