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フローリングのカビの落とし方|無垢と複合で使える薬剤が違う

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寝室のマットレスをどけたら床が黒い。北側の部屋の窓ぎわだけ、拭いても拭いても同じ場所にまた出てくる。フローリングのカビは、掃除の腕とは関係なく「同じ場所で」繰り返すのが特徴です。

先にお伝えします。フローリングのカビでまず決めるのは、何をかけるかではなく、自分の床が無垢(オイル塗装)なのか複合フローリング(ウレタン塗装)なのかです。ネットで定番になっている消毒用エタノールは、床材メーカーによって、目立たない場所で試すよう案内されている床と、はっきり使用しないよう書かれている床に分かれます。同じメーカーの中でさえ、書いてある場所によって扱いが違っていました。

この記事では、①そのカビが表面のものか下から来ているのか ②結露はなぜ床で起きるのか ③床下換気口がない家は違法なのか ④無垢と複合で使える薬剤がどう変わるのか を、床材メーカー5社と業界団体1団体のお手入れ資料、建築基準法施行令、文部科学省・東京都・国民生活センターの資料に当たって確かめました。床材ごとの可否は編集部が各社の記載から並べ直しています(※2026年8月時点)。

なお、洗剤の希釈倍率やつけ置き時間などの分量は書きません。その数字は製品のラベルと床の取扱説明書にしか正解がないためです。カビと体調の関係も扱いません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。

読者
寝室のフローリングが黒くなっていて、消毒用エタノールで拭けばいいと書いてあったので試したんですが、あまり変わりませんでした。カビ取り剤を使ってもいいですか。
編集部
その前に1つだけ確かめてほしいことがあります。お住まいの床が無垢のオイル塗装だと、エタノールも洗剤も「使用しないでください」と書いているメーカーがあります。カビ取り剤にいたっては、こぼしたらすぐ拭き取るものとして扱われています。まず床の種類から決めましょう。

【一言でいうと】フローリングのカビは「何をかけるか」より先に床材と塗装で決まる

フローリングのカビは床材と塗装で使える薬剤が変わるの図解
当メディア編集部作成

先に答えをまとめます。床材メーカーと業界団体が共通して示している基本はから拭きと、固く絞った布か住居用中性洗剤までで、その先の「アルコールを使ってよいか」「塩素系を使ってよいか」は、床材と塗装、ワックスの有無で分かれます。カビ取り剤(塩素系漂白剤)を使う手順を示している資料は、今回確認した範囲では1件もありませんでした。

そして分かれ目になるのが、表面に塗膜があるかどうかです。無垢のオイル塗装には塗膜がなく、水も薬剤も木に染み込みます。まずは下の表で、自分の床のメーカーの記載を確認してください(※2026年8月時点)。

床材・塗装 基本のお手入れ アルコール(エタノール)の扱い 塩素系・強アルカリ性の扱い 出典
複合フローリング(DAIKENの記載) から拭き→固く絞ったぞうきん→住宅用洗剤(中性) 汚れがひどい場合はアルコール(エタノール)をふくませた布で拭く。ただし消毒目的の薬品は一般床材に使わない 強アルカリ性のクリーナーは使わない。漂白剤を使う場合は業者に相談 お手入れ手順とアルコール=DAIKEN FAQ No.222「床材にひどい汚れがついた時のお手入れ方法は?」/消毒目的の薬品=DAIKEN FAQ No.3189「床材のお手入れ方法一覧」②消毒
ワックスをかけた複合フローリング(朝日ウッドテックの記載) 掃除機・乾拭き・水拭き・床用クリーナーが可 アルコール系の除菌洗剤はワックス成分と反応して白濁する恐れ 除菌洗剤としては次亜塩素酸ナトリウム配合のものを挙げるが、使用可能としていない床では染みの恐れ 塗装別の可否=朝日ウッドテック「フローリングの正しいお掃除方法 ~毎日の基本から黒ずみまで~」フローリングの種類とお手入れの道具/アルコールと次亜塩素酸=同社「【変色させない】正しいフローリング除菌・ウイルス除去の方法・洗剤選び」
無垢・オイル塗装(住友林業クレストの記載) から拭きで十分。汚れがひどい場合は固く絞った雑巾 消毒用エタノールは落書きを落とす方法として挙がるが、オイル塗装仕上げのフロアには使用しない 漂白剤・カビ取り剤は、こぼすと変色する可能性がある液体として並べられている オイル塗装の手入れ=住友林業クレスト「オイル塗装仕上げフロアのお取り扱い」オイル塗装仕上げのお手入れ/エタノールとカビ取り剤=同社「日常的にご注意いただくこと」その他の液体類もすぐに拭き取る・落書きにはエタノールかベンジン
無垢・オイル塗装(朝日ウッドテックの記載) 掃除機と乾拭きモップのみ。水拭き・洗剤・化学モップ・スチームはいずれも不可 今回確認した資料に記載なし 今回確認した資料に記載なし 朝日ウッドテック「フローリングの正しいお掃除方法 ~毎日の基本から黒ずみまで~」フローリングの種類とお手入れの道具の表
木質床材(パナソニックの記載) から拭きが基本。落ちない汚れは固く絞ったぞうきん、それでも落ちなければ水に少量の中性洗剤 今回確認した資料に記載なし 住居用中性洗剤以外の洗剤は使用しない(アルカリ性・酸性は変色の場合あり) パナソニック「床のお掃除」ひどい汚れには固く絞ったぞうきんなどで拭き取りを
フローリング・階段等の木製品(LIXILの記載) 乾いた布でから拭き。汚れがひどいときは固く絞った柔らかい布、汚れに応じて中性洗剤 エタノールはクレヨン・マジックを落とす方法として挙がる カビ取り剤は、付着したまま放置すると変色のおそれがある汚れとして並べられている LIXIL「フローリング・階段等の木製品のお手入れ・お掃除方法」お手入れ方法/お手入れのご注意
木質フローリング全般(日本複合・防音床材工業会の記載) 乾いた雑巾やモップ。ひどい汚れは固く絞った雑巾か住居用洗剤(中性) 今回確認した資料に記載なし 住居用洗剤(中性)以外は使用しない 日本複合・防音床材工業会(JAFMA)「毎日のお手入れ方法」日常のお手入れについて・ひどい汚れには・・・

出典欄は、その行の値ごとにどの資料の記載かを分けています。同じ「フローリング」でも、メーカーが用意している答えがそろっていないことが読み取れるはずです。

そのカビは表面についているのか、下から来ているのか?

モップで床を掃除する様子
写真はイメージです

薬剤を選ぶ前に、切り分けておきたいことがあります。拭けば消えるカビと、拭いても同じ場所に戻ってくるカビは、やることがまったく違います。後者は床の表面ではなく、床の下や部屋の環境に水分の供給源があるからです。

大建工業(DAIKEN)は床のカビについて、「床にカビが発生する原因の大部分を占めるのは水分です。」と書いています。そのうえで、水分の入り口としてこぼした飲み物や梅雨時の湿度上昇と並べて、暖房器具の使用で生じる結露を挙げています(DAIKEN「床にカビが発生!原因とカビ取りの方法 賃貸住宅の床にカビができたらどうする?」床にカビが発生する原因と予防法は/2024年7月2日更新・2026年8月時点確認)。

同じページは、床材の側の事情にも触れています。「一般的なフローリング材の表面は水分の吸収を防ぐようにコーティングされているものが多く、無垢材などの自然素材と違って調湿機能は備わっていません。」という説明です。塗膜のある床は水を吸わないぶん、こぼれた水も結露した水も表面にとどまり続けます。吸わないことは、乾きやすいことを意味しません。

敷きっぱなしの寝具が、なぜカビの原因側に回るのか

床に布団やマットレスを直に敷いている場合、DAIKENは「フローリングと人の体温によって生まれる温度差で結露が発生し、皮脂や汗なども含んだ寝具はカビの栄養源となり、カビが繁殖する原因になってしまいます。」と説明しています。水分と栄養源が同じ場所にそろう、という組み立てです。

同ページは、繰り返す場合の見立ても示しています。落とせない場合や床材の腐食・劣化によるものは表面的な対処では処理しきれないとしたうえで、「躯体や下地の根本的な補修・改修が必要であることが多いため、速やかに専門業者へ相談することをおすすめします。」と書いています。「何度も同じ場所に出る」は、洗剤を強くする合図ではなく、床を開けて見る段階に入った合図だということです。

なお同ページには、床材の種類を問わない注意として、カビを見つけても掃除機を使ったカビ取りは避けるようにという記載があります。日常の掃除の手順そのものは、別記事で扱っています。

窓の結露を止めたのに、なぜ床でカビが出るのか?

リビングでくつろぐ家族
写真はイメージです

内窓を入れた、断熱カーテンに替えた、窓の結露は減った。それなのに床や押入れでカビが増えた——という順番で困っている方は少なくありません。この現象について、東京都保健医療局が居住環境のFAQで踏み込んだ説明をしています。

「窓で結露しなくなると、そこで結露していた水分は行き場がなくなってしまい、その結果、押入や家具の奥など見えない場所で結露して、カビが大量に発生してしまうこともあります。」という記載です。同じ回答は、暖房温度を20度程度にすることや、調理や入浴など水蒸気が大量に発生する前後と寝る前にしっかり換気することを挙げ、「結露が発生しにくい生活スタイルにすることが第一です。」としています(東京都保健医療局 居住環境FAQ「結露が多くて困っています」/2026年8月時点)。

窓は、部屋のなかでいちばん冷たい面だから結露していただけで、水分そのものを減らしていたわけではありません。その面を暖かくすると、次に冷たい面——外壁側の床ぎわ、家具の裏、押入れの床——に水が移ります。床のカビが「窓を直した年から始まった」なら、この線を疑う価値があります。

高断熱化が進むほど室内の水分が外に出にくくなる点は、床材メーカーも書いています。DAIKENは「近年の戸建住宅は寒さや暑さへの対策が施されており、高気密・高断熱化が進んでいるため、室内の空気を外に逃がしにくい構造のものが増えています。」としています。

カビが止まる湿度は、どの資料に何と書いてあるのか

数字の側からも確認します。文部科学省が公開している「カビ対策マニュアル」は、博物館や図書館などの資料保存を対象にしたものですが、カビの生育条件そのものは一般的な整理として読めます。

基礎編は水分の項で、「通常では対象とする物質のAwを0.6以下に保持するとカビは全く生育できない。これを維持するために環境の相対湿度を温度変化に拘わらず常に60パーセント以下に保つことが必要である。」と書いています(文部科学省「カビ対策マニュアル 基礎編」2−1 カビの生育環境<水分>/2026年8月時点)。Awは水分活性で、密閉容器内の平衡相対湿度が90パーセントならAwは0.9にあたる、と同じ項に説明があります。

速さについては実践編に記述があります。「一般にカビの発生しやすい資料の場合、温度25度のとき、相対湿度が70パーセントだとカビは数か月で繁殖し、75パーセントを越すとその速度は急激に早まり、90パーセントではわずか2日で目に見える程度まで繁殖するといわれている」という一文です(文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編」1−4 温度・湿度データの記録と解析<年間の推移>/2026年8月時点)。

部屋の真ん中で測った湿度が60パーセントでも、家具の裏や床ぎわの湿度は同じではありません。実践編は、同じ部屋でも測定する地点の高さによって相対湿度が異なる事例を図で示しています。湿度計を1台リビングに置いて安心するより、カビが出ている場所の近くに置くほうが実態に近づきます。押入れや窓まわりのカビの落とし方は、別記事にまとめています。

床下換気口がない家は、法律違反なのか?

調べ物をして検討する女性
写真はイメージです

床のカビを調べていくと、必ず床下の換気が足りないという説明に行き当たります。そして自宅の基礎を見に行くと、換気口が見当たらない。ここで不安になる方が多いところですが、換気口が見当たらないこと自体は、ただちに違法や欠陥を意味しません。

根拠になっているのは建築基準法施行令第二十二条(居室の床の高さ及び防湿方法)です。本文は「最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法は、次の各号に定めるところによらなければならない。」として、第一号で「床の高さは、直下の地面からその床の上面まで四十五センチメートル以上とすること。」、第二号で「外壁の床下部分には、壁の長さ五メートル以下ごとに、面積三百平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。」と定めています(e-Gov法令検索 建築基準法施行令 第二十二条/2026年8月時点)。

問題はその直後のただし書きです。「ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合及び当該最下階の居室の床の構造が、地面から発生する水蒸気によつて腐食しないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、この限りでない。」と、同条は例外を置いています。床下をコンクリートで覆っている住宅は、この条文の45センチメートルや換気孔の規定の対象外になります。近年よく採用されるベタ基礎の住宅で基礎に穴が見当たらないのは、この形に当たることがあります。

逆にいえば、床下が土のままで換気口もふさがれている古い家は、この条文が想定した状態から離れているということです。DAIKENも、「基礎が低く床下に湿気対策用のコンクリートが打設されていない古い家屋の場合は、必然的にカビの発生率も高くなってしまう」と書いています。自分の家がどちらなのかを先に確かめると、換気口をふさぐ・開けるという議論の前に立てるはずです。

そもそも、自分で床下を見られる家かどうか

床下の状態を知るには、点検口から見るしかありません。ここで参考になるのが長期優良住宅の技術基準です。国土交通省告示第209号は、木造について「区分された床下空間(人通孔等により接続されている場合は、接続されている床下空間を1の部分とみなす。)ごとに点検口を設けること。」と「床下空間の有効高さを330mm以上とすること。」を求めています(国土交通省告示第209号「長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準」第3 1.構造躯体等の劣化対策(2)①木造/PDF・2026年8月時点)。

これは長期優良住宅の認定を受けるための基準であって、すべての住宅に義務づけられているものではありません。ただ、点検口がある家なら床下を確認できますし、なければ確認する手段が限られるという判断材料になります。床下収納がある住まいは、それを外すと床下をのぞける場合があります。

「フローリングのカビにはアルコール」は、メーカーの記載で裏づけられるのか?

クロスで拭き掃除をする手元
写真はイメージです

この記事の芯にあたる部分です。掃除の記事はほぼ例外なく「消毒用エタノールで拭く」を唯一の正解として挙げますが、床材メーカーの記載は一致していません。しかも一致しない理由が、床材と塗装、ワックスの有無という読者側の条件にあります。

DAIKENはカビ取りの手順として、「まずはメーカーの取扱説明書等を事前に確認した上で、目立ちにくい場所や部位でアルコールやエタノールを試します。」と書いています。試したうえで問題がなければ拭き掃除でカビ取りを行うとよい、という順番です。同社のFAQも、汚れがひどい場合の方法として「汚れがひどい場合は、アルコール(エタノール)をふくませたぞうきんやタオルで拭いてください。」としています(DAIKEN FAQ No.222「床材にひどい汚れがついた時のお手入れ方法は?」/2025年7月11日更新・2026年8月時点確認)。

一方、朝日ウッドテックははっきり注意を促しています。同社のフローリング総合研究所は、やってはいけない除菌方法として「ワックスがけしたフローリング × アルコール」を挙げ、「ワックスがけしたフローリングにアルコールが付いたまま放置してしまうと、ワックスが元の液体の状態に戻ろうとする性質により白く濁ることがあります。」と説明しています(朝日ウッドテック「【変色させない】正しいフローリング除菌・ウイルス除去の方法・洗剤選び」注意!やってはいけないNG除菌方法/2026年8月時点)。

そして住友林業クレストは、無垢のオイル塗装について線を引いています。落書きを落とす方法として消毒用エタノールか染み抜き用ベンジンを挙げたうえで、その直後に「オイル塗装仕上げのフロアには使用しないでください。」と書いています(住友林業クレスト「日常的にご注意いただくこと」落書きにはエタノールかベンジン/2026年8月時点)。同じ「エタノールで拭く」でも、複合フローリングとワックス床と無垢オイル塗装では、答えが逆になるということです。

同じメーカーの中でも、汚れ落としと消毒は別扱いになっている

ここは丁寧に読む必要があります。DAIKENのFAQには、お手入れ方法をまとめた別のページがあり、その「②消毒」の項は「一般床材には消毒用の薬品はご使用にならないでください。変色や白化を起こす恐れがあります。」としています(DAIKEN FAQ No.3189「床材のお手入れ方法一覧」②消毒/2025年7月11日更新・2026年8月時点確認)。

次亜塩素酸ナトリウムについてはさらに明確で、別のFAQが「一般住宅向け床材には薬品使用はできませんが、」としたうえで、公共・商業施設向けの一部シリーズに限って使用可能な薬品と上限の濃度を示しています(DAIKEN FAQ No.153「消毒のため、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)の希釈液を床材に使用してもよいですか?」/2025年7月11日更新・2026年8月時点確認。具体的な濃度は製品ごとの条件があるため本記事では転記しません)。

つまり同じDAIKENの中で、汚れを落とすためにアルコールを使うことと、消毒のために薬品を使うことは、別のものとして扱われています。カビ取りがそのどちらに当たるかは、読む人が判断せざるをえない位置にあります。だからこそ同社はカビ取りの説明で、目立ちにくい場所や部位で試す手順を先に置いているのだと読めます。ネット上の「フローリングのカビにはエタノール」という一行が、この分岐を踏まえて書かれているとは限りません。

塩素系の側の記載もそろっています。DAIKENは「強い殺菌効果がある塩素系漂白剤の使用や表面の研磨などは変色や傷の原因となるだけでなく、床材に備わっている機能を低下させてしまう可能性があるので注意しましょう。」とし、「漂白剤を使うなどの誤ったカビ取りを行うと、床を傷めたり変色させてしまったりして、取り返しがつかなくなる場合もあるので、専門業者に相談してみるのが良いでしょう。」と書いています。ワックスの扱いに迷う場合は、別記事も参考にしてください。

無垢と複合で、使える薬剤はどう変わるのか?

掃除機をかける様子
写真はイメージです

分かれ目は木の種類ではなく、表面の塗装です。朝日ウッドテックは塗装を大きく2つに分けたうえで、オイル塗装について「表面に塗膜がないため水分やクリーナー成分が染み込みやすく、水を使ったお掃除には不向きです。」、ウレタン塗装について「表面に樹脂による塗膜があるため、水拭きやクリーナーを使ったお掃除が可能で、ワックスがけも必要ないことがほとんど。」と説明しています(朝日ウッドテック「フローリングの正しいお掃除方法 ~毎日の基本から黒ずみまで~」フローリングの種類とお手入れの道具/2026年8月時点)。

同じページの表は、無垢フローリング(オイル塗装)を水拭き・洗剤・化学モップ・スチーム洗浄機がいずれも不可、複合フローリング(ウレタン塗装)を挽き板・突き板・シートのいずれも水拭きが可で洗剤と化学モップは注意つき、と整理しています。無垢のオイル塗装は、カビを落とす以前に、水を使うこと自体が推奨されていない床だということです。

住友林業クレストも、オイル塗装仕上げについて「その反面、塗装皮膜がないため、一般の塗装フロアに比べて傷や摩耗、水分に弱いと言えます。」としたうえで、普段のお手入れはから拭きで十分、汚れがひどい場合は固く絞った雑巾とし、「ラッカー薄め液(シンナー)などの溶液類、洗剤、ウエットシートは絶対に使用しないでください。」と書いています(住友林業クレスト「オイル塗装仕上げフロアのお取り扱い」オイル塗装仕上げのお手入れ/2026年8月時点)。

確かめること 無垢・オイル塗装 複合(ウレタン塗装) 出典
表面に塗膜があるか 塗膜がなく、水やクリーナー成分が染み込みやすい 樹脂による塗膜がある 朝日ウッドテック「フローリングの正しいお掃除方法 ~毎日の基本から黒ずみまで~」フローリングの種類とお手入れの道具
水拭きの可否 不可(毛羽立ちや白濁の恐れ) 可(固く絞った雑巾で、使用後は乾拭き) 可否の表=朝日ウッドテック 同上/固く絞る・乾拭き=日本複合・防音床材工業会(JAFMA)「毎日のお手入れ方法」ひどい汚れには・・・
洗剤の可否 洗剤・ウエットシートは絶対に使用しない 住居用洗剤(中性)以外は使用しない オイル塗装=住友林業クレスト「オイル塗装仕上げフロアのお取り扱い」/複合=日本複合・防音床材工業会(JAFMA)「毎日のお手入れ方法」ひどい汚れには・・・
アルコール(エタノール) オイル塗装仕上げのフロアには使用しない ワックスをかけた床では白濁の恐れ。DAIKENは汚れがひどい場合の方法として挙げる オイル塗装=住友林業クレスト「日常的にご注意いただくこと」落書きにはエタノールかベンジン/ワックス床=朝日ウッドテック「【変色させない】正しいフローリング除菌・ウイルス除去の方法・洗剤選び」注意!やってはいけないNG除菌方法/DAIKEN=DAIKEN FAQ No.222
塩素系漂白剤・カビ取り剤 こぼすと変色する可能性がある液体として並べられている 一般床材には消毒用の薬品を使わない(DAIKEN)。使用可能としていない床では染みの恐れ(朝日ウッドテック) オイル塗装=住友林業クレスト「日常的にご注意いただくこと」その他の液体類もすぐに拭き取る/DAIKEN=DAIKEN FAQ No.3189「床材のお手入れ方法一覧」②消毒/朝日ウッドテック=「【変色させない】正しいフローリング除菌・ウイルス除去の方法・洗剤選び」フローリングの除菌に使える洗剤
スチーム洗浄機 不可 不可 朝日ウッドテック「フローリングの正しいお掃除方法 ~毎日の基本から黒ずみまで~」組み合わせNG集/DAIKEN FAQ No.45「床の掃除に、スチームモップを使用してもよいのでしょうか?」/日本複合・防音床材工業会(JAFMA)「毎日のお手入れ方法」日常のお手入れについて/住友林業クレスト「基本のお手入れ」スチーム洗浄機の使用は禁止!

スチーム洗浄機は、なぜどのメーカーも止めているのか

「熱で殺菌できるからカビにも効くはず」という発想でスチームクリーナーを使う方がいますが、今回確認した4つの資料は、いずれも床への使用を止めています。しかも、その結果として起こりうる不具合に「カビ」が挙がっています。

DAIKENのFAQは「スチームモップは使用しないでください。」としたうえで、理由を「フローリングの突き上げ、ふくれ、ひび割れ、カビ、変色、白化などの不具合が発生する可能性があります。」と書いています(DAIKEN FAQ No.45「床の掃除に、スチームモップを使用してもよいのでしょうか?」/2025年7月11日更新・2026年8月時点確認)。

業界団体も同じ立場です。日本複合・防音床材工業会は「スチーム洗浄機を使用されるとフローリングの突き上げ、ふくれ、ひび割れ、カビ、変色、白化などの不具合が発生する可能性がありますので、使用は控えてください。」としています(日本複合・防音床材工業会(JAFMA)「毎日のお手入れ方法」日常のお手入れについて/2026年8月時点)。住友林業クレストは見出しで「スチーム洗浄機の使用は禁止!」と掲げ、同じ不具合を並べています(住友林業クレスト「基本のお手入れ」/2026年8月時点)。朝日ウッドテックも組み合わせNG集で使用を控えるよう書いています。

継ぎ目から入った水分が抜けきらず、かえってカビの条件をつくる——という筋道です。殺菌したつもりの作業が、次のカビの水源になりうるということになります。

床材によらず共通する線は、混ぜないこと

どの床材を使っていても、絶対に守る線が1つあります。塩素系の製品と酸性の製品を一緒に使わないことです。順番に使う場合も間に十分な水洗いを挟み、混ざらないようにしてください。この記事で見てきたとおり、そもそも塩素系をフローリングに使う手順を示している資料は見当たりませんが、床のそばで洗剤を並べて作業すること自体が起こりがちなので、先に書いておきます。

この注意は慣習ではなく、表示の制度に根拠があります。消費者庁の雑貨工業品品質表示規程は、住宅用又は家具用の洗浄剤のうち、規定の塩素ガス発生試験で一・〇ppm以上の塩素ガスを発生するものについて、塩素系の製品には特別注意事項として「まぜるな 危険」「塩素系」を、酸性タイプの製品には「まぜるな 危険」「酸性タイプ」を表示するよう定めています(消費者庁 雑貨工業品品質表示規程「二十七 合成洗剤、洗濯用又は台所用の石けん及び住宅用又は家具用の洗浄剤」住宅用又は家具用の洗浄剤の項/2026年8月時点)。手元の製品にこの枠があるかどうかを、使う前に見る習慣をつけておくと確実です。

今日やるなら、どの順番で手を動かすか?

モップで床を掃除する様子
写真はイメージです

ここまでを、実際の作業の順番に並べ直します。強い薬剤を買い足すのは、この順番をひととおり通したあとで構いません。

1床材と塗装を確定させる

最初にやることは掃除ではなく確認です。新築時やリフォーム時の書類、床材の品番、住宅会社からの引き渡し資料を探してください。品番が分かれば、各社のサポートサイトで自分の床のお手入れページにたどり着けます。分からない場合でも、無垢のオイル塗装かどうかだけは分けておきたいところです。朝日ウッドテックは塗装を「オイル塗装」と「ウレタン塗装」の2つに大別しており、この分岐だけで使える道具が変わります。

2乾いた状態でホコリと栄養源を取る

カビの前に、まずゴミとホコリです。日本複合・防音床材工業会は日常のお手入れについて「乾いた雑巾やモップで拭いてください。」としています。なお、DAIKENは床材の種類を問わず、カビを見つけたときに掃除機を使ったカビ取りは避けるよう書いています。ラグやカーペットを敷いている場合は、その下も同じ日に確認してください。

3自分の床に許されている拭き方だけを選ぶ

複合フローリングなら、固く絞った雑巾か住居用洗剤(中性)までが各社に共通する範囲です。パナソニックは「住居用中性洗剤以外の洗剤は使用しないでください。」と明記し、理由としてアルカリ性・酸性の洗剤で床材が変色する場合があることを挙げています。無垢のオイル塗装なら、から拭きと固く絞った雑巾までにとどめます。それ以上に進めるかどうかは、ステップ1で確定させた床の記載に従ってください。

4洗剤成分と水気を残さない

作業のあとが肝心です。朝日ウッドテックは、クリーナー成分が床表面に残っていると木材の成分と反応して黒ずみができる恐れがあるとして、使用後は水拭きと乾拭きで拭き取るよう書いています。LIXILも「床材は水気・湿気を嫌います。」としたうえで、水にぬれた場合はすみやかに乾いた柔らかい布でふき取るよう求めています。継ぎ目や壁ぎわに水を残さないでください。

5同じ場所が濡れる条件を1つ消す

最後は再発側です。寝具を直に敷いているなら毎日たたむ、家具を壁から少し離す、窓ぎわの結露を朝に拭き取る、水蒸気が大量に出る前後に換気する。住友林業クレストは窓や縁側について、結露はシミや波打ちの原因となるのでこまめに拭き取るよう書いています。1つでも条件が減れば、次に黒くなるまでの時間は延びます。

落ちない・すぐ戻るときは、どこで区切りをつけるか?

部屋を片付ける様子
写真はイメージです

ここまでで変わらなければ、進み先は3つに分かれます。①ハウスクリーニングに床の状態を見てもらう、②床材の張り替えを検討する、③床下や下地の点検を依頼する。どれを選ぶにしても、表面の汚れなのか、床材や下地そのものの劣化なのかを先に切り分けておくと判断が早くなります。

切り分けの目印は、繰り返すかどうかと、木の状態です。DAIKENは、いずれの方法でもカビが落とせない場合や床材の腐食・劣化によるものは表面的な対処では処理しきれず、躯体や下地の根本的な補修・改修が必要であることが多いとしています。踏むと沈む、継ぎ目が浮いている、といった変化が出ているなら、洗剤を買い足しても解決しません。

賃貸の場合は、自分で修繕を進める前に管理会社へ相談してください。DAIKENの同じ記事も、床にカビを発見した場合に自分で修繕を行わず、早めに管理会社等へ相談するようすすめています。原状回復の負担がどうなるかは契約と原因によって変わるため、記録として写真を残しておくと話が早くなります。

床下の点検を持ちかけられたときに、確認しておきたいこと

床のカビをきっかけに床下へ関心が向くと、点検を名乗る訪問を受け入れやすくなります。国民生活センターの紛争解決委員会が公表した事例では、90歳近い方が1人で住む築45年の戸建てに事業者が突然訪れ、床下の点検を持ちかけたところから始まり、調湿材の散布・床下換気扇の設置・補強工事などが次々に契約され、約2年半のあいだに10件・合計およそ300万円が支払われていました。

この事案では、仲介委員が申請人宅の床下を現地調査しています。報告書は「床下は湿っておらず」と記録し、目視ではカビなどの発生が確認できなかったとしています(国民生活センター 紛争解決委員会「国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和元年度第4回)」【事案2】住宅リフォームの次々販売に関する紛争(4)〜(6)/PDF・2026年8月時点)。訪問を受けた側が床下を見ていないことが、次々と契約が重なる条件になっていたわけです。その場で判断せず、点検の写真をもらい、家族や別の事業者にも見てもらってください。

ハウスクリーニングを頼む場合は、床の作業がどこまで含まれるのかを、依頼前に見積もりで確認してください。カビの除去が基本料金に入るのか、床材の種類によって断られることがあるのか、ワックスの塗り直しは別料金かは、業者ごとに考え方が違います。金額だけの比較は避けたほうが安全です。

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床材そのものを替える判断に進む場合は、重ね張りと張り替えの違いや下地の扱いを先に知っておくと、見積もりの読み方が変わります。

フローリングのカビについてよくある質問(FAQ)

Qカビ取り剤(塩素系漂白剤)をフローリングに使ってもよいですか?

A今回確認した5社・1団体の資料のうち、住宅用のフローリングのカビを落とす手順としてカビ取り剤の使い方を示していたものは、編集部が調べた範囲では1件もありませんでした。むしろLIXILは、床材表面がしょう油やコーヒーなどと並べてカビ取り剤で汚れた場合、放置すると変色のおそれがあるとしています。住友林業クレストも、漂白剤やカビ取り剤を、こぼすと変色する可能性がある液体として扱い、固く絞った布ですぐに拭き取るよう書いています。DAIKENのFAQは一般床材に消毒用の薬品を使わないよう求めています。なお朝日ウッドテックは、除菌掃除の洗剤として次亜塩素酸ナトリウム配合のものを挙げていますが、これはカビ取りの手順としてではなく、かつ「使用可能としていないフローリングに使うと、染みなどの不具合を起こす恐れがあります。」と注意を添えています。

Q重曹やクエン酸なら床材を傷めませんか?

A今回確認した資料のうち、カビを落とす手順として重曹を挙げているものはありませんでした。朝日ウッドテックはキッチンの汚れに対して弱アルカリ性または中性のクリーナー、水垢に対してクエン酸系のクリーナーを挙げていますが、いずれもオイル塗装には使用できないと注記しています。またパナソニックは、住居用中性洗剤以外の洗剤は使用しないでくださいとしたうえで、アルカリ性・酸性の洗剤で床材が変色する場合があると書いています。粉のまま床にのせてこする使い方は、結果として研磨に近い動きになる点にも注意が必要です。

Q黒ずみとカビはどう見分ければよいですか?

A見た目だけで断定はできませんが、原因の候補は資料が整理しています。朝日ウッドテックは、フローリングの黒ずみの原因として時間が経った皮脂汚れや油汚れ、ペットの糞尿の染み込み、アルカリ性洗剤の染み込みを挙げ、後の2つは「変色(染み)」であるため自分で落とすことは難しく、張り替えが必要になってくるとしています。拭いて薄くなるなら表面側、まったく変わらず輪郭がはっきりしているなら染みや変色の可能性がある、というのが実際的な目安になります。判断がつかない場合は施工会社に相談してください。

Q除湿機を回せばカビは止まりますか?

A湿度を下げること自体は資料でも重視されています。文部科学省のカビ対策マニュアル基礎編は、環境の相対湿度を温度変化にかかわらず常に60パーセント以下に保つことが必要だと書いています。ただし同マニュアルの実践編は、同じ部屋でも測定する地点や高さによって相対湿度が異なる事例を示しています。部屋の中央の数字が下がっていても、家具の裏や床ぎわが同じとは限りません。カビが出ている場所の近くで測り、空気が滞る場所をつくらないことをあわせて考えてください。

※この記事に載せた可否や手順は、DAIKEN・朝日ウッドテック・パナソニック・LIXIL・住友林業クレストの各社と日本複合・防音床材工業会が公開しているお手入れ資料を2026年8月時点で確認したものです。床材の仕様は同じメーカーでも製品によって異なり、記載も更新されます。作業の前に、必ずお使いの床の取扱説明書と、洗剤・道具側の表示をご確認ください。法令の条文は改正される場合があります。カビの除去や再発防止の結果を保証するものではありません。

まとめ|フローリングのカビは「何をかけるか」より「どんな床か」から

フローリングのカビは、洗剤の強さ比べで決まる問題ではありませんでした。各メーカーは、無垢のオイル塗装には水拭きも洗剤も避けるよう求め、ワックスをかけた床ではアルコールで白濁する恐れがあるとし、複合フローリングにも消毒目的の薬品は使わないよう求めています。答えは汚れの側ではなく、床の側にあります。

そして拭いても同じ場所に戻ってくるカビは、表面の問題ではありません。窓の結露を止めれば水分は別の冷たい面へ移りますし、床下がどんな構造かによって湿気の条件も変わります。まずは床材と塗装を確定させ、乾いた状態でホコリを取り、自分の床に許されている拭き方だけを選ぶ。そのうえで濡れる条件を1つ消す。塩素系と酸性を一緒に使わないことだけは、床の種類にかかわらず共通です。

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