※当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しており、記事内に広告(PR)を含む場合があります。
身内を見送ったあとの部屋を、期限のあるなかで片付けなければならない。そんな状況で頼んだ遺品整理業者との間で、思っていたのと違うことが起きた——という相談は、全国の消費生活センターに実際に寄せられています。
いま請求書を前にしている方も、これから頼もうとして不安になっている方もいるはずです。どちらの立場でも役に立つように、この記事では「起きていることの型」と「そこから取れる行動」を分けて整理しました。
当メディア編集部が調べたのは、独立行政法人国民生活センターの報道発表と見守り新鮮情報、環境省と自治体の廃棄物に関する案内、消費者庁の特定商取引法ガイドです。紹介する事例と件数は、すべてこれらのページに実際に載っているものだけを使い、当媒体としての違法性の判断や、個別のケースへの法律の当てはめはしていません。


- 01【一言でいうと】遺品整理業者とのトラブルは「お金」と「遺品」の2方向で起きる
- 02国民生活センターに寄せられている相談の数と、公表されている事例
- 03トラブルの型を分けて読む|同じ「高い」でも原因が違う
- 04もう一つのリスク|「遺品整理」の看板と、廃棄物を運ぶ許可は別
- 05起きたときの動き方|「支払う前」と「支払った後」で打てる手が違う
- 06記録の残し方|あとから効いてくるのは書面と日付
- 07クーリング・オフは使える?|制度の紹介と、当てはまらない場合があること
- 08相談できる窓口|消費者ホットライン188と、そのほかの窓口
- 09次に頼むときに確認しておくこと
- 10遺品整理業者とのトラブルについてよくある質問(FAQ)
- 11まとめ|起きてしまっても、打てる手はまだある
【一言でいうと】遺品整理業者とのトラブルは「お金」と「遺品」の2方向で起きる
公的機関が公表している相談を読むと、遺品整理業者とのトラブルは大きく4つの型に分かれます。お金をめぐる3つ(当日の追加請求/高額なキャンセル料/無許可の事業者による回収)と、遺品そのものをめぐる1つ(残す約束だった物が処分された)です。
そして行動の分かれ目は、違法かどうかではなく「支払う前か、支払った後か」にあります。支払う前ならその場で断るという選択肢が残り、支払った後でも記録があれば相談窓口が動きやすくなります。

| トラブルの型 | 起きるタイミング | 公表されている事例 | まず取る行動 |
|---|---|---|---|
| ①見積もりと請求の乖離 | 作業の当日・作業後 | 見積141,000円に対し32万円を請求された | その場での支払いを断り、請求の内訳を書面でもらう |
| ②高額なキャンセル料 | 契約後〜作業前 | 37万円の契約にキャンセル料17万円を請求された | 契約書面のキャンセル料の条項を確認し、窓口へ相談 |
| ③残す約束の遺品が処分された | 作業の当日 | 残すよう指示した物が別の作業員に運び出された | いつ・どこへ運ばれたかを事業者に確認する |
| ④無許可の事業者による回収 | 依頼先を選ぶ段階 | 一般廃棄物処理業の無許可事業者とのトラブル | 市区町村の窓口・許可業者一覧で確認する |
※金額は執筆時点で各社・各機関が公開している内容です。税表記は出典の記載に準じます。
※事例欄は独立行政法人国民生活センターが公表している相談事例の要旨です(出典は次の見出し以降に記載)。特定の事業者を指すものではありません/2026年8月時点。
国民生活センターに寄せられている相談の数と、公表されている事例

独立行政法人国民生活センターは、遺品整理サービスを主題にした報道発表を2018年7月19日に公表しています。タイトルは「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル−料金や作業内容に関するトラブルが発生しています−」です。
同ページには、全国の消費生活センター等に寄せられた相談を集めたPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)の年度別件数が載っています。2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件で、加えて2018年度は6月30日までの登録分で31件(2017年6月30日までの同期件数は16件)と注記されています。
出典:独立行政法人国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル−料金や作業内容に関するトラブルが発生しています−」(2018年7月19日公表)
数としては年間100件前後で、消費生活相談全体から見れば多い分類ではありません。ただ、遺品整理は人生で何度も経験するものではなく、比較の基準を持たないまま依頼することになりがちです。件数の大小より、同じ形のつまずき方が繰り返し報告されているという点のほうが読者にとっては重要です。
相談の中身はどこに集中しているか
報告書本文では、2013年4月1日以降に受け付け、2018年6月30日までにPIO-NETに登録された522件が分析されています。相談内容(複数回答)で最も多いのは「契約・解約」で372件(71.3%)、続いて「価格・料金」(36.2%)、「販売方法」(32.8%)です。
契約の形態では「訪問販売」が58.5%を占めます(不明・無関係を除くn=272)。報告書はその理由について、インターネットやチラシなどで見つけて事業者に連絡し、自宅で契約するケースが多いためと考えられる、と説明しています。
金額の面では、契約購入金額の平均は約42万円、実際に支払った金額(既支払額)の平均は約30万円で、支払い手段の9割以上が即時払い(現金等での一括払い)とされています。契約当事者の性別は女性337件(67.1%)、男性165件(32.9%)でした。
出典:独立行政法人国民生活センター 報道発表資料「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」報告書本文(PDF)(参考「PIO-NETにおける『遺品整理サービス』に関する相談情報詳細」より)
公表されている4つの相談事例
報告書本文には、受付年月と契約当事者の属性つきで4件の事例が掲載されています。金額まで含めて要旨を並べます。
| 事例 | 受付・属性 | 内容の要旨 |
|---|---|---|
| 事例1 見積もりの際にせかされて契約した | 2018年4月受付/60歳代女性/兵庫県 | 「今日決めてもらったら安くなる」などと言われ、その場で324,000円で契約し手持ちの24,000円を支払った。週が明けても作業が始まらず、見積書を見返すと「作業日の2日前まで違約金10%」と書かれていたが説明は受けていなかった |
| 事例2 解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された | 2017年7月受付/60歳代男性/岐阜県 | 3日間の作業で37万円という内容で契約したが、後日20万円で作業してくれる事業者を見つけて解約を申し出たところ、キャンセル料として17万円を請求された。キャンセル料についての説明はされていなかった |
| 事例3 最終的に見積金額の2倍を請求された | 2018年2月受付/60歳代女性/滋賀県 | 見積金額は141,000円(内訳はスタッフ4人の人件費76,000円、2トントラック1台25,000円、トラック1台分の廃棄物処理代4万円)。当日は往復のたびに4万円を求められ、最終的な請求は32万円。追加費用が発生するという説明はなく、見積書にも記載がなかった |
| 事例4 処分しないよう頼んだ物を処分された | 2017年10月受付/50歳代男性/愛知県 | 3社から見積もりを取り、一番安い事業者に依頼。残すよう指示していた自分の物(ラジカセ、DVDプレーヤー、ゲーム機、布団、辞書)が、別の作業員によって運び出されたとみられる |
※金額は執筆時点で各社・各機関が公開している内容です。税表記は出典の記載に準じます。
出典:独立行政法人国民生活センター 報道発表資料 報告書本文(PDF)「1.相談事例」より当メディア編集部が要約。事例の当事者・事業者の特定につながる情報は同資料にも記載されていません。
4件に共通しているのは、金額そのものより「事前に共有されていなかった」という一点です。追加費用が出る条件、キャンセル料の発生時期と金額、残す物と処分する物の区別。いずれも作業が始まる前に言葉にしておけた項目でした。
直近でも同じ注意喚起が出ている
同センターは2025年10月30日にも、見守り新鮮情報 第525号「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」として、次の2件を紹介しています。
- 亡父の遺品整理のためネットで探した回収事業者に電話で依頼した。当初、20万円ぐらいかかると聞いていたが、作業後に料金は30万円と言われた。見積書はもらっていない(60歳代)
- 亡父宅の不用品処分を事業者に依頼した。大切な書類等は残しておく約束が、アルバムや回線のつながっている電話機まで処分された。事業者に苦情を申し出たが、ゴミ処理場に運搬済みで取り戻せないと言われた(60歳代)
出典:独立行政法人国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」(2025年10月30日公表)
7年以上を隔てて、ほとんど同じ形の相談が並んでいます。裏を返せば、気をつけるべき点は増えておらず、昔から同じ数箇所しかないということでもあります。作業内容ごとの費用の目安については、別の記事で整理しています。
トラブルの型を分けて読む|同じ「高い」でも原因が違う

「高い金額を請求された」という同じ結果でも、そこに至る道筋は違います。原因が違えば、次に取る行動も、防ぎ方も変わります。
型①見積もりと請求の乖離
作業当日に、搬出用のトラックの追加が必要などとして当初の見積金額以外の追加料金を請求されるケースです。報告書はこの型について、「追加料金についての説明を受けていない」という相談が多く見受けられることから、追加料金が発生する場合があることについて消費者と事業者の間に認識の違いがあることが大きな要因と考えられる、と分析しています。
遺品整理は、押し入れや天袋を開けるまで総量が分からない作業です。だからこそ「量が想定を超えたらどうなるか」を先に決めておく必要がありますが、その取り決めが書面に落ちていないと、当日の口頭のやり取りが金額になってしまいます。報告書は、具体的な作業内容や費用単価等が記載されていない書面が交付されていたり、そもそも契約書面すら交付されていなかったりするケースがあることにも触れています。
型②高額なキャンセル料
報告書によれば、キャンセル料は違約金として事業者ごとに決められているのが一般的です。問題になるのは金額の存在そのものではなく、いつからどの程度のキャンセル料が発生するのかが明確に伝えられていない場合で、そのときに金額の妥当性を巡ってトラブルになる、とされています。
事例1では見積書に「作業日の2日前まで違約金10%」と記載がありながら説明を受けていなかった、事例2では説明そのものがなかったとされています。契約の前に条項の場所を指してもらうだけで、後の食い違いはかなり減らせる部分です。
型③残しておくはずの遺品が処分された
お金の話と違い、この型は取り返しがつきにくいのが特徴です。報告書も、事業者が遺品を部屋等から運び出し処分してしまった場合には、大切な遺品が戻ってこないこともある、と書いています。見守り新鮮情報の事例でも、苦情を申し出たときにはすでにゴミ処理場に運搬済みだったとされています。
現場では複数の作業員が同時に動き、指示を受けた作業員と実際に運び出す作業員が別人になることがあります。「口頭で伝えた」だけでは現場の全員には届かないという前提で備えるのが現実的です。
型④作業中の不手際
報告書は、遺品を搬出する際に部屋の床などを傷つけられたり、残しておく遺品を損壊されたりするなど、作業中に生じた作業員の不手際に関する相談も寄せられているとしています。契約で作業日数など作業スケジュールを決めていたにもかかわらず、予定していた作業完了日までに作業が終わらなかったケースにも言及があります。
賃貸物件の明け渡し期限が決まっている場合、作業が終わらないことは日程そのものの損失につながります。期限がある依頼では、完了日を契約の要素として扱っておくと安全です。
もう一つのリスク|「遺品整理」の看板と、廃棄物を運ぶ許可は別

ここまでは契約の話でしたが、遺品整理にはもう一つ、廃棄物の側面があります。報告書本文の注記には、家庭での遺品整理により捨てることとしたごみは一般廃棄物に該当し、一般廃棄物は市町村から委託を受けた事業者または市町村長から一般廃棄物処理業の許可を受けた事業者でなければ運搬・処分等を行うことはできない(産業廃棄物処理業や古物商の許可では不可)と書かれています。
環境省もQ&Aのページで、ご家庭の廃棄物を回収するには市区町村の一般廃棄物処理業許可や委託が必要であり、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できないと説明しています。同ページは、産業廃棄物処理業許可は工場や企業の廃棄物を処理するための許可、古物商の許可は中古品等の売買を行うための許可である、と用途の違いにも触れています。
出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」Q&A
見落とされやすいのが、この許可が市区町村単位だという点です。京都市は、家庭で不用となった廃棄物を回収(収集運搬)するには京都市の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要だとしたうえで、産業廃棄物収集運搬業の許可、古物商の許可に加えて「京都市以外の一般廃棄物収集運搬業の許可」でもご家庭の廃棄物は回収できないと明記しています。同ページでは、市の許可業者を市のホームページの一覧や事業協同組合を通じて探せることも案内されています。
出典:京都市「違法な『無許可』の不用品回収業者を利用しないでください!」(2026年3月3日更新時点の記載)。制度の運用や許可業者の一覧は市区町村ごとに異なります。
見守り新鮮情報 第525号も、遺品や住まいの不用品を廃棄物として収集・運搬する事業者は市町村からの委託業者であるか市町村長から一般廃棄物処理業の許可を受けている必要があるとし、無許可事業者による不用品の処分は法律違反となり不法投棄などに繋がりかねないと注意を促しています。加えて、遺品を買い取る事業者には古物商の許可が必要なので、買い取ってもらう際には「古物商許可証」や「行商従業者証」を確認するよう案内しています。
ここで大切なのは、いま依頼している事業者が無許可だと決めつけないことです。当媒体としても、個別の事業者について許可の有無を判断することはできません。確認したいときは、お住まいの市区町村の廃棄物担当課に問い合わせるか、市区町村が公開している許可業者の一覧を見るのが確実な方法です。無許可のまま回収を行う事業者そのものについては、別の記事で詳しく扱っています。
起きたときの動き方|「支払う前」と「支払った後」で打てる手が違う

国民生活センターは、不用品回収サービスに関する報道発表(2022年11月2日公表)のなかで、当日に想定外の請求を受けた場合の行動を具体的に示しています。遺品整理も同じ「家庭から出る不用品を運び出す作業」なので、この考え方がそのまま参考になります。
1作業が始まる前に提案が変わったら、作業前に断る
同発表は、当日は作業前に改めて料金や作業内容を確認し、見積もりの料金や作業内容からの変更を提案されて納得できない場合は作業前にきっぱりと断りましょう、としています。荷物が積み込まれてしまう前が、いちばん引き返しやすい地点です。
2作業中・作業後に想定外の請求をされたら、その場での支払いを断る
同発表は、作業中や作業終了後に事前に聞いていない高額な料金を請求された場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いを断りましょう、としています。支払いを拒否するのではなく「いま、この場では払わない」と切り分けるのが要点です。あわせて、支払いを迫る作業員の態度等に身の危険を感じることがあれば警察に連絡するのも一法である、とも書かれています。
3支払ってしまった後は、記録を集めて消費生活センターへ
すでに支払った場合でも相談はできます。次の見出しで挙げる書面や写真を集めたうえで、消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターにつないでもらいましょう。相談窓口は、金額や経緯が具体的なほど動きやすくなります。
4遺品が処分された場合は、いつ・どこへ運ばれたかを確認する
運び出された物については、搬出した日時と搬入先を事業者に確認します。見守り新鮮情報の事例のようにすでに処理施設へ運搬済みのこともありますが、確認した内容は相談窓口に伝える材料になります。感情的なやり取りにせず、事実の確認として問い合わせるのが結果的に早道です。
出典:独立行政法人国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル−市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!−」(2022年11月2日公表/2022年11月11日更新)「消費者へのアドバイス」より。
なお、支払い義務があるかどうか、返金を求められるかどうかは個々の契約内容と事情によって変わります。当媒体はその判断をしませんので、金額の妥当性そのものについては必ず相談窓口や専門家に確認してください。
記録の残し方|あとから効いてくるのは書面と日付

相談窓口に持ち込むとき、話が早く進むかどうかは記録の有無で大きく変わります。特別なものは必要なく、手元にあるものを捨てないでおくだけでも十分です。
- 見積書・契約書面・領収書(金額の内訳が書かれている面も含めて全ページ)
- 依頼のきっかけになったウェブサイトやチラシの画面(後から表示が変わることがあるため画面を保存しておく)
- 作業前と作業後の部屋の写真(残す物をまとめていた場所が分かるもの)
- 電話・メール・メッセージのやり取りと、その日時
- 当日その場で言われた内容と、言われた時刻のメモ
訪問販売に該当する取引では、事業者が交付する書面に記載すべき事項が特定商取引法で定められています。消費者庁の特定商取引法ガイドは、その事項として商品(権利、役務)の種類、販売価格(役務の対価)、代金の支払時期・方法、契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号、契約の申込み又は締結の年月日などを挙げています。本来書かれているはずのものが書かれていない、という事実自体が相談時の情報になります。
出典:消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問販売」(書面の交付=法第4条、法第5条の項)。同ページの内容は概要であり、詳細は特定商取引法の条文に拠るとされています。
クーリング・オフは使える?|制度の紹介と、当てはまらない場合があること

遺品整理の契約で最も多い形態が訪問販売だったことは前述のとおりです。そこで気になるのがクーリング・オフですが、ここは制度の紹介にとどめ、使えるかどうかの判断は窓口に委ねるのが正しい進み方です。理由は、境目が事情によって変わるためです。
制度としては、消費者庁の特定商取引法ガイドが、訪問販売の際に消費者が契約を申し込んだり締結したりした場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録により申込みの撤回や契約の解除ができると説明しています。同ページには、クーリング・オフを行った場合、消費者は損害賠償や違約金を支払う必要はなく、既に頭金等の対価を支払っている場合には速やかにその金額を返してもらうことができる、とも書かれています。
一方で、遺品整理のように自分から呼んだ事業者の場合は注意が必要です。国民生活センターの報告書本文の注記は、消費者がその住居において契約を締結することを事業者に請求して行われる訪問販売の場合は特定商取引法の適用除外となりクーリング・オフをすることはできないが、単なる見積りのために訪問を要請した事業者とその場で契約をした場合には訪問販売に該当し、特定商取引法の規定が適用されるとしています。
「見積もりのつもりで呼んだのか」「契約するつもりで呼んだのか」という線引きは、当日のやり取りの中身に左右されます。ここを自己判断で決めてしまうと、使えるはずの制度を諦めたり、逆に手続きが空振りしたりします。前掲の報告書も、消費生活センターへの相談を勧める項目の中でこの点に触れています。
また同報告書は、クーリング・オフを行う場合にはキャンセル料を事業者に支払う必要はないとしつつ、契約時に内金などとして契約代金の一部を支払ってしまっている場合に事業者がその返還に応じないなど不当なケースもみられる、と記しています。相手が応じないときこそ、個人で押し切ろうとせず窓口を挟むほうが安全です。
相談できる窓口|消費者ホットライン188と、そのほかの窓口

相談先は内容によって分かれます。どこに電話すればよいか迷ったときは、まず188から始めれば大きく外れません。
| 相談したいこと | 窓口 | 連絡先・受付 |
|---|---|---|
| 料金・契約・解約・返金のトラブル全般 | 消費者ホットライン(消費生活センター等へ案内) | 188(市外局番なし)/相談は無料・通話料は相談者負担 |
| 188が話中でつながらないとき | 国民生活センター バックアップ相談 | 03-3446-0999/平日10時〜16時(土日祝日、年末年始を除く) |
| 事業者が許可を受けているか・ごみの出し方 | お住まいの市区町村の廃棄物担当課 | 各自治体の窓口/許可業者の一覧を公開している自治体もある |
| その場での支払いを迫られ、身の危険を感じるとき | 警察 | 緊急時は110番 |
| 法的手続きを取るかどうかの判断 | 弁護士等の専門家 | 各都道府県の弁護士会の相談窓口など |
出典:消費者庁「消費者ホットライン」/独立行政法人国民生活センター「全国の消費生活センター等」。バックアップ相談の電話番号は令和7年12月3日より変更されている旨が同ページに記載されています(2026年8月時点の記載)。
消費者庁のページによれば、188は地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内するもので、相談窓口につながった時点から通話料金の負担が発生し、相談自体は無料です。窓口へつなぐ前に通話料の目安がアナウンスされるため、そこで確認できます。
国民生活センターのページによれば、バックアップ相談は最寄りの相談窓口につながらない場合に利用できるもので、188に電話した際に都道府県や政令市の消費生活センター等が話中でつながらないと、この番号がアナウンスされる仕組みです。土日祝日についても、市区町村や都道府県の消費生活センター等が開所していない場合には国民生活センターが相談を補完するとされています。
電話をかける前に、前の見出しで挙げた書面と日付のメモを手元に並べておくと、一度の通話で話が進みやすくなります。
次に頼むときに確認しておくこと

ここまで見てきた4つの型から逆算すると、事前に決めておくべきことは多くありません。国民生活センターが公表している消費者へのアドバイスは5項目あり、そのうち依頼前に効くのは、複数社から見積もりを取るなど事業者の選定を慎重に行うこと、見積書の内容を十分に確認すること、料金やキャンセル料や具体的な作業内容を事前に確認すること、残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくことの4つです(残る1項目が、前の見出しで挙げた消費生活センターへの相談)。
- 型①への備え → 荷物が想定を超えた場合に追加料金が発生するのか、発生するなら何を単位にいくらかを見積書に書いてもらう
- 型②への備え → キャンセル料が「いつから」「いくら」発生するのかを、書面のどこに書いてあるか指してもらう
- 型③への備え → 残す物は作業前に別の部屋へ移す。動かせないものには印を付け、できるだけ作業に立ち会う
- 型④への備え → 依頼先が一般廃棄物処理業の許可を受けているか、市区町村の窓口や許可業者一覧で確かめる。買取を伴うなら古物商許可証の提示を求める
- 共通 → 見積もりの訪問で出張料や見積料がかかるのかを、呼ぶ前に電話で聞いておく
「見積もりの際に出張料や見積料などの名目で料金を請求される場合がある」「事業者を呼ぶ前に、見積もりにあたって料金が発生するのか否かを確認するように」は、前掲の報告書本文(PDF)「3.消費者へのアドバイス」に記載されています。
許可や見積書の粒度、立ち会いや貴重品の扱いといった依頼先を選ぶときの確認項目そのものは、別の記事にまとめています。片付ける物の量が多く、住居そのものの状態が問題になっている場合は、対応する事業者の種類も変わってきます。
遺品整理業者とのトラブルについてよくある質問(FAQ)
※本記事は2026年8月時点で公開されている公的機関の資料をもとに、トラブルの型と相談先を整理したものです。個別のケースについての違法性の判断、支払い義務や返金の可否、クーリング・オフの適用可否についての判断は行っていません。実際の対応は消費生活センター(消費者ホットライン188)や弁護士等の専門家にご相談ください。制度や窓口の運用は変わることがあります。
まとめ|起きてしまっても、打てる手はまだある
遺品整理業者とのトラブルは、当日の追加請求、高額なキャンセル料、残す約束だった遺品の処分、無許可の事業者による回収という4つの型に整理できます。国民生活センターが2018年に公表した事例と、2025年10月に改めて出された注意喚起を並べると、つまずく箇所は7年を経てもほとんど変わっていません。
いま渦中にいる方に覚えておいていただきたいのは、支払う前ならその場で断るという選択肢があり、支払った後でも記録を持って消費者ホットライン188に相談できる、という2点です。故人の物を扱う作業だからこそ、ご自身を責める必要はありません。
そしてこれから依頼する方は、追加料金の条件、キャンセル料の発生時期と金額、残す物の分け方、許可の確認先という4項目を先に言葉にしておくだけで、ここで見てきたトラブルの大半は入口で防げます。困ったときに頼れる窓口があることを知っているだけでも、依頼のときの落ち着き方は変わるはずです。