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夜中から明け方にかけて、天井裏をタタタッと走り抜ける足音。こもった獣のにおいや、同じ場所に落ちているフン。イタチが住みついたかもしれないと気づいたとき、多くの方は「イタチ 駆除」と検索します。
ただ、行動を起こす前に押さえておきたい前提があります。イタチは鳥獣保護管理法の保護対象で、許可なく捕まえたり傷つけたりすることはできません。しかもメスのイタチは、狩猟の対象からも外れています。つまり一般の家庭でできる「駆除」とは、殺すことでも捕まえることでもなく、追い出して、入り口をふさぐことです。
この記事では、当メディア編集部が環境省の制度ページとe-Gov法令検索の条文、東大阪市・守口市・北九州市の公式案内、駆除業者3件の公開料金を調査し、法律の前提から追い出しの手順、出産期に気をつけたいこと、費用相場と業者の選び方までを整理しました。


イタチは許可なく捕獲・殺傷できない|鳥獣保護管理法の前提

はじめに、やってよいことと、やってはいけないことの線を引いておきます。イタチのような野生の哺乳類は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)の対象です。環境省は、狩猟により捕獲する場合を除いて、鳥獣の捕獲・殺傷は原則として禁止されていると説明しています。
| やりたいこと | 法律上の位置づけ | この記事での扱い |
|---|---|---|
| においや光で家から追い出す | 捕獲・殺傷にあたらない | 手順を解説 |
| 侵入口のすき間をふさぐ | 捕獲・殺傷にあたらない | 手順を解説 |
| 捕獲器などで捕まえる | 原則として許可が必要 | 方法は扱わない |
| 殺す・傷つける | 原則禁止で罰則の対象 | 方法は扱わない |
| 屋根の上など高所の封鎖工事 | 法律ではなく安全の問題 | 業者への依頼をすすめる |
メスのイタチは狩猟の対象にも入っていない
「狩猟なら捕ってもよいのでは」と思われるかもしれませんが、ここにも条件があります。環境省の「狩猟制度の概要」によると、日本に生息する約700種の鳥獣のうち、狩猟鳥獣に選定されているのは46種類だけです。そしてその一覧で、イタチは「イタチ(雄)」と記載されており、メスは狩猟鳥獣に含まれていません。
オスであっても、狩猟には狩猟免許と都道府県への登録、決められた狩猟期間という枠組みがあります。免許を持たない人が自宅でイタチを捕まえる行為は、この枠組みのどこにも当てはまりません。性別の見分けがつかない状態ではなおさら、捕獲という選択肢は最初から外して考えるのが安全です。
違反すると罰則の対象になる
捕獲が認められるのは、生態系や農林水産業への被害が生じている場合などに、環境大臣または都道府県知事(権限が移譲された市町村を含む)の許可を受けたときです。北九州市も、イタチを捕獲する場合は駆除処理業者に依頼するか、市の許可を得る必要があると案内しています。
無許可で狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲した場合の罰則は、現行の鳥獣保護管理法第83条に定められており、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金とされています。「かわいそうだから捕まえて山に放す」つもりでも、捕獲した時点で違反になり得るということです。
出典:環境省「狩猟制度の概要」/同「捕獲許可制度の概要」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
天井裏の物音はイタチ?住みつくサインと侵入口

対策の前に、相手がイタチかどうかの見当をつけておきましょう。北九州市の案内によると、イタチは体長30〜40センチメートルほどの胴長短足の動物で、夜行性。ネズミや鳥類、昆虫を捕食します。そして頭が入ればどこでも侵入でき、わずか3センチメートル足らずのすき間があれば入り込むと言われています。
同市に寄せられている相談内容も具体的です。天井裏を走り回ってうるさい、尿やフンのにおいがひどい、車に侵入されて配線をかまれた——こうした被害が代表例として挙げられています。夜間から明け方の足音、獣のにおい、同じ場所にたまるフン。この3つがそろってきたら、屋根裏に何かが住みついているサインとして考えてよい段階です。
ただし、音やにおいだけでイタチと断定はできません。屋根裏に入り込む動物には、ハクビシンやテン、ネズミなどの候補もいて、対処の難易度も変わります。姿の特徴からの見分け方と、夜の鳴き声・足音からの絞り込みは、それぞれ次の記事で詳しく解説しています。
自分でできるイタチ対策|追い出してから、侵入口をふさぐ

手の届く範囲であれば、自分で試せることはあります。東大阪市・守口市・北九州市が住民向けに公開している方法を整理すると、次の4段階になります。順番が大事で、ふさぐのは必ず「出ていったあと」です。
1フンと足音の記録をとる
フンが落ちている場所、足音が聞こえる時間帯と場所をメモし、写真も撮っておきます。侵入口を探す手がかりになるうえ、業者に見積もりを頼むときの説明材料としてそのまま使えます。
2においと光で追い出す
東大阪市は、木酢液や塩素系漂白剤といった強いにおいのするものを布に含ませ、トレイなどに入れてイタチのいる場所や通り道に置く方法、殺虫用のくん煙剤を焚く方法、強く光るものを嫌う性質を利用した点滅ランプの設置を案内しています。守口市も、火を使わないタイプのくん煙剤を挙げています。薬剤やくん煙剤を使うときは、必ず製品の表示と使用方法に従ってください。
3いなくなったことを確かめる
追い出しを試したら、数日かけて足音や新しいフンがないかを確認します。中にいる状態でふさぐと閉じ込めてしまい、屋根裏で死なせてにおいの問題を長引かせることになりかねません。ここは焦らないでください。
43cmより大きなすき間を金属製の網でふさぐ
東大阪市は、追い払ったあとに3センチメートル四方より大きなすき間を金属製のネットなどでふさぐよう案内しています。守口市も金網などでの封鎖を挙げています。通気口、軒下、基礎まわり、増築部のつなぎ目など、指が2本入る程度のすき間はすべて候補です。高い場所の作業は転落の危険があるため、無理せず業者に任せましょう。
においや光の効果は「一時的」も見込んでおく
忌避剤やくん煙剤、点滅ランプは、自治体が案内している追い出しの手段ですが、どの家でも同じように効くと保証されたものではありません。建物の構造や住みつき方によっては、においが薄れたころに戻ってくることもあります。
数日試して変化がないときは、方法を増やすより先に、ふさぎ残したすき間がないかを疑うほうが近道です。追い出しはあくまで前半戦で、侵入口の封鎖までやり切って初めて対策が完了します。
フン尿の後始末は無理をしない
イタチが出ていったあとには、フンや尿の汚れが残ります。片づけるときはマスクと使い捨て手袋を着け、窓を開けて風を通しながら作業し、終わったらしっかり手を洗ってください。作業のあとで体調に不安を感じた場合は、自己判断せず医療機関に相談を。この記事では、病気の見分けや症状の判断は扱いません。
天井裏一面に広がっているような量なら、清掃と消毒まで含めて業者に頼む選択肢が現実的です。なお、同じ場所に大量のフンがたまる「ためフン」はハクビシンの習性としてよく知られています。フンの特徴から動物を絞り込みたい方は、次の記事が参考になります。
出典:東大阪市「イタチの被害にお困りの方へ」/守口市「イタチでお困りの方へ」/北九州市「よくある相談と対策【イタチ】」
春から初夏は追い出しが難しい|出産・子育て期の注意

追い出しには、時期の問題もあります。EPARKくらしのレスキューの解説によると、イタチの繁殖期は3〜5月で、交尾から約1か月後に出産し、平均4.5頭の子を産むとされています。授乳期間は40日前後で、子育てはメスが自分の生活圏で行うとされています。
つまり春から初夏の屋根裏には、まだ自分で動けない子イタチがいる可能性があります。この時期に親だけを追い出してしまうと、残された子が屋根裏で死んでしまい、においや虫の発生というかたちで問題がかえって長引きます。子育て中のメスは巣に戻ろうとするため、追い出し自体がうまくいきにくいとも言われます。
春先に気づいた場合は、無理に自分で完結させようとせず、時期を見送るか、業者や自治体の窓口に相談して進め方を決めるのが堅実です。子イタチが取り残されているなど捕獲するほかない場面では、許可の手続きが必要になります。東大阪市のように、許可申請の案内とあわせて捕獲器の貸出制度(1人1器・貸出期間は2週間)を設けている自治体もあるので、まずはお住まいの市区町村の窓口に確認してみてください。
出典:EPARKくらしのレスキュー「イタチの繁殖期とは?」/東大阪市「イタチの被害にお困りの方へ」
イタチ駆除を業者に依頼したときの費用相場【2026年7月時点】

業者に頼むといくらかかるのか。公開されている料金情報を3件並べると、入り口の金額は2万円台からですが、清掃や封鎖まで含めると数十万円に達する事例もあるという幅が見えてきます。いずれも2026年7月時点で各サイトに掲載されていた内容です。
| 料金の掲載元 | 示されている金額 | 前提・条件 |
|---|---|---|
| 害獣駆除110番(シェアリングテクノロジー株式会社) | 駆除・追い出し24,800円(税込)〜。運営サイトの施工集計では平均192,192円 | 最も多い価格帯は5万〜10万円未満で、分布は5万円未満から40万円以上まで。現地調査・見積り作成は無料(対応エリア・加盟店・現場状況により費用がかかる場合の注記あり) |
| くらしのマーケット(ハクビシン・アライグマ・イタチ駆除カテゴリ) | 延床面積60平米の相場 35,000〜60,000円 | 追い出しの場合は煙霧剤・忌避剤による追い出し、侵入口の封鎖、屋根裏や床下の糞尿清掃までを共通の作業内容として明示 |
| 害獣駆除対策センター(ホームレスキュー株式会社) | 一般的な費用相場として2万円〜50万円 | 被害の大きさ・駆除の難易度・出張距離で変動。1回の作業は2〜3時間程度で、再発防止のため複数回の訪問が一般的とされる |
出典:害獣駆除110番「イタチ駆除の費用相場」(シェアリングテクノロジー株式会社)/くらしのマーケット(ハクビシン・アライグマ・イタチ駆除)/害獣駆除対策センター(ホームレスキュー株式会社)(いずれも2026年7月時点。税の表記は各サイトの記載に準じます)
2万円台と40万円超が同じ「イタチ駆除」として並ぶのは、作業の中身が違うからです。害獣駆除110番は、費用が被害の程度・再侵入防止策の数・敷地の広さで変わると説明しており、実例として倉庫へのわな設置で44,000円、戸建てで駆除施工から清掃・除菌、侵入口封鎖までを行って209,000円や308,000円という施工金額を公開しています。
- 被害の期間=放置が長いほどフン尿の清掃・消毒の範囲が広がる
- 侵入口の数=ふさぐ箇所が多い家ほど封鎖の材料費と手間が増える
- 建物の条件=納屋・はなれ・車庫があると調査と防止策の対象が増える
- 作業の高さ=屋根まわりの封鎖は高所作業の費用が乗りやすい
電話口で総額を言い切れないのは、この4つが現地を見ないと決まらないためです。裏を返せば、現地も見ずに「一式◯万円」と断言する説明のほうが、あとから追加になる項目を隠している可能性があります。見積もりは現地調査とセットで取りましょう。
イタチ駆除業者の選び方と相談できる窓口

イタチの依頼先を選ぶときは、金額の安さだけでなく、法律の手続きと作業範囲の明確さを軸にすると失敗しにくくなります。確認したいのは次の5点です。
1現地調査と見積りが無料かを先に確かめる
イタチの費用は現地を見ないと確定しません。調査と見積りが無料か、無料にならない条件(対応エリア外・特殊な現場など)があるかを、電話の段階で確認しておきます。
2見積書で「追い出し」「封鎖」「清掃・消毒」が分かれているか
「一式」だけの見積書は、あとから作業範囲の食い違いが起きやすくなります。どこを何か所ふさぐのか、清掃と消毒はどの範囲か、高所作業費や出張費が別かを書面で確認しましょう。
3捕獲が必要な場合の許可・免許の扱いを説明できるか
イタチの捕獲には許可の手続きが必要です。くらしのマーケットでは、捕獲を行う場合は有害鳥獣駆除の申請代行を含み、捕獲には狩猟免許が必要(忌避による追い出しは不要)と作業内容に明記されています。ここを曖昧にしたまま「捕まえます」と請け負う説明は、確認の質問をぶつけてみてください。
4再発したときの保証条件を書面で確かめる
イタチ対策は、すき間をひとつ見落とすだけで振り出しに戻ります。保証の期間と、無償で再対応してもらえる条件が契約書に書かれているかは、金額と同じくらい重要な比較ポイントです。
5会社の所在地を確認し、相見積もりで比べる
所在地・連絡先がはっきりしない業者は避け、可能なら2〜3社から見積もりを取って、金額だけでなく説明の具体性を比べます。その場で契約を急かす相手には、いったん持ち帰る余地を残してください。
自治体は駆除はしないが、相談できる窓口はある
「市役所に駆除してもらえないか」という期待には、正直に答えておく必要があります。編集部が確認した3市の範囲では、自治体がイタチの駆除作業を代行してくれる例は見当たりませんでした。一方で、窓口としての役割は用意されています。
守口市は、特定の業者の紹介は行っていないとしたうえで、相談先として大阪府ペストコントロール協会を案内しています。東大阪市は捕獲許可の申請窓口と捕獲器の貸出制度を設け、北九州市は捕獲する場合の許可申請先を明示しています。また、公益社団法人日本ペストコントロール協会は各都道府県の協会で害虫・害獣の相談を受け付けており、相談自体は無料と案内されています(受付体制は地域の協会の案内をご確認ください)。
業者に見積もりを頼むときは、フンの場所の写真、足音の時間帯、気づいた時期、屋根や基礎まわりで心当たりのあるすき間をメモにしておくと、話が早く進みます。
出典:守口市「イタチでお困りの方へ」/東大阪市「イタチの被害にお困りの方へ」/公益社団法人日本ペストコントロール協会「都道府県協会」
イタチ駆除についてよくある質問(FAQ)
※本記事の法令の説明・自治体の案内・料金情報は、執筆時点である2026年7月に各公式ページ・各サイトで確認できた内容に基づいています。制度や料金は変更されることがあり、実際の駆除費用は建物の状況や被害の範囲で変わります。依頼の判断は、現地調査を踏まえた見積もりと各公式サイトの最新情報で行ってください。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
まとめ
イタチに気づいたときの行動は4つに集約されます。許可なく捕まえない・殺さないこと。においと光で追い出してから、3cmより大きなすき間を金属製の網でふさぐこと。春から初夏の出産・子育て期は無理をしないこと。そして高所や広範囲の作業、捕獲が必要な場面は、許可の手続きに対応できる業者か自治体の窓口に任せることです。
費用は、公開情報ベースで2万円台から数十万円までの幅があります。金額の差は作業範囲の差なので、現地調査つきの見積もりで「追い出し・封鎖・清掃」の内訳を確かめてから決めれば、大きな失敗は避けられます。
なお、屋根裏に入り込む動物はイタチだけではありません。似た被害を起こすアライグマは特定外来生物として扱いが異なるため、心当たりがある方は次の記事もあわせてご覧ください。