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「引越しの見積もりには訪問が必要」と聞いて、気が重くなっていませんか。平日は帰りが遅くて日程が組めない、知らない人を部屋に上げたくない、営業トークを断るのが苦手——理由はさまざまでも、「訪問なしで済ませたい」という気持ちは共通です。
実は、引越しの見積もりは訪問なしでも取れます。ネットで比較から予約まで完結するサービス、ビデオ通話で家財を見せるオンライン見積もり、昔ながらの電話・メールと、選べる方法は1つではありません。カギになるのは「荷物量をどれだけ正確に伝えられるか」です。
この記事では、当メディア編集部が大手引越し業者・見積もりサービスの公式サイト、国土交通省の標準引越運送約款の原典、国民生活センターの公開情報を調査し、訪問なしで見積もりを取る4つの方法、向くケースと訪問を選びたいケース、当日に荷物が増えたときのルールまでを整理しました。


引っ越しの見積もりは訪問なしでもできる?結論と方法の早見表

結論からいうと、引越しの見積もりに訪問は必須ではありません。ネット完結・ビデオ通話・電話・メールのいずれでも見積もりは取れます。とくに単身〜1LDK程度の荷物量なら、訪問なしを標準の選択肢として案内する業者・サービスが増えています。
訪問なしの方法は大きく4つに分かれます。それぞれの特徴を先に一覧で押さえてください。
| 方法 | やり取りの中心 | 向いている人 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| ①ネット完結型の比較・予約サービス | Web入力のみ | 単身・荷物が少なく日程を早く固めたい人 | 入力した荷物リストがそのまま料金の前提になる |
| ②ビデオ通話のオンライン見積もり | スマホのビデオ通話 | 荷物を実際に見て確認してほしい人 | 単身限定など対象条件のあるサービスがある |
| ③電話・メールで直接依頼 | 電話・メール | 頼みたい業者がすでに決まっている人 | 口頭申告のため概算にとどまりやすい |
| ④一括見積もり+連絡手段の工夫 | Web入力+各社からの連絡 | 複数社の料金を比べたい人 | 依頼した社数分の電話・メールが届く |
訪問見積もりと訪問なし見積もりの違い
そもそも訪問見積もりの役割は、営業担当者が荷物量と搬出経路を実地で確認し、トラックのサイズと作業員数を正しく積算することにあります。訪問なしの場合、この確認をあなたの申告(入力・写真・ビデオ通話)が肩代わりする、というのが両者の違いです。
なお、見積もりのルール自体は方法によって変わりません。国土交通省が定める標準引越運送約款では、見積もりを行ったときは運賃等の合計額と内訳・解約手数料の額・事業許可番号などを記載した見積書を発行することとされ、見積料は請求しない(発送地・到達地で下見を行った場合の費用のみ、事前に金額を通知して了解を得た場合の例外)、見積もりの際に内金・手付金等は請求しない、と定められています。訪問なしでも、金額と条件は必ず見積書の形で受け取りましょう。
出典:国土交通省「標準運送約款」/標準引越運送約款(平成2年運輸省告示第577号・最終改正 令和7年国土交通省告示第193号)第3条(2026年7月時点)
訪問なしで引っ越しの見積もりを取る4つの方法

4つの方法を、実際にサービスを提供している例とあわせて具体的に見ていきます。実例はいずれも各公式サイトの記載にもとづくもので、特定の業者・サービスをすすめる順位付けではありません。
1ネット完結型の比較・予約サービスを使う
引越し情報と荷物リストをWebで入力すると、各社の料金・サービスを画面上で見比べて、そのまま予約まで進めるタイプです。たとえば引越し侍(株式会社エイチームライフデザイン)は、引越し内容を入力するだけで業者の料金やサービスを比較し、ネット上で予約までできる「引越し予約サービス」を公式サイトで案内しています。予約後は予約内容の確認のため、業者から2日以内に電話またはメールで連絡が入るとされており、完全にゼロ連絡ではない点は知っておきましょう。
2ビデオ通話のオンライン見積もりを使う
スマホのカメラで部屋の中を映し、担当者が画面越しに家財を確認して見積もりを出す方法です。サカイ引越センターは「リモート見積もり(まリモ)」として、ビデオ通話で家財を確認して料金を見積もり・提案するサービスを公式サイトで案内しています(単身限定・所要約30分・全国対応だが離島等の一部エリアは対象外・SMSの受信環境が必要)。実物を見てもらえるぶん、入力だけの方法より申告漏れが起きにくいのが特長です。
3電話・メールで業者に直接依頼する
頼みたい業者がほぼ決まっているなら、その業者の窓口へ電話やメールで荷物内容を伝えて見積もりを依頼する方法もあります。ただし口頭やテキストだけの申告では荷物量の確認が粗くなりやすく、概算の提示にとどまる場合があります。金額を確定させる段階で、結局は訪問かビデオ通話での確認を求められることも想定しておきましょう。
4一括見積もりサイトで連絡手段を工夫する
複数社の料金を比べたい場合は一括見積もりサイトが選択肢になります。サービスによって入力項目の設計は異なり、たとえばSUUMO引越し見積もり(株式会社リクルート)は、電話番号の入力が任意で、業者とのやり取りをオンライン上で完結できると公式サイトに記載しています。どのサイトでも、申し込めば依頼先の各社から見積もりの連絡が届くため、その付き合い方は後述の章で説明します。
出典:引越し侍「引越し予約サービスとは」/サカイ引越センター「リモート見積もり」/SUUMO引越し見積もり(いずれも2026年7月時点)
方法を選んだら、次の関心事は「何社に頼むか」「集まった見積もりをどう比べるか」です。相見積もりの進め方は、こちらの記事で手順から解説しています。
訪問なしが向くケース・訪問を選んだほうがよいケース

訪問なしの見積もりは万能ではありません。荷物量が多く搬出条件が複雑になるほど、申告だけで正確に積算するのは難しくなります。判断の目安を整理します。
- 訪問なしが向くケース:単身〜1LDK程度で荷物が少ない/大型家具・家電が数点しかない/エレベーター付きなど搬出入の条件が標準的/日程が迫っていて訪問を待つ余裕がない
- 訪問を選んだほうがよいケース:家族での引越しなど荷物量が多い/ピアノ・美術品など特殊な管理が必要な荷物がある/エアコン脱着や不用品処分などオプション作業が多い/階段のみ・前面道路が狭いなど搬出経路に不安がある
「訪問なしだと料金が高くなる(安くなる)」と断定はできません。料金はあくまで荷物量・距離・時期・作業内容で積算されるためです。ただし申告が不正確なまま契約すると、後述のとおり当日の増額や積み残しという形でツケが回ってくる可能性があります。荷物が多い・条件が複雑という自覚があるなら、正確さを買うつもりで訪問かビデオ通話を選ぶほうが安全です。
なお「部屋が散らかっていて人を入れたくない」という理由で訪問を避けたい方は、訪問見積もりを受ける前の片付けの考え方をまとめた記事のほうが悩みに合うはずです。
荷物量の伝え方|訪問なし見積もりの精度を上げる4つのコツ

訪問なし見積もりの弱点は、業者が荷物を実際に見られないことに尽きます。裏を返せば、申告の精度を上げれば弱点はほぼ埋められます。入力・連絡の前に次の4点を準備してください。
1荷物リストは省略せず全部埋める
見積もりフォームの荷物リストは、面倒でも1品ずつ数えて入力します。「だいたいこのくらい」と丸めた申告が、トラックサイズの読み違いの最大の原因です。押し入れ・クローゼット・ベランダ・玄関収納など、見落としやすい場所から先に数えるのがコツです。
2大型の家具・家電は3辺サイズを測る
ベッド・ソファ・冷蔵庫・洗濯機など大型品は、幅×奥行×高さの3辺を測ってメモしておきます。トラックの積載と搬出経路の判断は大型品のサイズで決まるため、ここが正確なほど見積もりの信頼度が上がります。
3写真・動画で補足する
部屋ごとの全景写真を数枚用意しておくと、メールでの補足やビデオ通話時の説明がスムーズです。ビデオ通話見積もりを使う場合は、収納の中まで映せるように扉を開けておくと確認漏れを防げます。
4建物の条件も正確に伝える
荷物そのもの以外に、階数・エレベーターの有無・建物の前の道路幅・部屋から駐車位置までの距離も料金と作業計画に影響します。旧居と新居の両方について伝えましょう。
また、見積もりを取ったあとに荷物が増えそうになったら、早めに業者へ連絡してください。標準引越運送約款では、業者は荷物の受取日の3日前までに見積書の記載内容に変更がないかを確認することとされています。この確認のタイミングまでに変更を伝えられれば、当日の混乱を避けられます。
当日に荷物が増えたらどうなる?約款のルールと実際のトラブル

訪問なし見積もりで読者がいちばん不安に感じるのが「当日、聞いていた金額と変わらないか」でしょう。ここは標準引越運送約款に明確なルールがあります。
約款第19条では、見積もり後に内容の変更が生じ、実際に要する運賃等が見積書の合計額と異なることになった場合の扱いを定めています。実際の額が見積もりより少ない場合は実額に修正され、実際の額が見積もりを超える場合は、荷送人(依頼者)の責任による事由で見積もりの算出の基礎に変化が生じたときに限り、実額に修正されるとされています。つまり、申告していなかった荷物が当日出てきた場合は、依頼者側の事情による変更として追加の運賃等を求められ得る、ということです。
反対に、荷物を減らして実際の作業が軽くなれば減額方向に修正されるルールでもあり、「増えても減っても見積書どおり」ではありません。あわせて約款は、荷物の性質・重量・容積などに応じて運送に適した荷造りを行うことを荷送人の義務とし、壊れやすいものなど運送上特段の注意を要する荷物は受け取り時に申告を求めると定めています。訪問なしで頼むなら、この「申告の責任は依頼者側にある」という構造を理解しておくことが何よりの保険になります。
実際のトラブルも起きています。国民生活センターの「引越サービス」のページには、インターネットのプラットフォーム事業者経由で引越しを頼んだところ、当日ベッドが大きすぎるとして運搬を断られ、さらに追加料金を請求されたという相談事例が掲載されています。同ページによると引越サービスに関する相談件数は2022年度1,958件、2023年度2,128件、2024年度2,343件(2025年5月31日現在)と推移しており、料金や荷物の扱いをめぐる相談が続いています。納得できない請求を受けたときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつながります。
ひとつ注意点として、業者によっては標準約款とは別の独自約款を採用していることがあります。契約前に、見積書と一緒に適用される約款の変更・追加料金の条件を確認しておきましょう。また、SNSやマッチングアプリで見つかる格安の「なんでも運びます」型の個人・便利屋のなかには、貨物自動車運送事業法が求める許可や届出のないまま荷物運送を請け負う例が指摘されています。荷物の毀損時に運送事業者としての責任ルールが及ばない相手だと、追加料金以前に補償の交渉自体が難航しかねません。見積書に事業許可番号の記載があるかは、訪問なしでも必ず確かめられるチェックポイントです。
出典:標準引越運送約款 第7条・第8条・第19条/独立行政法人国民生活センター「引越サービス(各種相談の件数や傾向)」/貨物自動車運送事業法(e-Gov法令検索)(いずれも2026年7月時点)
一括見積もりを訪問なしで使うときの営業連絡の注意

誤解のないように書いておくと、「訪問なし」と「連絡なし」は別の話です。一括見積もりサイトを利用する場合、訪問は省けても、依頼先に選んだ業者それぞれから電話やメールでの見積もり連絡は発生します。静かに比較したかったのに着信が続いてげんなりした、という後悔を避けるため、申し込み前に次の点を決めておきましょう。
- 見積もりを依頼する社数は必要な分だけに絞る(比較目的なら数社で足ります)
- 電話番号の入力が任意のサービスや、メール中心でやり取りできる入力設計のサービスを選ぶ
- 備考欄があれば、連絡してよい時間帯と希望の連絡手段を書いておく
- 依頼する業者が決まったら、残りの各社へ早めに断りの返信を入れる
営業電話がどのような仕組みで発生し、どこまで減らせるのかは、一括見積もりサイトの実態を検証した次の記事で詳しく扱っています。
そのうえで、複数社の料金を訪問なしで比べたい方向けの窓口はこちらです。繰り返しになりますが、依頼を確定すると、選んだ業者から電話・メールでの連絡が始まります。社数の絞り込みと連絡時間帯の記入を済ませてから申し込んでください。
訪問なしの引っ越し見積もりでよくある質問(FAQ)
※本記事に記載した各サービスの内容・約款の条文・相談件数は、2026年7月の執筆時点に各公式サイト・公的機関のページで確認した情報です。サービス内容や約款は変更されることがあり、実際の契約条件は各業者の約款と見積書で決まります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
まとめ
引越しの見積もりは、ネット完結型の比較・予約サービス、ビデオ通話のオンライン見積もり、電話・メールでの直接依頼、一括見積もりサイトの活用という4つの方法で、訪問なしでも取れます。単身など荷物が少ない引越しほど使いやすく、日程調整や在宅対応の負担をまるごと省けるのが利点です。
一方で、業者が荷物を見られない分、荷物リストの入力・大型品の採寸・建物条件の申告といった正確さはあなたの側の責任になります。申告が漏れると、約款のルール上、当日の増額や積み残しにつながり得ることは忘れないでください。
方法を決めたら、次は「何社から見積もりを取り、どう比べるか」です。相見積もりの手順と断り方は、こちらの記事で具体的に解説しています。