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プラスチックの黄ばみの落とし方|経年劣化で漂白しても戻らない場合

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白かったはずの家電の外装や壁のスイッチプレート、収納ケースが、いつのまにか黄色っぽくなっている。拭いても変わらないので、「重曹」「ハイター」「ワイドハイター」「オキシクリーン」と検索して、次に使うものを探している——このページにたどり着く方の多くが、そこで止まっています。

先にお伝えします。プラスチックの黄ばみで最初に決めるのは、何で洗うかではなく、それが「落ちる黄ばみ」なのかどうかです。付いた汚れなら落ちますが、樹脂そのものの構造が変わってしまった黄ばみは、洗剤を強くしても戻りません。ここを取り違えたまま強い薬剤に進むと、色は変わらないのに製品のほうが傷みます。

この記事では、①黄ばみが何種類あると説明されているか ②樹脂の種類で黄変のしかたがどう違うか ③自分の製品が何の樹脂かをどう確かめるか ④「漂白剤に浸けて日光に当てる」という有名な方法がどこまで確かめられているか を、1つずつ確認しました。当メディア編集部が、テクノUMGとADEKAの技術情報、長野県工業技術センターの研究報告、NITEの製品安全センターの発表資料、家電製品協会と花王、厚生労働省の公開資料、そしてスリーボンドの解説記事にあたって整理しています(※2026年8月時点)。

なお、洗剤の希釈倍率やつけ置き時間といった分量は書きません。その数字は手元の製品の表示にしか正解がないためです。体に何かあったときの手当ても扱いません。扱うのは、色の変化だけです。

読者
エアコンのリモコンと、壁のスイッチプレートが黄ばんできました。ワイドハイターを塗って日に当てると白くなると見たのですが、やってみていいものでしょうか。
編集部
その前に1つだけ確かめてほしいことがあります。黄ばみには「表面に汚れが付いているだけのもの」と「樹脂そのものが変わってしまったもの」があって、後者は落とすのが難しいと高分子メーカーが書いています。順番を逆にすると、落ちないものに強い薬剤を使うことになってしまいます。

【一言でいうと】プラスチックの黄ばみは「汚れ」か「樹脂そのもの」かで手が分かれる

プラスチックの黄ばみは3つのタイプで落とせるかが変わるの図解
当メディア編集部作成

結論から書きます。接着剤や樹脂を扱うスリーボンドの研究開発員による解説記事は、プラスチックが黄ばむ原因を3つに分け、そのうち「ポリマー自体の構造が変化してしまう(経年劣化)」ものについては、黄ばみを取り除くのは非常に難しくなると書いています。つまり、落とし方を探す前に、自分の黄ばみがどれなのかを決める必要があります。

下の表は、その3分類と、それぞれに挙げられている対処を並べたものです。「出典」欄は、どの値をどの節が書いているかを分けて示しています(※2026年8月時点)。

黄ばみのタイプ 資料に書かれている状態 落とせる見込み そこで挙げられている対処 出典
①付着した汚れ 食べ物の油やたばこのニコチンなどの汚れが付着し、黄ばんで見えているケース 「比較的黄ばみを落としやすいでしょう。」 メラミンスポンジに水、落ちなければ中性洗剤や重曹 状態・見込み=スリーボンド「プラスチックの黄ばみの原因は?」原因1の節/対処=同 対策1の節
②添加剤の化学変化 「添加剤が紫外線などの外的要因によって化学変化して黄ばんでしまうケースです。」 「ポリマー自体は変化していないため、黄ばみを取ることは可能です。」 漂白剤に浸けて紫外線に当てる(本記事の後半で扱いを説明します) 状態・見込み=スリーボンド 同 原因2の節/対処=同 対策2の節
③ポリマー自体の構造変化(経年劣化) 「ポリマーの二重結合が空気中の酸素と反応して、黄ばんでしまうケースです。」 「黄ばみを取り除くのは非常に難しくなります。」 落とすのではなく、コーティング剤やカバーで空気との接触を防いで進みを遅らせる 状態・見込み=スリーボンド 同 原因3の節/対処=同 対策3の節

この3つは、見た目だけでは区別がつきません。ただし②と③は、どちらも「日の当たる場所に長く置いていた」「もう何年も使っている」という条件と結びついています。買って間もない物の一部分だけが黄色いなら①、10年選手の家電の外装が全体的に黄色いなら②か③、という当たりの付け方になります。

その黄ばみは、汚れですか? 樹脂そのものの変化ですか?

クロスで拭き掃除をする手元
写真はイメージです

まず①の汚れから確認します。スリーボンドの解説記事は、原因の1つ目を「食べ物の油やたばこのニコチンなどの汚れが付着し、黄ばんで見えているケース」とし、「この場合、プラスチック自体が変化しているわけではないので、比較的黄ばみを落としやすいでしょう。」と書いています(スリーボンドグループ「プラスチックの黄ばみの原因は?」原因1の節/2026年8月時点)。

これに対して3つ目の原因は、樹脂そのものが変わってしまうものです。同じ記事は「ポリマーの二重結合が空気中の酸素と反応して、黄ばんでしまうケースです。」と説明し、この場合は「原因2と違ってメインの材料が変化して黄ばんでいるため、黄ばみを取り除くのは非常に難しくなります。」としています。表面に何かが載っているのではなく、材料そのものの色が変わっているわけです。

「経年劣化」は、公的機関ではどう定義されているのか

ふだん何となく使っている「経年劣化」という言葉は、製品事故を調べる公的機関の資料では明確に定義されています。製品評価技術基盤機構(NITE)の発表資料は、プラスチックの劣化を「プラスチックの加工、貯蔵および使用期間中において、本来発揮すべき品質や性能が低下すること。」と定義し、化学的な劣化を熱酸化・光酸化・加水分解の3つに整理しています(NITE 製品安全センター「プラスチック製品の事故原因解析手法と実際の解析事例について」1.(2)プラスチックの劣化/平成25年11月/2026年8月時点)。

ここで押さえておきたいのは、色が変わることと、性能が落ちることが同じ言葉の中に入っている点です。黄ばみは見た目の問題だけではなく、その樹脂に何が起きているかの目印にもなります。この点は記事の後半でもう一度扱います。

なお、コップやタッパーに残る茶色い着色や、衣類のシミは、同じ「落ちない色」でも原因も漂白剤の選び方も別になります。

なぜ白いプラスチックは黄ばむのか? 紫外線で何が起きているのか

リビングでくつろぐ家族
写真はイメージです

家電やIT機器の外装によく使われているのがABS樹脂です。ABS樹脂の国内大手であるテクノUMGは、ABS樹脂を「アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)という3種類の有機化合物を使ってつくられる熱可塑性樹脂です。」と説明し、長所と短所を並べたうえで、短所の筆頭に「耐候性に劣ります。」を挙げています(テクノUMG「ABS樹脂とは」特長・特性の節/2026年8月時点)。

その理由も同社が書いています。「通常のABSは、主要成分の一つであるブタジエンゴムが分子鎖中に二重結合を多く含んでおり」、この部分が劣化の影響を強く受ける。だから「このため、無加工の状態のABS樹脂は、屋外のような強い紫外線に長時間晒される場所での使用には適しません。」というのが同社の説明です(テクノUMG「耐候性について」耐候性についての節/2026年8月時点)。紫外線でラジカルが生まれ、酸素と反応して連鎖的に進む——NITEの資料が光酸化として「紫外線でラジカルが発生し、それが酸素と反応して自動酸化が進行する。」と書いているのと同じ話です。

もう少し細かいところまで書いているのが、公的機関の実測です。長野県工業技術センターは、樹脂の試験片を1年分の光劣化にかけて色の変化を測った研究の中で、ABS樹脂について「紫外線によりポリブタジエン部分で生成したラジカル種がポリスチレン部分の酸化を誘起し,その結果着色物質が生成する」と説明しています(長野県工技センター研報 No.16(2021)下里直子「工業材料の光劣化による色彩変化に関する研究」2.5.4 ABS樹脂の褐変/2026年8月時点)。

素材によって、黄変するものとしないものがある

同じ研究のおもしろいところは、樹脂ごとに結果が割れたことです。試験はキセノン、メタリング(超促進)、屋外暴露の3つで1年分の光を当て、色差と黄変度を測っています。結論として並べられた項目を読むと、「プラスチックが黄ばむ」と一括りにできないことがはっきりします。

試料(樹脂) 1年分の光劣化で観察された色の変化 変化の説明として書かれていること 出典
PP・PE(オレフィン系樹脂) 「オレフィン系樹脂,ゴム材料はほぼ変色しない。」 「これは,オレフィン系樹脂には着色の原因となる共役二重結合を有しないためと思われる。」 変化=長野県工技センター研報 No.16 結論(1)/説明=同 2.5.1
ABS樹脂(乳白色) 「ABS樹脂は紫外線により黄変するが,可視光によって一度できた着色物質が分解されて退色する。」 ポリブタジエン部分で生成したラジカル種がポリスチレン部分の酸化を誘起して着色物質が生成する 変化=同 結論(5)/説明=同 2.5.4
PET(クリア) 「PETクリアは,紫外線による黄変が著しい。」 「PETは共役二重結合をもつベンゼン環を有しており,紫外線エネルギーを吸収して有色となる。」 変化=同 結論(3)/説明=同 2.5.3
PVC(クリア) 紫外線によって黄変するが、試験機では試料面温度の影響のほうが大きく、表面を黒褐色化させる 光による酸化を起点に、熱でさらに酸化されて生成したカルボニル基が黄変の原因 変化=同 結論(4)/説明=同 2.5.3
PMMA(アクリル・クリア) 「図5(c)のPMMAはほぼ黄変せず,無色透明なままであった。」 今回確認した資料に記載なし 変化=同 2.5.3
PC(ポリカーボネート・クリア) 促進劣化試験での黄変は大きいが、PETほどの黄変度ではない 今回確認した資料に記載なし 変化=同 2.5.3

表のうちABSの行だけ、少し変わった動きをしています。屋外暴露では2か月で3光源の中でいちばん黄変度が強くなり、その後いったん減っている。報告は、可視光を含む光源では一度できた着色物質が分解されて退色したと考えられる、と説明しています。「日に当てたら白くなった」という体験談が生まれる素地は、こういうところにもありそうです。

自分の製品が何の樹脂かは、どこで確かめるのか?

スマホ・パソコンを操作する様子
写真はイメージです

ここまでの話は、自分の製品が何の樹脂かが分からないと使えません。実は、家電のプラスチック部品には材質の記号が入っていることがあります。

家電製品協会は、JIS K 6999「プラスチック-プラスチック製品の識別及び表示」に基づく材質表示の方法をまとめており、単一の素材でできた部品は材料の略語を「>」と「<」で挟んで表示すると説明しています。表示例として挙げられているのが「>ABS<」(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)で、2種類を混ぜたものは「>PC+ABS<」のように「+」でつなぐ、といった書き方が並んでいます(一般財団法人 家電製品協会「環境配慮設計」プラスチック部品の材質表示/2026年8月時点)。

この表示は、分解しなくても見えるところに入っていることがあります。電池ぶたの裏、外装パネルの内側、収納ケースの底など、目立たない面を明るいところで見てみてください。「>PP<」や「>PE<」なら、上の表でほぼ変色しないと報告されていた側です。それでも黄色いなら、樹脂の変化ではなく付いた汚れを疑う番になります。

表示が見つからない製品も当然あります。その場合は、次の見出しで扱う「使う前の確認」を、より慎重に踏んでください。

「漂白剤に浸けて日光に当てると白くなる」は、どこまで確かめられているのか?

調べ物をして検討する女性
写真はイメージです

黄ばんだ樹脂を過酸化水素と紫外線で白くする——いわゆる「レトロブライト」と呼ばれる方法は、古いパソコンやゲーム機を扱う人たちの間に広く知れ渡っています。検索候補に「オキシドール」が並ぶのも、この流れです。

この記事では、その手順や分量は書きません。有志の間で知られている方法で、効果や安全性を確かめた公的資料は、編集部が調べた範囲では見当たりませんでした。過酸化水素は濃度によって法令上の扱いが変わる物質でもあり、家庭用の酸素系漂白剤と、この方法で使われる高濃度のものを同じ感覚で並べるべきではありません。もし薬剤が皮膚や眼に付いた場合は、自己判断で処置せず医療機関にご相談ください。

方向としてまったく根拠がないわけではない、という点は書いておきます。スリーボンドの解説記事は、添加物の化学変化が原因の場合の対策として「漂白剤にプラスチックを浸けて紫外線に当てると、酸化防止剤と難燃剤など添加物による黄ばみを取り除くことができます。ただし、これらは水に浸けてもよいものだけが対象です。」と書いています。ただしこれは「②添加剤の化学変化」に対しての話で、同じ記事は③のポリマー自体の構造変化については、まず黄ばみを落とすのは難しいと考えていいでしょう、としています。

「臭素系難燃剤が紫外線で分解して黄変する」は、資料で裏づけられるのか

この話題とセットで、ほぼ必ず出てくる説明があります。「ABS樹脂に入っている臭素系の難燃剤が紫外線で分解するから黄ばむ」というものです。編集部はこの機序の裏づけを探しましたが、今回確認した資料の範囲では見つけられませんでした。

確認したのは、テクノUMGの「ABS樹脂とは」「耐候性について」、長野県工業技術センターの研究報告、添加剤メーカーADEKAの添加剤Q&A、NITEの3つの発表資料、そして日本ゴム協会誌に載った臭素系難燃剤の総説(西澤仁「臭素系難燃剤」日本ゴム協会誌 第92巻第6号(2019))です。難燃剤そのものを主題にしたこの総説にも、変色や黄変という言葉は出てきませんでした。

樹脂メーカーと公的機関が黄変の機序として書いていたのは、いずれもブタジエン(ポリブタジエン)部分の光酸化でした。添加剤の側に触れているのはADEKAで、ABSなどで起こる暗所黄変について「メカニズムは解明されていませんが、加工時の熱による熱酸化や初期の光酸化によって生成した、ラジカル種によって進行すると考えられています。」と書いています(ADEKA「添加剤Q&A」Q10 暗所黄変/2026年8月時点)。難燃剤を含む添加物を黄ばみの原因の1つに挙げているスリーボンドの記事も、臭素という特定の物質には限定していません。

つまり、「臭素系難燃剤だから」という一段まで踏み込んだ説明は、少なくとも今回あたった7件(スリーボンド、テクノUMGの2ページ、長野県工技センター研報、ADEKA、NITEの2資料、日本ゴム協会誌の総説)には見当たらなかった、ということです。ネット上でよく見る説明が、必ずしも樹脂メーカーの記載まで確かめたうえで書かれているとは限らない、と読むのが安全なところです。

漂白剤に手を伸ばす前に、何を確認しておくのか?

洗濯機まわりの家事の様子
写真はイメージです

「ハイター」と「ワイドハイター」は名前が似ていますが、別の系統です。花王は、塩素系漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムが主成分で「漂白力が強いので、染料まで脱色してしまうことがあり、色柄物には使用できません。」とし、酸素系漂白剤の成分は過酸化水素や過炭酸ナトリウムで「染料を脱色しないので、白物にはもちろん色柄物にも使用することができます。」と説明しています(花王 製品Q&A「【相違点】塩素系漂白剤「ハイター」と酸素系漂白剤「ワイドハイター」シリーズの違いは何?」/2026年8月時点)。

ここで思い出したいのが、NITEの資料がプラスチックの劣化因子として並べていたものです。熱や紫外線と同じ列に、薬品として「洗剤」「溶剤」「塩素」が並びます。黄ばみを落とすために使う道具が、そのまま樹脂の劣化因子でもあるということです。ABS樹脂の短所として「有機溶剤に溶けます。」が挙げられていたことも、あわせて思い出してください。

スリーボンドの解説記事も、汚れが落ちない場合の最後の手として溶剤に触れつつ、「それでも難しい場合には、除光液など溶剤も有効です。ただし、これらはプラスチックが溶けてしまう可能性がありますので、十分に注意してかならず少量を試してから、実行しましょう。」と念を押しています。塩素系と酸素系の違いや、洗濯槽での使い分けは別記事にまとめています。

塩素系と酸性のものを一緒に使わない

樹脂の種類にかかわらず、ここだけは共通です。塩素系のものと酸性のものは、同時にも、続けざまにも使わないでください。厚生労働省の手引きは、日本中毒情報センターから提供された病院モニター報告を引きながら、平成21年度に洗浄剤と漂白剤を合わせて「混合により塩素ガスが発生したと考えられる事例は14件であった。」と記しています(厚生労働省医薬食品局審査管理課 化学物質安全対策室「家庭用洗浄剤・漂白剤 安全確保マニュアル作成の手引き」2)平成21年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告 漂白剤に関する事例の節/平成23年3月31日・平成23年5月26日改訂/2026年8月時点)。

もう1つ、同じ資料で気に留めたい類型があります。洗浄剤の被害発生状況を頻度の高い順に並べた一覧に、「本来の用途以外の目的で使用した事例」が入っていることです(同 洗浄剤(住宅用・家具用)に関する事例の節)。衣料用の漂白剤を家電の外装に塗る使い方は、まさにここに当たります。手に取った洗剤の表示にある用途から出ないことが、どれを選ぶかより先にきます。体調に異変を感じたときは、使用をやめて医療機関にご相談ください。

落とせる黄ばみは、どの順番で手を動かすのか?

ゴム手袋とエプロンで掃除を始める女性
写真はイメージです

ここまでを、実際の手順に並べ直します。買い足すのは、この順番をひととおり試してからで構いません。分量や時間は、手元の製品の表示に従ってください。

1材質の表示と取扱説明書を先に見る

掃除ではなく確認から始めます。部品に「>ABS<」のような表示があれば、素材が特定できます。あわせて取扱説明書のお手入れの項に、使ってはいけない洗剤や道具が書かれていないかを確認してください。電気製品では、水がかかってはいけない部分がどこかも先に押さえます。

2目立たない場所で先に試す

どの方法を選ぶにしても、裏面や底面など見えないところで先に試します。スリーボンドの記事が溶剤について「かならず少量を試してから、実行しましょう。」と書いているのは、色や表面の光沢が変わってしまう可能性があるためです。変化がないことを確かめてから、見える面に進みます。

3弱いものから順に上げる

最初は水を含ませたやわらかい布です。落ちなければメラミンスポンジに水、次に中性洗剤、という順で上げていきます。スリーボンドの記事が対策1として挙げているのもこの並びです。順番を飛ばして強いものから入ると、落ちる汚れだったかどうかが分からなくなります。

42回試して変わらなければ、そこで止める

同じ方法を2回試して色が動かないなら、それは表面の汚れではない可能性が高くなります。ここで薬剤を強くするより、素材の側を疑うほうが早いところです。落ちない黄ばみに時間をかけるより、次の見出しの区切り方に進んでください。

5洗剤を残さず、乾かしてから戻す

最後は洗剤を残さないことです。NITEが劣化因子に洗剤や塩素を挙げていたとおり、拭き残した洗剤はそこに留まり続けます。電気製品は水気を完全に取り、乾いてから通電してください。ここを省くと、黄ばみとは別の不具合につながります。

樹脂の上に付いてしまったものを落とす手順は、汚れの種類によっても変わります。接着剤やシールの跡は、また別の考え方になります。

戻らないと分かったら、どこで区切りをつけるか?

家電を運び整理する様子
写真はイメージです

黄ばみが樹脂そのものの変化だった場合、選べるのは大きく3つです。①今の色のまま使い続ける、②カバーや設置場所を変えて進みを遅らせる、③交換・処分する。掃除を続けるという選択肢は、ここでは外れます。

②については、スリーボンドの記事が「コーティング剤やカバーをつけて空気との接触を防ぐことで、黄ばむスピードを遅らせることが期待できます。」と書いています。日の当たる窓辺に置いている家電や収納ケースを、直射日光の当たらない位置にずらすだけでも、条件は変わります。

③を考えるときに知っておきたいのが、色の変化と強度の低下が同じ原因で進むことです。NITEの資料によると、過去5年間に同機構のデータベースに登録された事故情報約21,000件のうち、プラスチック製品が関係した事故は約3,600件(17%)、そのうち破損事故が約500件(14%)、さらにそのうち170件(34%)はプラスチックの経年劣化が原因と推定されています(NITE「プラスチック製品の事故原因解析手法と実際の解析事例について」0.背景と狙い/平成25年11月/2026年8月時点)。

体重や荷重がかかる樹脂——踏み台、脚立の脚カバー、ベビーカーの部品、物干し、ハンガーラック——が長く日に当たって黄色くなっているなら、色より先に強度のほうを気にしてください。NITEの別の報告は、樹脂部品に薬剤が付いたことによる破損の事例も挙げ、ACアダプターの筐体が割れた事故について「植物精油を主成分とした室内用消臭剤の液体が付着したことが判明した。」としています(NITE 製品安全センター「プラスチックの破損による事故事例について」事故調査事例4/平成21年度製品安全業務報告会/2026年8月時点)。掃除のつもりで塗ったものが、思わぬ形で効いてくることがあるということです。

大型のものや、まとめて手放すものが出た場合の依頼先は、別記事に整理しています。

プラスチックの黄ばみについてよくある質問(FAQ)

Q重曹で黄ばみは落ちますか?

A付いた汚れであれば、選択肢の1つになります。スリーボンドの解説記事は、汚れが原因の場合の対策として、メラミンスポンジに水を含ませて落とし、それで落ちないときに中性洗剤や重曹を使う、という順番を示しています。ただしこれは「①付着した汚れ」に対しての話です。同じ記事が「黄ばみを取り除くのは非常に難しくなります。」としている経年劣化の黄ばみに対して、重曹が効くという記述は今回確認した資料にはありませんでした。粉のまま強くこする使い方は研磨に近くなるため、表面の光沢が変わる可能性もあります。

Qオキシクリーンのような酸素系漂白剤なら、樹脂を傷めずに使えますか?

A「塩素系より穏やか」という比較は成り立ちますが、「樹脂を傷めない」という意味ではありません。花王は酸素系漂白剤について「染料を脱色しないので、白物にはもちろん色柄物にも使用することができます。」と説明していますが、これは衣類についての説明です。家電の外装や住宅設備の樹脂部品は、衣料用漂白剤の用途ではありません。厚生労働省の手引きが洗浄剤の被害発生状況に「本来の用途以外の目的で使用した事例」を挙げていることもあり、まず製品表示の用途をご確認ください。

Qプラスチックは何年くらいで黄ばむのですか?

A年数で一律に決まるものではなく、素材と置かれた場所で変わります。長野県工業技術センターの研究では、日本の平均年間放射露光量をもとに1年分の光を当てる試験を行っていますが、その1年でPETは著しく黄変し、PP・PEはほぼ変色しませんでした。同じ1年でも、屋外暴露の露光量は試験地の標高や地域で差が出ることが報告されており、窓際か日陰かでも条件は変わります。「何年もつか」より「どこに置いてあるか」で考えるほうが、実態に合っています。

Q透明なプラスチックが黄ばんできました。同じ考え方でよいですか?

A素材の見当が変わります。長野県工業技術センターの研究は、透明材料の中でPETの黄変が著しく、PCがそれに次ぎ、PMMA(アクリル)は「ほぼ黄変せず,無色透明なままであった。」と報告しています。透明なケースやカバーで黄ばみが強く出ているなら、まずは材質表示を探してみてください。なお、車の内装や屋外の物置のように、紫外線と熱の両方がかかる場所は住宅内より条件が厳しくなります。

※この記事に載せた黄変の機序・試験結果・漂白剤の分類は、テクノUMG、長野県工業技術センター、ADEKA、NITE、家電製品協会、花王、厚生労働省、スリーボンドが公開している資料を2026年8月時点で確認したものです。同じ「プラスチック」でも配合や添加剤は製品ごとに異なり、資料の記載も更新されます。作業の前に、必ずお使いの製品の取扱説明書と、洗剤・道具側の表示をご確認ください。黄ばみが落ちることを保証するものではありません。

まとめ|プラスチックの黄ばみは「何で落とすか」より「落ちる黄ばみか」から

プラスチックの黄ばみは、洗剤の強さ比べで決まる問題ではありませんでした。付いた汚れなら落ちますが、樹脂そのものの構造が変わったものについては、高分子メーカーの解説がはっきり「取り除くのは非常に難しくなります。」と書いています。そして公的機関の実測では、PP・PEはほぼ変色せず、PETは著しく黄変し、ABSは黄変したあと可視光で退色するというように、素材ごとに結果が割れていました。

広く出回っている「臭素系難燃剤が紫外線で分解して黄変する」という説明は、上記7件の資料の範囲では裏づけが取れませんでした。樹脂メーカーと公的機関が書いていたのは、ブタジエン部分の光酸化です。まずは部品の材質表示を探し、目立たない場所で弱いものから試す。2回試して動かなければ、掃除ではなく置き場所と使い方の側に切り替える。そして、塩素系のものと酸性のものを同時にも続けざまにも使わない——この1点だけは、どの樹脂でも変わりません。

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