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引っ越しの荷ほどきや役所の手続きがひと段落すると、つい後回しになるのが銀行の住所変更です。「給料は問題なく振り込まれているし、急がなくてもいいのでは」と感じて、旧住所のまま何か月も過ぎてしまうケースは珍しくありません。
結論からいうと、銀行の住所変更をしなくてもすぐに罰則があるわけではありません。ただし放置すると、銀行からの重要なお知らせが受け取れない、お客さま情報の確認に回答できず取引が制限される場合がある、といった実害につながる可能性があります。これは推測ではなく、各銀行や金融庁が公式に案内している内容です。
この記事では、当メディア編集部が三菱UFJ銀行・三井住友銀行・ゆうちょ銀行の公式サイトと、政府広報オンライン・金融庁の公開情報を調査し、住所変更をしないと起こりうること・手続きの期限・アプリや窓口でのやり方・複数口座の棚卸しのコツを整理しました。


【一言でいうと】銀行の住所変更をしないとどうなる?

一言でいうと、銀行の住所変更をしないままでも口座が即座に凍結されたり罰金を科されたりすることはありませんが、銀行からの郵便物・重要なお知らせが旧住所に送られ続け、受け取れなくなるのが最大の問題です。そこから、お客さま情報の確認に回答できず取引が制限される場合がある、長期間放置した口座が休眠預金等の扱いになる、といった二次的な影響が生まれます。
まず、放置すると起こりうることを早見表で押さえましょう。いずれも各機関の公式ページに実際に記載されている内容です。
| 起こりうること | どうして起こるか | 根拠となる公式案内 |
|---|---|---|
| 重要なお知らせが届かない | 郵便物が旧住所宛てに送られるため | 三井住友銀行の住所変更ページの注意事項 |
| 取引が制限される場合がある | お客さま情報確認の郵便物に期限内に回答できないため | 政府広報オンライン・金融庁 |
| 休眠預金等の扱いになり得る | 10年以上取引のない預金等が対象(案内にも気づきにくい) | 金融庁(休眠預金等活用法) |
※2026年7月の執筆時点で各公式ページに掲載されている案内を当メディア編集部が整理したものです。
銀行の住所変更はなぜ必要?しないと起こりうる3つのこと
「なぜ銀行にまで新住所を届け出る必要があるのか」を知っておくと、後回しにするリスクを実感しやすくなります。起こりうることを3つに分けて見ていきましょう。

①銀行からの重要なお知らせ・郵便物が届かなくなる
株式会社三井住友銀行は住所・電話番号の変更ページの注意事項で、引越し等で住所が変わった際は早めに変更手続きをするよう求めたうえで、手続きをしない場合は同行からの重要なお知らせが届けられない場合があると明記しています。郵便物には取引に関わる通知や案内が含まれるため、受け取れない状態が続くこと自体がリスクです。
「困っていないから大丈夫」に見えるのは、届いていない郵便物の存在に気づけていないだけ、という可能性もあります。
②お客さま情報の確認に回答できず、取引が制限される場合がある
銀行は口座開設時だけでなく、その後も定期的に顧客の情報を確認しています。政府広報オンラインの記事によると、金融機関はマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐため、「お客さま情報ご提供のお願い」「お取引目的等確認書」といった封書やはがきを送って定期的な確認を行っており、期限内に回答がないと取引が制限される場合があるとされています。こうした確認は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)に基づく取引時の確認や、国際基準を踏まえた継続的な顧客管理の一環として行われている、制度上の仕組みです。
問題は、住所変更をしていないとこの確認書類そのものが手元に届かないことです。金融庁も確認手続きへの協力を呼びかけるページで、引越し等で住所が変わった場合に金融機関への住所変更の届出が行われていないと、こうした郵便物が手元に届かないことがあるとして、必ず住所変更の手続きをするよう案内しています。回答しないと制限の可能性がある郵便物を、受け取れない状態のまま放置してしまう——これが住所変更をしない場合のいちばん現実的なリスクといえます。
実際にどのような制限がかかるか、かかるまでの期間や運用は銀行によって異なります。確認書類が届いたら期限内の回答を、住所が変わったら先回りの届出を、が基本です。
③長期間放置した口座が休眠預金等の扱いになり得る
使っていない口座を旧住所のまま何年も放置すると、別の制度も関わってきます。金融庁の休眠預金等活用法の案内ページでは、2009年1月1日以降の取引から10年以上取引のない預金等(休眠預金等)は民間公益活動に活用されるとされています。同ページは、通帳やキャッシュカードの所在とあわせて、金融機関に届け出た住所やメールアドレスに変更がないかを確認するよう呼びかけています。
なお、休眠預金等となった後も、引き続き取引のあった金融機関で引き出すことは可能と明記されているため、預金がなくなってしまうわけではありません。とはいえ、住所変更をしていないと銀行からの案内に気づく機会を失いやすく、口座の存在自体を忘れてしまう入り口になります。
銀行の住所変更はいつまで?期限とタイミング

役所の転入届には「転入した日から14日以内」という法律上の期限がありますが、編集部が各行公式サイトと公的機関の案内を調べた範囲では、銀行の住所変更に「何日以内」という全銀行共通の法定期限を定めた案内は見当たりませんでした。各行は期限を切る代わりに、三井住友銀行の前掲ページのように「住所が変わったら早めに」という形で手続きを求めています。
現実的なタイミングとしては、役所での転入手続きと運転免許証などの住所変更を済ませ、新住所を証明できる書類がそろった段階でまとめて着手するのがスムーズです。引っ越し後2週間〜1か月以内を自分の締め切りにしておくと、お客さま情報の確認書類や各種通知が旧住所に送られ続ける期間を最小限にできます。
引っ越し前に銀行の住所変更はできる?
「引っ越し前に済ませてしまいたい」という声もありますが、銀行の住所変更では変更後の住所を確認できる書類の提示やアップロードを求められる場合があります。実例として、ゆうちょ銀行の窓口手続きでは新住所の記載のある公的書類が必要とされており、三井住友銀行もSMBCダイレクトでの住所変更時にマイナンバーカードの読取や本人確認書類等のアップロードが必要となる場合があると案内しています。
つまり、引っ越し前の旧住所の書類しかない段階では手続きできないことがあるため、住民票を移し、本人確認書類の住所を変えてから銀行に届け出る順番が確実です。受付の可否や必要書類は銀行と手続き方法によって異なるので、事前に取引銀行の公式サイトで条件を見ておきましょう。
銀行の住所変更のやり方|アプリ・ネット・窓口・郵送の流れ

手続きのチャネルはアプリ・インターネットバンキング・窓口・郵送の4つが基本形ですが、どれが使えるかは銀行によって異なります。たとえば三井住友銀行の案内ページではアプリ・窓口の手続きが案内されており、ゆうちょ銀行は住所移転届書による郵送手続きに対応しています。全体の流れを5ステップで整理します。
1手元の銀行口座をすべて棚卸しする
通帳・キャッシュカード・スマホのアプリ・銀行からのメールを手がかりに、給与口座以外も含めて口座を書き出します。学生時代に作った口座やネット銀行の口座が漏れやすいポイントです。
2銀行ごとの手続き方法を公式サイトで調べる
アプリ・ネット・窓口・郵送のどれに対応しているかは銀行ごとに違います。投資信託などの取引があるとオンラインでは手続きできない場合もあるため、自分の取引内容で使えるチャネルを確かめます。
3必要なものをそろえる
オンラインなら新住所の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)とアプリの認証手段、窓口なら通帳・お届け印・本人確認書類が典型例です。必要なものは銀行とチャネルで異なります。
4生活への影響が大きい口座から手続きする
給与振込・家賃や公共料金の引き落としに使っている口座を最優先に、順番に手続きします。アプリ対応の銀行なら1口座あたり数分で完了する案内もあり、まとめて片付けやすくなっています。
5変更の反映と残りの口座を確認する
手続き後は登録住所が新住所に変わったかをアプリや通知で確認します。同じ銀行でも投資信託口座などは別途手続きが必要な場合があるため、口座の種類ごとの案内も見ておくと安心です。
三菱UFJ・三井住友・ゆうちょ銀行の住所変更の公式案内

実際の手続きイメージがつかめるよう、利用者の多い3行の公式案内を見てみましょう。いずれも2026年7月の執筆時点で各行の公式ページに掲載されている内容で、詳細な条件は変わることがあります。
三菱UFJ銀行|アプリ・ネットなら24時間365日
株式会社三菱UFJ銀行の住所・電話番号変更ページでは、インターネットバンキング(三菱UFJダイレクト)で約3分、かんたん手続アプリで約5分、そのほかAIRPOSTや窓口での手続きが案内されています。オンラインの方法は24時間365日手続きでき(毎月第2土曜日の夜間などを除く)、インターネットバンキングの契約がなくてもアプリで手続きできるのが特徴です。
一方で、投資信託や債券(公共債)、財形預金などの取引がある場合はアプリやネットで住所変更できないケースも列挙されており、その場合は別の方法になります。窓口ではマイナンバーの届出もあわせて案内されています。
三井住友銀行|アプリまたは窓口(郵送は取り扱いなし)
株式会社三井住友銀行の前掲ページでは、三井住友銀行アプリでの手続きと窓口での手続きが案内されています。アプリで手続きするには、事前にSMBCセーフティパスの登録またはワンタイムパスワードの有効化が必要です。三井住友カード(Vpass)のアカウントが連携されたSMBC IDを使っている場合は、アプリでの一度の手続きで三井住友カードの住所情報もあわせて更新されると説明されています。
注意点として、マル優・財形・金融商品仲介などの利用者はインターネットバンキングでは手続きできず窓口になることが明記されています。
ゆうちょ銀行|すべての口座に手続きが必要・郵送にも対応
株式会社ゆうちょ銀行の住所・氏名・印章の変更ページでは、変更手続きは総合口座のほか、(自動積立)定額定期貯金・投資信託口座・国債口座等、すべての口座に対して必要と案内されています。ゆうちょダイレクトやゆうちょ通帳アプリ・ゆうちょ手続きアプリでの住所変更は総合口座のみの取り扱いで、窓口では通帳・お届け印・新住所の記載のある本人確認書類を用意します。郵送の場合は住所移転届書を作成して手続きします。
また、投資信託口座・国債口座の住所・氏名変更の手続きがない場合、「特定口座年間取引報告書」等が手元に届かなくなることがあるとの注意書きもあります。貯金だけでなく投資信託・国債の口座を持っている人は、追加のマイナンバー書類も含めて窓口手続きの条件を確認しておきましょう。
銀行の住所変更でやりがちな失敗|忘れやすい口座の棚卸し

手続き自体は難しくありませんが、「全口座を漏れなく」の部分でつまずく人が目立ちます。編集部が各行の案内を調べるなかで見えた、ありがちな失敗を挙げます。
- 給与口座だけ変えて満足してしまう:昔のバイト代の受取口座、ネット銀行、定期預金だけの口座などが旧住所のまま残りがち。使っていない口座ほど放置期間が長くなり、休眠預金等への入り口になります
- 投資信託・国債口座の手続き漏れ:ゆうちょ銀行の案内のように、貯金とは別に手続きや追加書類が必要な場合があります。報告書類が届かなくなる原因にもなります
- お届け印がどれか分からないまま窓口へ行く:窓口手続きでは通帳とお届け印が必要な銀行があります。印鑑が特定できないと二度手間になるため、事前に確かめておきましょう
- 氏名変更と同時のケースで書類不足:結婚などで姓も変わっている場合、新旧の氏名・住所を確認できる書類が追加で必要になることがあります
- 進捗を管理せず、どこまで済んだか分からなくなる:口座の一覧メモを作り、「済み・未了」を付けながら進めると漏れを防げます
なお、クレジットカード・証券会社・保険なども住所変更が必要な代表的な手続きです。銀行口座の棚卸しと同じ一覧メモに載せて、まとめて片付けてしまいましょう。
銀行以外の住所変更もまとめて済ませる|役所・郵便局

銀行の住所変更は、引っ越しの手続き全体のなかでは「役所の後」に位置づけるとスムーズです。転出届・転入届と、マイナンバーカードや運転免許証の住所変更を済ませれば、銀行に提示する新住所の証明がそろうからです。
また、郵便局の転居届(転送サービス)を出しておくと旧住所宛ての郵便物を新住所で受け取れますが、転送は期限のあるサービスで、銀行に登録された住所そのものが変わるわけではありません。転送に頼って住所変更を先延ばしにせず、転送期間のうちに各行の手続きを終える、という使い方が安全です。
役所で行う転出・転入手続きの順番と必要書類、転出証明書のもらい方は、こちらの記事で詳しく整理しています。
銀行の住所変更のよくある質問(FAQ)
※本記事は2026年7月の執筆時点で各銀行・政府広報オンライン・金融庁が公開している案内をもとにした一般的な情報です。個別の口座の取り扱い・必要書類・手続きチャネルは銀行や取引内容によって異なり、改定されることもあります。実際の手続きの際は、お取引のある各銀行の公式サイトでご確認ください。
まとめ
銀行の住所変更をしなくてもすぐに罰則はありませんが、重要なお知らせが届かない、お客さま情報の確認に回答できず取引が制限される場合がある、長期放置で休眠預金等の扱いになり得る——と、静かに進む実害があります。法定の期限がないからこそ、引っ越し後2週間〜1か月以内を自分の締め切りにして動くのがおすすめです。
手順は「口座の棚卸し→銀行ごとのチャネル確認→必要書類の準備→影響の大きい口座から手続き」の順。アプリなら数分で終わる銀行もあります。役所と免許証の手続きで新住所の証明がそろったタイミングで、使っていない口座まで含めて一気に片付けてしまいましょう。