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夜、廊下やお風呂場でムカデを1匹見つけてしまった。掃除はしているし、特に散らかしてもいないのに、どうしてうちに出るのか——ムカデの相談でいちばん多いのが、この「心当たりがない」という状態です。
結論からお伝えすると、ムカデが出る家かどうかを分けているのは室内のきれいさではなく、敷地の外周に「湿った隠れ場所」「エサになる小動物」「建物のすき間」「まわりの緑地・水辺」の4つがどれだけそろっているかです。害虫防除の業界誌も「ムカデは昆虫を求め徘徊し、偶然侵入してしまっているだけです」と書いています。つまり探す場所は、家の中ではなく家の外側です。
この記事では、その4条件を1つずつ点検できる形に整理したうえで、「温度20〜30℃・湿度60%以上で活発になる」「1匹いたらつがいでもう1匹いる」といった広く出回っている説に、公的機関や業界資料の裏づけがあるのかまで確かめました。あわせて東京都が公開している相談件数のPDFから、ムカデの相談が何月に集中するかを編集部が自分で集計しています(2026年8月時点)。
見つけたムカデをその場でどう処理するか、すき間をどうふさぐかという手順は別の記事で扱っています。咬まれた跡や体調に関わる判断についてはこの記事では触れません。


【一言でいうと】ムカデが出る家の特徴はどこにあらわれる?
ムカデが出る家の特徴は、家の中ではなく敷地の外周にあらわれます。具体的には「落ち葉や石の下など湿った隠れ場所がある」「エサになる小さな虫が多い」「通風口や換気口にすき間がある」「まわりに雑木林や水辺がある」の4条件で、そろっている数が多いほど遭遇しやすくなります。
堺市はムカデについて「湿気のある狭い暗所を好みます」とし、その場所として「生い茂った草むら・落葉の下・石垣の隙間・庭石やブロックの下・プランターの下」を挙げています。いずれも家の中ではなく屋外です。
害虫防除資材を扱う鵬図商事の技術連載(PMPニュース403号)も、住居に近寄る理由を「①住居周辺がムカデが潜伏しやすい環境下にある」「②ムカデの餌となる昆虫が住居周辺に生息している」と整理しています。つまりムカデは「汚れた家」に来るのではなく「外にエサと隠れ場所がある家」に来るという考え方です。

ムカデが出る家の4条件の早見表
| 条件 | 実際にどこを見るか | この記載の出典 |
|---|---|---|
| ①湿った隠れ場所 | 生い茂った草むら/落葉の下/石垣の隙間/庭石・ブロックの下/プランターの下 | 堺市「ムカデ」生息場所の項 |
| ②エサになる小動物 | 家のまわりのゴキブリ・バッタ・ガ/庭のクモ・ミミズ | ゴキブリ・バッタ・ガ=PMPニュース403号(食性の項)/クモ・ミミズ=アース製薬「ムカデを知る」 |
| ③建物のすき間 | 通風口・換気口の網が破れていないか(約15〜20mmで侵入可) | PMPニュース403号(侵入予防③) |
| ④まわりの緑地・水辺 | 竹藪・雑木林・池・河川が近くにあるか | PMPニュース403号(侵入予防④) |
| 参考:室内の湿度の数値 | 室内の湿度計ではなく、床下・基礎まわり・庭の湿り気を見る | 今回確認した資料に記載なし |
※2026年8月時点。出典:堺市「ムカデ」/鵬図商事 芝生圭吾「ペストコントロールの基礎知識と知って得する技術ノウハウ・情報 第19回」PMPニュース403号(2021年8月)/アース製薬「ムカデを知る」(2026年8月時点で確認)
「湿気があるとムカデが出る」は、どこまで確かめられている?

ムカデが湿った場所を好むこと自体は、公的機関も業界資料も一致して書いています。堺市は「湿気のある狭い暗所を好みます」、鵬図商事の連載は「基本的に湿った場所を好み、森林、野原、畑地などの落ち葉や腐葉土の下、倒木、石の下などに潜伏しています」としています。
問題はその先です。ネット上の解説の多くが「温度20〜30℃・湿度60%以上でもっとも活発になる」「室内の湿度を60%未満に保てば出にくくなる」という具体的な数値をそろって載せていますが、この数値の出どころが示されていません。
公的資料が書いているのは「湿気のある狭い暗所」まで
編集部がこの記事で引用している資料を全文で検索したところ、堺市のページにも名古屋市「ムカデ・ゲジ」のページにも、温度・湿度を数値で示した記載はありませんでした。名古屋市が書いているのは種類・体長・「昼間は石下などにひそんでいる」「春から夏に産卵し、3年を経て成体となる」といった内容です。
害虫防除の技術連載であるPMPニュース403号にも、湿度の数値は出てきません。同記事に出てくる「%」の表記は、いずれも殺虫剤の有効成分の配合率でした。
出典:名古屋市衛生研究所 web昆虫図鑑「ムカデ・ゲジ」(ムカデ類の項)(2026年8月時点で確認)
「湿度60%以上で活発」の裏づけは見当たらなかった
殺虫剤メーカーの解説はどうでしょうか。アース製薬「ムカデを知る」は「暖かいところを好み、温度が18℃以上になると特に活発になります。一方で、冷たいところでは活動が鈍化し、10℃以下になると動きを停止します」と書いています。示されているのは温度だけで、湿度の閾値は示されていません。
つまり「湿度60%以上で活発になる」という広く出回っている数値について、編集部が調べた範囲では、根拠となる公的機関・業界誌・メーカーの記載を見つけられませんでした。今後どこかの資料で確認できれば追記します。
見るべきは室内の湿度計ではなく「敷地の湿った隠れ場所」
この違いは、実際の点検の仕方を変えます。室内の湿度計を60%未満にすることを目標にしても、資料で確認できるムカデの潜伏場所は落ち葉の下・石の下・プランターの下といった屋外の「物の下」だからです。
鵬図商事の連載は「雨後は湿った場所が増えるので徘徊する事が多く、見かける機会も増える事となります」とも書いています。雨上がりの翌日に見かけたなら、室内の湿度ではなく庭の状態を疑うほうが筋が通ります。
ムカデが出る家の庭には、何が置かれている?

堺市が挙げている潜伏場所を、そのまま自宅の敷地に当てはめていくのが手っ取り早い点検になります。「生い茂った草むら」「落葉の下」「石垣の隙間」「庭石やブロックの下」「プランターの下」の5か所です。
名古屋市も、家屋内に入ってきたムカデへの対処とは別に、防除の項で「ムカデの隠れ場所となる、家屋周辺の廃材や落ち葉などを除去する」と書いています。堺市も「家屋周りの廃材や瓦れきなどは撤去し常に清掃・整理整頓しましょう」としており、2つの市が同じ「家屋周辺の片づけ」を最初に挙げている点は押さえておきたいところです。
見落としやすいのは、置いたまま何年も動かしていないものです。地面に直置きしたプランター、使わなくなった植木鉢、剪定した枝の束、ブロックやレンガの余り、雨に濡れたままの木材。どれも「物の下に湿った暗がりを作る」という点で共通しています。
片づけて出た庭木の枝や古い植木鉢は、自治体によって可燃ごみ・粗大ごみ・受け入れ不可と扱いが分かれます。量が多いときの出し方は庭木の処分の記事にまとめています。
エサになる虫が多い家は、ムカデが出る家になる?

ムカデは肉食です。鵬図商事の連載は「肉食でゴキブリ、バッタ、ガなどの昆虫類やネズミなど小動物を捕食します」と書き、アース製薬は「エサとなるのは生きている小さな昆虫、クモやミミズなど。死んでいるものには反応しません」としています。
ここから導けるのは、ムカデが出る家は「ムカデのエサになる虫が出る家」でもあるということです。ゴキブリやクモが目につく家、庭でダンゴムシやミミズをよく見る家は、ムカデにとって餌場の条件を満たしています。
同じ連載は、エサを減らす考え方として「ムカデの餌となる昆虫を減らす為には、昆虫類全般が生息し辛い環境にする事が重要です。隠れ家となる雑草やゴミなどは草むしりや掃除をしましょう」と書いています。ムカデだけを狙うのではなく、その一段下の虫の側から手をつけるという順番です。
なお、アース製薬が書いている「死んでいるものには反応しません」という点は、ムカデが視覚ではなく動きで獲物を判断していることと対応します。鵬図商事の連載も「ムカデ類は視力が悪く、目で餌かどうか判断する事が出来ない為、動いているものを捕食する習性があります」としています。
屋内側のエサとしていちばん分かりやすいのはゴキブリです。ゴキブリが出る家の条件はムカデとかなり重なるので、そちらの対策から入ったほうが結果的に早いこともあります。
立地で決まってしまう部分は、どれくらいある?

庭を片づけても出るという場合、手入れでは動かせない条件が残っていることがあります。鵬図商事の連載は、侵入予防をひととおり挙げたうえで「上記予防策を実施しても、住居周辺に竹藪や雑木林、池や河川などがある場合は周囲に大量発生してしまう為、侵入を予防しきれない時もあります」と書いています。
これは「予防しきれない場合がある」と書いている業界側の記述で、家の手入れ不足だけが原因ではないことを示しています。裏山や河川敷、耕作されていない畑や空き地に面した家は、この条件に当てはまります。
新築でも出るのは「築年数」が条件ではないから
ここまでの4条件に、建物の築年数は入っていません。堺市も名古屋市もPMPニュースも、生息場所として挙げているのは屋外の環境であって、建物の新旧ではありません。
新築の家で出たという相談が珍しくないのは、造成されたばかりの土地では、まわりにまだ空き地や草地が残っていることが多いためと考えられます。ただし造成工事とムカデの出現数の関係を数値で示した公的資料は、編集部が調べた範囲では見当たりませんでした。ここは断定できる話ではありません。
マンションの上の階でも出るのか
集合住宅の上層階で見たという話も見かけますが、階数別の発生を調べた公的な統計は確認できませんでした。分かっているのは、ムカデが約15〜20mmのすき間があれば通れることと、壁面を登れることです。
鵬図商事の連載が紹介している「ムカデ返し」は、ガルバリウム鋼板で「壁を登れないようにする事が出来ます」という製品です。逆にいえば、ふつうの外壁は登られる前提で書かれているということになります。上層階だから絶対に来ない、とは資料からは言えません。
建物側の条件は?通風口・換気口の網を見る

外周の条件がそろっていても、建物に入り口がなければ室内では見ません。鵬図商事の連載は、目安として「体長10㎝のトビズムカデの場合、約15~20mmの隙間があれば侵入する事が出来ます」と書いています。
そのうえで「特に多いのは、通風口や換気口の網に穴が開いているケースです」としています。点検の優先順位としては、床下の通風口と換気口の網が最初ということになります。
この記事は「出る家かどうか」を判断するところまでを扱っています。すき間を実際にどうふさぐか、屋外に薬剤を使う場合の考え方といった手順は、ムカデを見つけたときの対処の記事にまとめてあります。
ムカデが出やすい時期はいつ?東京都の相談件数で見る

東京都保健医療局は、都内の区市町村と保健所に寄せられた相談件数を毎年度PDFで公開しています。この「ねずみ・衛生害虫等被害発生・相談件数」の「7 不快動物」にはムカデの行が独立してあり、月別の件数が読み取れます。編集部が令和3〜6年度の4年分を合算したのが次の表です。
| 月 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 4年合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 |
| 5月 | 1 | 2 | 1 | 5 | 9 |
| 6月 | 8 | 8 | 1 | 4 | 21 |
| 7月 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 8月 | 1 | 1 | 0 | 2 | 4 |
| 9月 | 1 | 1 | 1 | 4 | 7 |
| 10月 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 11月 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 12月〜3月 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 |
| 年度合計 | 14 | 12 | 3 | 19 | 48 |
出典:東京都保健医療局「ねずみ・衛生害虫等被害発生・相談件数<月別件数>」の「7 不快動物」ムカデ行より編集部集計。令和6年度/令和5年度/令和4年度/令和3年度(2026年8月時点で確認)
4年合計48件のうち21件、およそ4割が6月に集中しています。次に多いのが5月の9件、9月の7件で、12月から3月はほぼゼロです。同じPDFの令和6年度の「7 不快動物」では、クモ130件・ヤスデ18件・ゲジ11件と並んでおり、ムカデの19件は特別に多い数字ではありません。
ただしこの数字の読み方には注意が必要です。同じ調査の概要資料である東京都保健医療局「令和6年度の調査結果」には「表中の件数は駆除件数、被害件数、個体発生数とは異なります」と明記されており、あくまで行政の窓口に相談があった件数です。東京都のデータなので、緑地や水辺の多い地域にそのまま当てはまるわけでもありません。
注記の出典:東京都保健医療局「令和6年度の調査結果」1 調査内容について(2026年8月時点で確認)
相談が5〜6月と9月に寄るのは生活史と対応している
この山の位置は、ムカデの1年の動きと合っています。鵬図商事の連載によれば「3月頃、越冬したムカデは活動を再開し、5~6月にかけて生殖行動を経て産卵します」。産んだ卵は「1ヵ月程度で孵化」し、その後「雌ムカデが子の世話をし、2か月間に2回脱皮」して親離れします。
そして「ムカデの姿を見かける時期は5月~10月ですが、繁殖期の5月~6月、子ムカデが親離れする9月~10月は住居への侵入が急増します」とまとめられています。春と秋の2回、家に入ってくる回数が増えるという理解でよいことになります。
9〜10月に見かける個体が小さいのは、この年に生まれた個体が親離れして動き出すためです。小さい個体の見分け方は、ムカデの幼体の記事にまとめています。
「1匹いたらもう1匹いる」は本当?

「ムカデはつがいで行動するから、1匹出たらもう1匹いる」という説をよく見かけます。編集部が調べた範囲では、この「つがいで行動する」という説明を載せている公的機関の資料は見当たりませんでした。
一方で、短期間に複数見かけること自体には説明がつきます。名古屋市「ムカデ・ゲジ」は「産卵した雌は、卵を腹の下に抱えて保護する習性がある」「雌による保護は、幼体が自分で餌を取り自活できるようになるまで続く」と書いています。
産卵数について鵬図商事の連載は「一回の産卵数は平均20個、最大でも50個程度」としています。つまり同じ場所で複数見つかるとしたら、それはつがいではなく母親と幼体のまとまりである可能性のほうが資料とは整合します。9〜10月に小さい個体が続けて出るのは、この幼体が親離れする時期と重なります。
なお「ムカデを殺すと仲間が来る」という別の言い伝えについては、公開済みの記事で一次資料を当たって検証しています。見たものがムカデなのか、脚の数や動き方が似た別の虫なのかで迷ったときは、似た虫の振り分けの記事もあわせてご覧ください。
自分で手を入れるか、業者に頼むかの目安は?

ここまでの4条件のうち、①湿った隠れ場所と②エサになる虫は、庭の片づけと草刈りで自分でも手が入ります。判断が分かれるのは、③建物のすき間が床下や高所にある場合と、④まわりの緑地・水辺が原因で外周に発生源が広がっている場合です。
相談先は大きく3つあります。順番に当たってみると費用の見当がつけやすくなります。
- まず自治体の窓口で聞きたい → 保健所・生活衛生課などの虫の相談窓口(堺市のムカデのページは、作成担当として「健康福祉局 保健所 生活衛生課 くらしの虫相談係」と電話番号を掲載しています)
- 電話でプロの見立てだけ聞きたい → 都道府県のペストコントロール協会の「害虫相談所」(協会は「電話などによる相談受付を無料で行っています」「現場調査や防除施工などが必要な場合には原則有料」と案内)
- 床下や外周の施工まで頼みたい → 害虫駆除の事業者に複数社で見積もりを取る
公益社団法人日本ペストコントロール協会は「全国47都道府県それぞれに地区協会が設置されており」と案内しており、一覧から地元の協会の相談窓口にたどり着けます。いきなり施工を申し込む前に、電話で状況を伝えて見立てを聞くという段階を挟めるのが利点です。
費用の目安として、事業者比較サイトのくらしのマーケット「害虫駆除 / ムカデ・ヤスデ駆除」は、同ページの「相場」欄で延べ床面積10平米あたり12,000円〜30,000円と掲載しています(税込・税抜の記載は確認できませんでした/2026年8月時点)。作業範囲や床下施工の有無で変わるため、金額だけでなく作業内容の内訳をそろえて比べてください。業者に依頼したときの作業内容と見積もりの見方は、別記事で詳しく扱っています。
なお、ムカデを見つけても素手では触らないでください。体に異変があるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。
ムカデが出る家についてのよくある質問(FAQ)
※本記事は、自治体・害虫防除の業界誌・殺虫剤メーカーが2026年8月時点で公開している資料をもとに、ムカデが出る家の環境条件を整理したものです。ムカデの出やすさは地域・立地・その年の気象で変わるため、ここで挙げた条件がそのまま当てはまらない家もあります。掲載した相談件数は東京都に寄せられた件数であり、発生数や被害数ではありません。咬まれたときの対応など体調に関わる内容は扱っていません。
まとめ|ムカデが出る家の特徴は「敷地の外周4条件」で確かめる
ムカデが出る家の特徴は、室内のきれいさではなく敷地の外周にあらわれます。①落ち葉・石・プランターの下といった湿った隠れ場所、②エサになる小さな虫、③通風口や換気口の約15〜20mmのすき間、④竹藪・雑木林・池・河川といったまわりの環境。この4つを1つずつ見ていくのが近道です。
あわせて、「湿度60%以上で活発になる」という広く出回っている数値には、編集部が調べた範囲で裏づけとなる公的・業界・メーカーの記載を確認できませんでした。「1匹いたらつがいでもう1匹」という説も同様で、資料と整合するのは母親が幼体を保護しているという説明のほうです。室内の湿度計を見るより、庭で動かしていない物の下を見るほうが確実です。
相談件数のうえでは5〜6月と9月に山があり、生活史の繁殖期・親離れの時期と対応しています。庭の片づけで手が届かない床下や外周の発生源が疑われるときは、自治体の相談窓口や都道府県のペストコントロール協会に電話で見立てを聞いてから、事業者の見積もりを比べてみてください(2026年8月時点)。