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「終活ノート(エンディングノート)を書いてみようと思ったけれど、何をどこまで書けばいいのか分からない」「そもそも遺言書と何が違うの?」と、最初の1ページで手が止まっていませんか。
終活ノートは、決まった書式のない自由なノートです。すべての項目を埋める必要はなく、書きやすいところから書けば大丈夫。それでも、口座の所在や医療の希望がひと目で分かるノートが1冊あるだけで、もしものとき家族の負担は大きく変わります。
この記事では、当メディア編集部が自治体や法務省の公式ページを調査したうえで、終活ノートと遺言書の違い、書く内容の定番項目、市販・無料ダウンロード・市役所での入手方法、書き始めのコツと保管場所までを順番に解説します。


終活ノート(エンディングノート)とは?遺言書との違い
終活ノート(エンディングノート)とは、もしものときに備えて、自分の基本情報・財産の所在・医療や介護の希望・家族へ伝えたいことなどを書き残しておくノートのことです。遺言書のような法的効力はなく、書式も内容も自由で、いつでも書き直せます。
役割をひとことで言えば、家族のための「情報と気持ちの引き継ぎ書」です。法律の文書ではないぶん、鉛筆で少しずつ書いても、市販の普通のノートに書いても構いません。

遺言書との違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 終活ノート(エンディングノート) | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり(法律の方式を満たした場合) |
| 書ける内容 | 情報・希望・気持ちなど自由 | 財産の分け方など法律で定められた事項が中心 |
| 形式 | 自由(ノート・冊子・データ) | 民法で方式が決まっている |
| 費用 | 市販品のほか無料配布・無料ダウンロードあり | 作成方法によって手数料などがかかる場合あり |
| 書き直し | いつでも自由 | 方式に沿った作り直しが必要 |
注意したいのは、財産を「誰に」「どれだけ」残すかという相続の指定は、終活ノートに書いても法的効力がないという点です。エンディングノートを配布している自治体のページでも、遺言書としての法的効力や相続人への強制力はない旨が明記されています。財産の行き先を確実に決めたい場合は、遺言書の役割になります(詳しくは後半の章と関連記事で解説します)。
終活ノートに書く内容|定番の項目例

「これを書かなければいけない」という決まりはありませんが、市販のノートや自治体版に共通する定番の項目は、おおむね次の6つに整理できます。まずは全体像をつかんでください。
1自分の基本情報
氏名・生年月日に加えて、本籍地、運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど重要書類の保管場所、勤務先や所属団体を書きます。手続きのたびに家族が家中を探さずに済みます。
2財産・お金の所在
口座のある金融機関名と支店、加入している保険、年金、不動産、ローンやクレジットカードの有無を書きます。書くのは「どこに何があるか」という所在まで。暗証番号やパスワードそのものは書きません(理由は後述のコツで解説します)。
3医療・介護の希望
持病・常用薬・かかりつけ医、病名告知や治療についての考え方、介護が必要になったときの希望を書きます。あくまで自分の希望や価値観を家族と共有するための欄で、迷う点は主治医や家族と話しながらで構いません。
4デジタル遺品の情報
スマホやパソコンの存在、ネット銀行・ネット証券の利用の有無、サブスクリプション契約、SNSやメールのアカウントを書き出します。デジタル遺品は残された家族が最も把握しづらい分野なので、利用サービスの一覧だけでも大きな助けになります。
5葬儀・お墓の希望
葬儀の形式や規模の希望、知らせてほしい人、遺影にしてほしい写真、お墓や納骨についての考えを書きます。「家族に任せる」と書くだけでも、残された側は迷いが減ります。
6連絡先リストと伝えたい気持ち
もしものときに知らせてほしい親戚・友人・知人の連絡先リストと、家族への感謝のメッセージなどを書きます。連絡先は家族が意外と知らない情報の代表です。
終活ノートの入手方法|市販・無料ダウンロード・市役所の配布

終活ノートは「買う」だけでなく、無料で手に入れる方法もあります。入手ルートは大きく3つです。
書店・文具店・100円ショップで買う
文具メーカー各社のエンディングノートが、書店・文具店・ネット通販で販売されています。項目があらかじめ印刷されているため、空欄を埋めていくだけで形になるのが利点です。ダイソーやセリアといった100円ショップでも取り扱いが見られます(品ぞろえは店舗により異なります)。
また、専用のノートでなくても構いません。無印良品などで売っている普通のノートに、前章の6項目を見出しにして書いていく方法でも十分役割を果たします。
無料テンプレートをダウンロードする
葬儀社や保険会社などが、無料のエンディングノートのPDFテンプレートを配布していることがあります。パソコンで入力してから印刷したい人、まず試し書きをしたい人に向いています。次に紹介する自治体のダウンロード版も無料です。
自治体(市役所)の無料配布を利用する
高齢者福祉の一環として、独自のエンディングノートを無料配布している自治体があります。執筆時点(2026年7月)で公式サイトに案内があるものの一例です。
配布場所・対象・在庫の状況は変わることがあります。お住まいの地域については、「自治体名+エンディングノート」で検索するか、高齢者福祉の担当課や地域包括支援センターに問い合わせてみてください。
終活ノートの書き方|書き始めの5つのコツ

終活ノートは1日で完成させるものではありません。書き始めのハードルを下げて、少しずつ育てていくのが長続きのコツです。
1書きやすい項目から書く(全部埋めなくてよい)
最初のページから順に埋める必要はありません。連絡先リストや保険の一覧など、事実を書くだけの項目から始めると手が動きます。医療や葬儀の希望のように考え込む項目は、後回しで構いません。
2日付を書いて、定期的に見直す
書いた日付を残しておくと、家族が「いつ時点の希望か」を判断できます。財産も気持ちも変わるものなので、年に1回、誕生日や年末など決まったタイミングで見直すのがおすすめです。書き直し前提なら、鉛筆や消せるペンで書いても構いません。
3暗証番号・パスワードは書かない
終活ノートは家族が見つけやすい場所に置くものなので、キャッシュカードの暗証番号やネットバンキングのパスワードそのものは書かないのが原則です。盗難や悪用のリスクがあるためです。書くのは金融機関名・支店名など「所在」までにとどめましょう。
4モノの整理(生前整理)と並行して進める
財産や持ち物の欄を書いていると、使っていない口座や手放してよい物に気づきます。ノートづくりと生前整理を並行すると、書く内容がシンプルになり、家族に残す作業そのものも減らせます。
5家族と話しながら書く
終活ノートは、書き上げること以上に「書きながら家族と話すこと」に価値があります。医療・介護の希望などは、ノートに書いてあるだけでは伝わらないこともあるため、内容にふれる機会を作っておくと安心です。
書いた終活ノートの保管場所と家族への共有

せっかく書いたノートも、もしものときに見つけてもらえなければ役に立ちません。一方で、個人情報が集まった1冊でもあるので、誰の目にもふれる場所に放置するのは避けたいところです。
- 仏壇の引き出しや本棚など、家族が思い当たりやすい場所に置く
- 保険証券など重要書類とひとつのファイル・箱にまとめておく
- 信頼できる家族に「ノートがあること」と「置き場所」を伝えておく
- 離れて暮らす家族には、保管場所をメモや口頭で共有しておく
ポイントは、中身を全部見せる必要はないということです。存在と保管場所さえ共有できていれば、ノートの役割は果たせます。見せたくないページがあるのは自然なことなので、共有の範囲は自分で決めて構いません。
なお、ノートを書き進めると「家の中も整理しておきたい」と感じる人が多くいます。終活としての片付けの進め方は、関連記事で順番を解説しています。
終活ノートでできないこと|遺言書や専門家に任せること

終活ノートは万能ではありません。「財産を誰に、どれだけ残すか」という相続の指定は、ノートに書いても法的効力がありません。この希望を確実に実現したい場合は、法律の方式に沿った遺言書が必要になります。
遺言書には民法で定められた方式があり、自分で書いた遺言書を法務局に預けられる「自筆証書遺言書保管制度」という国の制度も設けられています(出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度」)。遺言書と遺書の違いや制度の概要は、関連記事で詳しく解説しています。
また、相続税や不動産の名義、成年後見といった個別の判断が必要なテーマを、自分の理解だけでノートに書き残すと、かえって家族を迷わせることがあります。判断に迷う内容は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの専門家や、公証役場、自治体の相談窓口に相談したうえで、ノートには「どこの誰に相談済みか」を書いておくと確実です。
終活ノートのよくある質問(FAQ)
※自治体の配布内容・配布場所や制度の情報は執筆時点(2026年7月)の各公式サイトの情報です。最新の状況は各自治体・法務省の公式サイトでご確認ください。相続・遺言に関する個別の判断は、弁護士・司法書士・行政書士など専門家にご相談ください。
まとめ:終活ノートは「書きやすい項目から1ページ」で始める
終活ノート(エンディングノート)は、法的効力のない自由なノートだからこそ、今日からでも始められます。基本情報・財産の所在・医療や介護の希望・デジタル遺品・葬儀の希望・連絡先という定番6項目のうち、書きやすいものから1ページ書けばスタートとしては十分です。
ノートは市販品のほか、自治体の無料配布や無料ダウンロードでも手に入ります。書いたら日付を入れ、保管場所を家族と共有し、年に1回見直す。この繰り返しが、家族への何よりの引き継ぎになります。
財産の分け方など法的効力が必要なことは遺言書の領域です。あわせて関連記事も参考にしてください。