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夜、静かになった頃に天井裏や屋根裏から「キーキー」という鳴き声や、何かが走り回る足音が聞こえてくる——。眠りを妨げられて不安になり、「ハクビシンだろうか、それとも別の動物?」と検索している方は少なくありません。
正体が分かれば対処の方針も決まりますが、じつは鳴き声だけで動物を断定するのは難しいのが実情です。この記事では、自治体や行政が実際に公表している資料をもとに、天井裏の音がどの動物の可能性が高いのかを絞り込む手順と、確かめ方、そして見つけたあとに何をしてよくて何をしてはいけないのかを、当メディア編集部が整理しました。


【一言でいうと】夜の天井裏の音は「鳴き声+足音+もう一つのサイン」で見分ける

結論からお伝えすると、天井裏の音の正体は鳴き声・足音・フンや足跡といった複数のサインを重ねて絞り込むのが基本です。鳴き声の擬音が自治体の公的資料に明記されているのはハクビシンとアライグマくらいで、音だけでは判断材料が足りないためです。
まずは、夜に天井裏へ入りやすい代表的な動物と、公的資料に載っている手がかりを早見表で確認してみましょう。
| 動物 | 公的資料の鳴き声の記載 | 音・足音の手がかり | 体の大きさの目安 |
|---|---|---|---|
| ハクビシン | 「キーキーキー」(西東京市の防除マニュアル) | 猫くらいの重さの足音・天井裏の物音 | 頭胴長48〜60cm前後 |
| アライグマ | 「キュルキュルキュル」(西東京市の防除マニュアル) | 比較的重い足音・柱を登る | 頭胴長40〜60cm前後 |
| イタチ | 擬音の記載は見当たらない | 「天井裏を走り回ってうるさい」(北九州市) | 体長30〜40cm・胴長短足 |
| ネズミ(クマネズミ) | 擬音の記載は見当たらない | 高い所を素早く走る・かじる音 | 体長15〜20cm前後 |
| コウモリ(アブラコウモリ) | 擬音の記載は見当たらない | 羽音・小さな擦れる音 | 手のひらに乗る小型 |
※鳴き声・生態は各自治体・行政資料の記載に基づく手がかりで、正体を断定するものではありません(執筆時点)。
夜に天井から聞こえる音でどの動物か絞る|鳴き声と足音の手がかり
天井裏の音を手がかりに動物を絞るとき、まず知っておきたいのは「鳴き声の擬音」が公的資料に載っている動物はごく限られるということです。以下の図解で、代表的な動物の鳴き声と足音の特徴を並べてみました。

ハクビシンの鳴き声は「キーキーキー」(西東京市の記載)
東京都の西東京市が公開している「アライグマ・ハクビシン防除マニュアル」では、ハクビシンの特徴として「キーキーキーという鳴き声」と記載されています。ハクビシンは夜行性で、昼間は屋根裏や倉庫などをねぐらにし、夜に活動するため、鳴き声や物音は夜間に気づかれやすいとされています。
大田区の案内でも、被害のサインとして「天井裏から大きな足音や動物の鳴き声がする」ことが挙げられています。ただし、これらは「その音ならハクビシンで確定」という意味ではありません。あくまで手がかりの一つとして受け止めるのが安全です。
「似た音」に注意|アライグマ・イタチ・ネズミ・コウモリとの違い
同じ西東京市のマニュアルでは、アライグマの鳴き声を「キュルキュルキュル」と記載しています。ハクビシンとアライグマは、いずれも夜行性で屋根裏をねぐらにする点が共通しており、音だけでの区別は難しい場合があります。
一方、イタチ・ネズミ・コウモリについては、調べた範囲では自治体の資料に鳴き声の擬音までは記載が見当たりませんでした。そのため、これらは音の擬音よりも「体の大きさ」「足音の重さ」「侵入できる隙間」といった特徴で見分けるほうが確実です。動物ごとの見分けは、それぞれの専用記事もあわせてご覧ください。
鳴き声だけで決めないほうがよい理由
鳴き声は個体差や状況(威嚇・繁殖・親子)によって聞こえ方が変わり、家の構造によって音の響き方も違います。実際、天井裏の音は「ネズミより大型の生き物がいる様子」という相談として自治体に寄せられることもあり、音の印象だけでは種類を絞りきれないのが実情です。
だからこそ、次の章で紹介する「もう一つのサイン」を合わせて確認することが、遠回りに見えて確実な近道になります。
鳴き声+αで確かめる|足音の重さ・フン・足跡・時間帯

音で見当をつけたら、それを裏づける物理的なサインを探します。西東京市のチェックリストでは、次のような兆候がアライグマ・ハクビシンの被害の可能性として挙げられています。
- 天井裏から聞いたことのない足音や物音がした
- 屋根やベランダに奇妙な足跡があった
- 天井裏に糞のようなものが大量にあった
- 庭やベランダに果物の種の混じった糞があった
足音の重さは大きな手がかりです。ネズミやコウモリは軽く小刻みな音になりやすい一方、ハクビシンやアライグマ、イタチは「猫くらいの動物」が動くような、はっきりした足音として感じられることがあります。
フンや足跡も見分けの材料になります。ハクビシンは同じ場所にフンをする習性(ためフン)があり、果物の種が混じることがあるとされます。ただし、フンの詳しい見分けは無理をせず、下の関連記事を参考にしてください。素手で触らないことが大前提です。
なぜ天井裏に入るのか|侵入口とエサになるもの

正体を絞り込めたら、次は「なぜ入ってきたのか」を考えます。侵入経路とエサを断つことが、追い出したあとの再発防止につながるためです。
ハクビシンは高い所が得意で、雨どいや柱、電線を伝って屋根まで上がり、8cm四方程度の隙間があれば屋内に入り込むとされています(出典:東京都環境局・西東京市の資料)。築年数が経った家屋は、屋根の継ぎ目や軒下に隙間ができやすく、注意が必要です。
また、家の周りに定着する理由として、庭の甘い果実、生ゴミ、屋外に置いたペットのエサなどが挙げられています。西東京市の資料では、被害を防ぐために「庭木の実は早めに収穫・廃棄する」「置きエサはやめる」「伸びた枝を剪定する」ことがすすめられています。エサとねぐらの条件をなくすことが、根本的な対策になります。
音の正体がハクビシンだったら|できるのは追い出しと侵入口ふさぎまで

音の正体がハクビシンやアライグマ、イタチだと分かっても、自分でできるのは「追い出す」ことと「侵入口をふさぐ」ことまでです。ここには法律上の理由があります。
許可なく捕獲・殺傷できない|鳥獣保護管理法
ハクビシン・アライグマ・イタチなどの野生鳥獣は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」により、原則として許可なく捕獲・殺傷することができません。環境省(出典:環境省公式サイト)の資料でも、鳥獣は狩猟による場合を除き、原則としてその捕獲・殺傷・採取が禁止され、被害防止などの目的では都道府県知事などの許可が必要と説明されています。
違反した場合の罰則は、同法第83条で「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」と定められています。よかれと思って捕まえた行為が違反になりかねないため、捕獲が必要なときは自治体や許可を持つ業者に相談するのが原則です。北九州市も、追い出しで効果がない場合の捕獲は「市の許可を得ることで自身で捕獲できる」と案内しています。
なお、アライグマは外来生物法の「特定外来生物」に指定されており、運搬や放出(捕まえて別の場所へ逃がすこと)が規制されています。「捕まえて山に逃がす」は違法になり得るため注意が必要です。一方、家に住みつくネズミ(クマネズミなど)は鳥獣保護管理法の対象外で、扱いが異なります。
追い出してから、隙間をふさぐ
対処の順番も大切です。まず追い出し、いなくなったことを確かめてから侵入口をふさぐのが基本になります。中に取り残された個体がいる状態でふさぐと、かえって被害が長引くことがあるためです。
西東京市の資料では、屋根裏・床下に棲みつかれた場合、市販の煙によるくん煙タイプの忌避剤を使う方法(1回で効果がなければ2〜3回繰り返す)が紹介されています。忌避剤やくん煙剤は必ず製品の表示と使用方法に従って使い、効果には個体差があり一時的なこともある点を見込んでおきましょう。追い出したあとは、侵入の可能性がある隙間をすべて金網などでふさぎます。コウモリの追い出しと出入口ふさぎについては、下の関連記事も参考になります。
業者・自治体の窓口に相談する目安

次のような場合は、無理をせず専門の業者や自治体の窓口に相談することを検討しましょう。高所や広範囲の作業は転落や感染のリスクがあり、再発を繰り返すケースもあるためです。
- 屋根裏が高くて危険、または侵入口が特定できない → 業者・自治体へ
- 追い出しても何度も戻ってくる・繁殖が疑われる → 業者・自治体へ
- 捕獲が必要だと考えられる → 自治体の窓口(許可の相談)へ
- フン尿の量が多く清掃・消毒に不安がある → 業者へ
多くの自治体では、目撃・被害の相談窓口を設けています。西東京市のように、被害状況を確認したうえで捕獲器を貸し出す事業(屋外の平地への設置に限り、天井裏・床下には設置しない)を行っている自治体もあります。まずはお住まいの市区町村の環境担当や、公益社団法人の各都道府県ペストコントロール協会に問い合わせるのが確実です。
業者に依頼する場合は、現地調査・見積もりの内容、追い出し・侵入口ふさぎ・清掃などの作業範囲、保証の有無を確認し、複数社を比較したうえで判断すると安心です。費用は建物の状況や作業範囲によって幅があるため、その場で契約を急がず、内訳を確かめましょう。
ハクビシンの鳴き声・物音についてよくある質問(FAQ)
※本記事の鳴き声・生態・法律に関する記載は、各自治体・行政資料および法令(執筆時点・2026年7月)に基づく一般的な情報です。個別の判断や捕獲の可否は、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
まとめ
夜の天井裏から聞こえる鳴き声や足音の正体は、音だけで断定せず、複数のサインを重ねて絞り込むのが確実です。最後に4つのポイントを振り返ります。
- 鳴き声の擬音が公的資料に明記されているのはハクビシン「キーキーキー」とアライグマ「キュルキュルキュル」。それ以外は足音・体の特徴で見分ける
- 鳴き声+足音の重さ・フン・足跡・時間帯の「もう一つのサイン」で確かめる
- ハクビシン・アライグマ・イタチは許可なく捕獲・殺傷できない。できるのは追い出しと侵入口ふさぎまで
- 高所・広範囲・再発・捕獲が必要なときは、自治体の窓口や許可を持つ業者へ相談する
正体の見当がついたら、動物ごとの見分けや対処は関連記事もあわせてご覧ください。無理をせず、安全を最優先に進めることが何より大切です。