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永代供養とは?費用の目安と合祀の時期・納骨堂や樹木葬との違い

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お墓を継ぐ人がいない、遠方で通えない、子どもに管理の負担を残したくない——。そんな事情から「永代供養」という言葉にたどり着いた方は多いと思います。ただ、調べ始めると「合祀」「集合墓」「樹木葬」「納骨堂」と呼び方が次々に出てきて、結局いくらかかるのか、いつまで誰が何をしてくれるのかが見えにくいのではないでしょうか。

この記事では、当メディア編集部が東京都・横浜市・神戸市が公表している市営・都営墓地の使用料や使用の手引、墓地埋葬法の条文、国民生活センターの公表資料を2026年8月時点で調べ、永代供養の中身(合祀・個別安置・期限付き)、費用の実額、合祀されるタイミング、契約前に確認することを順に整理しました。遺骨をどこへ納めるかという選択肢そのものの比較は関連記事に譲り、ここでは永代供養だけを深く見ていきます。

読者
実家の墓を継ぐ人がいなくて、永代供養にしようかと考えています。ただ、パンフレットに「永代供養5万円から」とあったり「50万円から」とあったり、幅がありすぎて何を基準に選べばいいのか分からなくて…。
編集部
その戸惑いはもっともです。実は「永代供養」は法律で定義された言葉ではなく、施設ごとに中身が違う運用上の呼び名です。ですから金額だけを見比べても揃いません。まずは「合祀までの期間」と「遺骨を取り出せるか」という2点で整理すると、比べられるようになります。

【一言でいうと】永代供養とは?意味と、費用・期間の早見表

永代供養は「合祀までの期間」で見分けるの図解
当メディア編集部作成

永代供養とは、一般にお墓を継ぐ人がいなくても、墓地や納骨堂の管理者が遺骨を預かり、管理や供養を続けてくれる形を指す言い方です。「代々承継することを前提としないお墓」と説明されることが多く、承継者がいない・遠方で管理が難しいという事情に応える仕組みです。

ただし注意したいのは、この「永代供養」という言葉が法令用語ではないという点です。墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)に定めがあるのは墓地・納骨堂・改葬などの定義と許可の枠組みで、「永代供養」の定義も、何年預かるという期間の定めもありません。そのため同じ言葉でも施設ごとに約束している内容が違うのです。

まずは、実際に自治体が公表している使用料をもとに、タイプごとの姿を早見表で確かめてみましょう。

タイプ 遺骨の置かれ方 使用料(自治体の公表額の例) 承継 あとで取り出す
合祀(合葬) 納骨の時点でほかの方の遺骨と一緒に埋蔵 神戸市 鵯越合葬墓 合葬施設=1体あたり50,000円/東京都 八柱霊園 合葬埋蔵施設(直接共同埋蔵)=遺骨1体あたり53,000円 不要 できない
一定期間の個別安置つき 骨壷のまま一定期間保管し、期間満了後に合葬 神戸市 個別安置施設=1体あたり100,000円(10年)/東京都 八柱霊園(一定期間後共同埋蔵)=遺骨1体あたり131,000円(20年) 不要 期間内は施設の定めによる。合葬後はできない
納骨堂タイプ 屋内の納骨壇や自動搬送式の厨子に収蔵 横浜市 日野こもれび納骨堂 自動搬送式=1基あたり484,000円(30年間・税込)+管理料 年9,900円(税込) 施設による 施設の定めによる
樹木葬(樹林型・樹木型) シンボルツリーの下などに埋蔵 東京都 多磨霊園 樹林型=遺骨1体あたり95,000円(粉状遺骨は31,000円)/神戸市 樹林葬墓地=1体あたり150,000円 不要 できない場合が多い
(参考)承継前提の一般墓 区画を借りて墓石を建てる 横浜市 メモリアルグリーン 芝生型=450,000円(30年間)/900,000円(永年)+管理料 年8,370円 必要 改葬の手続きで可能

※金額は各自治体が条例等に基づき公表している使用料・管理料です(2026年8月時点)。日野こもれび納骨堂は公式ページに「税込」の明記があり、そのほかは税の内訳の記載がないため公表額をそのまま記載しています。出典=東京都「令和8年度 都立霊園の使用者を募集します」/横浜市「メモリアルグリーンのご案内」/横浜市「日野こもれび納骨堂について」/神戸市「合葬式墓地(鵯越合葬墓)」/神戸市「新しいお墓のかたち」。施設名は料金・制度の出典として挙げたもので、優劣を示すものではありません。

永代供養の種類|合祀(合葬)・一定期間の個別安置・期限付きの個別区画

寺社・供養にまつわる情景
写真はイメージです

「永代供養」とひとくくりにされていても、遺骨の置かれ方は大きく3つに分かれます。この違いが、費用の差とお参りの仕方の差をほぼ決めています。順に見ていきましょう。

合祀(合葬)タイプ|最初からほかの方と一緒に納める

納骨した時点で、ほかの方の遺骨と一緒に埋蔵される形です。神戸市は鵯越合葬墓の合葬施設について「骨壺から焼骨を取り出して布袋に収め、合葬施設に埋蔵します」と説明しており、使用料は1体あたり50,000円と公表しています。東京都の八柱霊園にも「直接共同埋蔵」という同じ考え方の区分があり、遺骨1体あたり53,000円、小平霊園の合葬埋蔵施設2号基(直接共同埋蔵)は58,000円です。

費用がもっとも抑えられる一方で、ほかの方の遺骨と混ざるため、あとから特定の遺骨だけを取り出すことはできません。神戸市は「合葬施設へ納骨された遺骨は返還できません」と明記しています。ご親族の中に「いずれ手元に戻したい」という考えの方がいないか、決める前に話し合っておきたいところです。

一定期間だけ個別に安置してから合祀するタイプ

骨壷のまま一定期間は個別に保管し、期間が過ぎたら合葬施設へ移すという中間の形です。神戸市は個別安置施設について「個別安置施設に骨壺のまま10年間(許可日から10年間)保管した後で、合葬施設に埋蔵します」とし、使用料を1体あたり100,000円、さらに10年延長する場合は1体あたり50,000円と公表しています。

東京都の合葬埋蔵施設にも「一定期間後共同埋蔵」という区分があり、令和8年度の募集では八柱霊園が遺骨1体あたり131,000円、多磨霊園が61,000円でした。同じ「合葬埋蔵施設」でも、直接共同埋蔵か一定期間後かで金額が倍以上変わる点は覚えておくとよいでしょう。

期限付きの個別区画|墓石を建てても期限が来れば合葬される

近年は、あらかじめ使用期限を決めたうえで墓石を建てるタイプも登場しています。神戸市は期限付墓地を「あらかじめ使用期間を定めて、墓石の撤去や合葬墓への改装を組み入れたお墓です」と説明し、使用期間は許可日から15年間、区画使用料は300,000円(別途、埋蔵する焼骨1体あたり50,000円の合葬墓使用料が必要)と公表しています。期間が満了すると市が墓石を撤去し、遺骨は鵯越合葬墓へ改葬される仕組みです。

なお神戸市は、従来型の使用期限を定めない一般墓の新規区画について「2024年度をもって募集を終了します」とも案内しています。承継を前提としないお墓へ、公営墓地の側も比重を移しつつあることがうかがえます。

遺骨の行き先には、永代供養のほかに散骨や手元供養といった選択肢もあります。それぞれの向き不向きを横並びで比べたい方は、こちらの記事をご覧ください。

納骨堂・樹木葬と永代供養はどういう関係か

寺社・供養にまつわる情景
写真はイメージです

資料を読み比べていると、「永代供養墓」「納骨堂」「樹木葬」が同じ並びで説明されていることがあります。ただ、この3つはそもそも言葉の層が違います。ここを整理しておくと、見学や問い合わせのときに話が噛み合いやすくなります。

納骨堂は法律上の区分、永代供養は運用の呼び名

墓地、埋葬等に関する法律では、納骨堂を「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」と定義しています。つまり納骨堂は法律上の施設区分であり、承継を前提とするかどうかとは別の話です。厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」も、墓地・納骨堂・火葬場の経営は都道府県知事(市または特別区にあっては市長または区長)の許可が必要と整理しています。

公営の納骨堂の例として、横浜市の日野こもれび納骨堂は自動搬送式納骨施設の使用料を30年間で1基あたり484,000円(税込)、管理料を1年間で1基あたり9,900円(税込)と公表しています。同じ施設内の合葬式納骨施設は、使用料が60年間で1体あたり74,800円(税込)、管理料が60年間で1体あたり46,200円(税込)です。同じ納骨堂の中でも、個別に収蔵するか合葬かで金額の桁が変わります。

樹木葬とは|公営では「樹林型」「樹木型」「樹林葬」と呼ばれている

樹木葬も法令上の用語ではなく、シンボルツリーや樹林を墓標とする埋蔵の形を指す通称です。自治体の呼び方は一定ではなく、東京都は「樹林型合葬埋蔵施設(樹林墓地)」、横浜市は「樹木型納骨施設」、神戸市は「樹林葬墓地」と、それぞれ別の名称で案内しています。

費用も条件で動きます。東京都の令和8年度募集では、多磨霊園の樹林型合葬埋蔵施設が遺骨1体あたり95,000円・粉状遺骨1体あたり31,000円、雑司ケ谷霊園の樹林型が遺骨1体あたり112,000円・粉状遺骨1体あたり37,000円でした。遺骨をそのまま納めるか粉状にするかで、使用料が3分の1程度まで下がる設定になっているのが特徴です。横浜市の樹木型納骨施設は使用期間が永年で、使用料140,000円(1体)・管理料62,850円(1体)、神戸市の樹林葬墓地は粉状にした焼骨を土と混ぜて埋蔵する方式で、使用料は1体あたり150,000円です。

「永代供養つき」と書かれていても中身は施設ごとに違う

整理すると、納骨堂は法律上の施設区分、樹木葬は埋蔵方法の通称、永代供養は「承継者がいなくても管理者が引き受ける」という運用上の約束、という三層の関係になります。ですから「永代供養つきの樹木葬」「永代供養つきの納骨堂」という組み合わせが成り立ちます。

裏を返せば、「永代供養」と書かれているだけでは、何年預かるのか、いつ合祀するのか、法要を行うのかまでは分かりません。パンフレットの言葉ではなく、使用規則や使用の手引に書かれている条件で比べるのが確実です。

永代供養の費用|自治体が公表している使用料でみる幅

調べ物をして検討する女性
写真はイメージです

永代供養の費用は「相場◯万円」と紹介されることが多いのですが、条件を書かない相場はほとんど比較の役に立ちません。ここでは、条例等に基づいて公表されている自治体の使用料をそのまま並べます。民間の霊園・寺院の価格帯とは前提が異なりますが、条件と金額が1対1で確認できる資料として参考になるはずです。

施設 形式・条件 使用料 管理料
神戸市 鵯越合葬墓 合葬施設(納骨時に合葬) 1体あたり50,000円 記載なし(維持費も必要ありませんと案内)
東京都 八柱霊園 合葬埋蔵施設(直接共同埋蔵) 遺骨1体あたり53,000円 年間管理料は「-」表記
東京都 小平霊園 合葬埋蔵施設2号基(直接共同埋蔵) 遺骨1体あたり58,000円 年間管理料は「-」表記
東京都 多磨霊園 合葬埋蔵施設(一定期間後共同埋蔵・20年) 遺骨1体あたり61,000円 年間管理料は「-」表記
横浜市 メモリアルグリーン 慰霊碑型納骨施設(30年間) 60,000円(1体/30年間) 31,420円(1体/30年間)
横浜市 日野こもれび納骨堂 合葬式納骨施設(60年間・粉状の遺骨) 74,800円(1体・税込) 46,200円(1体/60年間・税込)
東京都 多磨霊園 樹林型合葬埋蔵施設2号基 遺骨1体あたり95,000円/粉状遺骨1体あたり31,000円 年間管理料は「-」表記
神戸市 鵯越合葬墓 個別安置施設(10年収蔵後に合葬) 1体あたり100,000円(10年延長は1体あたり50,000円) 記載なし
東京都 雑司ケ谷霊園 樹林型合葬埋蔵施設 遺骨1体あたり112,000円/粉状遺骨1体あたり37,000円 年間管理料は「-」表記
東京都 八柱霊園 合葬埋蔵施設(一定期間後共同埋蔵・20年) 遺骨1体あたり131,000円 年間管理料は「-」表記
横浜市 メモリアルグリーン 樹木型納骨施設(使用期間は永年) 140,000円(1体) 62,850円(1体)
神戸市 樹林葬墓地 粉状の焼骨を土と混ぜて埋蔵(約50年間) 1体あたり150,000円 記載なし
横浜市 日野こもれび納骨堂 自動搬送式納骨施設(30年間) 1基あたり484,000円(税込) 1年間あたり9,900円(税込)

※2026年8月時点で各自治体が公表している金額です。東京都は令和8年度募集の使用料、横浜市・神戸市は各施設の案内ページの記載によります。税の内訳が明記されているのは横浜市 日野こもれび納骨堂のみで、そのほかは公表額をそのまま記載しています。申込資格・募集時期は施設ごとに異なります。

合祀(合葬)タイプの使用料は5万〜15万円台の例が多い

上の表を合祀・樹木葬の行だけで見ると、公営施設の使用料は1体あたり50,000円から150,000円までの範囲に収まっています。もっとも安いのは納骨時にそのまま合葬する形で、粉状にした遺骨を納める設定があるとさらに下がります(東京都 多磨霊園の樹林型は粉状遺骨で31,000円)。

逆に、樹木の下という景観や、永年の使用期間といった条件が付くと15万円前後まで上がります。金額の差は供養の手厚さではなく、期間・スペース・遺骨の状態という条件の差だと考えると読み解きやすくなります。

個別安置・納骨堂タイプは条件で大きく動く

個別に安置する期間が付くと、金額は一段上がります。神戸市では合葬施設50,000円に対し、10年の個別安置施設が100,000円と2倍です。東京都の八柱霊園でも、直接共同埋蔵53,000円に対し一定期間後共同埋蔵は131,000円でした。

屋内の納骨堂で個別の厨子を使う形はさらに上がり、横浜市の自動搬送式納骨施設は30年間で484,000円(税込)です。同じ施設内の合葬式が60年間で74,800円(税込)ですから、「個別のスペースを持つかどうか」が費用を決める最大の要素だと分かります。

「年間管理費なし」でも管理料が別に要ることがある

永代供養は「年間管理費がかからない」と紹介されがちですが、これも施設によります。東京都の合葬埋蔵施設・樹林型合葬埋蔵施設は令和8年度の募集案内で年間管理料が「-」と表記されており、毎年の負担がない設計です。神戸市も鵯越合葬墓について「施設は市が管理し、維持費も必要ありません」と案内しています。

一方、横浜市の樹木型納骨施設は使用料140,000円のほかに管理料62,850円(1体)、慰霊碑型は使用料60,000円のほかに管理料31,420円(1体/30年間)と、毎年ではないものの一括の管理料が別途必要です。「管理費なし」という言葉を見たら、毎年不要という意味なのか、一切かからないという意味なのかを確かめておきましょう。

なお、いま建っているお墓を撤去してから永代供養へ移す場合は、墓石の撤去や改葬にかかる費用が別に発生します。その内訳は関連記事で詳しく整理しています。

合祀されるタイミングは施設ごとに違う|10年・20年・30年・50年・60年・永年

手を取り合う高齢の家族
写真はイメージです

永代供養でもっとも見落とされやすいのが、個別に安置してもらえる期間と、合祀へ移る時期です。公営施設の案内を並べただけでも、次のようにばらばらでした。

  • 10年(延長で計20年):神戸市 鵯越合葬墓の個別安置施設。許可日から10年間骨壺のまま保管し、その後に合葬施設へ埋蔵
  • 20年:東京都の合葬埋蔵施設「一定期間後共同埋蔵」。使用許可日から20年間は骨壺の状態で埋蔵し、その後は納骨袋に移して共同埋蔵室へ
  • 20年:東京都の立体埋蔵施設。地上のカロートに20年間埋蔵し、その後は地下カロートに共同埋蔵
  • 30年:横浜市 メモリアルグリーンの慰霊碑型納骨施設。更新すれば継続でき、更新や遺骨引取りの申出がない場合は使用期間満了後に合同埋蔵
  • 約50年:神戸市の樹林葬墓地。供用開始から約50年経過後には、公園内の自然山林となる予定
  • 60年:横浜市 日野こもれび納骨堂の合葬式納骨施設
  • 永年:横浜市 メモリアルグリーンの樹木型納骨施設

10年と永年では、家族が向き合う時間の長さがまったく違います。「永代」という言葉から受ける印象と、実際の契約内容が一致しているとは限らないわけです。

合祀されたあとに遺骨を取り出すことはできない

もうひとつ押さえておきたいのが、合祀後の扱いです。東京都の合葬埋蔵施設の手引は「共同埋蔵された後の遺骨の引取りはできません」と明記しています。神戸市も合葬施設について「合葬施設へ納骨された遺骨は返還できません」、樹林葬墓地についても「埋蔵した後は焼骨を返還・改葬することができません」と明記しています。

さらに神戸市の個別安置施設には、「使用許可日から10年(延長した場合は20年)を経過した後は、申請者等に通知することなく合葬施設へ埋蔵となります」という記載があります。期限が近づいても案内が届くとは限らない、ということです。契約した年と期限の年を控えて家族で共有しておくと安心につながります。

名板・骨壷が処分される施設もある

東京都の立体埋蔵施設の手引は「名板・骨壷は20年後共同埋蔵の際に東京都で処分いたします」「共同埋蔵された後の遺骨の返還・改葬はできません」と明記しています。個別の区画があるうちは名前を刻んだ板がありますが、期間が過ぎればそれも残らない設計です。

また、都立霊園の合葬埋蔵施設では副葬品を埋蔵できず、骨壺の大きさも幅・奥行きとも25cm以内、高さ28cm以内という制限があります。手元にある骨壺がそのまま納められるとは限らないため、事前にサイズを測っておくと当日の慌ただしさを避けられます。

永代供養料とお布施は別のもの|宗派で呼び方も考え方も違う

キャンドル・お線香のイメージ
写真はイメージです

「永代供養にはお布施がいくら必要ですか」という疑問はよく聞かれます。ここは混同しやすいところですが、使用料・管理料と、宗教者へのお布施は性格の違うお金です。前者は条例や使用規則で額が決まっているのに対し、後者は謝礼としてお包みするもので、寺院や宗派、地域、これまでのお付き合いによって考え方が変わります。

公営の合葬式墓地は宗教的な行事を行わないと明記している例がある

意外に思われるかもしれませんが、公営の合葬式墓地には宗教行為を伴わない運用のものがあります。神戸市は鵯越合葬墓について「神戸市では慰霊祭等の祭事は行いません。又、集団での祭事はできません」と案内しており、「ろうそく、線香等の火気類は使用できません」「合葬施設、個別安置施設への立ち入りはできません」とも明記しています。参拝は献花台の前で行う形です。

東京都の合葬埋蔵施設でも、献花台には花と線香以外のものを置いたままにできず、卒塔婆やお酒・タバコのお供えは断ると手引が明記しています。「永代供養」という名称でも、読経や法要が含まれない施設があるということです。読経を望む場合は、その施設で可能かどうかを個別に確かめる必要があります。

同じ「永代」でも、浄土真宗では「永代経」と案内されていることがある

宗派によって、そもそも言葉の使い方が違う場合もあります。たとえば、京都の西本願寺を本山とする浄土真宗の寺院である築地本願寺は、「築地本願寺永代経」のページで、永代経を「築地本願寺が永代にわたってお経をおつとめします。故人の方からいただいたご縁を機縁として、残された方々に阿弥陀如来のみ教えを伝えていく大切な法要です」と説明しています。同寺は申し込みを懇志15万円以上(築地本願寺倶楽部への入会が必須)としています。

ここで大切なのは、これが浄土真宗すべての決まりだという話ではなく、同じ「永代」という言葉でも、遺骨を預かる契約なのか、法要をお約束する内容なのかが寺院によって違うということです。宗派・地域・寺院によって考え方も呼び名も異なりますので、菩提寺がある方はまず菩提寺に、これから探す方は候補の霊園や寺院に、どこまでが含まれるのかを確認してください。

戒名や位牌の扱いも同じように宗派差が大きい部分です。あわせて整理しておくと、寺院に相談するときに話が早くなります。

墓じまいをして永代供養に移すときの流れ(改葬)

書類を整理・記入する様子
写真はイメージです

いま建っているお墓から遺骨を出して永代供養へ移すことは、法律上「改葬」にあたります。墓地、埋葬等に関する法律は改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義しており、改葬を行うには市町村長の許可が必要です。

間違えやすいのが申請先です。同法は、改葬に係る許可について「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする」と定めています。つまり申請するのは移転先ではなく、いま遺骨が納められている墓地・納骨堂がある市区町村です。都立霊園の手引も「改葬許可証は、現在、遺骨が納骨されている墓地や納骨堂が所在する市区町村に申請し、交付されます」と案内しています。

手続きの大まかな流れは、現在の墓地・納骨堂の管理者から埋蔵・収蔵証明書を発行してもらい、受け入れ先から使用許可証などの書類を用意し、その2つを添えて市区町村に改葬許可を申請する、という順序です。必要書類や手数料は市区町村ごとに違うため、遺骨のある自治体の窓口に事前に問い合わせておくとやり直しを避けられます。なお都立霊園の合葬埋蔵施設は火葬した遺骨でなければ埋蔵できず、土葬の遺骨を改葬する場合は火葬が必要です。

墓石の撤去工事や離檀の相談を含めた費用の全体像、書類の集め方は、墓じまいの記事で詳しくまとめています。仏壇もあわせて手放す場合の進め方は仏壇じまいの記事をご覧ください。

永代供養を契約する前に確認する6つのこと

年配のご夫婦の暮らしの様子
写真はイメージです

国民生活センターがまとめている「墓・葬儀サービス」の相談件数は、墓に関するものだけで2023年度1,046件、2024年度1,018件、2025年度1,077件と推移しています(2026年7月31日更新・消費生活センター等からの経由相談を含まない集計)。相談の中身を見ると、あらかじめ確認しておけば防げた行き違いが少なくありません。ここでは、その公表内容と自治体の使用規則をもとに、問い合わせで聞いておきたい6点を挙げます。

1個別に安置してもらえる期間と、合祀に移る時期

何年で合祀されるのか、延長できるのか、延長にいくらかかるのかを数字で確認します。神戸市のように「通知することなく合葬施設へ埋蔵となります」と定めている施設もあるため、期限の年を家族で共有しておくと安心です。

2合祀後に遺骨を取り出せるか、分骨はできるか

合祀後は取り出せない施設がほとんどです。神戸市は分骨について「合葬施設へ埋蔵することはできますが、個別安置施設への収蔵はできません」と施設ごとに扱いを分けています。手元供養を併用したい場合は、分骨の可否を先に聞いておきましょう。

3使用料のほかに管理料・記名板などの費用があるか

横浜市のように使用料と別に一括の管理料が要る施設、神戸市のように記名板が1体あたり30,000円の別料金になっている施設があります。総額がいくらになるのかを内訳つきで出してもらうと比べやすくなります。

4お参りの方法と、できないことの範囲

線香や供物が使えるか、施設内に立ち入れるか、法要ができるかは施設ごとに違います。宗教的な行事を行わないと明記している公営施設もあるため、「毎年お参りしたい」「読経をお願いしたい」といった希望は具体的に伝えて確認します。

5申込資格・受け入れ条件(遺骨の状態や骨壺のサイズ)

公営施設には居住年数などの申込資格があり、抽選になることもあります。粉状の遺骨に限る施設、骨壺のサイズに上限がある施設、土葬の遺骨は火葬が必要な施設など、受け入れ条件も一様ではありません。

6解約したくなったときの規定と返金の有無

国民生活センターは、墓地の契約について「墓地の購入ではなく区画を使用する権利を得る契約です」「一般的には、自己都合による解約の場合は返金されません」としたうえで、契約書や使用約款で解約の規定を確認するよう案内しています。契約前に、解約時の扱いが書かれた条項を読んでおきましょう。

国民生活センターは相談事例として「遠方の寺院の永代供養墓に納骨している両親の遺骨を近隣の霊園へ移したいが、寺院から高額な離檀料を請求され円滑に進まない」というものも挙げています。離檀料は法令に定めがあるものではありませんが、支払う必要がないと言い切れるものでもありません。金額や請求の根拠に納得できないときは、消費者ホットライン「188(いやや!)」から最寄りの消費生活センターに相談できます。

また、同センターは「寺院に宗派を確認して墓地を購入したが、後に別の宗派だと分かった」という事例も公表しています。宗旨・宗派の条件は募集要項や使用規則に書かれていることが多いので、書面で確かめておくと後の食い違いを防げます。

永代供養についてよくある質問(FAQ)

Q永代供養にすると、あとから遺骨を取り出すことはできますか?

A合祀(合葬)されたあとは、取り出せないのが一般的です。東京都は合葬埋蔵施設について「共同埋蔵された後の遺骨の引取りはできません」、神戸市は「合葬施設へ納骨された遺骨は返還できません」と明記しています。個別に安置している期間中であれば改葬に応じる施設もありますが、神戸市の個別安置施設のように「改葬を希望された場合は、その後再び納骨することはできません」と再使用を認めない例もあります。取り出す可能性が少しでもあるなら、契約前に条件を確認してください。

Q永代供養に年間管理費はかかりますか?

A施設によって異なります。東京都の合葬埋蔵施設や樹林型合葬埋蔵施設は、令和8年度の募集案内で年間管理料が「-」と表記されています。一方、横浜市のメモリアルグリーン樹木型納骨施設は使用料140,000円に加えて管理料62,850円(1体)が必要で、日野こもれび納骨堂の自動搬送式は年間9,900円(税込)の管理料があります。「毎年の支払いがない」ことと「管理料が一切かからない」ことは別ですので、内訳で確かめましょう(いずれも2026年8月時点の公表額)。

Q樹木葬と永代供養は同じものですか?

A別の観点の言葉です。樹木葬はシンボルツリーや樹林の下に埋蔵する方法の通称で、永代供養は承継者がいなくても管理者が引き受けるという運用上の呼び名を指します。自治体でも「樹林型合葬埋蔵施設」(東京都)、「樹木型納骨施設」(横浜市)、「樹林葬墓地」(神戸市)と名称が分かれています。樹木葬であっても、合祀の時期や管理料の有無は施設ごとに違います。

Q永代供養にお布施は必要ですか?

A施設の性格によります。公営の合葬式墓地には、神戸市のように「慰霊祭等の祭事は行いません」と宗教行為を伴わない旨を案内しているものがあり、この場合は使用料と管理料のみです。寺院の永代供養墓では、納骨法要などに伴うお布施を別に用意することが多く、金額の考え方は宗派・地域・寺院によって大きく異なります。目安を知りたいときは、菩提寺や申し込み先の寺院に直接尋ねるのが確実です。

Q生前に申し込んでおくことはできますか?

Aできる施設があります。東京都の令和8年度募集では、合葬埋蔵施設・樹林型合葬埋蔵施設に「生前申込」の区分があり、都内に3年以上継続して居住しているなどの申込資格が必要です。神戸市も鵯越合葬墓について、市に6か月以上住民登録がある満65歳以上の方の生前申込を受け付けていますが、対象は合葬施設のみで個別安置施設には申し込めないとしています。募集時期や資格は施設ごとに違うため、希望する施設の募集案内を確認してください。

※本記事の費用・条件は、東京都・横浜市・神戸市が2026年8月時点で公表している募集案内・施設案内・使用の手引と、e-Gov法令検索の条文、厚生労働省・国民生活センターの公表情報をもとに当メディア編集部がまとめたものです。施設名は料金や制度の出典として挙げたもので、優劣を示すものではありません。金額・募集条件は改定されることがあり、宗派・地域・寺院によって作法や考え方も異なります。実際のご判断は、菩提寺や希望する霊園・自治体の窓口にご確認ください。

まとめ

永代供養は法律で定義された言葉ではなく、「承継者がいなくても管理者が遺骨を引き受ける」という運用上の呼び名です。だからこそ、比べるときは金額ではなく①個別に安置される期間と合祀の時期 ②合祀後に取り出せるか ③使用料以外に管理料や記名板の費用があるか ④お参りでできることという条件で並べると判断しやすくなります。

自治体の公表額でみると、合祀タイプは1体あたり50,000円台から、樹木葬タイプは150,000円前後まで、個別の納骨堂は30年間で484,000円(税込)といった幅がありました。合祀までの期間も10年・20年・30年・約50年・60年・永年とばらばらです。ご家族の考えを聞きながら、書面に書かれた条件で確かめていきましょう。

いま建っているお墓から移す場合の費用や手続き、ほかの供養の選択肢については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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