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実家を離れて暮らすことになった、住まいをコンパクトにする、あるいは仏壇を守り続ける人がいなくなった——。こうした暮らしの変化のなかで、「仏壇をどうすればよいのか」と静かに悩む方は少なくありません。長年手を合わせてきた仏壇だからこそ、ただ処分するのではなく、きちんとした形で区切りをつけたいと考えるのは自然なことです。
この記事では、仏壇を手放す「仏壇じまい」とは何かをやさしく整理したうえで、その中心となる閉眼供養(魂抜き)の流れ・依頼先・お布施の目安・行うタイミング、そして仏壇じまいのあとの供養(ミニ仏壇・手元供養)まで、公的な考え方や一般的な作法をもとに落ち着いてご説明します。宗派による呼び方や考え方の違いにも触れますので、迷いなく最初の一歩を踏み出すための入口としてご覧ください。


【一言でいうと】仏壇じまいとは?意味と全体像

仏壇じまいとは、さまざまな事情で仏壇を手放す際に、閉眼供養(魂抜き)を行って仏壇に宿るとされる魂を抜いてから、仏壇を整理・処分する一連の流れのことをいいます。「仏壇終い」「仏壇仕舞い」と表記されることもありますが、意味は同じです。
ポイントは、仏壇じまいは「捨てる」ことそのものではなく、感謝とともにお別れの区切りをつける供養を含んでいる点です。まずは全体像を早見表で確認してみましょう。
| 項目 | 内容の目安 |
|---|---|
| やること | 閉眼供養(魂抜き)→ 位牌など中身の整理 → 仏壇本体の処分 → その後の供養を決める |
| 依頼先 | まず菩提寺。菩提寺がない場合は同じ宗派の寺院・仏壇店・僧侶手配サービスなど |
| 閉眼供養のお布施 | 1万〜5万円程度が目安(宗派・地域・お付き合いにより幅がある/執筆時点) |
| 主なタイミング | 引越し・住み替え・施設入居・継承者不在・実家じまい・墓じまいと同時など |
| その後 | ミニ仏壇や手元供養に切り替える/位牌は残して継承するのが基本 |
※作法・費用は宗派・地域・寺院により異なります。本記事は一般的な例をまとめた執筆時点の編集部まとめです。
仏壇じまいをするタイミング

仏壇じまいには「この時期にしなければならない」という決まりはありません。ご家族の暮らしの変化や気持ちの整理がついたときが、一つの区切りとされています。実際には、次のような節目で検討されることが多いようです。
- 引越し・住み替え:転居先に大きな仏壇を置くスペースがない、都市部の住まいに合わせてコンパクトにしたい
- 施設入居・同居:親の施設入居や子世帯との同居で、これまでの家に仏壇を残せなくなった
- 継承者がいない:仏壇を引き継いで守っていく人がいない、遠方で管理が難しい
- 実家じまい・墓じまいと同時:親の家の片付けや墓じまいのタイミングに合わせて整理したい
とくに継承者がいない場合や遠方での管理が難しい場合は、そのままにしておくと、いずれ手をつけられなくなってしまうこともあります。四十九日や一周忌などの法要に合わせて行う方もいますが、日取りに厳密な決まりはないとされています。ご親族がいる場合は、事前に相談して気持ちをそろえておくと後々のトラブルを防ぎやすくなります。
仏壇じまいの流れ|閉眼供養(魂抜き)の手順

仏壇じまいは、閉眼供養(魂抜き)を中心に、おおむね次のような順序で進めます。閉眼供養は「お性根抜き」「お精抜き」「御霊抜き」などとも呼ばれ、仏壇や位牌に宿るとされる魂を抜き、もとの「物」に戻すための儀式とされています。
1親族に相談し、進め方の合意をとる
仏壇は家族・親族にとって共通の心のよりどころです。あとから「勝手に処分した」と受け取られないよう、まずは関係する方に事情を伝え、進め方の合意をとっておくと安心です。菩提寺との付き合いがある場合は、その関係も含めて相談しておきます。
2依頼先を決め、閉眼供養(魂抜き)を依頼する
菩提寺があればまず菩提寺に連絡し、閉眼供養の日取りを相談します。菩提寺がない場合は、同じ宗派の寺院や仏壇店、僧侶手配サービスなどに依頼する方法もあります。葬儀とは異なり、友引などの日取りを気にする必要はないとされています。
3位牌・遺影・貴重品を取り出して整理する
供養の前に、位牌・遺影・過去帳のほか、権利証や現金など大切な物が仏壇の引き出しに残っていないかを確認します。位牌は基本的に残して継承するため、扱いを先に決めておくと当日あわてずに済みます。
4閉眼供養(魂抜き)を行う
当日は、僧侶に読経していただき、仏壇や位牌の魂を抜きます。おりん・香炉・線香・ろうそく・生花・お供え物などを用意しますが、必要な物は宗派や地域、寺院によって異なるため、依頼先が決まった段階で確認しておくと確実です。
5仏壇本体を処分し、その後の供養を決める
閉眼供養を終えた仏壇は、供養後であれば処分できる状態になります。仏壇店の引き取り・自治体・不用品回収業者など具体的な処分ルートは記事後半の関連リンクで詳しく解説しています。あわせて、ミニ仏壇や手元供養など、その後の供養の形を決めておきましょう。
閉眼供養までを丁寧に行えば、仏壇本体の処分は「供養を終えたもの」として気持ちよく進めやすくなります。仏壇の具体的な処分方法・費用の比較は、こちらの記事で手順ごとにまとめています。
閉眼供養(魂抜き)の依頼先|菩提寺・菩提寺がない場合

閉眼供養を誰に頼むかは、菩提寺(先祖代々のお付き合いがあるお寺)があるかどうかで変わってきます。菩提寺との関係を大切にしながら、無理のない依頼先を選ぶのが基本とされています。
菩提寺がある場合
菩提寺がある場合は、まず菩提寺に相談するのが基本です。長いお付き合いのなかで魂を入れていただいた仏壇であることが多く、閉眼供養も同じお寺にお願いするのが自然な流れとされています。事前の相談なく他所へ依頼すると、その後の関係に影響することもあるため、一言添えておくと丁寧です。
菩提寺がない場合
菩提寺がない、あるいは遠方で頼みにくい場合は、同じ宗派の近隣寺院に相談する、仏壇店に紹介してもらう、僧侶手配サービスを利用するなどの方法があります。仏壇じまいや処分まで一括で対応する専門業者に、供養と引き取りをまとめて頼めるケースもあります。宗派が分からないときは、位牌の戒名や過去帳、親族への確認で調べられることが多いとされています。
閉眼供養のお布施の相場|御車代・御膳料・服装

閉眼供養で僧侶にお渡しするお布施は、地域・宗派・お付き合いの度合いによって幅がありますが、1万〜5万円程度が一つの目安とされています。お布施は儀式の「料金」ではなく、僧侶への感謝やお寺への寄進として包むものと考えられています。
金額に迷ったときは、直接尋ねると「お気持ちで」と返されることが多いため、「皆さんはどのくらい包まれていますか」と目安を伺うとよいとされています。なお「4」は避けられる傾向があるため、4万円は選ばないのが一般的です。
- お布施:1万〜5万円程度が目安(宗派・地域・お付き合いにより幅がある)
- 御車代:僧侶に出向いていただく場合、5,000円程度をお布施とは別の封筒で
- 御膳料:会食を設けない場合に、5,000〜1万円程度を目安に用意することがある
服装は、身内だけで行うことが多いため、派手さを避けた落ち着いた平服でも差し支えないとされています。喪服が必須というわけではありませんが、法要に準じて黒や紺などの控えめな装いにすると失礼になりにくいでしょう。地域や家の考え方によって受け止め方が異なるため、迷う場合はご親族や依頼先に確認しておくと安心です。
宗派による違い|浄土真宗は「遷座法要」(魂抜きをしない)

仏壇じまいの儀式は、宗派によって呼び方や考え方が異なります。とくに浄土真宗では「閉眼供養」「魂抜き」という言い方をせず、「遷座法要(せんざほうよう)」や「遷仏法要(せんぶつほうよう)」を営むとされている点は、押さえておきたい違いです。
浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来によって浄土に導かれると考えられており、仏壇や位牌に魂が宿るという捉え方をしません。そのため「魂を抜く」のではなく、ご本尊である阿弥陀如来に感謝を伝え、お移りいただくための法要として遷座法要を行う、という考え方とされています。お布施の目安は3万〜5万円程度と紹介されることが多いですが、これも地域や寺院によって幅があります。
このように、同じ「仏壇じまいの供養」でも宗派によって名称や意味づけが変わります。自分の家の宗派が分からない場合や、進め方に迷う場合は、思い込みで進めず、菩提寺や同じ宗派の寺院に確認することが何より確実です。位牌の扱いについても宗派差があるため、あわせて相談しておくとよいでしょう。
仏壇じまいのあとの供養|位牌はどうする?ミニ仏壇・手元供養

仏壇じまいは、供養そのものをやめることではありません。手を合わせる形を、暮らしに合ったものに切り替えていく——そう捉えると、その後の選択肢が考えやすくなります。
位牌は残して継承するのが基本
仏壇を手放す場合でも、位牌は故人そのものと重ねて大切にされるため、残して継承するのが基本とされています。どうしても引き継げず処分する場合は、寺院でお焚き上げをお願いする方法があり、その費用は1万〜3万円程度が目安と紹介されることが多いです。白木位牌から本位牌への切り替えなど、位牌の扱いは宗派差もあるため、事前に確認しておくと安心です。
ミニ仏壇・手元供養に切り替える
大きな仏壇を手放し、住まいに合ったコンパクトな「ミニ仏壇」や、写真立てや小さな厨子のような「手元供養」に切り替える方も増えています。位牌や遺影、お気に入りだった品を身近に置いて手を合わせられるため、住環境が変わっても供養を続けやすいのが利点とされています。
永代供養に託す
今後守っていく人がいない、遠方で管理が難しいといった場合は、位牌や過去帳を寺院・霊園に預けて供養を託す「永代供養」を選ぶ方もいます。承継者がいなくても供養を続けてもらえる仕組みとされており、費用や内容は施設によって幅があるため、複数に相談して比較するとよいでしょう。
仏壇じまいのよくある質問(FAQ)
※本記事の作法・費用・宗派の考え方は、寺院・供養関連の一般的な情報をもとにした執筆時点の編集部まとめです。呼び方や進め方には宗派・地域・寺院による違いがあり、実際の判断は菩提寺や依頼先にご確認ください。
まとめ
仏壇じまいとは、閉眼供養(魂抜き)で仏壇や位牌の魂を抜いてから、仏壇を整理・処分し、その後の供養の形を整えていく一連の流れです。依頼先はまず菩提寺、菩提寺がない場合は同じ宗派の寺院や仏壇店・僧侶手配サービスなどが選択肢になり、閉眼供養のお布施は1万〜5万円程度が目安とされています。引越しや施設入居、継承者不在などの区切りに合わせて、ご親族と相談しながら進めるとよいでしょう。
浄土真宗では「遷座法要」と呼び方や考え方が異なるなど、宗派差があるため、迷ったときは依頼先に確認することが確実です。仏壇本体の具体的な処分方法や、位牌のお焚き上げについては、関連記事もあわせてご覧ください。