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紙魚(シミ)とは|銀色の虫の見分け方と本・衣類を守る対処・予防の手順

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本棚の奥から古い文庫本を引き出したら、銀色に光る細長い虫が背表紙の陰へすっと逃げ込んだ——押し入れの段ボールをどけたとき、洗面台の隙間を掃除したとき、同じ場面に出くわす方は少なくありません。動きが速いぶん正体を確かめる間もなく、手元の本や着物が心配になります。

この虫はシミ、漢字では紙魚と書きます。名前は聞いたことがあっても、刺すのか、放っておいてよいのか、どこから入ってきたのかまでは案外知られていません。ネット上には「ハーブの香りが苦手」「ゆでたじゃがいもを置くと集まる」といった対処法も並んでいて、どれを信じてよいか迷うところです。

この記事では、東京都保健医療局とさいたま市の衛生害虫の解説、東京文化財研究所(独立行政法人国立文化財機構)が公開する文化財害虫検索、公益財団法人文化財虫菌害研究所の昆虫学講座、国立国会図書館の資料保存ページを当メディア編集部が読み込み、シミの見分け方から潜んでいる場所、片づけ方と再発防止までをまとめました。虫の写真は掲載せず、線画の図解と文章だけで解説します。

読者
本棚の奥に、銀色でくねくね動く1センチくらいの虫がいました。人を刺したりしませんか。本もこれ以上かじられそうで不安です。
編集部
お尻から長い毛のようなものが3本のびていたら、シミの仲間である可能性が高いです。刺すという記載は公的な資料には見当たりません。まずは体長と尾の本数を確かめてから、湿気と餌を減らす方向に進めていきましょう。

【一言でいうと】紙魚(シミ)は紙や衣類を食べる翅のない虫|特徴早見表

収納ボックスと棚
写真はイメージです

本や押し入れのまわりで見かける、銀色で細長く、驚くほど素早く走る体長1センチほどの虫。これはシミである可能性が高いと考えられます。東京都保健医療局のチャタテムシとシミでは、体長は最大で10ミリメートルくらい、銀灰色から銀黒色で長い触角と尾毛をもち、すばやく走りまわると説明されています。

同ページは、押入など暗い場所を好み、でんぷん質や動植物質の細片を食べるとしたうえで、糊づけされた壁紙や布などを食害することがあるものの「あまり大きな害はありません」と記しています。まずは全体像を早見表でつかんでください。

項目 内容
読み方・分類 「しみ」。シミ目シミ科の昆虫で、成虫になっても翅をもたない
大きさ 成虫で体長8〜10ミリメートル前後(東京都保健医療局は最大10ミリメートルくらい)
見た目 銀灰色〜銀黒色。長い触角と、腹部の末端から3本のびる長い尾
よく見かける場所 押入・本棚の奥・段ボールの中など、暗く湿った隙間
食べるもの 紙や衣類などの繊維質、小麦粉などの乾物。特に和紙や糊付けされた本
被害の出方 表面を浅く食べる食害と、糞による汚れ
人への害 刺す・血を吸うという記載は公的資料に見当たらない
基本の対策 通風と乾燥、掃除。大切な本や掛軸は乾燥した場所で密閉容器へ

※早見表の内容は、東京都保健医療局・さいたま市・東京文化財研究所(独立行政法人国立文化財機構)・公益財団法人文化財虫菌害研究所の公開情報(いずれも2026年7月時点)から当メディア編集部が抜き出してまとめました。住まいの環境によって見え方は変わります。

紙魚の見分け方|長い尾が3本あるか、体長は1cmか1mmか

色の印象だけで決めようとすると、照明や紙の反射に引きずられます。先に確かめたいのは、体の後ろから長い尾がのびているかどうかと、体長がどれくらいかの2点です。下の線画で、どこを見ればよいかを押さえておいてください。

図解
当メディア編集部作成

スリッパのような体と、3本の長い尾

公益財団法人文化財虫菌害研究所が発行する『文化財の虫菌害』63号に掲載された山野勝次氏の昆虫学講座 第6回(シミ目・チャタテムシ目・チョウ目)によると、成虫の体長は8〜10ミリメートル前後、翅はなく、体形は扁平でスリッパ状、狭い隙間に潜り込むのに適しているとされています。

同講座は腹部の末端には1対の長い尾毛と長い1本の尾糸があると記しており、後ろに向かって3本の長い付属物がのびているのがシミの仲間の目印になります。また、成長とともに銀色の鱗を生じ、魚を連想させることから、欧米ではSilver fish、中国でも紙魚や衣魚などと呼ばれてきたとも説明されています。

ヤマトシミ・セイヨウシミ・マダラシミの違い

同講座は、日本で文化財への加害記録がある種としてヤマトシミ、セイヨウシミ、マダラシミの3種を挙げています。ヤマトシミは成虫の体長が雄で8ミリメートル内外、雌で9ミリメートル内外、銀白色の光沢を帯びた暗白色で、触角は体長の約3分の2の長さとされています。

セイヨウシミは体長9ミリメートル内外で、暗灰色でヤマトシミより黒っぽく、触角は体長の約2分の1。マダラシミは雄が8.5ミリメートル内外、雌が11ミリメートル内外で、体色は黄白色に灰白色と黒褐色の鱗片が混じったまだら状と説明されています。いずれも糊付けした紙を好み、書籍などの表面をなめるように浅く食害するとされます。

東京文化財研究所の文化財害虫検索でも同じ整理がされており、ヤマトシミの加害対象物は古文書や書籍、掛け軸などの紙類、絹や綿などの衣類などで、被害の状態は食害と糞による汚染とされています。セイヨウシミは紙の表面を摂食して穴をあけるが本を穿孔することはないと記され、マダラシミは高温への耐性が強く50度程でも生存可能とされています。

日本に14種、そのうち8種が家の中で暮らす

種の数についてまとまった説明があるのが、蒲郡市生命の海科学館が2021年2月に開いたオンライン講演会「本の虫」、いにしえの虫の姿を語るの視聴者質問をまとめた「教えて!シミのこと!Q&A」です。総合研究大学院大学と基礎生物学研究所の研究者による回答として、日本には14種が知られ、そのうち8種が家屋性であること、家屋性のうちセイヨウシミやマダラシミなど多くが外来種あるいはその可能性があること、ヤマトシミは在来のシミとして知られていることが説明されています。

つまり「家の中で見かけるシミ」は1種類ではなく、在来種と外来とされる種が混ざっています。写真や図だけで種名まで確定するのは難しいため、この記事でも候補を絞るところまでにとどめています。

幼虫も成虫と同じ形をしている

「小さい個体は幼虫ですか」という疑問は多いのですが、シミは無変態の昆虫で、前掲の昆虫学講座は一生にわたってほとんど形態的な変化を行わないと説明しています。チョウのように姿が変わる段階がなく、小さいうちから成虫とほぼ同じ形をしているということです。

前掲の蒲郡市生命の海科学館のQ&Aでは、さらに踏み込んで、シミは成虫になっても死ぬまで脱皮を続け、その間大きくなり続けること、成虫になった後もおおむね1〜3年生きてより大きな個体も出てくることが述べられています。脱皮した抜け殻は本人が食べてしまうことが多いとも書かれており、抜け殻を手がかりに探すのは現実的ではなさそうです。

体長1ミリの小さな虫はチャタテムシの可能性

同じ本棚まわりで見つかっても、シミとはまったく別の虫がチャタテムシです。前掲の東京都保健医療局のページは、チャタテムシを体長1ミリメートルほどの淡黄色から淡褐色をした小さな虫で、よくダニと間違えられると説明しています。同ページによれば、成虫も幼虫もカビや動植物のごく細かな断片を餌にし、湿り気の残る場所を好むとされます。乾燥食品に入り込むこともあるものの、食品をボロボロにするような食べ方はしないとも書かれています。

体長が10倍違ううえ、チャタテムシには長い尾毛や尾糸がありません。肉眼で「点」にしか見えないならチャタテムシ寄り、細長い形と3本の尾が見えるならシミ寄りという切り分けが実用的です。粉物や食品まわりで見つかる小さな虫については、下の記事で別に扱っています。

紙魚はどこから来る?潜んでいる場所と増える条件

物が溜まったガレージ・物置
写真はイメージです

シミが好むのは、暗さ・隙間・湿気・餌の4つがそろった場所です。どれか1つを崩せば居心地は悪くなるので、まずは自宅のどこに条件が集まっているかを見ていきます。

段ボールは住処と食料をかねてしまう

前掲の東京文化財研究所のセイヨウシミの解説では、他のシミ類と同様に暗い場所や隙間を好んで生息しており、段ボールが格好の住処になるとされています。段ボールは波形の空洞が並んだ構造で、暗くて狭い隙間そのものです。しかも紙と糊でできているため、隠れ場所と餌を同時に提供してしまいます。

通販の空き箱を押し入れやクローゼットに積んだままにしている、引越しの荷物を段ボールのまま何年も置いている。こうした状態は、シミにとって条件が良すぎる場所になりがちです。

ちょっとした埃も餌になる

餌が紙だけだと思うと対策を外します。前掲の東京文化財研究所のヤマトシミの解説は、セルロースのほかたんぱく質を含む物も食べるため、ちょっとした埃も餌として生存することが可能だと記しています。前掲の蒲郡市生命の海科学館のQ&Aでも、家の中であればちょっとしたゴミや虫の死骸なども餌になると考えられると述べられています。

さらに前掲の昆虫学講座には、ヤマトシミは絶食状態でも1年以上生存するという記載があります。餌を断つだけで短期間にいなくなる相手ではない、という前提で考えたほうが現実的です。

湿気の多さは「別の問題」のサインでもある

前掲の昆虫学講座は、チャタテムシがシミと同様に多湿な環境を好むことから、湿度が高いことを知らせる高湿度指標虫ともいえると説明しています。裏を返せば、こうした虫が目につくようになった場所は、湿気がこもりカビが育ちやすい状態になっている可能性があるということです。

本や衣類の食害だけでなく、押し入れのカビや寝具のダニも同じ湿気を土台にしています。寝具まわりのダニを確かめる方法は、下の記事にまとめています。

紙魚を見つけたときの対処|潰さずに片づける手順

掃除機をかける様子
写真はイメージです

目の前の1匹をどうするかより、その周辺に何があるかのほうが大事です。慌てて叩き潰すと、体の鱗や糞が紙や布に残って跡になることがあります。順番に進めてください。

1紙や布の上では潰さず、掃除機で吸い取る

本の見返しや着物の上で潰すと、体液や糞が繊維に染みて残ることがあります。掃除機のノズルで吸い取るか、紙の上に落として屋外へ出すほうが後始末が簡単です。吸い取ったあとは紙パックや集じん容器を早めに処分してください。

2見つけた棚や押し入れを一度空にする

1匹だけを追いかけても、隙間に潜られると終わりません。その棚や押し入れの中身をいったん出し、奥の板や壁との隙間、棚板の裏まで乾いた布で拭き上げます。ここで埃を取っておくことが、餌を減らすことにつながります。

3本や衣類の被害の出方を確かめる

シミによる被害は、表面をなめるように浅く食べた跡と、黒っぽい糞の汚れが中心とされています。ページを貫通するような穴が並んでいる場合は、シバンムシ類など別の虫の可能性もあります。判断がつかない資料は無理に処置せず、状態のわかる写真を残しておくと相談がしやすくなります。

4段ボールをやめて、ふた付きの容器に入れ替える

中身を戻す前に、収納の器を見直します。段ボールは処分し、ふたがしっかり閉まるプラスチック製の収納ケースや缶に入れ替えてください。空き箱を「いつか使うかも」で残しておくと、同じ状態が繰り返されます。

5乾かしてから戻し、しばらく様子を見る

本や衣類は、風通しのよい日陰でしっかり乾かしてから収納します。戻したあと数週間は、月に1度でも扉を開けて中を確かめると変化に気づけます。数が減らない、被害が広がるといった場合は、次の章以降の対策と相談先を検討してください。

紙魚を増やさない環境づくり|湿度65%・清掃・密閉収納

エアコンのある部屋
写真はイメージです

シミは、ある日突然いなくなる虫ではありません。前掲の東京都保健医療局のページも、通風と乾燥、掃除などの環境対策が基本だと案内しています。ここでは、その3つを具体的な数字と手順に落とします。

湿度の目安は65%

どこまで乾かせばよいのかという問いに、数字で答えている資料があります。国立国会図書館の温湿度管理のページは、資料の劣化や虫菌害を抑制するためには低温低湿で変動のない環境で保存することが望ましいとしたうえで、恒常的に湿度が65%を超えるようになるとカビが発生する確率が高まるため、湿度65%を1つの目安として考えることができると説明しています。

同館は1年を通じて、また1日の中でも温湿度を急激に変動させないことを目指しているとも記しています。家庭では書庫のような管理はできませんが、湿度計を1つ置いて65%を超えたら除湿する、という単純な運用に落とすだけでも判断が速くなります。

掃除は「餌を減らす作業」と考える

前掲の東京文化財研究所は、ヤマトシミ・セイヨウシミ・マダラシミのいずれについても、予防と管理上の注意点として定期的な清掃をして清潔な状態に保つことを挙げ、爆発的に増えることは稀でIPMのような予防的な方法で管理が可能だとしています。

IPMについては、国立国会図書館の虫菌害等の対策のページに説明があります。総合的有害生物管理と訳され、複数の対策を合理的に組み合わせて、虫やカビなどの有害生物の発生を許容水準内に抑えることだとされています。同館は温湿度管理に加え、和紙資料を多く保管する区域などで補虫用粘着トラップを用いた調査を行っているとも記しています。家庭でも、市販の粘着トラップを本棚の裏に置いて数の変化を見る、という発想は応用できます。

大切な本や掛軸は密閉して保管する

さいたま市健康科学研究センターのサイエンスなび「本をかじる害虫『シミ類』」は、被害を予防するために、大切な本や掛軸などは乾燥した場所で密閉容器に保管し、防虫剤を入れることを挙げています。あわせて、食品は密閉容器で保管し、シミの餌となる食品くずなどを残さないよう家屋内を清潔に保つよう案内しています。

  • 湿度計を置き、65%を超えたらエアコンの除湿や除湿機で下げる
  • 押し入れ・クローゼットは月に一度は扉を開け、扇風機で空気を動かす
  • 本棚は壁からわずかに離し、最下段と床のあいだに空きをつくる
  • 段ボールと古紙は室内にためず、ふた付き容器か紙の資源回収へ
  • 食べこぼしと埃はその日のうちに取り、収納の奥まで掃除機をかける

収納の器を替えるところまでは進んでも、中身が多すぎて入りきらないという場面はよくあります。片づけの順番と、読まなくなった本の減らし方は、それぞれ別の記事で扱っています。

防虫剤・殺虫剤を使うときの注意|併用しない・表示に従う

クローゼットを整理する様子
写真はイメージです

薬剤は使い方を外すと、虫より先に衣類や住む人に影響が出ることがあります。ここは公的機関の案内どおりに進めてください。

種類の違う防虫剤を混ぜて置かない

独立行政法人国民生活センターの衣類の防虫剤を使用したら体調が悪くなったという解説は、衣類の防虫剤として樟脳、ナフタリン、パラジクロロベンゼン、無臭性のピレスロイド系薬剤があると整理したうえで、種類の異なる有臭性の防虫剤のうち2種類を併用すると、化学反応により薬剤が溶けて衣類に付着し、しみや変色の原因になる場合があると説明しています。

同センターは、衣替えなどで防虫剤の種類を変える場合や使っていた種類がわからない場合には、まず古い防虫剤を取り除き、次に衣類や収納ケースに風をあてて臭いを十分に飛ばし、最後に新しい防虫剤を入れる、という順番を案内しています。無臭性のピレスロイド系については、薬剤が溶けて衣類に付着することはないため、そのまま併用できるとされています。

全国クリーニング生活衛生同業組合連合会の衣類を守るための防虫剤の基礎知識も同じ整理で、防虫剤は適正量を守ることが大事で、少ないと効果が充分発揮されず、多すぎると一部の薬剤では再結晶を起こすとしています。収納場所は密閉できるものを選び、防虫剤は上から下に拡がるため衣類の一番上に置くと効果的だとも案内されています。

換気と保管の注意

前掲の国民生活センターの解説は、室内の防虫剤の濃度が高くなると眼、鼻、のどなどの粘膜を刺激することがあり、高濃度の場合だけでなく低濃度でも長期間吸い続けると健康に影響を及ぼすことがあるとして、製品パッケージ等に記載されている使用上の注意をよく確認するよう呼びかけています。パラジクロロベンゼンについては厚生労働省の検討会で室内濃度指針値がまとめられており、指針値を超えないようにするには密閉性のある収納容器で使用し、衣替えの際には部屋の換気を十分に行うことが大切だとされています。

保管についても記載があります。使い残しの防虫剤は袋を移し替えず、有効成分が逃げないように密封して直射日光が当たらない湿度の低い場所へ。パラジクロロベンゼンなどの防虫剤を食品と一緒に保管すると容器包装を透過して移行することが確認されているため、食品と混在させて保管しないよう注意が促されています。子どもが飲みこまないよう置き場所にも配慮し、万一飲みこんでしまった場合は製品のパッケージ等を持って医師に相談するよう案内されています。

殺虫剤を使う場合も考え方は同じです。対象となる害虫と使用できる場所は製品ごとに定められているため、表示された使用方法・使用量・使用場所を必ず守り、複数の薬剤を混ぜて使わないようにしてください。どの製品も、使えば必ずいなくなると保証されるものではありません。

ハーブの香りやじゃがいもは裏が取れなかった

検索すると上位に並ぶ「ラベンダーやシナモンの香りを嫌う」「ゆでたじゃがいもを一晩置くと集まる」という対処法については、今回調べた範囲の公的機関・研究機関の資料では、効果を示す記載を確認できませんでした。効かないと断定する材料もありませんが、少なくとも一次情報に裏づけられた方法ではありません。

とくに食品を屋内に置いておく方法は、放置すればそれ自体が別の虫やカビを呼ぶ材料になります。試すとしても短時間にとどめ、湿度を下げて掃除するという土台の対策の代わりにはしないでください。

自分で手に負えないときの相談先

集合住宅の外観
写真はイメージです

掃除と除湿を続けても数が減らない、貴重な蔵書や着物の被害が広がっている。そうしたときは抱え込まず、外に相談したほうが早く落ち着きます。順に見ていきます。

自治体の窓口は「相談先」であって駆除はしない

まず押さえておきたいのは、自治体が家の中の虫を駆除してくれるわけではないという点です。大阪市の衛生害虫等に関する相談についてのページは、ネズミや衛生害虫に困っている場合は各区保健福祉センター生活環境業務担当へ相談するよう案内する一方、駆除は土地の所有者または管理者が自らの責任で行うものとし、市では薬剤の配布や駆除は行っていないと明記しています。

横浜市の害虫に関する情報のページも、衛生害虫について困ったときの連絡先として、区ごとに置かれた福祉保健センターの生活衛生課を挙げています。窓口の名称も対応できる範囲も自治体ごとに違います。お住まいの市区町村が公開しているページで、担当課と受付の方法を先に調べておくとよいでしょう。問い合わせるときは、見かけた場所と時期、体長のおよその見当、被害を受けたものを伝えると話が早く進みます。

専門業者に頼むときに見るところ

防除の専門業者に依頼する選択肢もあります。都道府県ごとのペストコントロール協会は公益社団法人日本ペストコントロール協会のサイトから確認できますが、業者ごとに得意分野も料金体系も違うため、当メディアで特定の順位づけはしません。見積書に作業範囲・使用する薬剤・回数・費用の内訳が書面で示されるか、作業後にどこまで対応してもらえるかを比べてください。

訪問してきた業者にその場で契約を求められたときは、いったん保留にして、日を改めて複数社の説明を並べる。この一手間を挟むだけで、必要のない作業まで含んだ見積もりを避けやすくなります。

大切な資料が被害を受けているとき

古文書や掛け軸、家に伝わる書物など、代えのきかない資料に被害が出ている場合は、殺虫剤を吹きかける前に立ち止まってください。前掲の東京文化財研究所は、資料への直接的な殺虫処理はあまり効果的ではないとし、館内の除塵清掃を徹底することを対処として挙げています。

公益財団法人文化財虫菌害研究所や国立国会図書館が公開している資料保存の考え方は、もともと博物館・図書館向けのものですが、環境を整えて発生を抑えるという方針は家庭にもそのまま当てはまります。市区町村の図書館や博物館に、資料の保存について相談できる窓口があるかを尋ねてみるのも一つの方法です。

紙魚(シミ)のよくある質問(FAQ)

Q紙魚の読み方と、この漢字を当てる理由は何ですか?

A読み方は「しみ」です。前掲の昆虫学講座には、成長とともに銀色の鱗を生じ、魚を連想させることから、欧米ではSilver fish、中国でも紙魚、衣魚などと呼ばれてきたと記されています。紙を食べる魚のような虫、という見立てが名前になったわけです。銀色の体と、体をくねらせて走る動きを見ると、この名づけには納得がいきます。

Q紙魚の幼虫や卵はどこにいますか?

Aシミは無変態の昆虫で、幼虫も成虫とほとんど同じ形をしています。小さい個体は若い個体だと考えてください。卵について、前掲の昆虫学講座はヤマトシミの卵を直径1ミリメートルほどとし、10日ないし2か月で孵化する、1回の産卵数は10個前後とし、温暖期に数回産卵すると説明しています。ごく小さく隙間の奥に産まれるため、目で探し出すのは現実的ではありません。棚の奥まで掃除機をかけ、湿気を抜くほうが確実です。

Q人やペットに害はありますか?

A前掲の東京都保健医療局のページは、糊づけされた壁紙や布などを食害することがあるものの、あまり大きな害はありませんとしています。前掲の蒲郡市生命の海科学館のQ&Aでも、現在のところ寄生性の種は知られていないと回答されており、本や衣類には食害を及ぼすという説明が添えられています。人を刺す、血を吸うといった記載は今回調べた公的資料には見当たりませんでした。ただし、体調の変化を感じたときは自己判断せず医療機関にご相談ください。

Q寿命は何年くらいですか?

A資料によって示され方に幅があります。前掲の昆虫学講座はヤマトシミの寿命を7〜8年とし、前掲のさいたま市の資料も7から8年で一年を通じていろいろな大きさの個体がみられるとしています。一方、前掲の蒲郡市生命の海科学館のQ&Aでは、成虫になった後もおおむね1〜3年生きると説明されています。いずれにしても昆虫の中では長生きな部類で、短期間で自然にいなくなるとは考えないほうがよさそうです。

Q1匹見つけたら、実は大量にいるのでしょうか?

A前掲の東京文化財研究所は、シミ類について爆発的に増えることは稀であり、IPMのような予防的な方法で管理が可能だとしています。1匹見ただけで大量発生を決めつける必要はありません。ただし、暗さ・隙間・湿気・餌がそろった場所では数が増えていくため、見かけた場所の周辺を空にして拭き上げ、湿度を下げるところから始めてください。マダラシミについては、長期間30度を超えるような環境に維持しなければ爆発的な繁殖はあまり起きないとも記されています。

※本記事は、2026年7月の時点で下記の各機関がインターネット上に掲載していた内容を当メディア編集部が確認し、家庭向けに書き起こしたものです。引用元は、東京都保健医療局/さいたま市健康科学研究センター/東京文化財研究所(独立行政法人国立文化財機構)/公益財団法人文化財虫菌害研究所/国立国会図書館/独立行政法人国民生活センター/全国クリーニング生活衛生同業組合連合会/蒲郡市生命の海科学館/大阪市/横浜市が公開する各ページです。虫の種類を最後まで確定するには現物の確認が欠かせないため、判断に迷う場合は専門機関へお問い合わせください。防虫剤や殺虫剤は、パッケージに書かれた用法・用量・使用場所の指定に従ってお使いください。

まとめ

本棚や押し入れで見かける銀色の細長い虫は、体の後ろに長い尾が3本あればシミの仲間である可能性が高いと考えられます。体長は8〜10ミリメートル前後。体長1ミリメートルほどで尾のない虫なら、チャタテムシなど別の仲間です。家屋で見つかるシミには在来のヤマトシミのほか、セイヨウシミやマダラシミなど外来とされる種も含まれます。

被害の中心は、紙や布の表面を浅く食べる食害と糞による汚れで、人を刺すという記載は公的な資料には見当たりませんでした。見つけたときは紙や布の上で潰さず、掃除機で吸い取ってから、その棚や押し入れを一度空にして拭き上げるのが順番です。段ボールは住処と餌をかねてしまうため、ふた付きの容器に入れ替えてください。

再発を防ぐ土台は、湿度・清掃・密閉収納の3つです。湿度は65%を1つの目安に下げ、収納の奥まで埃を取り、大切な本や掛軸は乾燥した場所で密閉して保管する。防虫剤を使うなら、種類の違うものを混ぜて置かないことと、表示された使用量と換気の注意を守ることが前提になります。それでも数が減らないときは、自治体の窓口に状況を伝えるところから始めれば十分です。

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