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毎日使っているマグカップの内側に、いつのまにか茶色い輪ができている。書道の宿題が終わったあと、白いシャツの袖に黒いしみが残っている。水筒のフタを開けたら、内側がうっすら黒ずんで見える。どれも「色がついてしまった汚れ」ですが、落とし方は同じではありません。
ここでつまずきやすいのが、手元にある漂白剤をとりあえず全部に使ってしまうことです。同じ着色汚れでも、その面が陶器なのかステンレスなのか布なのかで、使える薬剤も、やってはいけない洗い方も変わります。水筒のように、メーカーが名指しで「使わないでください」と書いている薬剤があるものもあります。
この記事では、花王株式会社の製品Q&A、ニッコー株式会社の食器のお手入れ、レック株式会社の激落ちくんの使用条件、象印マホービン株式会社とサーモス株式会社のお手入れ案内、株式会社サクラクレパスの墨の落とし方、日本家庭用洗浄剤工業会の注意喚起を、当メディア編集部が読み合わせて整理しました。茶渋・コーヒー・墨汁・色移りという「着色汚れ」を、場所ではなく素材で仕分けしてお届けします。


【一言でいうと】茶渋も墨汁も「色の正体」と「素材」で落とし方が決まる|素材別の早見表
結論から書きます。着色汚れの手当てを分けるのは、ついた色が何なのかと、色がついている面が何でできているかの2点です。この2つが決まれば、使ってよい薬剤も、こすってよいかどうかも自動的に決まります。
下の表は、各社が公開しているお手入れの案内を素材ごとに並べたものです。自分が今困っている面がどの行にあたるかを、先に確かめてください。
| 素材・部位 | 身近な例 | 案内されている手当て | 避けるよう案内されているもの | 案内の出どころ |
|---|---|---|---|---|
| 陶磁器の食器 | 湯のみ・マグカップ・皿 | 市販の酸素系台所用漂白剤 | 研磨剤入りのスポンジやクレンザー(傷がつく) | ニッコー株式会社 |
| 金彩・銀彩のある食器 | 縁に金の線が入った器 | やさしく洗う(加飾を削らない) | 研磨剤入りのスポンジやクレンザー/金・プラチナ加飾のものは電子レンジ不可 | ニッコー株式会社 |
| ガラス・タイル・ホーロー | コップ・保存びん | メラミンスポンジの「使用に適した面」に挙がる | 強い力でこする使い方 | レック株式会社(激落ちくん) |
| 光沢のあるプラスチック・ステンレス面 | 保存容器・水筒の外側 | やわらかいスポンジと中性洗剤 | メラミンスポンジは「使用に適さない面」に挙がる | レック株式会社(激落ちくん) |
| ステンレスボトルの内面 | 水筒・マイボトル | 酸素系漂白剤、または各社の専用洗浄剤 | 塩素系漂白剤(サビ・穴あきの原因) | 象印マホービン株式会社/サーモス株式会社 |
| ボトルのパッキン・樹脂部品 | フタのゴム・飲み口 | 金属と分けて洗う(サーモスは塩素系漂白剤も使えるとする) | 金属部分への塩素系漂白剤 | サーモス株式会社 |
| 白い無地の衣類 | 綿・麻・ポリエステル・アクリルのシャツやタオル | 塩素系漂白剤が使える | 左記以外の繊維、色柄物 | 花王株式会社 |
| 色柄物の衣類 | 体操服・エプロン | 酸素系漂白剤(染料を脱色しない) | 塩素系漂白剤(染料まで脱色することがある) | 花王株式会社 |
| 毛・絹 | セーター・和装小物 | 取扱表示に従う | 粉末タイプの酸素系漂白剤は使用できない | 花王株式会社 |
※2026年8月時点で各社が公開している内容を当メディア編集部が整理したものです。同じ「陶器」「プラスチック」でも製品ごとに条件が異なるため、手元に取扱説明書や取扱表示があるときはそちらが優先されます。

なお、便器の黄ばみ、便座の裏、浴槽の黄ばみのように「場所の名前」で呼ばれる汚れは、原因も使う洗剤も別ものです。そちらでお困りの場合は下の記事をご覧ください。
茶渋・コーヒー・墨汁・色移りは別物|色がついた理由が違う

見た目はどれも「取れない色」ですが、色がそこにある理由が違います。理由が違えば、効く方向も変わります。
茶渋・コーヒーの色は、飲み物の色が面に残ったもの
お茶やコーヒーを入れたままにした器の内側が、少しずつ茶色くなっていく。これは飲み物そのものの色が面に残り、重なっていったものです。サーモス株式会社はサーモス製品を長くきれいにお使いいただくためにで、「茶渋がついたり、内部が変色したりしたときは、「酸素系漂白剤」を使用します。」と案内しています。
ここで押さえたいのは、これは面についた色であって、面そのものが作り変わったわけではないという点です。だからこそ、色を抜く方向の薬剤(漂白剤)が各社の案内に出てきます。逆に、面のほうが傷んでいる場合は、いくら漂白しても戻りません。
墨汁の黒は「粉」で、繊維の内側に入り込む
墨は色水ではありません。株式会社サクラクレパスは墨(墨液・墨汁)が服についた時の落とし方で、「墨(固形墨)は、墨の粉(煤)とニカワ(膠)が主な原材料です。」と説明し、墨液・墨汁については「一方墨液・墨汁は、 煤(すす)とニカワ(膠)を用いて作られたものと、ニカワ(膠)の代わりに合成樹脂を使って作られたものの二種類があります。」としています。
つまり黒いのは粉の粒で、それが繊維のすき間に入り込んで留まっている状態です。同社は身近なもので落とす方法を紹介したうえで、「完全に落とすことは難しいです。」とも書いています。墨汁は「落とす」より「薄くする」作業だと最初に理解しておくと、生地を傷めるところまで力を入れずに済みます。
洗濯の色移りは、ほかの衣類の染料が移ったもの
洗濯物のあいだで色がうつるのは、汚れがついたのではなく染料が移動した結果です。花王株式会社の製品Q&A「【相違点】塩素系漂白剤「ハイター」と酸素系漂白剤「ワイドハイター」シリーズの違いは何?」は、塩素系漂白剤について「漂白力が強いので、染料まで脱色してしまうことがあり、色柄物には使用できません。」と説明しています。
染料を相手にしている以上、白い布の色移りと、色柄物の色移りでは打ち手が分かれます。この違いは後半の見出しで詳しく扱います。
また、内側の黒い点が広がるように増えている、においがこもるといった場合は、着色汚れではなくカビのこともあります。
手を動かす前に決める2つのこと|混ぜない・表示どおりに使う

着色汚れの相談で怖いのは、落ちないことではなく、落とそうとして薬剤を重ねてしまうことです。作業に入る前に、次の2つだけ決めてしまいましょう。
「まぜるな危険」は、続けて使う場面でも効いてくる
日本家庭用洗浄剤工業会は[まぜるな危険]酸性タイプ表示製品との混合による「注意事項」で、「塩素系と酸性タイプとが混ざると、塩素ガスが発生し大変危険です。」と示し、[まぜるな危険]と書かれた製品を使うときは塩素系表示製品と酸性タイプ表示製品が混ざらないよう注意するよう呼びかけています。
気をつけたいのは、容器の中で混ぜなくても「混ざる」ことがある点です。塩素系を使ったあと、洗い流さないまま酸性タイプを使えば、シンクの中や器の内側で同じことが起こります。この記事では、2種類の薬剤を組み合わせる方法はいっさい紹介しません。
使う薬剤は、その日ひとつに限る
落ちないときほど、別の薬剤を足したくなります。そこを断つために、使う薬剤はその日ひとつに限ると先に決めてください。落ちなかったら翌日以降にあらためて、しかも十分にすすいでから別の手を試すという順番にします。
薬剤の使用量とつけおき時間も、自分の勘ではなく製品の表示に従います。花王株式会社は製品Q&A「【漂白剤】食器を漂白する時、どんなことに注意したらいいの?」で、「漂白中の食器は放置せず、つけ置き時間が終わったらすぐにすすぐことをおすすめします。」と案内し、その場を離れる場合は漂白中だとわかるようにしておくこと、子どもや認知症の方の手が届かないようにすることにも触れています。
湯のみ・マグカップ・保存容器の茶渋|陶器・磁器・ガラス・プラスチックで分ける

ここからが茶渋の本題です。食器は素材の幅が広く、同じ食卓の上でも扱いが分かれます。
陶磁器の食器には、酸素系の台所用漂白剤が案内されている
食器メーカーの案内はシンプルです。ニッコー株式会社は食器のお手入れで、茶渋などの落ちにくい汚れについて「市販の酸素系台所用漂白剤をお使いください。」と案内しています。
同じページでは、洗うときに研磨剤入りのスポンジやクレンザーを使うと傷がついたり、金彩がある器では加飾がはげてしまうことにも触れています。縁に金や銀の線が入った器は、こする道具のほうを先に見直してください。同ページの家電対応の一覧は、金・プラチナ加飾のものを電子レンジ不可としています。
塩素系を使うときに外せない条件
台所用の塩素系漂白剤を使う場合は、条件を守れるかどうかがすべてです。花王株式会社の製品Q&A「【使用可否】「キッチンハイター」は、ステンレス製品に使えるの?」は、ステンレス製品には使えるとしたうえで、「つけおき時間が長かったり、液がついたまま放置したりすると、ステンレスでもサビが発生することがあります。」と説明しています。
同じ回答は、「ステンレス製のキッチンシンクでのつけおきはしないでください。」「また、ステンレスを除く金属製品にはお使いいただけません。」とも記しています。シンクに液をためて器を沈める、という多くの家庭がやりがちな方法が、ここで明確に外れます。
メラミンスポンジは「使える面」が決まっている
茶渋の相談で必ず出てくるのがメラミンスポンジです。レック株式会社の激落ちくんのページは、使用に適している面として「ガラス、くもり止め加工などの特殊加工されていない鏡、陶磁器、タイル、ホーロー、光沢のないステンレス・プラスチック面等」を挙げています。
一方で、使用に適さない面として「くもり止め加工などの特殊加工された鏡、光沢のあるステンレス・プラスチック面、車の外装面、吸水性のある面、凹凸のある面、漆器類」を挙げ、注意事項では細かいキズが入ることがあるとも注記しています。「光沢がある面かどうか」が、そのまま可否の分かれ目になります。
つけおきで進めるときの順番
道具と薬剤が決まったら、あとは順番どおりに進めるだけです。特別なことは何もありません。
1器の素材と、表示・取扱説明書を先に確かめる
陶器か磁器か、金彩があるか、プラスチックなら光沢のある面か。ここを飛ばすと、あとの工程がすべて賭けになります。手元に取扱説明書があるものは、そちらの記載が優先されます。
2製品に書かれた使用量と時間で、液を作る
薄いほうが安全ということはありません。濃すぎても薄すぎても、書かれている前提から外れます。ステンレス製のシンクに液をためるのではなく、洗い桶やボウルを使ってください。
3時間が来たらすぐ引き上げ、水でよくすすぐ
つけおきしたまま忘れるのが、いちばん事故に近い状態です。花王株式会社の案内どおり、時間が終わったらすぐにすすぎます。その場を離れるなら、漂白中とわかるようにしておきます。
4落ちなくても、同じ日に別の薬剤を足さない
残った色は、翌日以降に同じ手順をもう一度試すか、道具のほうを見直します。ここで別系統の薬剤を重ねることだけは避けてください。
キッチン全体の掃除の順番や、重曹とクエン酸の使い分けそのものについては、別の記事でまとめています。
水筒・ステンレスボトルの内面|メーカーが禁じている洗い方

水筒は、この記事のなかでいちばん条件が厳しい相手です。食器の感覚のまま扱うと、落とすどころか本体を壊すことになります。
塩素系漂白剤は使わない
象印マホービン株式会社は、よくあるご質問「ステンレスボトルに漂白剤を使ってお手入れしてもいいですか?」で、「塩素系漂白剤を使ってのお手入れはしないでください。塩素系漂白剤はサビ(本体内側・中せんスプリング)や、穴あき(本体内側)など故障の原因になります。」と回答しています(象印マホービン株式会社 よくあるご質問)。
サーモス株式会社も前掲のお手入れページで、「塩素系漂白剤は、金属本体には絶対に使用しないでください。さびや保温不良の原因になります。」としています。会社が違っても、金属の本体に塩素系を使わないという線は共通しています。
着色には酸素系。ただし本体の外側には付けない
では茶渋がついたらどうするか。象印マホービン株式会社の前掲の回答は、同社のステンレスボトル洗浄剤の使用をすすめたうえで、「市販の酸素系漂白剤も使用できますが、漂白剤の使用方法、使用上の注意に従って使用してください。」と案内しています。同時に、洗浄剤や酸素系漂白剤が付着すると本体の塗装・印刷・シールがはがれる原因になるため、本体外側に付着しないよう注意することにも触れられています。
サーモス株式会社のWEBマガジン「水筒&スープジャーの洗い方 漂白剤を使ってパッキンまで清潔に!」は、同社のマイボトル用漂白剤について「ぬるま湯500mlあたり・・・マイボトル用漂白剤3g(除菌をしっかりしたい場合は9g)」と分量を示し、「約30分つけ置きする。」としています。同ページには「漂白中にフタをすると密閉状態になりとても危険なので、絶対にフタはしないでください。」という注意も添えられています。
たわし・みがき粉・メラミンスポンジ・食洗機の扱いは会社と機種で変わる
研磨とお湯の扱いも、水筒では別の顔をします。象印マホービン株式会社はよくあるご質問「ステンレスボトルのお手入れ方法を教えてください。」で、ぬるま湯で薄めた台所用中性洗剤とやわらかいスポンジで洗うことを案内し、「シンナーやベンジン・金属たわし・研磨材入りたわし・みがき粉・クレンザー・メラミンスポンジなどは使用しないでください」「煮沸はしないでください。また、食器洗い乾燥機や食器乾燥器などは、使用しないでください」と示しています(象印マホービン株式会社 よくあるご質問)。同じページは日常のお手入れとしてつけ洗いをしないことにも触れており、着色が気になるときの洗浄剤や酸素系漂白剤の扱いは前掲の別の回答が扱っています。
この案内は象印マホービン株式会社のステンレスボトルについてのものです。他社の製品や、同じ会社でも別のシリーズには、そのまま当てはめられません。食器洗い乾燥機に対応するかどうかは製品ごとに決まっており、サーモス株式会社は前掲のお手入れページで食洗機対応製品の一覧を別に用意しています。手元の水筒の取扱説明書を一度開くのが、いちばん確実です。
パッキンは、本体と分けて考える
同じ水筒でも、金属の本体とゴムのパッキンでは判断が違います。サーモス株式会社の前掲のWEBマガジンは、塩素系漂白剤について「金属には使用できませんが、パッキンと樹脂部品に使用できます。」と説明しています。1本の水筒の中で線が引かれている、という点はぜひ覚えておいてください。
同ページは、パッキンを一年目安で交換することも案内しています。色やにおいが取れなくなったパッキンは、落とす対象ではなく交換する部品だと考えると気が楽になります。
- 金属の本体に塩素系漂白剤を使わない(象印マホービン株式会社・サーモス株式会社)
- 酸素系や専用洗浄剤は、製品に書かれた分量と時間で使う
- つけおき中にフタをしない(サーモス株式会社)
- たわし・みがき粉・メラミンスポンジ・食洗機の可否は、その製品の取扱説明書で確かめる
- パッキンは本体と別扱い。交換部品として考える
服についた墨汁|「落とす」ではなく「薄くする」作業

書道のあとの衣類は、この記事でいちばん結果が読めない相手です。先に書いたとおり、墨の黒は粉の粒で、繊維の内側に入り込みます。
メーカーが示している手順
株式会社サクラクレパスの前掲ページは、身近なもので試す方法を2つ挙げています。ひとつはご飯粒を使う方法で、「①ご飯粒と洗濯洗剤を混ぜる。ティースプーンにのる程度のご飯に対して、洗剤数滴程度。②混ぜて作ったものを汚れの裏側から擦り込む。③擦り込んだものが黒くなってきたら、水で洗い流し、同じことを色が薄くなるまで繰り返す。④薄くなったら、洗濯機で洗濯する。」という手順です。
もうひとつは歯磨き粉を使う方法で、「①歯磨き粉は研磨成分が入ったものを使用してください。②墨で汚れた箇所に直接歯磨き粉を付けて、汚れを搔き出すようにしてください。」と同社は案内しています。いずれも粒をかき出す方向の手当てで、色を化学的に抜く方法ではありません。同社は、これらの方法について「完全に落とすことは難しいです。」と明記しています。
「洗濯で落ちる墨液」は、そもそも別の製品
洗って落ちるタイプの墨液は、最初から落ちやすく作られた製品です。株式会社サクラクレパスの前掲ページは、同社の「洗濯で落ちる墨液」について「酸素系漂白剤と洗濯洗剤を混ぜたぬるま湯に2時間程度つけ置きすることで墨汚れを落とすことができます。」と案内しています。
ここで大切なのは、これは製品を選んだ人だけが使える手順だという点です。ふつうの墨液で書いた汚れに同じ結果を期待することはできません。学校で使う墨液の種類を、あとから確かめておくと次に備えられます。
ウール・ナイロン・シルクは染着が起こる
素材によっては、そもそも土俵が違います。株式会社サクラクレパスの前掲ページは「ウール、ナイロン、シルクでは染着が起こるので、写真のようには汚れを落とすことはできません。」と明記しています。染まってしまった状態なので、こすっても薄くならないということです。
漂白剤の側からも同じ線が引かれています。花王株式会社の漂白剤のキ・ホ・ンは、粉末タイプの酸素系漂白剤は毛・絹には使用できないとしています。制服やセーターに墨がついたときは、無理をせずクリーニング店に相談するほうが安全です。
畳・床・壁についたときは、素材側の手順に切り替える
墨をこぼす場所は、机の上だけではありません。畳やフローリング、壁紙に落ちた場合は、衣類とはまったく別の手当てになります。それぞれの素材の掃除の考え方は、別記事でまとめています。
洗濯物の色移り|白い無地か色柄物かで漂白剤が分かれる

洗濯機から出したら白いシャツが薄いピンクになっていた、という色移りも着色汚れの一種です。ただし相手が染料なので、器とは考え方が変わります。
花王株式会社の前掲の製品Q&Aは、塩素系漂白剤の「ハイター」について、次亜塩素酸ナトリウムが主成分であるとしたうえで「白い無地の衣類やタオルなどにだけ使用できます。」と説明しています。さらに「また、強いアルカリ性なので、綿・麻・ポリエステル・アクリル以外の繊維には使用できません。」と続きます。
同じ回答は、酸素系漂白剤について成分が過酸化水素や過炭酸ナトリウムであるとし、「染料を脱色しないので、白物にはもちろん色柄物にも使用することができます。」と説明しています。色柄物に塩素系を使うという選択肢は、ここで消えます。
つまり、白い無地で、しかも綿・麻・ポリエステル・アクリルのいずれかという条件がそろったときだけ塩素系が候補になり、それ以外は酸素系側で考えるということです。前掲の「漂白剤のキ・ホ・ン」は、粉末タイプはガンコな汚れ向け、液体タイプは毎日の洗濯向けという整理も示しています。手持ちの衣類の取扱表示を先に見てから、どちらを買うか決めてください。
落ちないときにどこで手を止めるか|買い替えと相談先の目安

着色汚れの手当てには、必ず引き際があります。ここを決めておかないと、道具を買い足しながら器や服を削り続けることになります。
それは着色汚れではないかもしれない
長く使ったプラスチックの保存容器や洗面用具が全体的に黄色っぽくなる、というのはよくある相談です。この場合、表面についた色ではなく素材そのものの見た目が変わっていることがあります。面の側が変わっているなら、漂白しても研磨しても元には戻りません。
見分けの手がかりは、汚れの縁がはっきりしているかどうかです。輪や点のように境目がある色は面についた汚れ、全体が均一に色づいているものは素材側の変化を疑います。後者にメラミンスポンジやクレンザーを当てても、レック株式会社が注意しているように細かいキズが増えるだけです。
割れ・欠け・加工のはがれが出たら、使うのをやめる
器の内側に細かいひびが入っている、コーティングがはがれてきた、水筒の内面に点状のサビが出てきた。こうなると、落とす作業から離れる段階です。
- 同じ手順を2回試しても、まったく変わらない
- 器の内側にひびや欠けがある、飲み口が欠けている
- 水筒の内面にサビや穴のようなものが見える
- 色が均一で、境目がはっきりしない(素材側の変化が疑われる)
- 衣類が毛・絹で、取扱表示で漂白ができないことになっている
使うのをやめた食器の処分は、割れているかどうかで自治体の扱いが変わります。まとめて処分するときの方法は別記事にあります。同じ「落ちない汚れ」でも、接着剤が固まってしまったケースは薬剤の選び方がまったく違うので、そちらも分けて扱っています。
茶渋・墨汁の落とし方のよくある質問(FAQ)
※本記事の内容は2026年8月時点で各社・各団体が公開している情報をもとに当メディア編集部が整理したものです。使用できる薬剤・洗い方は、お手元の食器・水筒・衣類の取扱説明書と取扱表示、および製品に表示された使用方法が優先されます。同じ素材名でも製品ごとに条件が異なり、この記事の内容が汚れの除去を保証するものではありません。
まとめ
茶渋も墨汁も色移りも、まとめて「着色汚れ」と呼ばれますが、色の正体と、色がついている面の素材が決まらないうちは手を動かせません。陶磁器の食器には酸素系の台所用漂白剤、白い無地で綿・麻・ポリエステル・アクリルの衣類にだけ塩素系、色柄物には酸素系。そしてステンレスボトルの金属本体には塩素系を使わない。この4つが、各社の案内に共通して出てくる線でした。
墨汁だけは事情が違い、粉の粒が繊維に入り込むため「落とす」より「薄くする」作業になります。メーカー自身が完全に落とすことは難しいと書いている以上、力を入れる先は生地ではなく、次に汚さないための備えのほうです。そして、薬剤を混ぜない・その日ひとつに限る・製品の表示どおりに使う。この3つを守れば、落ちなかったとしても失うものはありません。境目のない色や、ひび・欠け・サビが出てきたら、そこが手を止める合図です。