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樹木葬とは?合葬・個別・家族の種類と費用、墓地の許可との関係

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お墓のパンフレットやニュースで「樹木葬」という言葉を見かけます。墓石の代わりに樹木を墓標にするお墓——そこまでは分かっても、では普通のお墓と法律上どう違うのか、いくらかかるのか、あとから遺骨を取り出せるのかとなると、調べるほど説明がばらついていきます。

先にお伝えします。樹木葬は、墓地として都道府県知事等の許可を受けた区域の中に置かれた「墳墓」のひとつです。「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、墓埋法)は第2条第5項で墓地を「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。」と定義しています。樹木葬もこの枠の中にあります。逆にいえば、許可を受けていない山林や自宅の庭に焼骨を埋めることは、樹木葬と呼び替えても認められません。

この記事では、①「樹木葬」は法律に出てくる言葉なのか ②自分の山や庭ではだめなのか ③型は何種類あるのか ④費用は何で決まるのか ⑤承継者がいなくても申し込めるのか ⑥今あるお墓から移せるのか を、e-Gov法令検索の条文、厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」、前橋市・千葉市・いわき市・四万十市の公表資料、厚生労働省「衛生行政報告例」の統計で1つずつ確かめました。当メディア編集部が、公開されている資料を調べて整理しています(※2026年8月時点)。

なお、この記事には民間霊園・寺院墓地の実名の比較やランキングを載せません。掲載するには経営許可と経営主体の確認が要るためで、実額として挙げるのは自治体が公表している使用料に限ります。宗派ごとの作法についても、編集部としての正解は書きません。

読者
樹木葬なら自然に還れると聞きました。うちの庭にも大きな木があるので、そこではだめなのでしょうか。
編集部
そこがいちばん大事なところです。焼骨を土に埋める(埋蔵する)行為は、法律で「墓地」として許可を受けた区域でしかできません。樹木葬も例外ではないので、まず条文から順に見ていきましょう。

【一言でいうと】樹木葬とは?墓石の代わりに樹木を墓標にした「墓地」のこと

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標として、その根元や周囲に焼骨を埋蔵するお墓のことです。呼び方は新しくても、法律上の位置づけは従来のお墓と同じ「墳墓」で、置ける場所は「墓地」として許可を受けた区域に限られます。「自然に還る」という説明は葬り方のイメージであって、法律の枠が外れるという意味ではありません。

樹木葬は墓地として許可を受けた区域の中にあるの図解
当メディア編集部作成

まず、この記事で確かめたことを1枚の表にまとめます。値ごとに、どの資料のどこに書いてあるかを対応させました(※2026年8月時点)。

知りたいこと 資料が書いていること 出典
法律上の位置づけ 墳墓とは「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。」。樹木葬の区画もこれにあたる e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第2条第4項
置ける場所 墓地とは「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。」 同 第2条第5項
墓地以外での埋蔵 「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」 同 第4条第1項
「樹木葬」という語そのもの 墓埋法・同施行規則・厚生省の墓地経営・管理の指針のいずれにも出てこない(編集部が3資料を全文検索) e-Gov法令検索(法・施行規則)/厚生省生活衛生局長通知 生衛発第1764号 別添1
型(区画のつくり) 最初から合葬する型/一定期間だけ個別に埋蔵してから合葬する型/複数体を1つの個別区画に埋蔵する型が、公営にある 千葉市(合葬式樹木葬墓地)/前橋市(嶺公園樹林墓地A型地・B型地)
使用料の実例 1体6万円(粉状焼骨は1体4万円)/1体につき12万円/230,000円・350,000円。いずれも税表記なし 千葉市(合葬式樹木葬墓地)/いわき市(樹木葬型合葬墓地)/前橋市(嶺公園樹林墓地A型地・B型地)
埋蔵後に取り出せるか 前橋市は「埋蔵した遺骨の返還はできません。」と明記。ほかは施設ごとに規則を確認 前橋市「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」お知らせ(4)

この記事は、この表の1行ずつを条文と自治体の公表資料で確かめていく順番で進みます。

「樹木葬」は法律に出てくる言葉なのか?

書類の整理・保管の様子
写真はイメージです

結論から書くと、出てきません。編集部は、e-Gov法令検索から「墓地、埋葬等に関する法律」の全文(第1条〜第22条と附則)、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」の全文、そして厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日 生衛発第1764号)別添1の全文をテキストにして検索しました。「樹木」「樹林」という語は、この3つのどこにも1件もありませんでした。

代わりに法律が定義しているのは、次の2つです。第2条第4項は墳墓を「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。」とし、第2条第5項は墓地を「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。」としています。つまり、法律が見ているのは「木か石か」ではなく、焼骨を埋蔵する施設かどうか/その場所が許可を受けた区域かどうかの2点だけです。樹木葬は、この定義の中に置かれた墳墓の呼び名にすぎません。

この「区域」という単位は、統計にもそのまま現れます。厚生労働省「衛生行政報告例」令和5年度(2023年度)末現在の第5表によると、全国の墓地は875,200区域で、内訳は個人が720,191、宗教法人が58,554、地方公共団体が29,870、公益社団・財団法人が431、その他が66,154です。同じ表で納骨堂は13,767施設と数えられています。墓地だけが「施設」ではなく「区域」で数えられているのは、第2条第5項の定義に沿った数え方だからです。

出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第2条第4項・第5項/同「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」/厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(生衛発第1764号)別添1/厚生労働省「衛生行政報告例」令和5年度 第5表 墓地・火葬場・納骨堂数(e-Stat)(いずれも2026年8月時点)

言い換えると、パンフレットに「樹木葬」と書いてあること自体は、期間や承継や合葬のしかたについて何も保証しません。判断のよりどころになるのは、その霊園が受けている経営許可と、使用規則に書かれた条件のほうです。

自分の山や庭に樹木葬はできるのか?

庭の手入れをする様子
写真はイメージです

できません。墓埋法第4条第1項は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」と定めています。自分の土地であるかどうかは、条文の判断材料になっていません。問われているのは、その場所が墓地として許可を受けた区域かどうかだけです。

罰則の条文が2つに分かれている点も、あわせて押さえておくと誤解が減ります。ネット上では、墓地以外に埋めた場合の罰則を身体を拘束する刑まで含めて一律に紹介する説明も見かけますが、条文の当てはまりは次のとおりです。第4条に違反した者にかかるのは第21条第1号で、「二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」です。一方、許可を受けずに墓地を経営した者は第10条違反として第20条第1号にかかり、こちらが「六月以下の拘禁刑又は二万円以下の罰金に処する。」です。拘禁刑が定められているのは、埋めた側ではなく無許可で経営した側の条文です。もちろん、罰の軽重は「やってよい」という話とは別です。

では個人の土地に墓地はいっさい作れないのかというと、例外の枠自体はあります。四万十市は個人墓地について、「個人墓地は、山間へき地等の人里離れた場所で墓地が全くないなどの事情があれば、墓参等が困難な山中等にある墓地を個人の土地に設置する場合で、近隣に墓埋法に定める墓地の利用が困難な場合に限り墓地の個人経営を例外的に許可している状況です。」と説明し、あわせて市の都市計画区域(用途地域)では許可できないとしています。同市はさらに「現在使用している墓地・納骨堂から遺骨を引き上げ、新たな墓地へ納骨する場合は、改めて、改葬許可書が必要です。」とも書いています。これはあくまで四万十市の運用であって、他の市区町村に当てはめられるものではありません。

なお散骨については、墓埋法の全文を検索しても「散骨」という語は出てきませんでした。焼骨を土に埋める埋蔵とは別の行為として扱われているためで、この記事では扱いません。

出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第4条第1項・第10条第1項・第20条第1号・第21条第1号/四万十市「個人墓地を設置しようとされる方へ」墓地の経営許可手続(個人)について(2025年9月17日更新)(いずれも2026年8月時点)

この記事は法令の解釈についての助言ではありません。個別に埋蔵できるかどうかの判断は、その土地を管轄する市区町村の墓地行政の窓口にご確認ください。

樹木葬にはどんな種類(型)があるのか?

寺社・供養にまつわる情景
写真はイメージです

「里山型」「公園型」「ガーデン型」という分け方をよく見かけますが、これは景観の分類です。あとから困りやすいのは景観ではなく、骨壺のまま個別に置かれる期間があるのか、いつ合葬されるのかのほうです。ここでは公営の3例を、その軸で並べます。

型 個別に置かれる期間 使用料(税表記なし) 公表されている実例 出典
最初から合葬する型 なし(共同カロートに埋蔵) 1体6万円(粉状焼骨は1体4万円)/墓地管理料は不要 千葉市平和公園 合葬式樹木葬墓地 千葉市「千葉市平和公園合葬式樹木葬墓地」合葬式樹木葬墓地の特色・墓地使用料(金額・管理料)
一定期間だけ個別に埋蔵してから合葬する型 20年(1回に限り10年の更新あり) A型地(個別埋蔵1から2体用)230,000円/更新50,000円 前橋市 嶺公園樹林墓地A型地 前橋市「令和8年度 嶺公園樹林墓地の募集について」募集区分の表(使用料・埋蔵区分)/同「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」5(4)(期間・更新料)
複数体を1つの個別区画に埋蔵する型 20年(1回に限り10年の更新あり) B型地(個別埋蔵3体用)350,000円/更新80,000円 前橋市 嶺公園樹林墓地B型地 前橋市「令和8年度 嶺公園樹林墓地の募集について」募集区分の表(使用料・埋蔵区分)/同「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」5(4)(更新料)
合葬する型(他市の例) なし 1体につき12万円。同ページの管理料欄には樹木葬型合葬墓地の記載なし いわき市 東田墓園(樹木葬型合葬墓地・収蔵可能800体)/南白土墓園(同2,500体) いわき市「いわき市の公営墓地」東田墓園・南白土墓園の合葬墓地/使用料/管理料の各欄

民間霊園では「家族用」「代々使える樹木葬」といった案内も見かけますが、条件は霊園ごとに違います。今回確認した範囲では、前橋市は「墓地の承継を必要としない永代供養型の墓地」、千葉市は「承継の心配がなく」と、どちらも承継を前提にしない設計だと書いていました。いわき市のページには承継についての記載がありません(同ページを全文検索して確認しました)。寺院墓地や民間霊園がどうなっているかは、その霊園の使用規則で確認してください。

合葬型|最初からほかの方と一緒の共同カロートに埋蔵する

千葉市は平和公園の合葬式樹木葬墓地について、「樹木を墓標の代わりとして、その下の共同カロートに多くの焼骨を埋蔵する合葬式の墓地です。」と説明しています。合葬式墓地そのものについては「使用者が定められた区画内を使用する従来の墓地と異なり、承継の心配がなく、一つの大きなお墓に多くのご遺骨を一緒に埋蔵する新形態の墓地です。」としています。

費用は「1体6万円(粉状焼骨の場合は1体4万円)」で、千葉市は「※墓地管理料は不要です。」とも書いています。粉状にするかどうかで金額が変わる設計で、加工については千葉市が「※粉状焼骨への加工は施設職員が行います。」と注記しています。税込か税抜かの記載は、同ページにはありません。

出典:千葉市「千葉市平和公園合葬式樹木葬墓地」(合葬式樹木葬墓地の特色/合葬式墓地とは/墓地使用料の各節・2026年6月23日更新)(2026年8月時点)

個別に安置してから合葬される型|前橋市は20年+1回10年の更新

前橋市は嶺公園樹林墓地を「墓石の代わりにシンボルツリーを配置し、芝生の下に埋蔵を行う、景観に配慮したお墓です。」と紹介し、「個別埋蔵施設に使用許可を受けた日から20年間骨壺のまま埋蔵され、その後、遺骨を合同埋蔵施設に移して合葬する、新しい形式のお墓です。」と説明しています。骨壺のまま置かれる期間が20年ある、という点が合葬型との大きな違いです。

この20年は、必ず来る期限というわけでもありません。使用のしおりの「お知らせ」欄は「個別埋蔵施設の使用期間は、使用許可を受けた日から起算し、20年です。ただし、1回に限り、10年の更新を行うことができます。」と書いています。更新の理由についても、しおりは「早く(年齢が若いうちに)申し込みをされた方などは、個別埋蔵される期間が短くなる(三回忌を個別埋蔵施設で迎えられないなど)ことがあるため、ご家族の方などが供養する期間を考慮し、墓地使用者及び埋蔵予定者が個別埋蔵施設の使用期間を10年間延長(1回限り)することができます。」と説明しています。「◯年で必ず合葬される」と一般化せず、更新の可否まで規則で確かめる必要があるのは、このためです。

期間が満了したあとの扱いも、しおりが書いています。「個別埋蔵期間が終了した遺骨は、市が骨壺から納骨袋に移し、合同埋蔵施設に合葬します。」とあり、前橋市は「埋蔵した遺骨の返還はできません。」とも断っています。

出典:前橋市「令和8年度 嶺公園樹林墓地の募集について」嶺公園樹林墓地とは・募集区分の表(2026年4月1日更新)/前橋市「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」(令和8年4月1日発行・PDF)5(4) 個別埋蔵施設の使用期間の延長・お知らせ欄(2026年8月時点)

「家族用」と案内される型|公営では複数体の個別埋蔵として設計されている

前橋市の募集区分は、A型地が「個別埋蔵1から2体用」で230,000円、B型地が「個別埋蔵3体用」で350,000円です。夫婦や親子で1区画を使う想定はここに現れています。ただし承継を前提にした区画ではなく、市は樹林墓地全体を「墓地の承継を必要としない永代供養型の墓地であり、公営では県内初の樹林墓地です。」と説明しています。

更新料も体数で分かれており、しおりは「使用料 A型地(1~2体用)の更新:50,000円 B型地(3体用)の更新:80,000円」と定めています。「家族で入れる」ことと「子や孫に引き継げる」ことは別の話です。両方を求める場合は、区画の体数と承継の可否を分けて確認してください。

出典:前橋市「令和8年度 嶺公園樹林墓地の募集について」嶺公園樹林墓地とは・募集区分の表/同「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」5(4)(いずれも2026年8月時点)

樹木葬の費用は何で決まるのか?

年配のご夫婦の暮らしの様子
写真はイメージです

「樹木葬の相場は◯万円」という書き方をよく見ますが、条件のない相場は比べる役に立ちません。ここでは金額を並べる前に、料金がどんな層でできているかを、国の指針の分け方で見ておきます。

厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(生衛発第1764号)別添1は、墓地の料金を大きく2つに整理しています。ひとつは使用料と管理料を組み合わせる「使用料・管理料制」で、管理料については「墓地の共用部分についての支出を補填するために必要な料金であり、年単位等一定の期間について徴収されることが多いようである。」と説明しています。もうひとつが「永代供養料制」です。指針は「経営に必要な料金を徴収すること自体は問題ないものであり、要するに料金の使途や趣旨について十分利用者が理解し、納得できるようにすることが重要である。」としています。

そして費用と直結するのが、使用期限の型です。指針は使用期限を①無期限制 ②管理料継続制 ③有期限制 ④有期限更新制の4つに整理しています。②は「使用期限の定めはないが、管理料が支払われる間は権利が継続し、支払われなくなって例えば3年経過した場合は、使用権が消滅し、納骨堂や合葬墓に改葬するなどの定めがあるもの。」、③は「30年などの長期の使用期限の定めがあり、使用期限経過後は納骨堂や合葬墓に改葬するなどの定めがあるもの。」、④は「③に加え、使用期限経過後は、利用者が明らかで、管理料が納められている場合には、利用者の申し出があれば、必ず更新するという条件を付けたもの。」です。

ここが今回いちばん確かめたかった点です。指針は「永代使用」という表示について、「実際は、②や④であることもあり、具体的な内容が正しく利用者に理解されることが必要である。」と書いています。国の指針そのものが、「永代」という表示と契約の中身がずれうることに注意を促しているわけです。前橋市の20年+1回10年という設計を指針の分類に当てはめれば、期限があり更新の枠もある型にあたります。

出典:厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日 生衛発第1764号)別添1 I-2(6) 墓地使用契約(料金に関する規定/使用期限に関する規定の各節)(2026年8月時点)

実額でも、同じ市の中で一般の区画墓地と比べると差がはっきりします。いわき市の公表資料では、東田墓園の第1種規格墳墓が使用料23万円で管理料が年額2,640円、第2種規格墳墓が19万円で年額1,320円。これに対し樹木葬型合葬墓地は「1体につき12万円」で、同ページの管理料欄には樹木葬型合葬墓地についての記載がありません(同ページを全文検索して確認しました)。千葉市も合葬式樹木葬墓地について「※墓地管理料は不要です。」としています。年ごとの管理料が続くかどうかは、総額を大きく動かす要素です。

一方で、期間の更新がある型では更新料が別に必要です。前橋市はA型地の更新を50,000円、B型地の更新を80,000円としています。前橋市・千葉市・いわき市のいずれのページにも税込・税抜の記載はありませんでした(税表記なし)。また、ここで挙げた金額は自治体が公表している使用料であって、民間霊園の価格帯とは前提が異なります(※2026年8月時点)。

出典:いわき市「いわき市の公営墓地」東田墓園・南白土墓園の使用料/管理料の各欄(2024年6月21日登録)/千葉市「千葉市平和公園合葬式樹木葬墓地」墓地使用料/前橋市「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」5(4)(いずれも2026年8月時点)

承継者がいなくても申し込めるのか?条件はあるのか?

手を取り合う高齢の家族
写真はイメージです

「承継者がいなくても入れる」は樹木葬の説明で最もよく見る一文ですが、公営の樹木葬では順序が逆になっている例があります。承継者がいないことが、申し込みの条件そのものになっているのです。

前橋市の嶺公園樹林墓地は、共通条件として「本市の住民であること」「墓地の承継が困難な方」「使用料等を市が指定する期日までに納付すること」「申込者本人が必ず使用すること」の4つを挙げています。「墓地の承継が困難な方」の意味も市が定義していて、「祭祀を承継する者がいない、又はいなくなる見込みである方のことです。」と説明しています。

そのうえで、市は申し込めない理由まで書いています。「お墓の管理が面倒」「普通墓地を購入するより安い」「子が独身」などの理由では申込できません、というのが市の記載です。費用が安いことを動機に選ぶ、という前提が、公営の要件とは噛み合っていない例があるということです。募集区分も「遺骨枠」「生前枠」「遺骨生前枠」に分かれ、生前枠では申込者・埋蔵予定者がともに満65歳以上であることなどが個別条件になっています。

千葉市は合葬式墓地について「使用者が定められた区画内を使用する従来の墓地と異なり、承継の心配がなく、一つの大きなお墓に多くのご遺骨を一緒に埋蔵する新形態の墓地です。」と説明しており、承継を前提にしない点は共通しています。宗旨・宗派については、いわき市が市営墓園全体について「宗旨・宗派にとらわれず一定の条件を満たす方が使用することができます。」としています。これはいわき市の公営墓園についての記載で、寺院墓地や民間霊園に当てはめられるものではありません。宗派の扱いや法要の作法は、霊園・寺院ごとに違います。

出典:前橋市「令和8年度 嶺公園樹林墓地の募集について」申込資格・募集数/「墓地の承継が困難な方」とは?の各節/千葉市「千葉市平和公園合葬式樹木葬墓地」合葬式墓地とは/いわき市「いわき市の公営墓地」冒頭の説明(いずれも2026年8月時点)

今あるお墓から樹木葬に移すことはできるのか?

書類を整理・記入する様子
写真はイメージです

できます。理由は、樹木葬の区画が墳墓だからです。墓埋法第2条第3項は改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。」と定義しています。条文が移し先として挙げているのは墳墓と納骨堂の2つで、樹木葬の区画は前者にあたります。

手続き面では、第14条第1項が「墓地の管理者は、第八条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。」と定めています。樹木葬の霊園であっても、改葬許可証なしで納めることはできないということです。改葬そのものは珍しい手続きではなく、「衛生行政報告例」令和5年度の第6表では全国の改葬が166,886件(うち無縁墳墓等の改葬が3,651件)と集計されています。ちなみに同じ表の埋葬(土葬)は460件、火葬は1,621,548件です。

樹木葬に特有なのは、受け入れ側の細かな条件です。前橋市は樹林墓地について「樹林墓地は火葬された遺骨のみ埋蔵します。」としたうえで、個別埋蔵施設に納める骨壺を「骨壺は陶器製の6寸から8寸までのサイズとします。」と決めています。既存墓地からの改葬で合同埋蔵施設を選ぶ場合は扱いが変わり、市は「既存墓地からの改葬申込で合同埋蔵施設を選択した場合は、市がお渡しする納骨袋に入れ、お持ちください。」と求めています。古いお墓から取り出した骨壺がそのまま入るとは限らない、というのが実務上の注意点です。四万十市も、既存の墓地・納骨堂から遺骨を引き上げて新たな墓地へ納骨する場合は改葬許可書が必要だと案内しています。

出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第2条第3項・第14条第1項/厚生労働省「衛生行政報告例」令和5年度 第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数(e-Stat)/前橋市「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」4(2) 骨壺の形状(いずれも2026年8月時点)

墓じまいの費用の内訳と、改葬許可申請の実際の進め方は、別の記事で自治体の案内をもとに整理しています。

また、お墓を移すタイミングで実家の片づけや遺品の整理が同時に出てくることもあります。作業を業者に頼むかどうかを検討する場合は、複数社の見積もりを比べたうえで、許可や作業範囲を書面で確認してください。

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契約する前に確認しておきたいことは?

花瓶に生けた白い花
写真はイメージです

ここまで見てきたことを、見学や資料請求のときに確かめる項目として並べます。パンフレットの言葉ではなく、使用規則・使用のしおり・契約書に書かれている条件で聞くのが確実です。

1墓地としての経営許可を受けた区域か、経営主体は誰か

樹木葬であっても、焼骨を埋蔵できるのは墓地として許可を受けた区域だけです(墓埋法第2条第5項・第4条第1項)。経営許可の年月日と経営主体を確認します。厚生省の指針は「墓地には永続性、非営利性が求められており、この理念に沿った安定的な経営が、利用者の最も切実な要望であろう。」として、経営主体は地方公共団体が原則で、これによりがたい場合でも宗教法人・公益法人等に限るという考え方を示しています。

2使用期限はどの型か(無期限・管理料継続・有期限・有期限更新)

指針の4分類のどれに当たるかを聞くと、話が具体的になります。「永代」という言葉だけでは判断できません。指針自身が、永代使用という表示でも実際は管理料継続制や有期限更新制であることがあると注意を促しています。

3更新できるのか、更新料はいくらか

期限がある型では、更新の可否と金額が総額を左右します。前橋市の例では、20年の個別埋蔵期間に対して1回限り10年の更新ができ、更新料はA型地50,000円・B型地80,000円です(税表記なし)。

4合葬に移るのはいつか、そのとき骨壺はどうなるか

前橋市は「個別埋蔵期間が終了した遺骨は、市が骨壺から納骨袋に移し、合同埋蔵施設に合葬します。」としています。骨壺のまま移るのか、袋に移し替えるのかは施設ごとに違うため、書面での確認をおすすめします。

5埋蔵に立ち会えるか、埋蔵場所を教えてもらえるか

前橋市の使用のしおりには「なお、埋蔵時に立ち会っていただくことはできません。」と書かれており、埋蔵後に「埋蔵完了通知書」で埋蔵日とおおよその場所が知らされる運用になっています。お参りのしかたの希望がある場合は、ここを先に確認しておくと後悔が減ります。

6解約・返還したときの扱いと、遺骨の返還の可否

前橋市は未使用(未納骨)の場合に限り返還の届出ができるとし、「※ただし、使用許可を受けた日から3年以内に未使用(未納骨)の墓地を返還した時は、納入済使用料の2分の1を還付いたします。」としています。一方で前橋市は「埋蔵した遺骨の返還はできません。」とも書いています。遺骨を戻せるかどうかは、あとから変更できない条件です。

出典:厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」別添1 I-1(2)・I-2(2)・I-2(6)/前橋市「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」4(1)・5(3)・5(4)・お知らせ欄/e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第2条第5項・第4条第1項(いずれも2026年8月時点)

遺骨の行き先には樹木葬以外の選択肢もあります。全体の見取り図から考えたい場合は、こちらもあわせてご覧ください。

樹木葬についてよくある質問(FAQ)

Q「永代使用料」と「永代供養料」は同じものですか?

A厚生省の指針は、この2つを別のものとして整理しています。指針によれば、使用料は当該墓地の使用権を取得するために必要な料金で、永代使用料という名称で徴収されることも多い料金です。これに対し永代供養料制を、指針は将来にわたって墓の管理を経営者に委ねる場合の料金の型として、使用料・管理料制とは別に挙げています。同じ「永代」でも、指すものが違うということです。名称ではなく、何の対価としていつまで何をしてもらえるのかを、契約書で確認してください。

Q樹木葬は宗旨・宗派を問われませんか?

A施設によって違います。いわき市は市営墓園について「宗旨・宗派にとらわれず一定の条件を満たす方が使用することができます。」としていますが、これは同市の公営墓園についての記載です。寺院が経営する墓地では檀家であることや宗派が条件になる場合があり、編集部として一般化はできません。法要の作法についても霊園・寺院ごとに違いますので、その霊園の管理者にお尋ねください。

Q遺骨は粉状にしないと入れないのですか?

A施設の設計によります。千葉市の合葬式樹木葬墓地では、使用料が「1体6万円(粉状焼骨の場合は1体4万円)」と分かれており、粉状にするかどうかを選ぶ形になっています。加工について千葉市は「※粉状焼骨への加工は施設職員が行います。」と注記しています。一方、前橋市の個別埋蔵施設は骨壺のまま埋蔵する方式で、骨壺は陶器製の6寸から8寸までです。粉骨が前提かどうかは、申込みのしおりで確認してください。

Q生前に申し込むことはできますか?

Aできる施設があります。前橋市の嶺公園樹林墓地には「生前枠」「遺骨生前枠」という募集区分があり、市は申込者と埋蔵予定者がともに存命で満65歳以上であること、または障害等で普通墓地を設置・管理することができないことを個別条件としています。ただし、生前に早く申し込むと個別埋蔵の期間が先に進んでしまうという論点もあり、市は使用期間を10年延長できる仕組みを設けています。年齢要件や更新の有無は施設ごとに違いますので、募集案内で確認してください。

FAQの出典:厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」別添1 I-2(6) 料金に関する規定(Q1)/いわき市「いわき市の公営墓地」冒頭の説明(Q2)/千葉市「千葉市平和公園合葬式樹木葬墓地」墓地使用料・前橋市「嶺公園樹林墓地 使用のしおり」4(2)(Q3)/前橋市「令和8年度 嶺公園樹林墓地の募集について」申込資格・募集数(Q4)(いずれも2026年8月時点)

※この記事は、墓地、埋葬等に関する法律および同施行規則の条文、厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」、前橋市・千葉市・いわき市・四万十市が公表している資料、厚生労働省「衛生行政報告例」をもとに、2026年8月時点で確認できた内容を整理したものです。法令の解釈や個別の手続きについての助言ではありません。使用料・使用期間・申込資格・宗旨宗派の扱いは霊園ごとに異なり、変更されることもあります。実際のお申し込みにあたっては、必ずその霊園の使用規則・募集案内と、お住まいの市区町村の墓地行政の窓口でご確認ください。

まとめ|樹木葬は「言葉」ではなく「使用規則」で選ぶ

樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標にしたお墓のことですが、法律から見れば「墓地として許可を受けた区域の中にある墳墓」です。墓埋法にも施行規則にも厚生省の指針にも「樹木葬」という語は出てこず、パンフレットの言葉そのものは、期間も承継も合葬のしかたも保証しません。

比べるべきなのは、①骨壺のまま個別に置かれる期間があるか ②いつ合葬されるか ③更新できるか、いくらか ④年ごとの管理料があるか ⑤申込資格に条件はあるか ⑥埋蔵した遺骨を戻せるか、の6点です。公営の例では、千葉市が最初から合葬する型で1体6万円(粉状焼骨は4万円)・管理料不要、前橋市が20年の個別埋蔵+1回10年の更新という型でA型地230,000円・B型地350,000円(いずれも税表記なし・※2026年8月時点)と、設計が大きく違いました。

迷ったときは、その霊園の使用規則と募集案内を取り寄せて、この6点を1つずつ照らし合わせてみてください。判断がつかない点は、霊園の管理者と、お住まいの市区町村の墓地行政の窓口に確認するのが確実です。

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