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ヤモリの駆除は必要?家の中に来る理由とイモリ・トカゲとの違い

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夜、玄関灯のそばや窓ガラスに、指の先が丸い小さな生きものが張り付いている。噛みつく様子はないけれど、毎晩いるとやはり気になる。「ヤモリ 駆除」で検索して、殺虫剤や粘着シートの話にたどり着いたところで手が止まった——という声をよく聞きます。

先にお伝えします。ニホンヤモリは、公的機関の資料でも「駆除する相手」ではなく「灯りと餌の結果」として説明されている生きものです。国立環境研究所の侵入生物データベースは、防除方法の欄に「建造物に広く分散して生息し,かつ素早いために効率よく駆除することは困難.灯火の近くでよく見られる習性に着目して夜間捕獲をくり返すことが現実的.」と書いています。つまり同データベースは夜間捕獲の反復を現実的な手として挙げているのですが、本記事では後述する法律の線引きから捕獲そのものは扱いません。注目したいのは「灯火の近く」という前半で、同じページの生態の欄がその理由も書いています。ヤモリは、灯りに集まる虫を追って建物に来ているからです。

この記事では、①壁にいたのがヤモリかイモリかトカゲかを見分ける ②何を食べに来ているのか ③なぜ夜の窓に集まるのか ④法律ではどう書かれているのか ⑤今日できることは何か ⑥超音波やハッカ油に裏づけはあるのか、を環境省・国立環境研究所・三鷹市・大磯町郷土資料館・福岡県・愛媛県の公開資料と、e-Gov法令検索の条文で確認しています。法令の当てはまりは、条文と自治体の記載の範囲でまとめました(※2026年8月時点)。

なお、この記事には殺虫剤や凍結スプレーの使い方、粘着シートでの捕まえ方は書きません。この記事が扱うのを「屋外に出す・すき間をふさぐ・餌になる虫を減らす」までにとどめるのは編集部の判断で、生きものの扱いに法律の線引きが関わることが理由です。(国立環境研究所は夜間捕獲を現実的な手として挙げていますが、本記事では扱いません。)体調に関わる判断も扱いません。

読者
夜になると玄関の灯りのところに必ずいます。害はないと聞くのですが、家の中にも入ってきていて、駆除したほうがいいのか迷っています。
編集部
迷ったときは、順番を入れ替えると楽になります。「ヤモリをどうするか」ではなく「その灯りに何が集まっているか」から見る順番です。ヤモリは虫を追って来ているので、虫の側が減れば、居着く理由のほうが先に消えます。

【一言でいうと】ヤモリは「駆除」より、灯りと餌を減らすほうが早い

先に答えをまとめます。家のまわりで見かけるニホンヤモリに対して、公的資料が示している対処は、薬剤で減らすことではありません。屋外の灯り、その灯りに集まる虫、そして建物のすき間——この3つを減らすと、来る理由のほうが先になくなります。国立環境研究所は、建造物に広く分散して生息し動きが速いため「効率よく駆除することは困難」だと書いており、代わりに着目しているのが「灯火の近く」という習性です。

もう一つ、判断の土台になるのが法律の位置づけです。ヤモリは爬虫類なので、鳥獣保護管理法の「鳥獣」には入りません。ただし「だから何をしてもよい」という話にもならず、別の法律の線引きが関わってきます。この記事では条文をそのまま引いて、その線引きがどこにあるのかまでを示します。

ヤモリは灯りに集まる虫を追って家に来るの図解
当メディア編集部作成
知りたいこと 資料が書いていること 最初の一手 出典
壁にいたのは何か 夜行性で指の先が丸ければヤモリ。昼に動いていて、うろこに光沢があればトカゲ 「昼に見たか、夜に見たか」から絞る 3種の書き分け=福岡県「身近な生きもの図鑑」ニホンカナヘビの「その他」欄
なぜ家のまわりにいるのか 夜行性で、昆虫を捕食するために灯火の近くで見ることが多い 屋外照明を見直す 生態的特性=国立環境研究所 侵入生物データベース「ニホンヤモリ」生態的特性の項
何を食べているのか クモやワラジムシなどの虫/昆虫などの小型無脊椎動物/光に集まるガなど 屋外の虫を減らす クモ・ワラジムシ=環境省 皇居外苑「家を守るヤモリ」/小型無脊椎動物=国立環境研究所(同上)食性の項/ガ=大磯町郷土資料館「こんなところに… ヤモリの卵」
駆除できるのか 広く分散して生息し素早いため効率よく駆除することは困難。夜間捕獲の反復を現実的な手として挙げている 本記事は捕獲を扱わず、灯りと餌の側を変える手だけを扱う(編集部の判断) 防除方法=国立環境研究所 侵入生物データベース「ニホンヤモリ」防除方法の項
法律で守られているのか 鳥獣保護管理法の「鳥獣」は鳥類と哺乳類。爬虫類は「人が占有している」場合に愛護動物に含まれる 条文を確かめたうえで判断する 鳥獣の定義=e-Gov法令検索 鳥獣保護管理法 第二条第一項/愛護動物の範囲=e-Gov法令検索 動物愛護管理法 第四十四条第四項第二号
壁の白い粒は卵か 1センチ以上あり、はがすとパリッと割れる硬い殻。5~7月に産卵 触らず、場所と時期を控えておく 大きさ・時期・付着=大磯町郷土資料館「こんなところに… ヤモリの卵」
忌避グッズは効くのか ヤモリへの効果を確かめた記載は、今回確認した資料の中にはなかった 灯り・餌・すき間を先にやる 今回確認した公的資料6件(本文「超音波・ハッカ油」の項に一覧)に該当記載なし

表の「出典」欄は、その行のどの値をどの資料が書いているかを分けて示しています(※2026年8月時点)。まずは自分の見た生きものがどの行に当てはまるかを決めてから、先を読み進めてください。

壁にいたのはヤモリ?イモリ・トカゲ・カナヘビとどこが違うのか?

住宅の玄関まわりの様子
写真はイメージです

体の色から入ると迷います。国立環境研究所はニホンヤモリの背面について、灰褐色だが短時間で濃褐色から淡灰色まで著しく変化する、という趣旨の説明をしています。色ではなく、「昼に見たか夜に見たか」「うろこが光るか」「指の先が丸いか」の3点で分かれます。

この3点をひとつのページで書き分けているのが、福岡県の「身近な生きもの図鑑」ニホンカナヘビの「その他」欄です。「ニホンカナヘビは鱗がザラザラしていて光沢がなく、スマートな体つきをしています」「ニホントカゲは鱗がスベスベで光沢があり、ずんぐりむっくりな体系をしています」「幼体は尾に鮮やかなメタリックブルーの模様があります」と並べたうえで、「ニホンヤモリは夜行性で、指の先が丸く、ガラスなどのツルツルした場所でも止まりやすい形態をしています」としています。窓ガラスに張り付いていた時点で、候補はかなり絞られます。同じページは、身近な環境でトカゲと呼ばれているものについて「大抵がこのニホンカナヘビです」とも書いています。

壁にいたのはヤモリ?うろこ・指先・活動時間で分ける4種の図解
当メディア編集部作成
候補 分類 活動時間 体の決め手 資料が記す居場所 出典
ニホンヤモリ 爬虫綱 有鱗目 トカゲ亜目 ヤモリ科 夜行性 指の先が丸く、ガラスでも止まりやすい 木造家屋を中心とした建造物 夜行性・指先=福岡県「身近な生きもの図鑑」ニホンカナヘビの「その他」欄/分類群・生息環境=国立環境研究所 侵入生物データベース「ニホンヤモリ」分類群と生息環境の項
ニホンカナヘビ 爬虫類・カナヘビ科 昼行性 鱗がザラザラで光沢がなく、体つきがスマート 人家の庭や公園、草地 分類・鱗・体つき=福岡県「身近な生きもの図鑑」ニホンカナヘビの「名前」「その他」欄/活動時間・居場所=同「生態」欄
ニホントカゲ 爬虫類(トカゲの仲間) 昼行性 鱗がスベスベで光沢あり。幼体は尾がメタリックブルー 今回確認した資料に記載なし 鱗・体つき・幼体の尾・活動時間=福岡県「身近な生きもの図鑑」ニホンカナヘビの「その他」欄/トカゲが爬虫類であること=三鷹市「ニホンヤモリ(守宮、家守、屋守)」
アカハライモリ 両生類・イモリ科 今回確認した資料に記載なし 背面は黒褐色、腹面は赤〜橙色で黒斑がある。全長70〜140㎜ 低地から山地の水田、池、沼、川など イモリ科・色・全長・居場所=愛媛県レッドデータブック2014 アカハライモリ「種の特徴」/分類群が両生類であること=環境省 第5次レッドリスト カテゴリー新旧対照表(別添資料3)

ニホントカゲの居場所と、アカハライモリの活動時間を「記載なし」としたのは、上に挙げた出典のページ本文を通して読んでも、その項目の記述が見つからなかったためです。空欄にして推測で埋めるより、確認できた範囲を示すほうが役に立つと考えました。

「イモリかもしれない」と思ったら、腹側と居場所で分かれる

名前は似ていますが、イモリは両生類で、ヤモリは爬虫類です。愛媛県レッドデータブック2014のアカハライモリは「背面は黒褐色、腹面は赤〜橙色で黒斑がある」と記し、生息場所を「低地から山地の水田、池、沼、川などに生息する」としています。腹側が赤や橙で、水辺で見たのならイモリの側です。乾いた壁を垂直に登っていたのなら、その時点でイモリの説明とは合いません。

もうひとつ、手ざわりの記述も分かれ目になります。大磯町郷土資料館は、ヤモリについて「その体はひんやりさらりとした肌触りです」と書いています。イモリのように湿ってぬめる感触とは、資料の書きぶりからして別のものです。なお同じ愛媛県のページは、アカハライモリの環境省カテゴリーを準絶滅危惧(NT)としています。名前の似た2種のうち、国のレッドリストに載っているのはイモリのほうだ、という点は後の項でもう一度出てきます。

足の裏の呼び名は、資料によって3通りある

ガラスに張り付けるのは、足の裏の微細な構造によるものです。ところが、その器官の呼び名が資料ごとに違います。環境省 皇居外苑管理事務所は「趾下薄板(しかはくばん)と呼ばれる器官」と書き、国立環境研究所は「指下薄板」、三鷹市は「ヤモリの足の裏は指下板と呼ばれるうろこに覆われています」と書いています。

検索するとどれかにぶつかって「別の生きものの話では」と不安になりますが、いずれも足の裏の吸着にかかわる構造として、同じニホンヤモリについて説明されているものです。表記が3通りあるだけで、指しているものが3つあるわけではありません。資料をあたるときは、この3語のどれで検索するかで見つかる情報が変わる、と覚えておくと早くなります。

ヤモリは家に何を食べに来ているのか?

庭の手入れをする様子
写真はイメージです

「家守」という字のとおり害虫を食べてくれる、という説明はよく見かけます。では公的資料は、具体的に何を食べると書いているのか。環境省 皇居外苑管理事務所の「家を守るヤモリ」(2018年8月20日)は、ニホンヤモリについて「森よりも人の生活環境の近くに棲み、夜行性でクモやワラジムシなどの虫を食べて暮らしています」と書き、別の箇所では「クモやハエなどを食べて暮らすニホンヤモリは、体があまり頑丈ではありません」としています。

国立環境研究所の侵入生物データベース「ニホンヤモリ」(2009年8月10日更新)は、食性を肉食性とし「昆虫などの小型無脊椎動物」と記載しています。大磯町郷土資料館の「こんなところに… ヤモリの卵」(2020年3月4日)は、もっと具体的に「光に集まるガなどを食べてくれます」と書いています。

ここで一つ、よく見る説明とのずれがあります。「ヤモリはゴキブリや蚊を食べてくれる」という書き方を多く見かけますが、今回確認した公的資料の食性の記述に、その2つは出てきませんでした。環境省 皇居外苑管理事務所・国立環境研究所・三鷹市・大磯町郷土資料館・福岡県・愛媛県の6件を全文で検索しましたが、「ゴキブリ」「蚊」という語自体がいずれのページにもありません。食べないと確認できたわけではなく、裏づけになる公的な記述を確認できなかったという意味です。資料に沿って言えるのは、ヤモリが追っているのは灯りのそばに集まる小さな虫だ、というところまでになります。

だとすると、家のまわりで先に手を打つ相手は、灯りに集まっているその虫のほうです。何が来ているのかを先に見分けておくと、次の一手が決まります。

なぜ夜の窓や玄関灯に集まるのか?

住宅の外観・住まいの様子
写真はイメージです

「灯り→虫→ヤモリ」という順番は、感覚的な話ではなく、国の資料でつなぐことができます。環境省の「光害対策ガイドライン(令和3年3月改訂版)」は、3.1.2 動植物への影響のうち②哺乳類・両生類・爬虫類・鳥類の項で「哺乳類・両生類・爬虫類・鳥類は、走光性をもつ昆虫類などを餌として求めるものも多い」と書いています。爬虫類が、光に集まる虫を餌として求める側にいることが明記されているわけです。

その前の①昆虫類の項では「昆虫類には、蛾類のように光に誘引される走光性の種と、ホタル類のように光を避ける背光性の種がある」とし、対策として「漏れ光の抑制や昆虫の誘引特性が高い波長を含まない照明器具を使用する等の対策が必要である」と述べています。照明の側を変えると、集まる虫が変わる。虫が変われば、それを追ってくる生きものも変わる、という順番です。

波長の数字までは、農林水産省委託プロジェクト研究の「光を利用した害虫防除のための手引き」が示しています。走光性を引き起こす光の項に「多くの昆虫にとって330〜370 nm の紫外領域の波長が、最も誘引性が高いことが明らかになっている」とあります。紫外線をほとんど出さない光源に替える、という広く知られたやり方の根拠は、このあたりにあります(※2026年8月時点。特定の製品の効果を保証するものではありません)。

実際の見え方についても、自治体の記録が残っています。三鷹市の「ニホンヤモリ(守宮、家守、屋守)」(2009年3月1日最終更新)は「気温が高くなって、電灯の光に誘われた蛾や羽虫が自動販売機などに集まるようになってくると、体長10cmほどのヤモリがガラスに張り付いている姿を見かけます」と書いています。国立環境研究所も生態的特性の欄で「昆虫を捕食するために灯火の近くで見ることが多い」としており、灯りが先で、ヤモリが後という順番は複数の資料で一致しています。

ヤモリを駆除していいのか?法律ではどう書かれているのか

リビングでくつろぐ家族
写真はイメージです

「ヤモリは鳥獣保護法で守られているから捕まえてはいけない」という説明を見かけます。この点については、条文がはっきりしています。鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の第二条第一項は、この法律でいう「鳥獣」を「鳥類又は哺乳類に属する野生動物をいう」と定義しています。爬虫類であるヤモリは、この定義には入りません。国立環境研究所の侵入生物データベースも、ニホンヤモリの法的扱いの欄を「特になし」としています。

ただし、そこで話が終わるわけではありません。動物の愛護及び管理に関する法律の第四十四条第四項は愛護動物を定義しており、その第二号は「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」となっています。爬虫類は、「人が占有している」という条件が付いたうえで愛護動物に含まれています。そして同条第一項は「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する」と定めています。

野外にいる個体と、捕まえて手元に置いた個体とで、この「人が占有している」という要件の当てはまりが変わるのかどうか。その点について、環境省が個別の解釈を示した資料は、編集部が今回確認した範囲では見当たりませんでした。ここは記事で断定できる範囲を超えます。この記事は法的な助言ではありませんので、実際の判断が必要な場面では、お住まいの自治体の担当窓口や専門家にご確認ください。

「ニホンヤモリは準絶滅危惧」は、国のリストと県のリストで話が違う

もうひとつ広く見かけるのが「ニホンヤモリは環境省レッドリストの準絶滅危惧だから手を出せない」という説明です。ここは版まで確かめると見え方が変わります。2026年3月17日に公表された第5次レッドリスト(鳥類及び爬虫類・両生類)のカテゴリー新旧対照表(別添資料3)をヤモリ科で拾うと、載っているのはオキナワヤモリ・タカラヤモリ・タシロヤモリ・タワヤモリ・ニシヤモリ・ミナミトリシマヤモリ・ヤクヤモリ・大東諸島のオガサワラヤモリの8件で、ニホンヤモリ(Gekko japonicus)の行はありません。

一方、都道府県のリストでは扱いが違います。「群馬県の絶滅のおそれのある野生動物リスト(2022年改訂版)」の爬虫類の表は、ニホンヤモリの今回評価(2022)を準絶滅危惧、前回評価(2012)を絶滅危惧Ⅱ類としています。「準絶滅危惧」という言葉自体は間違いではなく、どのリストの話かで答えが変わるだけです。お住まいの都道府県のリストは、県の環境部局のページで確認できます。

そのうえで、レッドリストと法的な規制は別の話です。環境省は上の報道発表のなかで「レッドリストに掲載された種には、捕獲規制等の直接的な法的効力が生じるものではありませんが」と明記し、社会への警鐘として広く情報提供する位置づけだと説明しています。載っている・載っていないを、そのまま「してよい・いけない」に読み替えないほうが確かです。

粘着シートでの捕獲を、この記事で扱わない理由

「ヤモリ 駆除 粘着シート」はよく検索されている言葉ですが、この記事では捕まえ方を書きません。理由は2つあります。ひとつは、捕まえた時点で上の「人が占有している」という要件に近づくため、法律の線引きが記事の断定できる範囲を超えること。もうひとつは、公的機関の記述がむしろ逆を向いていることです。

環境省 皇居外苑管理事務所は、ニホンヤモリについて「無毒でその臆病な性格から人に危害を加えない」としたうえで、記事の最後を「見付けても捕まえようとせず観察にとどめてあげてください」と結んでいます。同じ記事は、そもそも室内に入ってきた個体を逃がすために観察した、という書き出しになっています。国の施設側の案内は「捕まえる」ではなく「外に出す」の方向です。家のなかで見かける生きもののうち、害があるかどうかの判断が分かれる相手については、ゲジゲジを扱った記事でも同じ考え方で整理しています。

家に来にくくするために、今日できることは何か?

作業員が住宅で作業する様子
写真はイメージです

ここまでの資料をそのまま順番にすると、手を動かす場所は決まってきます。灯り、餌になる虫、そして建物のすき間の3か所です。三鷹市は、ヤモリが減る条件について「近年は密閉性の高い家屋の増加ですみにくくなったかもしれません」と書いています。すき間の少ない家には居着きにくい、というのが自治体の記述から読み取れる方向です。

1玄関灯・門灯を先に見直す

夜、灯りのまわりに虫が集まっているかを確かめます。環境省のガイドラインが挙げる対策は、漏れ光を抑えることと、誘引特性が高い波長を含まない照明器具を使うことです。点灯時間を短くする、人が来たときだけ点ける、といった見直しも同じ方向にあります。

2灯りの近くの「虫の足場」を減らす

灯りの真下に置いた植木鉢、積んだ段ボール、水の溜まった受け皿は、集まった虫がとどまる場所になります。灯りの見直しとセットにすると、翌週あたりから見え方が変わります。効果には家の立地や周囲の環境が関わるので、1日で判断しないでください。

3戸袋・壁のすき間・天井裏を点検する

国立環境研究所は、ニホンヤモリについて「雌は戸袋や壁の隙間,天井裏などに卵を産み付ける」と書いています。まず見るのはこの3か所です。三鷹市も、寒い地方では「寒さの厳しい地方では越冬場所を民家の屋根裏や壁のすき間など、比較的暖かい場所に頼っているそうです」としています。

4見つけたすき間は、外側から順にふさぐ

網戸の破れ、サッシの戸車まわり、換気口、配管の貫通部が候補になります。ふさぐ順番と道具の選び方は、アリの侵入経路を扱った記事で手順を細かく整理しているので、そちらが実務的です。建物を傷めるおそれのある加工は、管理会社や施工業者に相談してから行ってください。

5部屋に入ってしまった1匹は、窓を開けて外へ

環境省 皇居外苑管理事務所の記事も、室内に入った個体を逃がす場面から始まっています。捕まえようとすると尾を自切することがあるとも書かれているので、窓や戸を開けて出口を作り、静かに離れて待つのが資料に沿ったやり方です。

超音波・ハッカ油・蚊取り線香でヤモリは追い払えるのか?

スマホ・パソコンを操作する様子
写真はイメージです

検索候補には「ヤモリ 駆除 超音波」「ヤモリ 駆除 ハッカ油」「ヤモリ 駆除 蚊取り線香」が並びます。ここは、根拠として持ち出される資料の中身を確かめておく価値があります。

まず超音波です。「国民生活センターが効果なしと発表した」という説明を見かけますが、公表されているのは「部品の取り付け不良により正常に動作しなかった超音波害虫駆除機(相談解決のためのテストから No.143)」(2020年7月16日公表)です。中身は「超音波害虫駆除機を購入したが全く効果がない。超音波が出ているか調べてほしい。」という依頼を受けて1台を分解した事例で、結論は「当該品は超音波の出力端子が基板から剥離していたことにより、超音波がスピーカーへ出力されない状態であったと考えられました」というものでした。端子をつなぎ直すと約25kHzの超音波が確認されたことも、同センターは記しています。つまり超音波そのものの効き目を比べたテストではなく、対象も害虫であってヤモリではありません。

蚊取り線香については、製品の効能に何が書かれているかという別の切り口があります。承認された効能表示の範囲は製品ごとに決まっているため、そこにない虫を期待しても表示の裏づけはありません。この点は、蚊取り線香を扱った記事で効能表示を一覧にして確認しています。

ハッカ油やアロマについては、ヤモリを対象に効果を確かめた公的な資料を、編集部が今回確認した範囲では見つけられませんでした。確認したのは、環境省 皇居外苑管理事務所「家を守るヤモリ」、国立環境研究所 侵入生物データベース「ニホンヤモリ」、三鷹市「ニホンヤモリ(守宮、家守、屋守)」、大磯町郷土資料館「こんなところに… ヤモリの卵」、福岡県「身近な生きもの図鑑」ニホンカナヘビ、愛媛県レッドデータブック2014 アカハライモリの6件で、いずれにも忌避剤や香りに関する記述はありませんでした。効かないと断定できる資料を見つけたわけではなく、効くと確かめた公的資料を確認できなかったという意味です。手持ちの時間とお金を使う先としては、灯り・餌・すき間の3点が先になります。

フンや卵を見つけたら、どうするのか?

クロスで拭き掃除をする手元
写真はイメージです

壁や軒下に白い粒が付いていた場合、卵の可能性があります。大磯町郷土資料館は、軒下で見つけた例について、1センチ以上あり、壁からはがすとパリッと割れる感じだったと記したうえで「ヤモリの卵は最初はねばねばしているので壁などにくっつくことができるのです」と説明しています。時期についても、同館は「5~7月に卵を産み、1~2か月でふ化します」と記しています。国立環境研究所は産卵場所を戸袋や壁の隙間、天井裏とし、産仔数を「1回に2卵を産出する」としています。

ただし、白い粒がすべてヤモリの卵とはかぎりません。細い糸の柄が付いていれば別の虫の卵ですし、袋状のカプセルならまた別です。粒の大きさと形から候補を絞る手順は、洗濯物や網戸に付く白い粒を扱った記事にまとめてあります。

フンの掃除については、衛生面の一般的な案内が公的資料にあります。厚生労働省の「カメ等のハ虫類を原因とするサルモネラ症に係る注意喚起について」に添えられたQ&Aは、ハ虫類のサルモネラ保有について「保菌率が50~90%であったと報告されています」とし、取り扱いの問いに対して「カメなどのハ虫類をはじめ、動物を触った後には必ず手指を石けんを用い十分に洗浄してください」と答えています。この資料はカメを中心としたハ虫類についての記載で、ヤモリを名指しした記述は今回確認した範囲では見当たりませんでした。それでも、掃除のあとに石けんで手を洗うという案内は、ハ虫類全般に向けて書かれているものです。

掃除そのものは、乾いた状態でこすって粉を舞わせないほうが扱いやすくなります。使い捨ての手袋とペーパーで取り、拭いたあとに手を洗う。この記事では、健康への影響の判断は扱いません。体調に変化があったときは、医療機関にご相談ください。

ヤモリについてよくある質問(FAQ)

Qヤモリは何類ですか。

A爬虫類です。国立環境研究所の侵入生物データベースは、ニホンヤモリの分類群を爬虫綱 有鱗目 トカゲ亜目 ヤモリ科としています。名前の似たイモリは両生類で、愛媛県レッドデータブック2014はアカハライモリをイモリ科の両生類として扱っています。壁を垂直に登っていたのなら爬虫類のヤモリ、水辺で腹が赤かったのなら両生類のイモリ、という分かれ方になります。

Q家の中に入ってきたヤモリを、そのままにしても大丈夫ですか。

A環境省 皇居外苑管理事務所は、ニホンヤモリを「無毒でその臆病な性格から人に危害を加えない」と説明しています。ただし室内が居場所として適しているわけではなく、同じ記事も室内に入った個体を逃がす場面から始まっています。窓や戸を開けて出口を作るのが、資料に沿った対応です。そのうえで、入ってきた経路になっているすき間を点検してください。

Q尻尾が切れているヤモリを見ましたが、何が起きたのですか。

A環境省 皇居外苑管理事務所は「捕まえようとすると尻尾を自切(トカゲの尻尾切り)することもある」と書いています。三鷹市も、ヤモリがトカゲと同じく敵に捕まると尾を切って逃げる自切をすると説明しています。捕まえようとしない、という対応がそのまま自切を避けることにつながります。

Q何をしても毎年出ます。業者に頼めますか。

A相談自体はできますが、依頼する前に確認したいことがあります。国立環境研究所は「効率よく駆除することは困難」としたうえで夜間捕獲の反復を挙げていますが、建物に広く分散する相手なので、個体を減らす方向だけでは戻りやすいのが実際です。屋外照明の見直し、灯りのまわりの片付け、戸袋や壁のすき間の点検を先に済ませたうえで、それでも建物側の補修が必要なら、その工事の見積もりとして相談するほうが話が早くなります。

※この記事は、環境省・国立環境研究所・厚生労働省・国民生活センター・三鷹市・大磯町郷土資料館・福岡県・愛媛県・群馬県の公開資料と、e-Gov法令検索で確認できる条文をもとに、2026年8月時点で編集部が整理したものです。法令の解釈や個別の事案についての助言ではありません。健康に関する判断は扱っていません。生きものの扱いや建物の補修について迷う場合は、お住まいの自治体の担当窓口や専門家にご確認ください。

まとめ|ヤモリは「追い出す相手」ではなく「灯りと虫の結果」

やることの順番は、記事のはじめの表に戻ります。①昼夜と指先で、ヤモリかトカゲかイモリかを決める ②灯りに何が集まっているかを見る ③屋外照明と、灯りのまわりの置き物を見直す ④戸袋・壁のすき間・天井裏を点検してふさぐ ⑤入ってしまった1匹は窓を開けて外に出す、の5つです。

法律の面では、鳥獣保護管理法の「鳥獣」は鳥類と哺乳類で、爬虫類は入りません。一方、動物愛護管理法は「人が占有している」爬虫類を愛護動物に含めています。国のレッドリスト(第5次)にニホンヤモリの掲載はなく、群馬県のように県のリストでは準絶滅危惧としている例があります。どの資料の、どの版の話なのかを確かめると、ネットで割れている説明のほとんどは整理できます。そのうえで実際に効くのは、灯りと餌とすき間の3点です(※2026年8月時点)。

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