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ゴミ屋敷と精神疾患の関係|「ためこみ症」など背景にある原因と相談窓口

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「どうして自分は物を捨てられないんだろう」「親の家がゴミ屋敷になってしまったのは、何かの病気が原因なのだろうか」。この記事を開いた方は、そんな不安や戸惑いを抱えているのではないでしょうか。

最初にお伝えしたいのは、ゴミ屋敷=精神疾患と決めつけることはできない、ということです。一方で、物をためこんでしまう背景に「ためこみ症」などの疾患が関係する場合があることも、医学書や行政の資料で紹介されています。

この記事では、当メディア編集部が環境省の調査報告書や公的機関・医学書の公表資料を調査し、ゴミ屋敷と精神疾患の関係について「現時点でわかっていること」を一次情報の範囲で整理しました。あわせて、受診の前段階から無料で使える公的な相談窓口(保健所・精神保健福祉センター・地域包括支援センター)も紹介します。

読者
部屋が物であふれているのに、自分でもどうしても捨てられません。これって病気なんでしょうか…?
編集部
部屋の状態だけで病気かどうかは判断できませんし、この記事で診断することもできません。ただ、背景に「ためこみ症」などが関係する場合があると紹介されていて、無料で相談できる公的窓口もあります。決めつけずに、順番に整理していきましょう。

【結論】ゴミ屋敷と精神疾患の関係をまず整理

ゴミ屋敷になったからといって、精神疾患であるとは限りません。仕事や介護で片付ける余裕がない、体力が落ちて運び出せない、身近な人との別れで気力を失ったなど、病気とは言い切れない事情が重なって起きることも多いためです。

一方で医学書には、物を捨てられないことを中心的な特徴とする「ためこみ症」という疾患が掲載されており、行政の調査でも、ゴミ屋敷の当事者が福祉・健康上の課題を抱えているケースが多いことが報告されています。「怠けているだけ」と決めつけず、背景を知って合った窓口につながることが解決への出発点です。

図解
当メディア編集部作成

いま気になっていることごとに、本記事で解説する内容と相談先を整理すると次のとおりです。

気になっていること この記事でわかること 主な相談窓口
自分が「ためこみ症」かもしれない 医学書で紹介されている特徴と経過 保健所・精神保健福祉センター・医療機関
高齢の親の家がゴミ屋敷になっている 加齢・病気との関係で指摘されること 地域包括支援センター・かかりつけ医
ごみの堆積・近隣への影響を何とかしたい 自治体の対応と支援の仕組み 市区町村の環境担当・福祉担当

なお、病気かどうかの診断ができるのは医師だけです。この記事は「病気かどうかを判定する」ものではなく、公表資料に書かれている内容の紹介と、相談先の案内にとどめています。

「ためこみ症」とは|物を捨てられない疾患として紹介されている

物が散らかった部屋の様子
写真はイメージです

「ためこみ症」は、医学書のMSDマニュアル家庭版に掲載されている疾患です。同書では、持ち物を捨てたり手放したりすることがどうしてもできなくなる結果、物がたまっていき、住んでいる場所が散らかって用をなさなくなる状態と説明されています。

同書に書かれている特徴・経過を整理すると、次のとおりです。

  • ほとんど価値のない物でも、手放すことに困難を覚えるとされる
  • 収集家とは異なり、整理した状態で物をためるわけではないとされる
  • ためこみの症状はしばしば青年期に始まり、年齢が上がるにつれて徐々に悪化することがある
  • 約1.5〜6%の人がこの病気をもっていると考えられ、有病率は女性と男性で同じとされる

同書ではさらに、あまりに多くの持ち物をためこんで手放すのに大きな困難を抱え、そのことで強い苦痛を感じているか、日常生活に支障をきたしている場合に診断が下されると説明されています。つまり「部屋が散らかっている」という事実だけで診断される病気ではありません。

ここで挙げた内容は、あくまで公表されている資料の紹介です。読んでいて自分や家族に当てはまるように感じても、それだけでためこみ症だと判断することはできません。気になる場合は、後半で紹介する窓口や医療機関に相談してみてください(出典:MSDマニュアル家庭版「ためこみ症」・2026年7月閲覧)。

ためこみ症だけではない|ほかに指摘される背景

年配のご夫婦の暮らしの様子
写真はイメージです

ゴミ屋敷の背景として指摘されているのは、ためこみ症だけではありません。環境省の調査報告書には、条例を定めた自治体の工夫として「当事者の方々が抱える心身の課題や経済的困窮、地域からの孤立など様々な原因があり、その原因を解決しなければ、強制的に堆積物を撤去しても再発してしまい、根本的な解決には至らない」ため福祉的な支援を優先した、という趣旨の回答が紹介されています。

また同じ報告書には、「ごみ屋敷の原因者は福祉・健康上の課題や経済上の問題を抱えていることが多く、罰則等の強制的な手段を取ることがなじまないケースが多い」という自治体の声も収録されています。認知症をはじめとした病気が関係する場合があるという指摘もありますが、いずれも人によって事情は異なり、部屋の状態から原因をひとつに断定することはできません

「なぜ捨てられないのか」という本人の気持ちの動きや、責めない接し方については、心理面を掘り下げた次の記事で詳しく解説しています。

行政の調査からわかること|ゴミ屋敷は全国的な課題

書類の整理・保管の様子
写真はイメージです

環境省は、全国1,741市区町村すべてを対象にした「ごみ屋敷」に関する調査を実施しています(令和6年11月末時点・回答率100%)。それによると、令和2〜6年度の5年間にごみ屋敷事案を認知した市区町村は672にのぼり、全体の約38.6%を占めました。

調査項目 結果(令和6年度調査)
ごみ屋敷事案を認知している市区町村 672市区町村(約38.6%)
行っている対応の上位 現地確認(88.7%)/原因者への直接指導・助言(79.2%)/関係部署と連携したサポート(43.5%)
敷地内のごみの撤去 撤去を行った市区町村の99.3%が本人等の同意を得て実施

出典:環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月・PDF)(2026年7月閲覧)

数字が示すとおり、ゴミ屋敷は特別な誰かだけに起きる問題ではなく、全国の約4割の自治体が向き合っている暮らしの課題です。報告書には、生活保護担当・障害者担当・環境担当などの部署が連携し、地域包括支援センターや民生委員の協力も得ながら片付けを支援した事例が数多く収録されています。

福祉部門が先に本人との関係を築き、そのうえで環境部門がごみの排出を支援して本人が応じやすくした、という連携例も報告されています。行政の側にも「責めて片付けさせる」のではなく「背景に寄り添って支援する」考え方が広がっており、総務省も令和6年8月に「ごみ屋敷」対策に関する調査結果を公表して、関係省庁が連携して自治体を後押しする流れができています(出典:総務省「『ごみ屋敷』対策に関する調査」)。

本人・家族それぞれの向き合い方

実家・和室の様子
写真はイメージです

本人ができること|自分を責めないところから

まず、「片付けられない自分はダメだ」と責め続けるのをやめることが、遠回りに見えて第一歩になります。ここまで見てきたとおり、物がたまっていく背景には疾患・体調・孤立・経済的な事情など複数の要因が指摘されており、意志の弱さだけで説明できるものではないからです。

そのうえで、一人で抱え込まず、誰かに話してみることを選択肢に入れてみてください。次の章で紹介する保健所や精神保健福祉センターは電話でも相談でき、相談したからといって、いきなり受診や片付けを強制されるわけではありません。

家族ができること|勝手に捨てない・否定しない

家族の住まいがゴミ屋敷状態になっているとき、やってしまいがちなのが「本人に黙って処分する」ことです。しかし本人にとってその物が心の支えになっている場合、無断で捨てられた経験は強い不信感につながり、関係も状況もこじれやすくなります。

「なんでこんなにためたの」と問い詰めるのではなく、体調や食事など生活の困りごとを気遣う声かけから始め、必要になったら窓口への相談に同行する、という進め方が現実的です。離れて暮らす親の実家がゴミ屋敷になっているケースの切り出し方は、次の記事で詳しく解説しています。

相談できる窓口|保健所・精神保健福祉センター・地域包括支援センター

調べ物をして検討する女性
写真はイメージです

「病院に行くほどなのか自分では判断できない」という段階でも利用できるのが、公的な相談窓口です。国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」や厚生労働省の公表内容をもとに、3つの窓口を整理しました。

窓口 相談できること 特徴
保健所 こころの健康、保健・医療・福祉に関する相談 保健師・医師・精神保健福祉士などの専門職が対応。電話・面談のほか、希望に応じて訪問相談も実施
精神保健福祉センター 精神保健福祉全般にわたる相談 各都道府県・政令指定都市に1か所ずつ設置(東京都は3か所)。電話や面接(要予約)で相談できる
地域包括支援センター 高齢者の総合相談・権利擁護・介護予防など 市町村が設置し、全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)。高齢の親のことはここが入口になる

出典:こころの情報サイト「相談しあう・支えあう」厚生労働省「地域包括ケアシステム」(いずれも2026年7月閲覧)

自分や配偶者のこころの面が気になるなら保健所・精神保健福祉センター、高齢の親の暮らし全体が心配なら地域包括支援センター、と覚えておくと選びやすくなります。どの窓口も、診断名がついていない段階の相談から受け付けています。

また、ごみの堆積そのもの(近隣への影響や撤去の進め方)で困っている場合は、市区町村の環境担当や福祉担当の部署が相談先になります。前述の環境省の調査でも、複数の部署が連携して片付けを支援する体制が各地で報告されています。

環境を戻す片付けは、無理のない方法で

散らかった部屋を片付ける様子
写真はイメージです

相談と並行して考えたいのが、部屋の環境をどう戻すかです。焦って一気に片付けようとすると心身の負担が大きく、挫折や再発のもとになりやすいため、いまの状態に合わせて「自分で少しずつ進める」か「専門の業者に任せる」かを選びましょう。

自分で進める場合は、玄関からの通り道づくりのように、範囲を小さく区切って順番に進めるのがコツです。具体的な手順や道具は、自力での片付けをテーマにした次の記事にまとめています。

物の量が多い、悪臭や害虫が出ている、体力的に難しいという場合は、片付け業者に依頼するほうが安全です。ひとつだけ覚えておきたいのは、家庭から出たごみの収集運搬を業者が担うには市区町村の許可(一般廃棄物収集運搬業許可)や委託が必要という点で、依頼前に確認しておくとトラブルを避けやすくなります。許可の確かめ方を含む業者選びの手順は、次の記事で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Qためこみ症は治療できますか?

AMSDマニュアル家庭版では、認知行動療法と特定の薬剤が助けになることがあると紹介されています。ただし治療の要否や内容は一人ひとりの状態によって異なり、この記事で判断することはできません。気になる場合は精神科・心療内科などの医療機関や、保健所・精神保健福祉センターに相談してみてください。

Qゴミ屋敷になるのは女性と男性のどちらが多いですか?

Aためこみ症については、有病率は女性と男性で同じと紹介されています(MSDマニュアル家庭版)。性別や年代でゴミ屋敷の原因を決めつける根拠はなく、属性ではなく本人の状況に目を向けることが大切です。

Q認知症とゴミ屋敷は関係がありますか?

A認知症などの病気が背景に関係する場合があると指摘されていますが、部屋の状態だけで判断することはできません。高齢の家族の暮らしぶりが気になるときは、地域包括支援センターやかかりつけ医に早めに相談すると安心です。

Q本人が相談や片付けを嫌がるときはどうすればいいですか?

A無理強いや無断での処分は、関係の悪化や状況の再発につながりやすい対応です。本人が動けない段階では、まず家族が保健所や地域包括支援センターなどの窓口に事情を伝え、関わり方を一緒に考えてもらう方法があります。

Q部屋さえ片付ければ解決しますか?

A環境省の調査報告書では、原因を解決しないまま強制的に撤去しても再発してしまうという自治体の声が紹介されています。部屋を戻す片付けと、背景にある困りごとへの相談・支援を並行して進めることが、繰り返さないための近道です。

※本記事は病気の診断・治療を行うものではありません。「ためこみ症」等に関する記述は執筆時点(2026年7月)の出典資料の内容の紹介であり、個々の状態についての判断はできません。心身の不調が気になる場合は、医療機関または公的な相談窓口にご相談ください。

まとめ

ゴミ屋敷と精神疾患の関係は、「必ず病気」でも「ただの怠け」でもありません。ためこみ症をはじめとする心身の不調、孤立、経済的な事情など複数の背景が指摘されており、原因の断定よりも、背景を知って相談につながることが大切です。

保健所・精神保健福祉センター・地域包括支援センターは、診断がついていない段階から無料で使える公的窓口です。こころのケアの相談と並行して、部屋の環境も無理のない方法で少しずつ戻していきましょう。

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