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引っ越しの見積書で、エアコンの行だけ「別途お見積もり」になっている。ネットで調べると1万円台から4万円台まで幅がありすぎて、どれが自分の家に当てはまるのか分からない——エアコンの移設で最初につまずくのは、金額そのものより移設費用が何と何の足し算でできているのかが見えないところです。
結論からいうと、引っ越しに伴う移設の費用は「旧居での取り外し」「新居までの運搬」「新居での取り付け」の3つに割れます。この3つに加えて、新居の壁・室外機の置き場所・コンセントの状況で追加工事が乗ります。依頼先によって、この3つのうちどれが基本料金に含まれるかが変わるため、同じ作業でも見積書の形がまるで違って見えるのです。
この記事では、当メディア編集部がエアコン工事業者と引越し会社の公開料金ページ、メーカーと業界団体の技術情報、経済産業省と国土交通省の資料を2026年8月時点で調べ、費用の内訳・追加になる条件・依頼先の選び分けを整理しました。業者に順位を付ける記事ではなく、社名は料金と制度の出どころとしてのみ挙げています。


- 01まず確認|賃貸のエアコンは移設できる?管理会社・貸主への連絡が先
- 02【一言でいうと】エアコン移設費用の相場|取り外し+運搬+取り付けで2万円台〜3万円台
- 03移設の基本工事に含まれる作業と、含まれないもの
- 04追加費用になりやすい6つの条件|配管・化粧カバー・穴あけ・室外機・コンセント・電圧
- 05今の配管はそのまま使える?|メーカーと業界団体の記載
- 06引っ越しとまとめて頼むか、エアコンの工事業者に頼むか
- 07ポンプダウン・冷媒・電気工事は業者の領域|自分で外さない
- 08移設せず買い替えたほうがよい場合|年数と部屋の広さ
- 09見積もりで伝えると当日の追加が減る5つのこと
- 10エアコンの移設費用についてよくある質問(FAQ)
- 11まとめ
まず確認|賃貸のエアコンは移設できる?管理会社・貸主への連絡が先

持ち家から持ち家への引っ越しなら、あとは業者と条件をすり合わせるだけです。賃貸の場合はその手前に一段階あり、そのエアコンが自分のものなのかどうかで、そもそも移設できるかが変わります。工事の手配より先に、管理会社(不在なら貸主)へ連絡してください。
備え付けのエアコンは持ち出せない
入居時から部屋に付いていて、契約書の設備欄に記載があるエアコンは貸主の持ち物です。自分の判断で外して新居へ運ぶことはできません。前の入居者が置いていったいわゆる残置物の場合も、扱いが契約ごとに違うため、外してよいかを先に聞く必要があります。
逆に、自分で買って設置したエアコンなら持ち出せます。この場合に気になるのが壁のビス穴です。国土交通省が公表している原状回復のガイドライン(再改訂版)は、第1章の別表1に「エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡」を挙げており、これは賃貸人が負担する側の例に分類されています。考え方の欄は、エアコンもテレビ等と同じように暮らしの必需品になってきているため、取り付けでできたビス穴などは通常の損耗の範囲に入る、と整理しています。あくまで例示で契約の特約が優先されますが、退去時の話をする前の前提知識として持っておくと落ち着いて話せます。
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第1章(PDF)別表1(2026年8月時点)
設備・残置物・持ち込みの見分け方と、費用を誰が負担するかの考え方は、賃貸のエアコンを扱った記事で詳しく整理しています。
新居側で先に聞いておく3つ
移設は旧居と新居の両方に工事が入ります。新居が賃貸や分譲マンションなら、次の3つは入居前に確認しておくと、当日の「できません」を防げます。
- 配管を通す穴がない部屋に付けたい場合、壁に穴を開けてよいか(構造上の理由で断られることがあります)
- 室外機をどこに置いてよいか。ベランダや外廊下は共用部分として扱われることが多く、置く向きや台の種類まで指定されることがあります
- 専用コンセントがない部屋で、増設や電圧の切り替えをしてよいか(屋内配線に手を入れる工事です)
【一言でいうと】エアコン移設費用の相場|取り外し+運搬+取り付けで2万円台〜3万円台

先に全体像をお伝えすると、追加工事がない前提での移設費用は取り外し・運搬・取り付けの合計でおおむね2万円台〜3万円台後半です。くらしのマーケットは、エアコンの移設は2万円〜3万円が相場料金で、サービス内容は取り外し・運搬・取り付けだと案内しています。
依頼先ごとの内訳は次のとおりです。同じ「移設」でも、運搬費の扱いが依頼先によって違う点に注目してください。
| 依頼先 | 取り外し | 運搬 | 取り付け | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 引越し事業者 | 8,000円〜11,000円 | 引越し料金に含む | 16,000円〜25,000円 | 24,000円〜36,000円 |
| エアコン取付事業者 | 5,000円〜9,000円 | 3,000円〜5,000円 | 13,000円〜20,000円 | 21,000円〜34,000円 |
| 運送事業者 | 8,800円〜 | 約3,000円 | 13,200円〜 | 約25,000円〜 |
出典:くらしのマーケット「【2026年最新】エアコン移設費用の相場と内訳|どこに頼む?安く抑えるコツも」(記事の更新日は2026年7月15日、相場表には「2026年5月時点、くらしのマーケット調べ」と注記されています。同ページの相場表に税込・税抜の表記はありません。当メディア編集部の確認は2026年8月時点)
同ページは、取り付け先の状況によっては追加工事の料金がかかるため、この金額よりも1〜2万円程度あがる場合があるとも注記しています。相場表の合計は「何も起きなかったとき」の金額だと考えたほうが安全です。
実際に払った内訳の例
くらしのマーケットは、自社の公式動画で移設を依頼したときの費用内訳を公開しています。金額はいずれも税込で、エアコン取り外し5,500円・運搬費(10km以内)3,300円・エアコン取り付け12,100円が基本部分。ここにドレン断熱処理1,100円、室内化粧カバー8,800円、カバー曲がり4,400円、室外化粧カバー7,700円という追加工事が乗り、合計42,900円になっています。
基本部分の合計は20,900円ですから、追加工事の22,000円が総額の半分を超えている計算です。同ページは、化粧カバーは見栄えをよくするためのものなので、外だけ・中だけといった相談もできると紹介しています。金額を下げたいときに最初に相談できるのがこの部分だ、という目安になります。
移設の基本工事に含まれる作業と、含まれないもの

「移設工事一式」と書かれていても、その一式がどこまでを指すかは会社ごとに違います。公開している例として、エアコン工事を専門に扱う株式会社エレホームの移設ページを見ると、基本料金に含まれるのはポンプダウン作業、配管パイプ類の取り外し、室外機の取り外し、室内機の取り外し、パテ埋め配管穴の処理、施工1年保証です。取り付け側では真空引きも基本工事に含まれると同社は明記しています。
同社の移設工事は、外した場所で使っていた配管などの部材を取り付け時に再利用する前提の料金です。室外機が室内機と同じ階の地面かベランダに置ける、配管専用の穴とエアコン専用コンセントがある、隠ぺい配管ではない、といった条件が並んでおり、この前提から外れた分がそのまま追加費用になります。
| 公開されている料金 | 金額 | 条件・注記 |
|---|---|---|
| エアコン移設工事(取り外し+取り付けセット) | 通常13,200円(税込)/セット特価9,000円〜(税込9,900円〜) | 既存の部材を再利用する場合。運搬は基本料に含まれない。本体が5.0kW以上(目安18畳用以上)は基本料が変わる |
| エアコン取り外し工事のみ | 5,000円〜(税込5,500円〜) | 同上 |
| エアコン取り付け工事のみ | 7,000円〜(税込7,700円〜) | 同上 |
| 作業時間の目安 | 取り外し30分程度/取り付け1時間30分〜2時間程度 | それぞれが基本工事の場合として同ページに記載 |
出典:株式会社エレホーム「エアコン移設工事(引越しなど)9,000円(税込9,900円)!費用相場と依頼方法」(2026年8月時点。同社は大阪府枚方市に本社を置き、対応地域が限られます。地域やエアコンの容量・工事環境によって料金が変わる旨が同ページに注記されています)
「運搬費は別」がいちばんの落とし穴
上の表で押さえておきたいのが、エアコンの運搬は基本料に含まれておらずオプション扱いという一文です。工事業者の「移設◯円〜」という表示は、たいてい取り外しと取り付けの工賃を指します。旧居から新居へ運ぶ手段を自分で用意するか、別料金で頼むかは、その外側の話になります。
一方、引越し会社に頼むとこの運搬費が引っ越し料金に吸収されます。日本通運のNXの国内引越サービスは、エアコン工事のオプションとして「お得なエアコンパック工事」を用意し、エアコン取り外し・取り付け(標準工事)、配管必要量、ガス補充・ガスチャージ、電圧切替(100V ⇔ 200V)、プラスチックブロック、コンセント交換・延長、室内機吊金具、穴埋プレートをパックに含めると案内しています。
同ページは含まれない主な工事として、専用電気配線、室外機設置金具(壁面・屋根置き・公団吊・二段置き等)、鉄筋貫通工事、窓パネル設置、化粧カバー、隠蔽配管工事、高所作業等は別途見積もりになるとしています。どちらの依頼先も、線の引き方は違っても「標準の外側は別料金」という構造は同じです。
出典:日本通運「エアコン工事 オプションサービス|NXの国内引越サービス」(2026年8月時点。同ページに金額の記載はありません)
追加費用になりやすい6つの条件|配管・化粧カバー・穴あけ・室外機・コンセント・電圧

追加費用が出るかどうかは、ほぼ新居側の条件で決まります。旧居は「今ある状態を外す」だけですが、新居は壁・室外機の置き場所・電源がそれぞれ違うからです。公開されている金額を、条件と出典をそろえて並べました。
| 追加になる条件 | 発生する理由 | 公開されている金額 |
|---|---|---|
| ①配管の交換・延長 | 今の配管が傷んでいる/新居では室内機と室外機の距離が伸びる | エレホーム 2分3分1mあたり4,400円〜・2分4分1mあたり5,500円〜(税込)/くらしのマーケット 1mあたり3,000円〜4,000円(税表記なし) |
| ②化粧カバーを付ける | 配管をむき出しにしたくない/外壁側の耐久性を上げたい | エレホーム 室外2m基本セット8,800円〜・室内16,500円〜(要見積もり・いずれも税込)/くらしのマーケット 室内配管化粧カバー5,000円〜1.5万円(税表記なし) |
| ③配管を通す穴あけ | 新居のその部屋に配管穴がない | エレホーム 木造3,300円〜・軽量鉄骨5,500円〜・貫通スリーブ3,300円〜(税込)/くらしのマーケット 3,000円〜1.8万円(税表記なし) |
| ④室外機を平地・ベランダ以外に置く | 置き場所がなく天吊り・屋根置き・壁掛け・二段置きにする | エレホーム 取り外し側5,500円〜、取り付け6,600円〜(二段置き)・7,700円〜(天吊り等)、金具込み16,500円〜・二段置き金具込み19,800円〜(税込)/くらしのマーケット 7,000円〜2.7万円(税表記なし) |
| ⑤エアコン専用コンセントの増設 | 新居のその部屋に専用回路のコンセントがない | エレホーム 10m迄の露出配線の場合13,200円〜(税込)/くらしのマーケット 1.3万円〜1.5万円(税表記なし) |
| ⑥電圧の切り替え・コンセント形状の変更 | 100Vと200Vが合わない/プラグの形が合わない | エレホーム 電圧切り替え3,300円〜・コンセント交換3,300円〜(税込)/くらしのマーケット 2,000円前後(税表記なし) |
出典:株式会社エレホーム「エアコン工事の追加費用のご案内」(税込・対応地域と現場条件により変動)/くらしのマーケット「エアコンの移設費用を安く抑える2つのコツ」(同ページに税込・税抜の表記はありません)。2026年8月時点で当メディア編集部が両ページを確認しました。会社ごとに条件の切り方が違うため、金額をそのまま比較せず、自分の家でどれが起きるかを数えるほうが実務的です
なお、新しく本体を買って取り付ける場合の標準工事費や、家電量販店の工事料金の考え方は、取り付け費用を扱った記事にまとめています。移設は「今ある機械を動かす」工事なので、そちらとは料金表の作りが異なります。
2階と1階に分かれる・高いところに置くとき
新居で室内機を2階、室外機を1階に置くような配置になると、配管が一気に伸びます。上の表の①がまとめて効いてくる場面で、さらに高所作業の扱いになる場合もあります。日本通運も高所作業等は別途見積もりと明記しており、階をまたぐ配置は事前見積もりの対象になりやすいと考えておくとよいでしょう。
室外機の置き場所も同じです。ベランダの床に平置きできればいちばん安く済み、天井から吊る・壁に付ける・2台重ねるといった形になるほど金具と作業の分が積み上がります。くらしのマーケットは、設置器具を使い回す場合は追加料金が1万円以内で収まることもあると案内しています。新居に前の入居者の金具が残っているなら、写真を撮って見積もり時に見せてください。
今の配管はそのまま使える?|メーカーと業界団体の記載

移設の見積もりで金額が動きやすいのが、配管を再利用できるかどうかです。ここは現物を見た施工者でないと判断できない領域で、記事や電話の段階で「使える/使えない」と決めることはできません。公開されている記載を並べておきます。
エアコンのよくあるご質問を掲載しているメーカーサイト「日立の家電品」(運営=日立グローバルライフソリューションズ株式会社)は、既設配管(隠蔽配管を含む)は再利用できるとしたうえで、条件として配管厚が0.8mm(JIS規格の配管)であること、配管径が新しいエアコンと一致していることを挙げています。注意事項として同ページが挙げているのは、古いエアコンを取り外す際に必ずポンプダウンを行って冷媒・冷凍機油を回収すること、フレアを新冷媒対応に再加工すること、配管工具はR32またはR410A用を使うことなどです。冷媒がR22・R410A・R32のいずれの場合も再利用できるとしつつ、これらの条件・注意事項をすべて守ることが前提だと補足されています。なお、一部の機種では接続配管径の仕様が異なるとも書かれており、機種ごとに結論が変わりうる点は同ページ自身が示しています。
一方、家庭用エアコンの施工上のポイントをまとめた一般社団法人日本冷凍空調工業会のページには、次の一文が置かれています。「R22機種をR410AおよびR32機種と取り替える場合は、冷媒の化学的特性および冷凍機油が異なりますので、新規の冷媒配管をご使用ください。」
この2つは矛盾しているわけではなく、前者は条件をすべて満たした場合の話、後者は冷媒の世代をまたいで機種を入れ替える場合の指針、と読み分けるのが自然です。いずれにせよ判断材料は配管の厚み・径・状態と機種の仕様であり、読者が自分で決められる項目ではありません。見積もりのときに「配管は再利用の想定か、新規交換の想定か」を確認し、交換になった場合の金額まで聞いておくのが現実的な備え方です。
出典:日立の家電品「エアコンの配管は再利用できますか?」(エアコンのよくあるご質問。特定の機種名の指定はなく、詳しくは購入した販売店へ問い合わせるよう同ページは案内しています)/一般社団法人日本冷凍空調工業会「冷媒HFC(R410AおよびR32)採用機種の施工上のポイント」(家庭用エアコン)(いずれも2026年8月時点)
引っ越しとまとめて頼むか、エアコンの工事業者に頼むか


移設を頼める先は、大きく3種類あります。くらしのマーケットは、引っ越しに伴って移設したいなら引越し事業者、同じ建物内での移設ならエアコン取付事業者、中古のエアコンを譲り受けるならエアコン取付事業者か運送会社、と状況別の目安を示しています。引っ越しに伴う移設なら、まずは引越し会社が工事を扱っているかを聞くのが早道です。
ただし当メディア編集部が主要な引越し会社の公式ページを2026年8月時点で確認したところ、工事オプションの案内はあっても金額を掲載している会社は多くありませんでした。アート引越センターはオプションサービスのページで「各種電気工事」としてエアコンの取り外し・取り付けなどの電気設備工事を扱うと記載していますが、料金の記載はありません。前述の日本通運も、パックに含む工事の一覧はあるものの金額は載せていません。
数少ない公開例として、ファミリー引越センター(株)はオプショナルメニューのページで、エアコン脱着工事を15,400円(税込)〜、エアコンのみの依頼も可と掲載しています。同社は東京・埼玉・神奈川・千葉を営業エリアとしており、全国一律の相場ではありません。金額が非公開の会社が多いということは、比較は見積書を並べる段階でしかできないということでもあります。
出典:アート引越センター「アートならではの豊富なオプションサービス」/ファミリー引越センター(株)「オプショナルメニュー」(いずれも2026年8月時点。ファミリー引越センターの金額は税込表記)
引っ越し自体の見積もりと工事オプションはセットで動きます。エアコンの台数と設置状況を最初に伝えたうえで複数社から見積もりを取ると、工事分を含めた総額で比べられます。一括見積もりサービスを使えば、同じ条件を一度入力するだけで各社に伝わるので、エアコンの条件を何度も説明し直す手間が省けます。
運搬だけ別に頼むときに確認すること
工事は工事業者、運搬は宅配系のサービス、と分けることもできます。この場合は運搬側のルールを先に読んでください。家具・家電を1点から運べる配送サービス「家財おまかせ便」の公式ページ(008008.jp)は、エアコン(室内機と室外機)は一緒に購入したものでも商品別に査定を行い、それぞれ料金が発生すると案内しています。1台のエアコンでも2件分の運賃になる、ということです。
さらに同ページは、エアコンや照明器具は取り外しが済んでいない場合は運べないこと、取り外し・取り付けの希望があればサービス側で手配が可能(有料)であること、その場合は手配までに日数がかかり希望の引き取り日に添えない場合があることを記載しています。安く分けたつもりが日程で詰むというのがこの分け方の典型的な失敗なので、工事日と集荷日の順番を先に組んでおきましょう。
出典:「家具家電配送サービス『家財おまかせ便』《公式HP》」(008008.jp)(2026年8月時点。一部地域ではパートナー企業が作業を担当する旨が同ページに注記されています)
ポンプダウン・冷媒・電気工事は業者の領域|自分で外さない

費用を抑えたい気持ちから「自分で外して自分で付けられないか」と考える方がいますが、本記事では作業の手順を扱いません。エアコンの中には冷媒(フロン類)が入っており、取り外しの際にこれを室外機側へ回収する作業(ポンプダウン)が必要です。手順を誤れば冷媒が大気へ出ていき、機械側にも戻せない不具合が残ります。
法律上の位置づけも押さえておきましょう。日立の家電品のエアコンのよくあるご質問は、フロン排出抑制法の対象となるエアコンは業務用のエアコンで冷媒にフロン類が使用されているもの(第一種特定製品)であり、家庭用のエアコンは対象外だと説明しています。家庭用機に冷媒の管理義務がないという意味ではなく、家庭用は家電リサイクル法の枠組みで処理される、という整理です。
電気まわりはもっとはっきりしています。経済産業省は「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」で、家庭用エアコンの設置工事を事業として行うには電気工事業法にもとづく手続(登録又は届出)が要ると案内しています。どの作業に電気工事士の免状が要るかは、工事の中身ごとに分かれるという整理で、資格のない人にその作業をさせることも禁じられている点まで同ページは触れています。
つまり読者にできるのは、作業そのものではなく依頼先が電気工事業の登録を受けているかを確かめることです。見積もりを取るときに、登録番号や担当者の資格の有無を聞いて答えが返ってくるかどうかは、それ自体がひとつの判断材料になります。取り外しだけを単独で頼む場合の費用と段取りは、別記事で扱っています。
出典:経済産業省「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」/日立の家電品「『フロン排出抑制法』について知りたいです。」(いずれも2026年8月時点)
移設せず買い替えたほうがよい場合|年数と部屋の広さ

「移設はやめたほうがいい」という言われ方をするのは、たいていこの2つの条件に当てはまるときです。くらしのマーケットは、移設か買い替えかの判断のポイントを製造年数と移設先の部屋の広さの2つに整理しています。
| 状況 | 示されている選択 | 理由として挙げられていること |
|---|---|---|
| 製造から5年以内 | 移設 | まだ長く使えるため、移設した方が安上がり |
| 製造から10年以上 | 買い替え | 寿命が近く、移設後の故障リスクが高い |
| 移設先の部屋が広くなる | 買い替え | 能力不足で冷暖房が効かず、電気代が上がる可能性大 |
出典:くらしのマーケット「【移設】より【買い替え】がおすすめな例」(2026年8月時点で確認)。あくまで一般的な目安で、機種の状態や使い方によって変わります
同ページは、製造から10年近く経った機種を移設する場合のリスクとして、移設後に本体が壊れても経年劣化とみなされて修理費が自己負担になりやすいこと、修理用部品の保有が終わっていて直せないケースがあることを挙げています。移設費用そのものより、移設した先で使い続けられる期間のほうが判断材料になるということです。
買い替えを選んだ場合、古いエアコンは家電リサイクル法の対象品目なので自治体の粗大ごみには出せません。処分の手順とリサイクル料金の考え方、引っ越しに伴う家電全体の仕分けは、それぞれ専用の記事にまとめています。
見積もりで伝えると当日の追加が減る5つのこと

当日に金額が跳ねるのは、見積もりの時点で情報が足りていないからです。くらしのマーケットが掲載しているエアコン工事の事業者への取材は、見積もりに必要なものとして、今の設置状況が分かる室内・室外の写真、エアコンの型番の情報、移設先の設置場所の室内・室外の全体が分かる写真を挙げています。次の5つを揃えて送るだけで、話が一段速くなります。
1エアコンの型番と製造年を控える
室内機の右側や前面パネルの内側にあるシールで確認できます。配管径や必要な電源はここから確認できるため、最初に伝える情報です。
2旧居の室内機と室外機を写真に撮る
室内機の周囲、配管が壁を抜けている部分、室外機の置き方が分かる引きの写真を撮ります。配管カバーの有無も写しておきます。
3新居の設置予定場所を室内・室外の両方から撮る
配管穴の有無、コンセントの位置と形、室外機を置けるスペースが分かるように撮ります。新居にまだ入れない場合は、不動産会社や管理会社に撮影をお願いする方法があると、くらしのマーケットの同じ記事が紹介しています。同記事は、それが難しければマンションはエアコン設置要領書、戸建ては図面があれば見積もりできる場合があるとも説明しています。
4室内機から室外機までのおおよその距離を測る
配管の延長が要るかどうかの目安になります。壁を抜けてから室外機までを、メジャーか歩幅でかまいませんので伝えられる形にしておきます。
5追加工事まで含めた総額で見積もりを出してもらう
くらしのマーケットも、基本料金の安さだけで選ぶと総額で高くなることがあるとして、追加工事まで含めた最終的な支払額を確認するよう案内しています。可能なら書面かメッセージで残しましょう。
エアコンの移設費用についてよくある質問(FAQ)
※本記事の料金・条件は2026年8月時点で各社の公開ページを確認したものです。地域・現場の状況・機種によって変わり、掲載後に改定される場合があります。実際の金額と作業範囲は、依頼先から受け取る見積書の記載をご確認ください。
まとめ
引っ越しに伴うエアコンの移設費用は、取り外し・運搬・取り付けの3つの足し算で決まります。追加工事がなければ2万円台〜3万円台後半が公開されている相場ですが、配管の延長・化粧カバー・穴あけ・室外機の設置形態・専用コンセント・電圧の6つのどれかが当てはまると、そこから1〜2万円ほど上振れします。
依頼先は、運搬まで任せられる引越し会社、工賃が抑えやすいエアコンの工事業者、その中間の運送会社という3択です。金額を公開していない会社が多いため、比較は見積書を並べる段階で行うことになります。賃貸なら管理会社への連絡が先、製造から10年前後の機種なら買い替えとの比較も——この2つを先に片づけてから、見積もりを取りに行きましょう。