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夜中、天井裏からカサカサ、カリカリ……。「ネズミが嫌がる音を流せば出ていってくれるのでは」と、超音波グッズやスマホアプリを探していませんか。
結論からお伝えすると、音だけでネズミを追い出し続けるのは難しい、というのが公的資料に見られる評価です。しかも、天井裏の物音の主はネズミとは限りません。ハクビシンやイタチ、コウモリ、鳥だった場合、相手は法律で守られていて、ネズミと同じ感覚で対処すること自体ができないのです。
この記事では、当メディア編集部が東京都・環境省・各自治体の公的資料を調査したうえで、①音の種類×時間帯から物音の正体の見当をつける早見表、②ラットサインなど音以外の確かめ方、③「ネズミが嫌がる音」の効果がどこまで期待できるか、④正体別の対処と相談先、の順に整理します。


【一言でいうと】天井裏の物音は「音の種類×時間帯」で正体の見当がつく
天井裏の物音は、「どんな音か」と「いつ聞こえるか」を組み合わせると、正体の候補をかなり絞り込めます。カサカサ・カリカリという軽い音が夜中に続くならネズミ、ドスドスと重さのある足音ならハクビシンなどの中型獣、日没前後の羽ばたきならコウモリ、朝のさえずりなら鳥の可能性が高まります。ただし、音の聞こえ方は建物の構造や聞く人によって変わるため、音だけで断定はできません。

| 音の感じ | よく聞こえる時間帯 | 考えられる動物 | あわせて確認したいこと |
|---|---|---|---|
| カサカサ・カリカリと軽い走り音やかじる音 | 夜中(人が寝静まった時間帯) | ネズミの可能性 | 黒い汚れ・かじり跡などのラットサイン |
| ドスドス・ドタドタと重さのある足音 | 夜〜明け方(日中のことも) | ハクビシンなど中型獣の可能性 | 同じ場所にたまったフン、果物の食害 |
| タタタッとすばやく走り回る足音 | 夜間 | イタチの可能性 | 獣のようなにおい、3cmほどのすき間 |
| カサカサ+日没前後の羽ばたき | 夕方〜夜 | コウモリの可能性 | 軒下・戸袋付近の小さなフン |
| さえずり・ヒナの鳴き声 | 朝〜日中 | 鳥(スズメ・ムクドリなど)の可能性 | 戸袋・換気口への出入り、巣材のわら |
※音はあくまで手がかりのひとつです。この早見表は東京都・環境省・各自治体の公的資料の記載(各動物の活動時間帯・体の大きさ・住みつく場所)をもとに、当メディア編集部が「可能性」として整理したものです。
音の種類と時間帯でみる正体の候補

夜中のカサカサ・カリカリ音はネズミの可能性
東京都の「東京都ねずみ防除指針」の資料(行政担当者のためのねずみについてよくある質問&回答集)では、ねずみは一般的に夜行性で、人が寝静まった夜間や留守の時間帯に活動することが多いと説明されています。同資料には、床下や天井、戸袋から壁の中に入り込み、断熱材のある壁の間や天井裏に巣を作るという記載もあります。
体が小さいぶん足音は軽く、カサカサという走り音に、カリカリ・ガリガリとかじる音が混ざるのが特徴的なパターンです。柱や配線をかじる習性があるためです。
夜〜明け方の重さのある足音はハクビシンなど中型獣の可能性
東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」によると、ハクビシンは体長40〜60cm・体重2.0〜5.5kgで、夜行性。昼間は納屋や家屋、寺社仏閣の屋根裏などで休息し、8センチメートル四方のすき間にも入り込むとされています。ネズミよりずっと大きいため、天井を歩けばドスドス・ドタドタと重さのある音になりやすいと考えられます。
実際に杉並区「ハクビシン等の被害相談について」には、「天井裏から動物らしき大きな足音が聞こえる」という相談が区に寄せられていることが紹介されています。同ページでは、ハクビシンもアライグマも「夜行性だが日中、活動することもある」とされており、昼間の物音だから違う、とは言い切れません。
タタタッとすばやい足音はイタチの可能性
北九州市「よくある相談と対策【イタチ】」によると、イタチは体長30〜40cmほどの胴長短足の動物で夜行性。わずか3センチメートル足らずのすき間から屋内に侵入し、天井裏の騒音やフン尿のにおいといった相談が寄せられています。ハクビシンより小柄で身軽なため、すばやく走り回る足音として聞こえることがあります。
日没前後の羽ばたき・カサカサはコウモリの可能性
住宅に入り込むのは主にアブラコウモリです。福岡県の生物多様性情報サイトでは、市街地周辺や里山などの身近な環境でもっともよく見られるコウモリで、家屋内に入り込んで衛生面の問題を起こすこともあり、6〜7月が出産シーズンと紹介されています。日が沈む頃にエサを捕りに飛び立つ習性が知られており、夕方に軒先で羽ばたきが増える、壁のすき間ちかくでカサカサ音がする、といった形で気づくケースがあります。
朝〜日中のさえずり・ヒナの声は鳥の可能性
スズメやムクドリなどの鳥は日中に活動するため、朝からのさえずりやヒナの鳴き声が続くなら鳥の巣を疑います。浦安市「ムクドリやカラスなどの鳥獣について」では、軒下や戸袋が営巣場所になりやすく、防鳥ネットなどで侵入しにくくする予防策が紹介されています。カラスの場合、巣作りから巣立ちまではおおむね2カ月ほどとされています。
音以外の確かめ方|ラットサインとフンをチェック

音の記憶だけでは正体を絞り込めないので、昼間の明るい時間に「痕跡」を確認して裏づけを取ります。危なくない範囲で、次の順にチェックしてみてください。
1音の時間帯・場所・種類をメモする
「何時ごろ・家のどのあたりで・どんな音か」を数日分メモします。スマホで録音しておくのも有効です。自治体や業者に相談するとき、状況を正確に伝える材料になります。
2ラットサインを探す
前述の東京都の資料によると、ねずみの侵入口には体の汚れがついて黒く汚れていたり、足跡やかじり跡があったりします。これがいわゆるラットサインです。壁ぎわ・配管まわり・キッチンの奥などを懐中電灯で照らして探します。
3フンがあれば触らずに写真を撮る
フンは大きさ・形・落ち方で動物の見当をつける有力な手がかりですが、素手では絶対に触らないでください。写真に残したら、マスクと手袋を着けて換気しながら片付け、終わったらよく手を洗います。体調に不安が出たときは医療機関に相談してください。
4外から侵入口の候補を眺める
エアコンの配管まわり、換気口、軒下や戸袋のすき間など、外壁の開口部を家の外から見て回ります。前述の東京都の資料によると、クマネズミは1.25cmのすき間があれば通り抜けられるとされています。中型獣でも、ハクビシンは8cm四方のすき間に入り込むとされており(東京都環境局)、「こんな小さな穴から?」という場所が入口になっていることがあります。
フンの形での見分け方は、ネズミのフンとハクビシンのフンでそれぞれ詳しい記事を用意しています。落ちていたフンの特徴と照らし合わせてみてください。
ネズミが嫌がる音(超音波・アプリ)は効果ある?

本題の「ネズミが嫌がる音」です。市販の超音波発生器やスマホアプリに期待したくなりますが、公的資料の評価は慎重です。
前述の東京都ねずみ防除指針の資料では、超音波の機器について、実験的には音圧が130デシベル以上あるとある程度忌避する行動が見られるという結果が得られているものの、実用的には評価はまちまちで、総合的に見ると実用効果については否定的な意見のほうが多い、という趣旨の回答が示されています。効果があった場合でも絶対ではない、とも付け加えられています。
また同資料は、においで遠ざけるタイプの忌避剤についても「効果を過信しない方がよい」としたうえで、長期間使っていると「慣れ」が生じることがあると指摘しています。音についても同じ製品を流し続ければ環境の一部になっていくことは想像に難くなく、音だけに頼り続ける対策は心もとないといえます。無料アプリを含め、特定の音源や機器の効果を保証する公的な評価は、編集部が調べた範囲(2026年7月時点)では確認できませんでした。
超音波グッズを試すこと自体は選択肢のひとつですが、使う場合は必ず製品の表示・使用方法に従い、「補助的な手段」と位置づけてください。効果を確かめるには、使用前後で音の頻度やラットサインの変化を記録しておくと判断しやすくなります。
そして、どの資料でも防除の柱とされているのは音ではなく、侵入口をふさぎ、エサと巣材を断つことです。東京都の資料でも、金属タワシや亀甲金網などねずみの嫌う素材ですき間をふさぐ方法が案内されています。具体的な進め方は駆除の記事で詳しく解説しています。
天井裏の物音を放置するリスク

「そのうちいなくなるだろう」と様子を見たくなりますが、放置には次のようなリスクがあります。
まず火災です。前述の東京都の資料には、家電製品の電気コードをねずみがかじってショートさせたときに、巣に引火して火災を引き起こすことがあるという記載があります。ほとんどの建材はかじられるともされており、被害は音の問題にとどまりません。
次に繁殖です。同資料によると、ねずみの繁殖力は強く、条件が良ければ年に6〜7回出産し、1回に6〜10匹ほどの仔を産むとされています。数が増えてからの防除は手間も費用もかさみます。
ハクビシンなどの中型獣の場合は、フン尿の被害が深刻です。東京都環境局の資料では、家屋侵入による建物の破損や、特に天井裏でのフン尿による汚損が大きな問題になっているとされています。同じ場所に排泄を続ける習性があると、天井板のシミや悪臭につながります。
物音による寝不足やストレスも、軽視できない実害です。「音の正体の見当をつけて、早めに手を打つ」ことが、結果的にいちばん安上がりです。
正体別の対処と相談先|ネズミ以外は許可なく捕獲できない

正体の見当がついたら、相手に合わせて対処を変えます。ここで重要なのが法律の線引きです。
環境省「鳥獣保護法の概要」によると、鳥獣保護管理法はいえねずみ類3種(一般にドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミを指します)を対象外としています。つまり家に出るネズミは、粘着シートなどによる駆除や侵入防止を自分で進められます(それでも、必要以上に残酷な方法は避けたいところです)。一方、ハクビシン・イタチ・コウモリ・鳥はいずれも同法の対象で、環境省「捕獲許可制度の概要」にあるとおり、狩猟による場合を除き、原則として許可なく捕獲・殺傷することはできません。個人ができるのは「追い出す・侵入口をふさぐ」までで、捕獲が必要な状況なら自治体の担当窓口か、許可の手続きに対応できる専門業者に相談することになります。
鳥の巣も同様で、浦安市の案内によると、卵やヒナがいる巣の撤去は捕獲などの許可を受けた事業者などで作業を行う必要があります。巣立ちを待つか、行政に相談してから動きましょう。
- ネズミらしい → 侵入口の封鎖と駆除を進める(下のネズミ駆除の記事へ)
- イタチらしい → 追い出しと封鎖まで。捕獲は許可が必要(イタチの記事へ)
- コウモリらしい → 追い出しと封鎖まで。時期にも注意(コウモリの記事へ)
- ハクビシンらしい → フンの確認と自治体相談(ハクビシンのフンの記事へ)
- 鳥らしい → 卵・ヒナがいる間は行政・許可業者に相談
自分での対処に迷ったら、ネズミはお住まいの自治体の保健所・衛生担当課、ハクビシンやイタチなどの中型獣は環境・鳥獣担当課が相談窓口になります。高所の作業が必要なとき、音が数週間やまないとき、フンが増え続けるときは、現地調査のできる専門業者への相談も検討してください。それぞれの費用相場や業者の選び方は、動物別の記事で詳しく解説しています。
ネズミが嫌がる音と天井裏の物音についてよくある質問(FAQ)
※本記事は執筆時点(2026年7月)の公的資料・公開情報をもとにした一般的な情報です。音だけで動物の種類を断定することはできません。法令の運用や自治体の対応は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。薬剤・忌避用品・機器は必ず製品の表示に従ってお使いください。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。
まとめ
天井裏の物音への対処は、①音の種類×時間帯で正体の見当をつける、②ラットサインやフンで裏づける、③相手に合った方法で対処する、の3段階で考えると迷いません。カサカサ・カリカリの夜中の音はネズミ、重い足音は中型獣、日没前後の羽音はコウモリ、朝の鳴き声は鳥の可能性、というのが出発点です。
「ネズミが嫌がる音」だけに頼る対策は、公的資料では効果が限定的とされています。音はあくまで補助と考え、侵入口の封鎖とエサ・巣材を断つ対策を軸に、ネズミ以外の動物なら法律の線引きに気をつけながら、自治体や専門業者もうまく頼ってください。