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地蜂とは?土の中に巣を作る蜂の種類と巣穴の見分け方|草刈りの注意

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庭や畑の草を刈っていて、足もとの地面にあいた小さな穴から、黒っぽいハチが次々と出入りしているのに気づく——「地蜂」と呼ばれるハチの困りごとは、たいてい巣が見えないところから始まります。木の枝や軒下の巣と違って、地面の巣は近づくまで分かりません。

結論からお伝えすると、地蜂(じばち)は多くの場合クロスズメバチという小型のスズメバチを指す俗称ですが、土の中に巣や穴を作るハチはこの種だけではありません。攻撃性がきわめて強いと公的資料が書いているハチも、土の中に巣を作ります。

この記事では、ハチの実物写真ではなく「穴にどう出入りしているか」という観察できる情報から候補を絞れるように整理しました。見る順番は「出入りする数 → 体の大きさ → 見かけた時期」の3つです。当メディア編集部が、名古屋市衛生研究所・森林総合研究所・林業・木材製造業労働災害防止協会・杉並区・我孫子市・嘉麻市・農林水産省が公開している資料をあたって作成しました(2026年8月時点)。なお、本記事では自分で巣を駆除する方法は扱いません。

読者
庭の草刈りをしていたら、地面の穴から黒っぽいハチが何匹も出入りしていました。地蜂だと思うのですが、そのまま草刈りを続けても大丈夫でしょうか。
編集部
地面の穴に出入りするハチは1種類ではありません。公的な資料が「攻撃性は弱い」と書いている種もあれば、「きわめて強い」と書いている種も土の中に巣を作ります。まずは草刈りの手を止めて、穴から離れたところから出入りの様子を見るところから始めましょう。

【一言でいうと】地蜂とはどのハチのこと?読み方と別名

庭の手入れをする様子
写真はイメージです

地蜂は「じばち」と読み、公的な資料ではクロスズメバチの俗称として扱われています。森林総合研究所のパンフレット「森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために」は、種別解説のページでクロスズメバチを「ジバチ(地蜂)と俗称され、土中や壁間などに営巣。営巣規模は大きく、育室数は1万を超えることも多い。」と説明しています(森林総合研究所「森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために」種別解説ページ)。

農林水産省の「うちの郷土料理」も、岐阜県のへぼ飯の解説で「へぼ(クロスズメバチ、地蜂とも呼ぶ、地中の中に巣をつくる体長2センチほどの蜂)の幼虫を使った恵那市を中心とする周辺地域の郷土料理。」と書いており、地蜂=クロスズメバチという対応は国の資料でも共通しています。ちなみに「地蜂」という言葉を定義した公的な文書は、編集部が調べた範囲では見当たらず、この2つの資料のように俗称として添えられている形が確認できた最も明確な記述でした。

ただし、地面や土の中に関わるハチはクロスズメバチだけではありません。名古屋市衛生研究所のweb昆虫図鑑は、オオスズメバチについて「土中などで越冬した女王は、5月頃から土中に巣を作る。まれに樹洞や屋根裏などに営巣することもある。」と記しています。まずは、地面まわりで見かける可能性のあるハチを整理します(※2026年8月時点の各資料の記載に基づきます)。

種名(呼ばれ方) 大きさ 地面との関わり 暮らし方 出典(値ごと)
クロスズメバチ(地蜂・ヘボ) 女王の体長約15mm/働きバチ10-12mm 土中に営巣するのが普通 集団(女王と働きバチ) 名古屋市衛生研究所(体長・営巣)/森林総合研究所パンフレット(体長10-12mm・俗称)
オオスズメバチ 女王が約45mm/働きバチの大きいもの40mm(名古屋市)、体長27-38mm(森林総合研究所) 5月頃から土中に巣を作る 集団(女王と働きバチ) 名古屋市衛生研究所(体長・営巣時期)/森林総合研究所パンフレット(体長27-38mm・巣は土中や樹洞など)
キイロスズメバチ 女王25-28mm/働きバチ20-24mm 土中や樹洞に作ることもある 集団(女王と働きバチ) 名古屋市衛生研究所(体長・営巣場所)
クロアナバチ(アナバチ・ジガバチ類) 雌25-30mm、雄は多少小型 土中に穿孔営巣 単独生活 名古屋市衛生研究所(体長・営巣・単独生活)
ツチバチ類 今回確認した資料に記載なし 成虫が土中に潜り、コガネムシ類の幼虫に産卵 成虫が単独で土中に潜り産卵(集団営巣の記載なし) 名古屋市衛生研究所「ツチバチ類」の項(生態・日本には20余種/同項に「単独生活」の語はない)

出典:名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑 スズメバチ類・アシナガバチ類」各種の項/名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑 アナバチ(ジガバチ)類」/名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑 ツチバチ類」/森林総合研究所パンフレット(前掲)/農林水産省「うちの郷土料理 へぼ飯 岐阜県」。営巣場所は代表例であり、この場所にしか作らないという意味ではありません。

地面に巣があるハチは、みんな「おとなしい地蜂」?

住宅の外観・住まいの様子
写真はイメージです

「地面に巣があるのは地蜂だから、そこまで危なくない」という説明をよく見かけます。たしかにクロスズメバチについては、名古屋市衛生研究所が「性質は比較的温和で、攻撃性は弱い。」と書いています。しかし同じ図鑑の別の項を読むと、この理屈は途中で崩れます。

名古屋市衛生研究所はオオスズメバチについて「土中などで越冬した女王は、5月頃から土中に巣を作る。」と記し、キイロスズメバチについても「おもに軒下、屋根裏、崖、枝の茂みなどに営巣するが、土中や樹洞に作ることもある。」としたうえで、その性質を「性質はかなり攻撃的で危険。」と書いています。つまり同じ図鑑の中で、土の中に巣を作るハチが3種類挙がっていて、性質の評価は正反対に分かれています。杉並区も注意喚起のページで「なお、オオスズメバチは土の中や木の洞などに巣を作ります。」と付記しています。

森林総合研究所のパンフレットも同じ立場です。「ハチの巣はどんなところに多い?」の図では、営巣場所のひとつとして「切り株跡や土中」を挙げ、種別解説ではオオスズメバチを「世界最大のスズメバチ。攻撃性、毒性ともきわめて強い。巣は土中や樹洞など(写真は土中に営巣されていたもの)。」と説明しています。同項に添えられた写真は、土中に営巣されていた巣を撮ったものだと注記されています。

さらに、同じ機関の中でも記述が一致しないケースがあります。ヒメスズメバチについて、森林総合研究所のパンフレットの種別解説は「半土中や納屋等に営巣。営巣規模はスズメバチとして最も小さく、攻撃性も弱い。」としていますが、同研究所の九州支所が公開する「立田山の昆虫」のヒメスズメバチの項は「巣は樹洞や鳥の巣箱などの閉鎖空間。」と書いていて、土中営巣に触れていません(森林総合研究所 九州支所「立田山の昆虫 ヒメスズメバチ」節「生態」)。専門機関の資料どうしでも営巣場所の書き方が分かれるということです。

ここから導けるのは、地面の穴を見て種を決め打ちしない、という一点です。穴の外から見えるのはハチの一部だけで、巣の規模も種も分かりません。名古屋市衛生研究所も、同図鑑のオオスズメバチの項で被害が起きる場面を「被害の発生が多いのは、巣に近づいて刺激を与えたときである。」とまとめています。種の特定は後回しにして、まず距離をとるのが順番です。スズメバチ属の中での判別は別記事で整理しています。

地蜂(クロスズメバチ)はどれくらいの大きさ?巣はどこまで大きくなる?

庭の手入れをする様子
写真はイメージです

クロスズメバチの体は、スズメバチの仲間としてはかなり小さい部類です。名古屋市衛生研究所は「スズメバチの中では小型で、女王の体長約15mm、働きバチ10-12mm。全体黒色で各腹節の帯は黄白色。」と記載しています。森林総合研究所のパンフレットの種別解説も、クロスズメバチの体長を10-12mmとしています。

ここで、よく見かける「地蜂は2cmくらいの黒い蜂」という説明と数値が合いません。出所をたどると、農林水産省の郷土料理の解説が「体長2センチほどの蜂」と書いているのに行き当たります。昆虫の記載としての1cm前後と、郷土料理の解説としての2センチほどでは、倍近い開きがあります。どちらが正しいというより、資料の目的が違うということですが、実務的には「2cmくらいの黒いハチ=地蜂」で絞ると、20mm超のスズメバチ属を取り違えるおそれがあります。体の大きさだけで判断しないほうが安全です。

一方で、体が小さいことと巣が小さいことは別です。森林総合研究所のパンフレットはクロスズメバチの営巣について「営巣規模は大きく、育室数は1万を超えることも多い。」と書いています。活動の期間も長く、名古屋市衛生研究所は「都市環境にはあまり見られないが、近郊には普通。名古屋市付近では4月頃活動を始め、土中に営巣するのが普通であるが、樹洞や軒下などに作ることもある。営巣は12月頃まで続く。」としています。10月を過ぎたから終わり、とは言えない種です。

もうひとつ、巣とは無関係にハチが寄ってくる場面があります。森林総合研究所のパンフレットは「巣から離れた場所にいるハチはわざわざ人間をおそうことはありません。ただしクロスズメバチやキイロスズメバチなどは、人間の汗とか、弁当、ジュースなどのにおいにひかれて寄ってくることがあります。」と説明しています。屋外で食事をしているときに寄ってきた個体は、必ずしも近くに巣があることを意味しません。

なお、地蜂は食文化の対象でもあります。農林水産省の資料は「へぼを食べる文化は、信州から奥三河にかけての山間地域で盛んである。」とし、江戸時代の「想山著聞奇集」(三好想山・1850年)にすでにへぼ飯の記述があると紹介しています。名古屋市衛生研究所も、クロスズメバチについて「岐阜県、長野県などでは『ヘボ』と称して幼虫、蛹、成虫を賞味する。」と記しています。食用として扱われてきた種であることと、庭先の巣に近づいてよいかどうかは別の話として考えてください。

土蜂・ジガバチとの違いは?穴に出入りする数で分ける

庭の手入れをする様子
写真はイメージです

「土蜂(ツチバチ)」「ジガバチ」も地面と関わるハチですが、地蜂とはまったく別のグループです。名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑 アナバチ(ジガバチ)類」はアナバチ(ジガバチ)類について「単独生活をするカリバチ(狩蜂)で、他の昆虫類やクモ類などを狩って幼虫の餌とする。」「種によっては土中に穴を穿つものもある。」と説明し、「日本に約300種が知られている。」としています。

身近な例として挙げられているのがクロアナバチです。同じページは「体長は雌25-30mm、雄は多少小型。全体黒色。」「土中に穿孔営巣し、ツユムシ、ウマオイなどの直翅類を狩る。」と記し、続けて「名古屋市内でもよく見られ、庭や公園などの開けた場所で、地面近くを低く飛んでいる。触れなければ危険はない。」と書いています。ツチバチ類については別ページで「成虫は土中に潜り、コガネムシ類の幼虫に直接産卵し、幼虫はコガネムシ類に寄生して育つ。」「成虫は、地面近くを飛び回る。」としています。

ここから、編集部として整理できる見分け方は「ひとつの穴に何匹も続けて出入りしているか、それとも1匹だけが穴を扱っているか」です。クロスズメバチやオオスズメバチは女王と働きバチの集団で暮らすため、巣が育つほど出入りする個体が増えます。これに対してアナバチ類は同図鑑が「単独生活をするカリバチ(狩蜂)」と明記しており、ツチバチ類も同図鑑に集団で営巣する旨の記載はなく、成虫は単独で土中に潜って産卵します。いずれも名古屋市衛生研究所は単独生活性について「単独生活性のカリバチは攻撃性はまったくないが、不用意に捕えたりすると刺される。」、ツチバチ類についても「攻撃性はないが、捕えたりすると刺される。」と書いています。捕まえたり素手で触ったりしなければ、という条件が付く点は共通しています。

見どころ クロスズメバチ(地蜂) クロアナバチなどアナバチ(ジガバチ)類 ツチバチ類 出典(値ごと)
暮らし方 女王と働きバチの集団 単独生活をするカリバチ 成虫が単独で土中に潜り産卵。幼虫はコガネムシ類に寄生 名古屋市衛生研究所(クロスズメバチの項/アナバチ類の項/ツチバチ類の項)
地面の使い方 土中に営巣するのが普通 種によっては土中に穴を穿つ/クロアナバチは土中に穿孔営巣 成虫が土中に潜り、コガネムシ類の幼虫に直接産卵 名古屋市衛生研究所(各項)
体の色と大きさ 全体黒色で各腹節の帯は黄白色。働きバチ10-12mm クロアナバチは全体黒色。雌25-30mm 黒色のものが多く、白色から黄色の長毛帯。体長は今回確認した資料に記載なし 名古屋市衛生研究所(各項)
地表での見え方 今回確認した資料に記載なし 庭や公園などの開けた場所で、地面近くを低く飛んでいる 成虫は、地面近くを飛び回る 名古屋市衛生研究所(アナバチ類の項/ツチバチ類の項)
資料が書いている性質 性質は比較的温和で、攻撃性は弱い 攻撃性はまったくないが、不用意に捕えたりすると刺される 攻撃性はないが、捕えたりすると刺される 名古屋市衛生研究所(各項)

出典:名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑」スズメバチ類・アシナガバチ類(クロスズメバチの項)/アナバチ(ジガバチ)類(総論・クロアナバチの項)/ツチバチ類(いずれも前掲)。「地表での見え方」は、クロスズメバチについて同図鑑に該当する記載がなかったため空欄にせず記載なしとしています。

地面の巣は出入りする数と体の大きさで分けるの図解
当メディア編集部作成

大きさで迷ったときの目安も付け加えておきます。クロアナバチの雌は25-30mmで、10-12mmのクロスズメバチの働きバチよりはるかに大きく、全身が黒い点が特徴です。「大きくて真っ黒、地面すれすれを1匹で飛んでいる」ならクロスズメバチではない可能性が高くなります。黒いハチ全般の絞り込みは、次の記事で体の形から整理しています。

草刈り中に刺されやすいのはなぜ?危ないのはいつ?

防護具を着けた清掃作業の様子
写真はイメージです

草刈りとハチの事故が結びつく理由は、時期が重なることと、刺激の与え方の2つです。林業・木材製造業労働災害防止協会は「蜂に注意」のページで「蜂に刺される一番危険な時期は、蜂の巣が最も発達し、蜂の数が多い時期です。」としたうえで、「草が繁茂し、草刈りの必要な時期が、蜂に刺される最も危険な時期です。」と書いています(林業・木材製造業労働災害防止協会「蜂に注意」節「1.刺す蜂の種類」)。

刺激の与え方については、同協会がスズメバチの攻撃を4段階に分けて説明しており、3段階目の「巣に間接的刺激を与えたときの攻撃」として「蜂の威嚇を無視したり、これに気がつかないとき、また、巣に振動を与えたとき等は、巣内から多くの蜂が飛び出して大騒ぎとなります。」と記しています。地面の巣は、刈払機の振動や足で踏むことが「間接的刺激」になりうる位置にあります。森林総合研究所のパンフレットも「スズメバチとの出会いでいちばん危険なのは、ハチの巣があるのを知らずに、ふんだりゆらしたりしたときです。」と書いています。

資料 対象 記載されている時期 出典
林業・木材製造業労働災害防止協会 スズメバチ類全般 スズメバチは、7月~10月(アシナガバチは7~8月、ミツバチは一年中) 林業・木材製造業労働災害防止協会「蜂に注意」節「1.刺す蜂の種類」
森林総合研究所 スズメバチ類全般の刺傷事故 ハチ刺され事故は8,9月に集中しています 森林総合研究所パンフレット 節「いつごろが危ない?」
名古屋市衛生研究所 オオスズメバチ ピーク時の9-10月頃には働きバチは数百となり、500頭以上になることもある 名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑」オオスズメバチの項
名古屋市衛生研究所 クロスズメバチ 4月頃活動を始め、営巣は12月頃まで続く 名古屋市 衛生研究所「web昆虫図鑑」クロスズメバチの項

出典:上表の各セルに記載のとおり(いずれも前掲・2026年8月時点)。地域や年によって前後します。

離れる距離の目安も資料にあります。森林総合研究所のパンフレットは「ハチが追いかけてくる距離は、もっとも危険なオオスズメバチでも80mくらいといわれています。」と書いています。刈払機を持ったまま急いで動くのは別の危険をともないますので、まず刃を止めて、その場から静かに離れる順番が現実的です。名古屋市衛生研究所も「農作業、遠足、ハイキングなど野外での活動には、あらかじめ巣がないかを確認しておくことが必要。」としています。

服装については、林業・木材製造業労働災害防止協会が「蜂にもっとも刺され易いのは、腕や手で、次に顔、頭部等で、いずれも身体の露出部分が真先にねらわれます。」とし、「蜂が毎年発生する場所で作業をするときは、顔面を保護するための防蜂網を着用すること。」と定めています。毎年ハチが出る場所で作業する人向けの記載ですが、露出を減らすという考え方は家庭の草刈りでも同じです。

草刈りの前に、地面の巣穴をどうやって見つける?

庭の手入れをする様子
写真はイメージです

地面の巣は入口が小さく、草に隠れると見えません。そこで公的資料が勧めているのは、穴そのものを探すのではなくハチの飛び方の変化を見る方法です。森林総合研究所のパンフレットは「あたりに飛びかうハチの数が急に多くなったり、一定の方向に飛ぶようになったら、そばに巣があるおそれがありますから、よく注意しましょう。」と書いています。数が増えたか、決まった方向に向かっているか、の2点です。

我孫子市も「早めに巣を見つけるコツ」として「ハチが飛んでいる場合はえさをとりにきたのか巣をつくっているのか少し観察してみるのもいいでしょう。」と案内し、あわせて「以前に巣が出来た場所付近は、巣を作りやすい条件が整っていると考えられます。」としています。同市はハチが巣を作る場所として「軒下、屋根裏、庭木、枝の茂み、崖、戸袋、土中などに巣をつくります。」と土中を明記しています(我孫子市「ハチにご注意ください」節「スズメバチ」「早めに巣を見つけるコツ」)。

  • 作業を始める前に、草むらの外側から数分間立って、ハチが飛ぶ数と向きを見る(森林総合研究所の記載)
  • 去年ハチが出た場所は、今年も条件がそろっている前提で見る(我孫子市の記載)
  • ハチが一定の方向に集まっていく先には近づかない。刈払機を持ったまま踏み込まない
  • 穴やくぼみ、切り株の跡、法面のわれ目は、棒や枝でつつかない(森林総合研究所は「また樹洞や道ばたの穴などを木の枝などでむやみにつついたりしないように気をつけましょう。」としています)
  • 出入りしているハチの数が多い、または種が分からないときは、その日の草刈りを見送る

見つけたあとの扱いも、公的資料ははっきりしています。杉並区は「駆除するまでは、巣に近づいたり、刺激したりしないでください。」と書き、我孫子市は「家や庭などの身近な場所に巣を作られた場所は、駆除する必要がありますが、生活に支障がない所であれば、そっとしておきましょう。」としています。生活動線から離れた場所の巣まで、無理に取る必要はないという整理です。

なお、本記事では薬剤の使い方や巣穴の塞ぎ方といった駆除の手順は扱いません。地面の巣は全体の大きさが外から見えず、逃げ道も限られるため、手順を書くこと自体が事故につながると考えているためです。巣の形から種を絞りたい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。

土の中の巣を見つけたら、どこに頼む?補助はある?

作業員が住宅で作業する様子
写真はイメージです

まず知っておきたいのは、自治体の対応が正反対に分かれることです。杉並区は「スズメバチは攻撃性が高いので、日常生活の安全のために、民有地にある巣の駆除については、区・環境課で行っています。」として、区が駆除を行っています(杉並区「スズメバチとその他のハチ」節「スズメバチの巣の駆除」)。一方で我孫子市は「市ではハチの巣の駆除を行っておりません。」と明記し、土地の所有者や管理者から直接業者へ依頼するよう案内しています。同市は費用についても「駆除費用は、ご依頼者の負担となりますので、あらかじめ業者に内容を確認の上、納得のいく業者と契約をして下さい。」としています。

補助制度がある自治体もあります。嘉麻市の「令和8年度スズメバチ駆除費補助金」は、対象になる巣の場所として「垣根、樹木、土の中、工作物その他これに類する場所に作られたもの」を挙げており、土の中の巣も対象に含まれます。補助額は「スズメバチの巣を除去した費用(税抜きの金額)の2分の1の額(百円未満の端数は切り捨てる。)とし、上限が1万円となります。」と定められ、受付期限は令和9年3月31日までです。対象のハチは「対象はスズメバチ亜科のスズメバチ類のみで、アシナガバチ、ミツバチなどは対象となりません。」とされ、さらに「活動中の巣であっても、日常的に人が立ち入る可能性がない場所にあるものについては対象外になります。」という条件も付きます(嘉麻市「令和8年度スズメバチ駆除費補助金」節「補助対象者」「対象となるハチの種類」「補助金額について」/税抜き表記・2026年8月時点)。

制度の有無も対象範囲も市区町村ごとに違い、年度で改定されます。地面の巣は種が特定しにくいぶん、補助の対象になるかどうかも申請時の確認が必要です。まずはお住まいの自治体の生活衛生・環境担当のページで、ハチの駆除の扱いを確かめてください(2026年8月時点)。

依頼先は、大きく3つのタイプに分かれます。①お住まいの自治体の担当課(対応の可否と相談窓口の確認)②各都道府県のペストコントロール協会(地域の登録業者を案内してもらえます)③料金と口コミが事前に見える審査制のマッチングサービス。地面の巣は、掘らないと全体の大きさが分からないぶん、見積もりの前提を書面で確認しておくことが特に大切です。作業範囲(巣の撤去まで含むか)、掘削や土の復旧の扱い、追加費用が発生する条件、当日に巣が見つからなかった場合の費用を、契約前に聞いておくと想定外の請求を避けやすくなります。

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費用の考え方と、業者を選ぶときの確認項目については別記事で詳しく整理しています。

地蜂についてよくある質問(FAQ)

Q地蜂の読み方と別名を教えてください

A「じばち」と読みます。森林総合研究所のパンフレットはクロスズメバチについて「ジバチ(地蜂)と俗称され、土中や壁間などに営巣。」と記載し、農林水産省の「うちの郷土料理」も「へぼ(クロスズメバチ、地蜂とも呼ぶ、地中の中に巣をつくる体長2センチほどの蜂)」としています。名古屋市衛生研究所は「岐阜県、長野県などでは『ヘボ』と称して幼虫、蛹、成虫を賞味する。」と書いており、地域によって「ヘボ」という呼び方も使われます(2026年8月時点)。

Q土蜂(ツチバチ)と地蜂(ジバチ)は同じものですか

A別のグループです。名古屋市衛生研究所のweb昆虫図鑑では、ツチバチ類は「日本には20余種を産する。細長くスマートな形をしたハチ。」と紹介され、「成虫は土中に潜り、コガネムシ類の幼虫に直接産卵し、幼虫はコガネムシ類に寄生して育つ。」とされる単独生活のハチです。集団で土中に巣を作るクロスズメバチとは暮らし方が異なります。名前が似ているだけで、分類も行動も別だと考えてください。

Q芝生や花壇の地面すれすれを黒いハチが飛んでいます。地蜂でしょうか

A断定はできませんが、名古屋市衛生研究所はクロアナバチについて「名古屋市内でもよく見られ、庭や公園などの開けた場所で、地面近くを低く飛んでいる。触れなければ危険はない。」と書き、ツチバチ類についても「成虫は、地面近くを飛び回る。」としています。低く飛び回っているだけで穴に何匹も出入りしていないなら、単独生活のハチである可能性があります。いずれの場合も、捕まえたり素手で触ったりしないでください。

Q地蜂の巣は冬になってもそのまま残りますか

A名古屋市衛生研究所はスズメバチ類・アシナガバチ類の総論として「10月頃、次の世代の雄バチと女王バチを産み、巣は晩秋には消滅する。」とし、「スズメバチ類やアシナガバチ類は、土中や朽木中で冬を越した女王バチが、4-5月頃1匹で巣作りを始める。」と記しています。ただしクロスズメバチについては「営巣は12月頃まで続く。」と書かれており、種によって活動の終わりに幅があります。時期だけを根拠に「もう空だろう」と判断せず、離れた場所から様子を見てください。

Q地蜂に刺されてしまいました。どうすればよいですか

A本記事では処置や症状の判断についてはお答えできません。気になる症状があるときは、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。刺された場所の近くに巣がある可能性が高いため、同じ場所には戻らず、家族や作業を分担している人にも位置を伝えておいてください。

※この記事の種名・体長・営巣場所・活動時期・自治体の対応と補助制度は、名古屋市衛生研究所・森林総合研究所・森林総合研究所九州支所・林業・木材製造業労働災害防止協会・杉並区・我孫子市・嘉麻市・農林水産省が2026年8月時点で公開している資料の記載を整理したものです。地面の巣は外から全体を確認できず、記事だけで種や規模を確定できるものではありません。自治体の駆除対応・補助制度は市区町村ごとに異なり年度ごとに改定されますので、必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。刺傷にともなう症状や処置については医療機関の判断に従ってください。

まとめ|地面の巣は「種を決めない」まま距離をとる

地蜂は多くの場合クロスズメバチの俗称で、名古屋市衛生研究所は働きバチを10-12mm、性質を「性質は比較的温和で、攻撃性は弱い。」としています。ただし土の中に巣を作るハチはこの種だけではなく、同じ図鑑がオオスズメバチを「5月頃から土中に巣を作る。」、キイロスズメバチを「土中や樹洞に作ることもある。」と記しています。森林総合研究所の資料はヒメスズメバチの営巣場所について記述が分かれてもいます。地面の穴を見ただけで種は決まりません。

絞り込みの順番は、穴に出入りする数、体の大きさ、見かけた時期の3つです。1匹だけが穴を扱っているならアナバチ類やツチバチ類の可能性があり、何匹も続けて出入りしているなら集団で暮らす種と考えて距離をとります。草刈りの前に飛び方の変化を見る、棒でつつかない、種が分からない日は作業を見送る——この3つで大半の事故は避けられます。巣の駆除や補助の扱いは自治体で正反対に分かれますので、担当課への確認から始めてください。ハチ全体の見分け方から確認したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。

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