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遠方のお墓に何年も行けていない、年間管理料だけが引き落とされ続けている、そして自分の次に守る人がいない——。そうした事情から墓じまいを考え始めたとき、最初にぶつかるのが「結局いくらかかるのか」という問いです。ところが調べてみると、数十万円と書かれていたり数百万円と書かれていたりで、かえって分からなくなってしまいます。
墓じまいの費用が大きく振れるのは、金額を決めているのが「墓石の撤去工事」と「取り出した遺骨を納める先」の2つだからです。この記事では、当メディア編集部が石材店・仏壇店の公開料金、自治体の改葬許可のページ、国民生活センターの公表情報を調べ、費用の内訳を①撤去工事 ②お布施と離檀料 ③行政手続きと改葬先の3つに分けて整理しました。あわせて、墓地、埋葬等に関する法律にもとづく手続きを、どこに何を出すのかまで順番にご説明します(2026年8月時点)。


【一言でいうと】墓じまいの費用はいくら?内訳と目安の早見表

墓じまいとは、今あるお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して区画を管理者に返し、遺骨を別の場所へ移すまでの一連の流れを指す言い方です。このうち遺骨を移すことを、法律の言葉では「改葬」といいます。
費用の総額について、仏壇・墓石を扱う株式会社はせがわは、公式サイトの解説ページでおよそ30万円〜300万円程度と案内しています。幅が大きいのは地域差ではなく、お布施をいくら包むか、新しい納骨先にどれを選ぶかといった、置かれた状況と選択によるものだと同社は説明しています。
出典:株式会社はせがわ「お墓じまいの費用平均はいくら?総額と内訳、払えない場合の対応も解説」(2026年8月時点)
内訳を3つに分けると、次のような構成になります。番号は、このあとのH2の①②③と対応しています。
| 内訳 | 費用項目 | 目安(執筆時点) | 金額が変わる主な条件 |
|---|---|---|---|
| ① | 墓石の撤去工事 | 1平方メートルあたり10万円〜15万円程度(株式会社はせがわ)/1平方メートルあたり12万円〜・税込(株式会社城戸石材加工所) | 区画の面積、重機が入れるか、墓石の数、離島かどうか |
| ① | 遺骨の取り出し(撤去と別に頼む場合) | 3万円〜5万円程度(株式会社はせがわ) | 取り出す遺骨の数、作業の手間 |
| ② | 閉眼供養(魂抜き)のお布施 | 3万円〜10万円程度(株式会社はせがわ) | 宗派、地域、寺院とのお付き合い |
| ② | 離檀料(寺院墓地の場合) | 無料〜20万円程度(株式会社はせがわ)。料金に明確な基準はない(国民生活センター) | 寺院の考え方、これまでの関係 |
| ③ | 行政手続き・書類の発行手数料 | 数百円〜1,500円程度(株式会社はせがわ)。改葬許可の申請自体は無料の自治体もある | 自治体、墓地の管理者 |
| ③ | 新しい納骨先(改葬先) | 5万円〜250万円程度(株式会社はせがわ) | どの供養先を選ぶか |
| — | 総額 | 30万円〜300万円程度(株式会社はせがわ) | 上記の組み合わせ |
※金額は各社・各自治体が公開している2026年8月時点の情報です。税表記は出典の記載に従っています。実際の金額はお墓の状況により異なるため、必ず見積もりでご確認ください。
この表から分かるのは、下は撤去工事だけ、上は改葬先に一般墓所を新しく求める場合まで含んだ幅だということです。ご自身が「どの納骨先を選ぶか」を先に決めると、総額の見当が一気に付けやすくなります。
費用の内訳①墓石の撤去工事費|1平方メートルあたりの目安

墓石の撤去工事費は、墓石を解体・処分して区画を更地に戻し、管理者に返すための工事代です。多くの石材店が区画の面積(平方メートル)を基準に見積もるため、まずは自分のお墓が何平方メートルの区画なのかを、使用許可証や管理者への確認で押さえておくと話が早く進みます。
1平方メートルあたりの目安と、遺骨の取り出しの追加費用
株式会社はせがわは、撤去工事について1平方メートルあたり10万円〜15万円程度とし、遺骨の取り出しも一緒に依頼する場合は別途3万円〜5万円程度の追加費用が発生すると案内しています。同社は撤去費用そのものの目安を「20万円程度〜」とも示しています。
出典:株式会社はせがわ「お墓じまいの費用平均はいくら?総額と内訳、払えない場合の対応も解説」(2026年8月時点)
福岡県の株式会社城戸石材加工所は、自社サイトで墓石撤去費用の目安を1平方メートルあたり12万円〜(税込)と示しています。こちらは下限のみの表記で、上限は明示されていません。同社は、費用は墓石の量と運び出す距離、基礎(土台)の大きさと頑丈さで変わるとも説明しています。
出典:株式会社城戸石材加工所「墓じまいの費用相場と平均|墓石撤去費用の内訳を石材店が解説」(2026年8月時点)
面積で区分された定額パックの例
面積を基準にした料金を、あらかじめ区分で公開している事業者もあります。株式会社まごころ価格ドットコムの「墓じまい基本パック」は、申請書の提出代行・遺骨の取り出し(2名まで)・墓石の解体撤去を含む内容で、全国同一価格として次の金額を公開しています。
| 区画の面積 | 価格(税抜) | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 0〜1平方メートル未満 | 178,000円 | 195,800円 |
| 1〜2平方メートル未満 | 218,000円 | 239,800円 |
| 2〜3平方メートル未満 | 258,000円 | 283,800円 |
| 3〜4平方メートル未満 | 288,000円 | 316,800円 |
| 4〜5平方メートル未満 | 318,000円 | 349,800円 |
※申請書の提出代行・遺骨の取り出し(2名様まで)・墓石の解体撤去を含むパックの価格。機材搬入が困難な墓地や離島、特殊な形状や構造の墓石などは別途費用が伴う場合があると同社は案内しています。出典:株式会社まごころ価格ドットコム「まごころ価格の『墓じまい』」(2026年8月時点)
1平方メートルあたりの単価と、面積区分の定額パック。どちらの出し方でも「区画が広いほど高くなる」という構造は共通です。逆に言えば、区画が狭いお墓であれば、撤去工事の負担は想像より小さく収まることもあります。
見積もりが割高になる条件
同じ面積でも金額が上振れするのは、作業の手間が増える立地条件のときです。各社が公開している条件は次のとおりで、いずれも「重機と人手がどれだけ使えるか」に関係しています。
- 通路が狭く、お墓のある場所まで重機を入れるのが難しい(株式会社はせがわ)
- お墓が山奥にあるなど、工事に手間がかかる(株式会社はせがわ)
- 一区画にたくさんの石碑が並んでおり、複数の墓石を撤去する必要がある(株式会社はせがわ)
- 機材の搬入が困難な墓地、離島、特殊な形状や構造の墓石(株式会社まごころ価格ドットコム)
- 隣のお墓との距離が近く、丁寧な手作業が必要になる/基礎が大きく頑丈(株式会社城戸石材加工所)
思い当たる条件がある場合は、見積もりを依頼する時点でお墓の写真と周囲の様子を伝えておくと、あとから追加費用が出て驚くことを避けやすくなります。株式会社はせがわも、石材店によって価格設定が異なるため一社で決めず、複数から見積もりを取って比較することをすすめています。
費用の内訳②閉眼供養のお布施と離檀料

撤去工事とは別に、寺院にお渡しするお金が2種類あります。ひとつは遺骨を取り出す前に営む法要のお布施、もうひとつが寺院墓地の場合の離檀料です。どちらも定価がある「料金」ではないため、金額の考え方を知っておくと落ち着いて相談できます。
閉眼供養(魂抜き)のお布施
株式会社はせがわは、お墓から遺骨を取り出す際に、お墓に宿るとされる魂を抜くために「閉眼供養(へいがんくよう)」を営むと説明しています。同社は、この法要のお布施を3万円〜10万円程度とし、基本的には普段の法要と同額程度で問題ないとされるが、お寺によって異なる場合もあると案内しています。
出典:株式会社はせがわ「お墓じまいの費用平均はいくら?総額と内訳、払えない場合の対応も解説」(2026年8月時点)
なお、同じ「閉眼供養」でも、ご自宅の仏壇を手放すときのお布施は1万〜5万円程度が目安とされ、お墓の場合とは水準も準備するものも変わります。対象が違えば相場も別物と考え、混同しないようにしてください。仏壇じまいの流れと作法は、別の記事で詳しくまとめています。
また、改葬先で納骨する際には、魂を入れ直す「開眼供養」を営むのが一般的とされ、こちらにも同程度のお布施を用意することがあります。呼び方も考え方も宗派によって異なるため、進め方は菩提寺や改葬先の管理者に確認してください。位牌や戒名の扱いを一緒に相談したい場合は、こちらもあわせてご覧ください。
離檀料は「明確な基準がない」費用
離檀料は、寺院墓地から遺骨を移して檀家をやめるときに、これまでのお礼として寺院にお渡しするお金です。独立行政法人国民生活センターは、消費者トラブルFAQの「改葬したいと伝えたら、寺から高額な離檀料を請求された。納得できない」という項目で、「離檀料は、寺にお礼として支払うお布施の意味を持つもので、現状は、料金に明確な基準はありません。基本的には、当事者間で話し合うこととなります」と回答しています。
出典:独立行政法人国民生活センター 消費者トラブルFAQ「【墓地】改葬したいと伝えたら、寺から高額な離檀料を請求された。納得できない。」(2026年8月時点)
金額の目安として、株式会社はせがわは無料〜20万円程度とし、通常の法要でお包みする額の2〜3倍程度が目安とされること、法律で定められた費用ではないが、これまでお世話になった感謝の気持ちとして渡すのが通例であることを説明しています。
つまり離檀料は、法令に定めのある支払いではない一方で、「払わなくてよいもの」と言い切れる性質のものでもありません。金額に納得できないときは、その場で決めずに、まず親族と共有したうえで寺院と話し合う。それでも折り合わない場合は、消費者ホットライン「188」から最寄りの消費生活センターに相談できます。長いお付き合いのあるお寺だからこそ、感情的なやりとりにせず、経緯と希望を丁寧に伝えることが結果的に近道になります。
費用の内訳③行政手続きの費用と改葬先の費用

3つ目の内訳は、役所への手続きにかかるお金と、遺骨の新しい行き先にかかるお金です。前者はごくわずかで、後者が総額をいちばん大きく動かします。
行政手続きの費用はごく少額
株式会社はせがわは、行政手続きに必要な書類の手配料を数百円〜1,500円程度とし、必要な書類は埋蔵証明書(埋葬証明書)・受入証明書・改葬許可証の3つであると説明しています。
改葬許可の申請そのものは、無料としている自治体があります。横浜市は改葬許可証の手数料を「無料」と案内しており、八王子市も「改葬許可の申請手続きは、無料です」と明記しています。東京都府中市も申請は無料としています。ただし、墓地の管理者に埋蔵証明を書いてもらう際に手数料がかかることがあるため、そこは今のお墓の管理者に確認してください。
出典:横浜市「改葬(遺骨の移動)の手続き」/八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」(いずれも2026年8月時点)
総額を動かすのは改葬先の費用
取り出した遺骨をどこへ納めるかで、費用は大きく変わります。株式会社はせがわは、新しい納骨先の用意費用を5万円〜250万円程度としており、早見表で見た総額の幅は、ほぼこの項目の幅と言い換えられます。
公営の施設には、使用料を公開しているものがあります。たとえば東京都は「令和8年度 都立霊園の使用者を募集」の報道発表で、合葬埋蔵施設の使用料を遺骨1体あたり53,000円(八柱霊園・直接共同埋蔵)から131,000円(八柱霊園・一定期間後共同埋蔵)、樹林型合葬埋蔵施設を遺骨1体あたり95,000円(多磨霊園2号基)・112,000円(雑司ケ谷霊園)と公表しています。
出典:東京都「令和8年度 都立霊園の使用者を募集」(建設局・公益財団法人東京都公園協会)(2026年8月時点)
ただし公営霊園には申込資格と募集時期があり、同じ募集でも施設によって条件がまったく違います。上記の募集では合葬埋蔵施設の申込に都内3年以上の継続居住などが求められる一方、小平霊園の一般埋蔵施設・芝生埋蔵施設と八王子霊園の芝生埋蔵施設(申込区分1)は「一度も埋蔵(葬)、収蔵したことがない遺骨」であることが要件とされており、墓じまいで取り出した改葬遺骨では申し込めません。公営霊園を候補にする場合は、募集要項の申込資格を先に読んでください。
納骨先そのものの選び方や、永代供養と呼ばれる仕組みの中身については、それぞれ別の記事で整理しています。改葬先が決まらないと手続きが進まないため、費用の比較はそちらで済ませておくのがおすすめです。
墓じまいの手続きの流れ|改葬許可申請は今お墓がある市区町村へ
ここが墓じまいの本体にあたる部分です。遺骨を移すことは「改葬」として法律の手続きが定められており、順番を間違えると書類がそろわず止まってしまいます。

最初に押さえたいのが申請先の向きです。墓地、埋葬等に関する法律は、改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならないと定めたうえで、その許可について「改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする」と規定しています(第5条第1項・第2項)。引っ越し先の市区町村ではなく、今お墓があり遺骨が納められている市区町村に申請するということです。許可が下りると改葬許可証が交付されます(第8条)。
出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(2026年8月時点)
申請書には、墓地等の管理者が作成した埋蔵・収蔵の事実を証する書面を添えなければなりません(同法施行規則第2条第2項第1号)。墓地使用者以外の人が申請する場合は、墓地使用者の承諾書なども必要です。
出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」(2026年8月時点)
これを実際の段取りに落とすと、次の順番になります。
1親族と話し合い、費用の負担も含めて合意しておく
お墓は親族にとって共通のものです。あとから「聞いていない」とならないよう、墓じまいをする理由と改葬先の希望を早い段階で共有します。株式会社はせがわは、費用はお墓の承継者が負担する形が一般的としつつ、絶対的な決まりではなく兄弟や親族で分け合う例も多いと説明しています。
2今のお墓の管理者(寺院・霊園)に墓じまいの意向を伝える
寺院墓地なら離檀の相談を、霊園なら返還の条件を確認します。あわせて、工事を頼める石材店が指定されているかどうかもこの段階で聞いておきます。管理者との関係が最初でつまずくと、次の埋蔵証明が受けられず手続きが止まります。
3改葬先を決め、受入証明書などを用意する
改葬先の墓地・納骨堂と契約し、受入証明書や使用許可証を発行してもらいます。八王子市は改葬先の墓地の使用許可証や受入証明書などの写しを、府中市は使用承諾書の原本とコピーを求めています。必要書類は自治体によって違うため、申請先のページを先に確認してください。
4今の墓地の管理者から埋蔵証明を受ける
多くの自治体では、改葬許可申請書の所定の欄に墓地の管理者が埋蔵の事実を証明する形をとっています。横浜市もこの方式で、申請に必要なのは埋蔵証明を含む改葬許可申請書と、墓地使用者と申請者が異なる場合の委任状・承諾書としています。
5今お墓がある市区町村に改葬許可を申請し、改葬許可証を受け取る
そろえた書類を、遺骨が現にある地の市区町村の窓口に提出します。府中市は市役所総合窓口課と各文化センターで受け付けており、手数料は無料としています。ここで交付される改葬許可証が、このあとの納骨に必要になります。
6閉眼供養・遺骨の取り出し・墓石の撤去を行い、改葬先へ納骨する
法要を営んで遺骨を取り出し、石材店が墓石を撤去して区画を更地に戻します。改葬先では改葬許可証を提出して納骨します。法律上も、墓地や納骨堂の管理者は改葬許可証などを受理したあとでなければ埋蔵・収蔵をさせてはなりません(法第14条)。
なお、取り出した焼骨を自宅の庭など墓地以外の区域に埋めることは、同法第4条で禁じられています。手続きを飛ばして遺骨を動かすことはできないと考えておいてください。
出典:東京都府中市「改葬許可申請」(2026年8月時点)
墓じまいの業者はどう選ぶ?石材店・代行サービスで確認すること

墓じまいの依頼先には、工事を行う石材店と、書類の準備から工事までをまとめて引き受ける代行サービスがあります。どちらを選ぶにしても、確認する順番は同じです。
1そもそも石材店を選べるのかを最初に確認する
国民生活センターは、消費者トラブルFAQで「公営墓地以外では、提携している石材店を指定されることが一般的で、消費者が石材店を自由に選ぶことは難しいのが現状です」と説明しています。相見積もりを取る前に、指定の有無を墓地の管理者に確認してください。
2見積書に含まれる作業の範囲を書き出してもらう
解体・撤去・墓石の処分・遺骨の取り出し・整地・申請書の提出代行のうち、どこまでが金額に入っているかは事業者ごとに違います。同じ国民生活センターのFAQも「必ず事前に見積もりを取り、不明な点は確認し、納得したうえで工事を依頼しましょう」と呼びかけています。
3追加費用が発生する条件を先に聞いておく
重機が入らない、離島にある、墓石が複数ある、といった条件は各社が別途費用の対象として公開しています。現地を見る前の概算と、見てからの金額がどれくらい変わり得るのかを確認しておくと安心です。
4複数の事業者から見積もりを取って比べる
株式会社はせがわは、石材店によって価格設定が異なるため一社で決めずに比較することをすすめています。指定石材店がある場合でも、内訳の説明を受けたうえで判断するという姿勢は変わりません。
5仏具や実家の片付けも頼むなら、家庭ごみを運べる許可があるかを見る
墓じまいをきっかけに、仏具や実家の家財の整理まで一緒に頼みたくなることがあります。ここは石材店の工事とは別の話で、依頼先の許可が変わります。
出典:独立行政法人国民生活センター 消費者トラブルFAQ「【墓地】墓じまいをしたいが、管理会社から、指定の石材店以外での工事は認めないと言われ納得できない。」(2026年8月時点)
最後の項目は、この媒体がいちばん強くお伝えしたいところです。ご家庭から出る不用品を運び出して処分するには、その市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可、または市区町村からの委託が必要です。産業廃棄物収集運搬業の許可や、買取のための古物商許可を持っていても、家庭から出るごみを運ぶ根拠にはなりません。しかも許可は市区町村ごとに出されるため、隣の市で許可があっても、ご実家のある市では対象外ということが起こります。片付けを頼むときは、作業を行う住所の自治体名を挙げて許可の有無を確認し、自治体が公開している許可業者の一覧と照らし合わせてください。
なお、撤去した墓石そのものは工事に伴って出るもので、家庭ごみとは扱いが異なります。株式会社まごころ価格ドットコムも、撤去した墓石の処分は地域ごとのルールに則って適正に処分すると案内しており、この部分は工事を請け負う事業者の側で処理されます。仏壇本体や仏具の処分は、また別の判断になります。
墓じまいのお金がないときに検討できること

費用の話を調べるほど、金額の大きさに手が止まってしまう方もいらっしゃると思います。そんなときは、いったん「総額」から離れて、金額を決めている2つの要素に戻して考えてみてください。
- 改葬先の費用帯を先に決める:総額の幅のほとんどは納骨先で生まれます。5万円〜250万円程度という幅(株式会社はせがわ)のどこを選ぶかで、全体像が変わります
- 公営の施設も候補に入れる:東京都の合葬埋蔵施設のように、使用料を公開している公営の受け入れ先があります。ただし申込資格と募集時期があり、誰でもいつでも申し込めるわけではありません
- 区画の面積を確認する:撤去工事費は面積が基準です。区画が狭ければ、公開されている定額パックの下の区分に収まることもあります
- 負担する人を親族で話し合う:株式会社はせがわは、承継者が負担する形が一般的としたうえで、絶対的な決まりではなく、複数名で分け合う例も多いと説明しています
- 金額に納得できないときは相談する:請求の内容に疑問があるときは、消費者ホットライン「188」から最寄りの消費生活センターに相談できます
一方で、費用が用意できないからと管理料を払わないまま放置するのは避けたほうがよい選択です。未納が続いた場合の取り扱いは霊園ごとの使用規則で定められており、承継者が不在のまま時間が経つと、次の世代がより難しい状況で判断することになります。すぐに実行できなくても、管理者に事情を伝えて相談しておくことには意味があります。実家の整理と合わせて計画を立てたい場合は、こちらの記事も参考になります。
墓じまいで起きやすいトラブルと防ぎ方

金額そのものより、「聞いていなかった」「そういう約束だと思っていた」で揉めるほうが多いのが墓じまいです。先に知っておけば避けられるものを挙げます。
払った墓地の使用料は、原則として戻ってこない
国民生活センターは、消費者トラブルFAQで「墓地の契約は、墓地の購入ではなく区画を使用する権利を得る契約です。一般的には、自己都合による解約の場合は返金されません」と説明し、契約書や使用約款で解約に関する規定を確認するよう呼びかけています。墓じまいは「売って現金化する」ものではなく、費用をかけて権利を返すものだと理解しておくと、家族への説明もしやすくなります。
出典:独立行政法人国民生活センター 消費者トラブルFAQ「【墓地】未使用の墓地を解約したいが、支払い済みの代金は一切返金しないと言われ納得できない。」(2026年8月時点)
更地に戻して返すのが前提になっていることが多い
墓石を残したまま権利だけ返すことは、一般にはできません。撤去工事が必要なのはこのためで、どの状態にして返すかは墓地の使用規則が決めています。返還の条件と手続きは管理者によって異なるため、工事を発注する前に確認してください。
親族への相談は「決めたあと」ではなく「決める前」に
費用の負担者だけでなく、改葬先をどこにするかも、親族にとっては手を合わせに行く場所が変わる話です。遠方で通いにくくなる方が出ることもあります。見積もりを取る段階で候補を共有しておくと、あとからの反対を避けやすくなります。お墓に納めていた遺影や写真の扱いも、このタイミングで一緒に決めておくと二度手間になりません。
墓じまいの費用に関するよくある質問(FAQ)
※本記事の費用は、各社・各自治体が公開している2026年8月時点の情報をもとにした編集部まとめです。税表記は出典の記載に従っています。実際の金額はお墓の面積・立地・改葬先によって異なり、供養の作法や呼び方は宗派・地域・寺院によっても異なります。手続きの要否や必要書類は自治体により違いがあるため、最終的な判断は申請先の市区町村・墓地の管理者・依頼先にご確認ください。
まとめ
墓じまいの費用は、①墓石の撤去工事(1平方メートルあたり10万円〜15万円程度)②閉眼供養のお布施(3万円〜10万円程度)と離檀料(無料〜20万円程度)③行政手続き(数百円〜1,500円程度)と改葬先(5万円〜250万円程度)の3つに分かれ、総額は30万円〜300万円程度が目安です。幅を生んでいるのは主に改葬先の選び方なので、まず納骨先の費用帯を決めてから、区画の面積に応じた撤去工事の見積もりを取るのが進めやすい順序です。
手続きの要は、改葬許可を申請するのが「今お墓がある市区町村」だということ。埋蔵証明と受入証明をそろえ、改葬許可証の交付を受けてから納骨する、という流れを外さなければ大きくつまずくことはありません。離檀料や指定石材店のように、金額の基準が定まっていない部分については、見積もりと話し合いを丁寧に重ねてください。判断に迷う点は、菩提寺や霊園の管理者に確認するのがいちばん確実です。