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庭木の茂みや軒下に、マーブル模様のボール状の巣。そのまわりを、太い胴のハチが直線的に飛んでいる——スズメバチらしいとは分かっても、では何という種で、どこまで近づいてよいのかまでは判断がつきません。
先に結論をお伝えします。住宅のまわりで問題になるスズメバチは、オオ・キイロ・コガタ・ヒメ・モンの5種にほぼ絞られます。そして、この5種を体の大きさで振り分けることはできません。公的資料の体長の帯が互いに重なっているうえ、名前の「オオ」「コガタ」「ヒメ」は、実際の大きさの順番とも一致しないからです。
この記事ではハチの実物写真をいっさい使わず、線画の図解と数値の早見表だけで候補を絞れるように整理しました。見る順番は「腹の先の色 → 巣の形と場所 → 見かけた時間帯」の3つです。当メディア編集部が、神戸市・紀の川市・東京都保健医療局・千葉市・林野庁東北森林管理局・環境省九州環境局が公開している資料と、九州大学の研究者が公開している解説をあたって作成しました(2026年8月時点)。


【一言でいうと】スズメバチの種類は日本に何種いる?

ネットで見かける数字は「17種」と「7種」に分かれますが、どちらも正しく、数えている範囲が違うだけです。神戸市は節「スズメバチの見分け方」で「日本に生息しているスズメバチは17種類で、そのうち神戸でよく見かけるスズメバチは4種類です。」と書いています(神戸市「スズメバチと上手につき合おう」)。
一方、九州大学 生物的防除研究施設・天敵昆虫学研究室の上野高敏氏による「スズメバチ事典」は、節「スズメバチの仲間たち」で、いわゆる黒と黄色の縞模様の大型のハチをスズメバチ属(Vespa属)と定義したうえで、「スズメバチ属は世界から25種(あるいは22種。スズメバチの分類は意外と難しい)知られています。日本にはそのうちの7種が分布し、九州・沖縄地方には6種が生息しています。」としています(九州大学 上野高敏「スズメバチ事典 九州・沖縄地方のスズメバチ」)。同じ節は、スズメバチ亜科にスズメバチ属のほかクロスズメバチ属が含まれることも説明しています。17という数はクロスズメバチの仲間まで含めた数え方、7という数は「スズメバチ属だけ」の数え方です。
そのうえで、住宅のまわりで名前が挙がるのは、おおむね次の5種です。まずは体長の帯を並べます。以下の数値は2026年8月時点で各機関が公開している記載です。
| 種名 | 働きバチの体長 | 女王バチの体長 | 階級を分けない資料の体長 | 出典(値ごと) |
|---|---|---|---|---|
| オオスズメバチ | 27~40mm | 40~45mm | 27~45㎜ | 紀の川市(働き蜂・女王蜂)/神戸市(27~45㎜) |
| ヒメスズメバチ | 今回確認した資料に階級別の記載なし | 今回確認した資料に階級別の記載なし | 25~36mm/24~37mm | 紀の川市(25~36mm)/神戸市(24~37mm) |
| コガタスズメバチ | 22~28mm | 25~30mm | 22~29㎜ | 紀の川市(働きバチ・女王バチ)/神戸市(22~29㎜) |
| モンスズメバチ | 21~28mm | 28~30mm | 今回確認した資料に記載なし(神戸市はモンスズメバチを扱っていない) | 紀の川市(働きバチ・女王バチ) |
| キイロスズメバチ | 17~24mm | 25~28mm | 17~28㎜ | 紀の川市(働き蜂・女王蜂)/神戸市(17~28㎜) |
出典:紀の川市「ハチの種類」PDF(各種の項)/神戸市「スズメバチと上手につき合おう」節「スズメバチの見分け方」(前掲)。神戸市のページはオオ・キイロ・コガタ・ヒメの4種のみを扱っています。
スズメバチの種類は大きさで見分けられる?

上の表を、名前の印象と突き合わせてみてください。「ヒメ」と付くヒメスズメバチが、上から2番目の大きさに来ています。九州大学の解説はヒメスズメバチを節「形態」で「オオスズメバチに次ぐ大きさの種類で」と書き、神戸市も「スズメバチの中ではおとなしいが、大型種である。」としています。紀の川市の体長は25~36mmで、コガタスズメバチの働きバチ(22~28mm)より大きい帯です。
逆に「コガタ」と付くコガタスズメバチは、5種のうち最小ではありません。紀の川市はキイロスズメバチについて「日本のスズメバチのなかでは、最小のサイズですが、巣の大きさは最大規模となり、大きな巣では700~1000頭の規模になるものもあります。」と書いています。名前の大小と、体の大小と、巣の大小が、それぞれ別々に決まっているということです。
数値そのものも機関でずれます。ヒメスズメバチは紀の川市が25~36mm、神戸市が「体長:24~37mm」で、上下とも1mmずつ違います。さらに東京都保健医療局のページは、掲載写真の説明としてコガタスズメバチを「体長 約25ミリメートル」、キイロスズメバチも「体長 約25ミリメートル」と、2種にまったく同じ数値をあてています(東京都保健医療局「スズメバチ」)。
研究者の解説も、同じ限界をはっきり書いています。九州大学のコガタスズメバチの項は「斑紋パターンはオオスズメバチとほとんど同じですが、はるかに小型です。ただ、オオスズメバチの働き蜂にもずいぶん小さいものがいる一方で、かなり大きいコガタスズメバチがいますので、大きさだけでいつも完璧に区別できるわけではありません。」としています(九州大学 上野高敏「コガタスズメバチ」節「形態」)。体長で分けられるのは「オオスズメバチかもしれない大きさ」と「それより小さい群」までで、そこから先は別の手がかりが要ります。
体のどこを見れば種類を絞れる?腹の先の色と模様
最初に見るのは、体の大きさではなく腹の先端(お尻)の色です。紀の川市はヒメスズメバチの項で「他のハチとの大きな違いとして、腹部の先(尻の部分)が黒いため、見分けるのは比較的に容易です。(他のスズメバチの腹部の先は黄色)」と書いています。5種のうち1種だけが黒く、残りは黄色、という単純な分かれ方です。
九州大学の解説も「腹部先端部が真っ黒(対馬産を除く)であることから、他のスズメバチと容易に区別がつきます。」としています。ここで見落としてはいけないのが「(対馬産を除く)」というただし書きで、対馬の亜種にはこの目印が当てはまりません。同じ項は、ヒメスズメバチの腹の斑紋には個体差があり、日本産スズメバチの中では個体変異の大きい種類だとも書いています。腹の先が黒ければ候補は絞れますが、黒くないからといってヒメスズメバチを完全に外せるわけではない、という読み方になります。
| 種名 | 腹の先端の色 | 体の見どころ | 出典(項目ごと) |
|---|---|---|---|
| ヒメスズメバチ | 黒(対馬産を除く) | 腹の斑紋の個体変異が大きい | 紀の川市(腹の先が黒い)/九州大学(対馬産を除く・個体変異) |
| オオスズメバチ | 黄色 | 斑紋パターンはコガタスズメバチとほとんど同じ | 紀の川市(他のスズメバチの腹部の先は黄色)/九州大学(斑紋パターン) |
| コガタスズメバチ | 黄色 | お腹の縞模様が目立つ | 九州大学(縞模様・腹部先端部は黄色) |
| キイロスズメバチ | 黄色 | 飛んでいるとほぼ濃い黄色一色に見える | 九州大学(体色)/紀の川市(他のスズメバチの腹部の先は黄色) |
| モンスズメバチ | 黄色 | 腹に波を打った黄色い模様。キイロスズメバチの黒っぽい個体と紛らわしい | 九州大学(模様・区別の難しさ)/紀の川市(他のスズメバチの腹部の先は黄色) |
出典:紀の川市「ハチの種類」PDF(■ヒメスズメバチの項)/九州大学 上野高敏「ヒメスズメバチ」節「形態」/同「キイロスズメバチ」節「形態」/同「モンスズメバチ」節「形態」/同「コガタスズメバチ」節「形態」(前掲)

キイロスズメバチについて、九州大学の解説は「体全体的にオレンジ色味の強い黄色です。飛んでいるときは縞模様のハチというよりは、ほぼ濃い黄色一色のハチに見えます。」と書いています。縞模様が読み取れないほど黄色く見えたら、この種の可能性が上がります。
ただし、ここにも限界があります。モンスズメバチの項は「腹部の波を打った黄色い模様が特徴的なスズメバチとなります。キイロスズメバチの黒化程度の強い個体と区別がつきにくいことがあります。」としています。黄色い模様の形で分けようとしても、黒っぽい個体が出ると境目が消えるということです。
なお、ヒメスズメバチの狩りの相手はほぼアシナガバチに限られます。九州大学の節「食性」は「アシナガバチ類をもっぱら好んで狩りの対象にします。」とし、紀の川市も「餌としてアシナガバチを専食し」と書いています。軒下のアシナガバチの巣のそばで大型のハチが行き来しているなら、ヒメスズメバチである可能性が出てきます。狙われている側のアシナガバチについては、別の記事で種の見分け方をまとめています。
巣の形と場所から、種類はどこまで分かる?
体を近くで見られないときに効くのが、巣の形と場所です。まず地面やその近くに巣の出入り口があるなら、オオスズメバチが候補に入ります。九州大学の節「習性」は「巣は主に土中や木の根元の洞に作られます。」「基本的に地面周りに営巣し、樹上など目線より高い場所には巣を作りません。」とし、さらに「土を掘った際に出たペレット状の土を巣の入り口周辺に捨てますので、それが巣を発見するよい手がかりになります。」と書いています(九州大学 上野高敏「オオスズメバチ」節「習性」)。地面に営巣するハチはほかにもいるため、別の記事で横断的に整理しています。
木の枝や軒下に、とっくりを逆さにしたような形の巣がぶら下がっているなら、コガタスズメバチです。紀の川市は「フラスコを逆さにしたような巣の形が特徴的ですが、働き蜂が羽化するにつれて、巣の入口が削られて球状になっていきます。」と書き、九州大学も「創始期の巣は、徳利を逆さまにしたような特徴的な外見をしていて、その形状から容易に本種の巣であることが判別できます。」としています。神戸市も、徳利を逆さにした形の巣とボール型の巣を並べて掲載しています。
軒下に、短期間で大きな巣ができたように見えるときはキイロスズメバチが疑われます。九州大学は「営巣開始当初は閉鎖的な空間に巣を作りますが、働き蜂が増えてくると、より広い空間を求め巣の引っ越しを行うことが非常に多いです(引っ越し率は7割を超えるらしい)。」と書いています。林野庁東北森林管理局の広報誌も「キイロスズメは木の空など狭い空間の巣からスタートし、働き蜂が増えると大挙して軒先など開けた場所に引っ越して数日で巨大な巣を作る。」と記しています(林野庁 東北森林管理局 広報誌「みどりの東北」No.102(2012年9月)Mini Column「スズメバチ」PDF)。「昨日までなかった」のではなく、見えない場所から移ってきた巣だということです。

残る2種は、そもそも巣が見えにくい側にいます。ヒメスズメバチは、神戸市が「床下、壁の間、物置の中など閉鎖された空間に巣をつくる。」とし、紀の川市も「国内のスズメバチ属において、最も巣の規模は小さく、他の蜂に比べても一つの巣の中の蜂の数も少ないです。」と書いています。モンスズメバチも紀の川市が「巣が小さいうちは地表近くの閉鎖環境に巣を作るが、働き蜂の羽化後、巣が狭くなると大木の空洞や天井裏、壁の隙間などの広いスペースの閉鎖環境に引越しをします。」とし、巣の形は「巣は釣り鐘のような形をしており、外側から巣の中身が露出していることもあります。」としています。
ここで、資料どうしが食い違う点をひとつ挙げておきます。先ほどの林野庁の広報誌は「巣の場所は、オオスズメやチャイロスズメ、クロスズメは土の中、ヒメやコガタは枝や茂みと種によって好みが違う。」と書いており、ヒメスズメバチを枝や茂み側に置いています。神戸市・紀の川市の「閉鎖された空間」とは逆方向です。巣の場所は有力な手がかりですが、それだけで種を確定できるほどそろってはいません。巣の形そのものからの絞り込みは、別の記事でタイプ別に整理しています。
夜に飛んでいるスズメバチは何という種類?

暗くなってから玄関灯のまわりを大きなハチが飛んでいる——この状況は、種を1つに絞り込む数少ない手がかりになります。日が落ちても活動を続けるのは、5種のうちモンスズメバチだけとされているからです。
九州大学のモンスズメバチの項は、節「習性」で「多くのスズメバチは夕方には活動を止めますが、モンスズメバチだけは辺りが暗くなっても活動を続けることが知られています。」と書いています(九州大学 上野高敏「モンスズメバチ」節「習性」)。紀の川市も同じことを「他のスズメバチと違い、働き蜂は夜間でも活動を行います。」と記しています(紀の川市「ハチの種類」PDF ■モンスズメバチの項)。夜間に飛んでいるスズメバチは、この時点でモンスズメバチの可能性がかなり高くなります。
食べ物の好みも独特です。紀の川市は「セミ、トンボなどの大型の昆虫を好んで食べるため、自然の豊かな環境でないと生活ができません。」としています。周囲に林や大きな樹木がある家では、候補として意識しておく価値があります。
この事実は、もうひとつ実用的な意味を持ちます。「夜になればハチは巣に戻って動かないから安全」という前提は、少なくともモンスズメバチには当てはまりません。神戸市のページは、自分で駆除する場合の作業時間として夜間を挙げていますが、そのページが取り上げているのはオオ・キイロ・コガタ・ヒメの4種で、モンスズメバチは含まれていません。種が特定できていない段階で、時間帯だけを根拠に巣へ近づくのは避けてください。
スズメバチの攻撃性は種類で違う?危ないのはいつ?

種類ごとの危険度をランキングにした記事は多いのですが、公的資料をあたると、5種すべてを一列に並べた記載は編集部が今回確認した範囲では見当たりませんでした。順位を示しているのは千葉市で、キイロ・コガタ・オオの3種について「オオスズメバチ>>キイロスズメバチ>コガタスズメバチ」と並べています(千葉市「スズメバチの種類と生態」節「1.スズメバチの種類」)。ヒメスズメバチとモンスズメバチはこの並びに入っていません。
個別の書きぶりを並べると、次のようになります。オオスズメバチは神戸市が「最も攻撃性が高い」とし、紀の川市も威嚇性・攻撃性が非常に強いとしたうえで「個人での駆除は絶対に行わず、専門の駆除業者に依頼してください。」と書いています。キイロスズメバチは紀の川市が「攻撃性、威嚇性ともに強く、巣に近づいただけで攻撃を受けることもあるため、注意が必要です。」とし、九州大学も「体は小さいですが、オオスズメバチに次いで攻撃的です。」としています。
ここから先が、資料を読まないと分からない部分です。紀の川市はコガタスズメバチを「攻撃性、威嚇性はスズメバチの中では弱いため、むやみに巣を刺激しなければ近づいてもおとなしいのですが、巣を刺激した場合は激しく攻撃してきます。」と書き、九州大学も「本来は攻撃性の低い種で、巣がある木を揺らすなどしない限り、知らずに巣に近づいても警告すらしてきません。」としています。にもかかわらず、神戸市はコガタスズメバチを「住宅街からの相談が一番多い種類である。」としています。相談の多さは攻撃性の高さではなく、巣が人の生活動線の近くにできやすいことを表しています。
ヒメスズメバチでは、威嚇と攻撃が明確に書き分けられています。紀の川市は「威嚇性が強く、大あごを鳴らしてまとわりつくような警戒行動を取りますが、実際に攻撃することはあまり無い、比較的おとなしい種類の蜂です。」とし、九州大学も「性格はスズメバチの中では最もおとなしく、決して攻撃的な昆虫ではありません。」と書いています。まとわりつかれた=攻撃されている、とは限らないということです。もっとも、これは近づいてよいという意味ではありません。
モンスズメバチは、資料によって書きぶりが分かれます。紀の川市は「巣に対する防衛力が強く、巣に近づくと多数の働き蜂がまとわり付くように飛び回り、警戒を行います。」と警戒行動までを書くのに対し、森林総合研究所「スズメバチ被害を防ぐ」(PDF)の種別解説は本種について「攻撃性は強い」と明記しています。自治体のページだけを見ると穏やかに読めますが、研究機関の資料では強い側に置かれている種です(※2026年8月時点)。
時期の目安は、種より共通しています。神戸市の節「スズメバチの生活史」は「7月下旬~8月中旬(最盛期):巣の大きさや働きバチの数がピークになり、活動が活発になります。」としています。林野庁の広報誌はさらに秋について「巣が大きくなる秋には翌年の女王候補を育てるが、この頃には獲物となる虫の数も好物の樹液も減り、また冬眠前のクマ等天敵の襲撃が増える時期でもあるためか、警戒範囲も広がり、より攻撃的になる。」と書いています。神戸市が節「こんなときに注意」に挙げているきっかけも具体的で、「巣があるのを気づかずに生垣などを剪定してしまい、ハチを刺激して刺されることがあります。」としています。刺されて気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。生垣や庭木に手を入れる前に、巣がないかを離れた位置から見ておくのが確実です。
なお、時期の話でいえば、春から初夏の巣はまだ女王バチが1匹で作りかけている段階です。この時期の巣の見た目と、この段階でできることは別の記事で扱っています。
見慣れないスズメバチはツマアカスズメバチ?

5種のどれとも様子が違うと感じたときに、頭の片隅に置いておきたいのが外来種のツマアカスズメバチです。環境省九州環境局によると、国内では2012年(平成24年)10月に長崎県対馬市で侵入・定着が初めて確認され、2015年(平成27年)に特定外来生物に指定されました(環境省 九州環境局「外来生物対策-ツマアカスズメバチについて」)。
同ページの節「○特徴 (見分け方)」は、識別点を「全体的に黒っぽい」「頭部も黒いが、口の周辺は黄色」「腹部の先端部がオレンジ色」「脚の先端部のみが黄色」と挙げています。腹の先が「黒」でも「黄色」でもなくオレンジ色、脚は先だけが黄色という組み合わせは、ここまで見てきた5種のどれとも重なりません。同ページは大きさを「大きさはキイロスズメバチと同じくらい(働きバチは2センチ前後、女王バチは3センチ前後)で、オオスズメバチ(3.5センチ前後)などよりかなり小さい」としています。
巣も特徴的で、同ページの節「○ツマアカスズメバチの巣について」は「巣は地上10m以上の高所に造られることが多く、一般に、在来種の巣と比べて形がいびつで、表面に凸凹が目立つ。」としています。見上げる高さにいびつな巣がある、という状況が該当します。
ただし、慌てる必要はありません。同ページは「その後、九州本土及び中国地方の計7地域(2023年3月時点)において個体または巣が確認されていますが、確認地点周辺における生息状況調査及び防除を行った結果、いずれも定着は確認されていません。」としています。国内で定着が確認されているのは対馬だけです。個人としては、近づいて確かめようとせず、お住まいの自治体の窓口に状況を伝えるのが現実的です。
種類が分かったあと、何を基準に依頼先を決める?

ここまで種を絞ってきましたが、依頼するかどうかの分かれ目は種名ではありません。公的資料が線を引いているのは「巣の大きさ」と「巣がどこにあるか」です。東京都保健医療局は節「防除」で「初期の小さな巣以外は自分で行うのは危険なので専門家に頼むのがよいでしょう。」とし(東京都保健医療局「スズメバチ」節「防除」)、神戸市も「ボール型に大きくなった巣の駆除は大変危険ですので、専門の駆除業者にご依頼ください。」としています(神戸市「スズメバチと上手につき合おう」節「駆除したいとき」)。紀の川市はオオスズメバチについて、巣が地中など見つけにくい場所にあることを理由に「個人での駆除は絶対に行わず、専門の駆除業者に依頼してください。」と書いています。
この基準を、ここまでの絞り込みと重ねると分かりやすくなります。地中のオオスズメバチ、床下・壁の間・物置のヒメスズメバチ、天井裏や壁の隙間へ引っ越したモンスズメバチ、閉鎖空間から始まるキイロスズメバチ——いずれも外から巣の全体が見えないため、「小さい巣かどうか」を判断する材料そのものがありません。見えない巣は、小さいと決めつけないのが安全側の読み方です。
- 地面・床下・天井裏・壁の中・物置など、巣の全体が見えない → 大きさを判断できないため依頼を前提にする
- すでにボール型に大きくなっている → 専門の駆除業者へ(神戸市の記載)
- 巣が高所にある/脚立やはしごが必要 → 自分で近づかない
- 玄関・通路・物干しなど毎日通る動線の近くにある → 早めに相談する
- 種類が分からない/夜も飛んでいる → 時間帯を根拠にせず、まず自治体の生活衛生担当へ相談する
依頼先は大きく3つのタイプに分かれます。①お住まいの自治体の生活衛生担当(市による駆除の可否・補助制度の有無は市区町村ごとに異なります)②各都道府県のペストコントロール協会(神戸市は、市が特定の業者を紹介していないことを明示したうえで、こうした事業者団体の窓口を案内しています)③料金と口コミが事前に見える審査制のマッチングサービス。作業前に、巣の場所・作業範囲・高所作業の追加費用・巣の撤去まで含むかを確認しておくと、想定外の請求を避けやすくなります。
実際にいくらかかるのか、自治体の補助が使えるのかは、別の記事で相場と制度を整理しています。
スズメバチの種類についてよくある質問(FAQ)
※この記事の種名・体長・体色・営巣場所・活動時間・攻撃性の記述は、神戸市・紀の川市・東京都保健医療局・千葉市・林野庁東北森林管理局・環境省九州環境局が公開している資料と、九州大学 生物的防除研究施設の上野高敏氏による解説が2026年8月時点で示している記載を整理したものです。体長や営巣場所には個体差・地域差があり、資料によって数値や記述が異なります。記事だけで種を確定できるものではありません。自治体の駆除対応・補助制度は市区町村ごとに異なり改定もありますので、必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。刺傷にともなう症状や処置については医療機関の判断に従ってください。
まとめ|スズメバチの種類は「腹の先→巣→時間帯」の順で絞る
スズメバチ属は日本に7種、クロスズメバチの仲間まで含めれば17種とされますが、住宅のまわりで名前が挙がるのは5種です。体長の帯は互いに重なり、ヒメスズメバチはオオスズメバチに次ぐ大きさ、キイロスズメバチが最小と、名前の印象とも一致しません。東京都保健医療局はコガタとキイロに同じ「約25ミリメートル」をあてており、大きさで確定させるのは無理があります。
先に見るのは腹の先の色です。黒ければヒメスズメバチ(対馬産を除く)、オレンジ色なら外来種のツマアカスズメバチ、黄色なら残りの4種。次に巣で絞り、地面ならオオスズメバチ、逆さ徳利ならコガタスズメバチ、軒下に急に現れた大型の巣ならキイロスズメバチが候補です。夜も飛んでいればモンスズメバチ。そして、巣の全体が見えない場合は大きさを判断できないため、依頼を前提にしてください。蜂全体の見分け方から確認したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。