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「遺書」と「遺言書」の違いと書き方|法的効力があるのはどっち?

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終活を意識し始めて「遺書の書き方を知りたい」と調べると、遺書・遺言書・エンディングノートなど似た言葉がいくつも出てきて、どれをどう書けばいいのか迷ってしまいますよね。実はこの3つは役割がまったく別で、家族への気持ちを伝える「遺書」には法的効力がなく、財産の分け方などを法的に残せるのは民法のルールで作る「遺言書」だけです。

この記事では、遺書と遺言書の違いを図解と早見表で整理したうえで、自筆証書遺言の方式(民法968条)の一般的な解説、法務局の自筆証書遺言書保管制度、公証役場で作る公正証書遺言、遺言書を見つけたときの検認までを、法務省・裁判所・日本公証人連合会の一次情報をもとに当メディア編集部がまとめました。

なお、本記事は制度の一般的な解説であり、法律の個別のアドバイスではありません。遺言書の具体的な文面はご家族や財産の状況によって適切な形が変わるため、本記事では文面の例は載せず、記事の後半で相談先を紹介しています。

つらい気持ちで「遺書」を検索された方へ


この記事は、終活の備えとして遺書・遺言書を調べている方に向けた解説です。もしいま、つらい気持ちや悩みを抱えて検索された場合は、ひとりで抱え込まないでください。厚生労働省の「まもろうよこころ」では、電話やSNS(チャット)で話せる相談窓口が案内されています。
読者
終活を始めたので、家族に宛てて遺書を残しておこうと思っています。書き方に決まりはあるんでしょうか?
編集部
気持ちを伝える手紙としての遺書なら、書き方は自由です。ただし財産の分け方など法的な効力を持たせたい内容は、民法の方式に沿った「遺言書」として作る必要があります。まずは2つの違いから整理していきましょう。

【一言でいうと】遺書と遺言書の違い|法的効力があるのは遺言書

一言でいうと、遺書は「気持ちを伝える私的な手紙」、遺言書は「民法の方式に従って作る法的な文書」です。感謝や伝えたい思いを残すだけなら遺書で足りますが、財産を誰に引き継ぐかといった内容を法的に有効な形で残せるのは遺言書だけです。

図解
当メディア編集部作成

2つの違いを表で整理すると、次のようになります。

項目 遺書 遺言書
性質 気持ちを伝える手紙 民法にもとづく法的文書
法的効力 なし 方式を満たせば相続の手続きに使える
書き方のルール 自由(便箋・封筒・文章の形式に決まりなし) 民法で方式が定められている(自筆証書遺言・公正証書遺言など)
向いている内容 感謝・お別れの言葉・家族への思い 財産の分け方・引き継ぎ先の指定など
作成のサポート 不要(自分の言葉で書く) 弁護士・司法書士・行政書士・公証役場

「遺書 書き方」と検索した方の中には、実際には財産のことを法的に残したい=遺言書の情報を探している方が少なくありません。この記事では両方を順に解説するので、ご自身の目的に合う章から読み進めてみてください。

遺書の書き方|気持ちを伝える手紙として残すとき

書類を整理・記入する様子
写真はイメージです

気持ちを伝える手紙としての遺書には、法律上の決まりがありません。便箋でもノートでも、手書きでもパソコンでも自由で、宛先も家族・友人など好きに選べます。長さや形式を気にするより、自分の言葉で率直に書くことがいちばん大切です。

書く内容に迷ったら、次のような観点から書き始める方が多いようです。

  • 家族や友人への感謝の言葉
  • 伝えそびれていた思い出やお詫び
  • これからの家族に望むこと(あくまで「お願い」として)
  • 葬儀やお墓についての希望(法的な拘束力はありません)

注意したいのは、遺書に「家は長男に、預金は長女に」のように財産の分け方を書いても、法的な効力は生じないという点です。財産について確実に残したい希望があるなら、次章から解説する遺言書の形で準備する必要があります。

また、医療や介護の希望・連絡先・持ち物の一覧などを幅広く書き残したい場合は、エンディングノート(終活ノート)という選択肢もあります。遺書と同じく法的効力はありませんが、項目を整理しながら書ける点が特徴です。作り方は次の記事で詳しく解説しています。

遺言書の種類|自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言

書類の整理・保管の様子
写真はイメージです

日本公証人連合会の解説ページでは、遺言には①公正証書遺言、②自筆証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があると紹介されています(出典:日本公証人連合会「2 遺言」・2026年7月閲覧)。いずれも民法に方式の定めがあり、方式を満たさないものは遺言としての効力が認められません。

1自筆証書遺言(自分で全文を書く)

遺言者本人が全文・日付・氏名を自書して押印する方式です。費用をかけずに作れる一方、方式の不備や紛失のリスクがあります。詳しい方式は次章で解説します。

2公正証書遺言(公証役場で公証人が作成)

公証人が作成に関与する方式です。家庭裁判所の検認が不要で、原本が公証役場に保管されるため紛失のおそれがない点が特徴とされています。

3秘密証書遺言(内容を秘密にしたまま存在を証明)

遺言の内容を誰にも知られずに、遺言書の存在だけを公証人に証明してもらう方式です。利用件数は他の2つと比べて多くないとされています。

このうち、終活で検討されることが多いのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。次章から順に、公的機関の一次情報にもとづいて仕組みを見ていきます。

自筆証書遺言の書き方のルール|民法968条で決まっている方式

書類を整理・記入する様子
写真はイメージです

自筆証書遺言の方式は民法968条に定められています。同条1項は、遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自書(自分の手で書くこと)し、押印することを求めています(出典:e-Gov法令検索「民法」・2026年7月閲覧)。パソコンで本文を作成したものや、日付・署名のないものは、この方式を満たしません。

一方で、財産目録(不動産や預貯金の一覧)については例外があります。法務省の解説によると、平成30年の民法改正で新設された968条2項により、自筆証書に添付する財産目録は自書しなくてもよいことになり、パソコンでの作成や、登記事項証明書・預貯金通帳の写しの添付も可能です。ただし、自書によらない財産目録には各ページへの署名押印が必要とされています(出典:法務省「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」・2026年7月閲覧)。

  • 本文=全文を自書(パソコン不可)/日付・氏名を自書/押印
  • 財産目録=自書不要(パソコン作成・通帳の写し等も可)。ただし各ページに署名押印

ここで大切なお断りがあります。当記事では、遺言書の文面の見本やテンプレートは掲載していません。財産や家族の状況によって適切な書き方が異なり、形だけ真似ると方式の不備や解釈の争いにつながるおそれがあるためです。実際に書く段階では、行政書士・司法書士・弁護士などの専門家や、後述の公証役場・法務局の制度を利用しながら進めることをおすすめします。

法務局の自筆証書遺言書保管制度|手数料3,900円・検認が不要になる

書類の整理・保管の様子
写真はイメージです

自筆証書遺言には「自宅で保管すると紛失や改ざんが心配」という弱点がありますが、これを補うのが法務局(遺言書保管所)の自筆証書遺言書保管制度です。法務省の案内ページによると、この制度には次のような特徴があります(出典:法務省「01 遺言書保管制度とは?」・2026年7月閲覧)。

  • 保管申請時に、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて遺言書保管官の外形的なチェックが受けられる(内容の相談には応じてもらえず、有効性が保証されるわけではない)
  • 原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは同150年間管理され、紛失や利害関係者による破棄・改ざんを防げる
  • 相続開始後、家庭裁判所における検認が不要になる

手数料は、遺言書の保管の申請が1件(遺言書1通)につき3,900円です(出典:法務省「09 手数料」・執筆時点の2026年7月閲覧)。制度の全体像や遺言書保管所の一覧は、法務省の自筆証書遺言書保管制度の案内ページにまとまっています。

ただし前述のとおり、保管時のチェックはあくまで外形的なものです。遺言の内容そのものが目的どおりに機能するかは別の問題なので、内容面は専門家に相談したうえで、保管に本制度を使うという組み合わせが検討しやすいでしょう。

公正証書遺言の作り方|公証役場で公証人が作成する遺言書

書類を整理・記入する様子
写真はイメージです

公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して作成する方式です。民法969条では、証人2人以上の立会いのもとで作成することなどが方式として定められています(出典:e-Gov法令検索「民法」・2026年7月閲覧)。

日本公証人連合会の解説ページでは、公正証書遺言のメリットとして、家庭裁判所での検認手続が不要で相続開始後速やかに内容を実現できること、原本が必ず公証役場(電磁的記録の原本の場合は日本公証人連合会が運営するシステム)に保管されるため紛失のおそれがないことが挙げられています。また、遺言者が高齢や病気などで公証役場に出向くことが難しい場合には、公証人が自宅や老人ホーム・介護施設などへ出張して作成することも認められています(出典:日本公証人連合会「2 遺言」・2026年7月閲覧)。

作成手数料は公証人手数料令という政令で定められており、財産の額などによって変わります。具体的な金額や必要書類は、お近くの公証役場に相談すると案内してもらえます。

遺言書を見つけたときは?家庭裁判所の検認

書類を整理・記入する様子
写真はイメージです

ここまでは「書く側」の話でしたが、家族の遺品整理などで遺言書を見つけた場合の手続きも知っておくと安心です。裁判所の案内によると、遺言書の保管者やこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければならないとされています(出典:裁判所「遺言書の検認」・2026年7月閲覧)。

検認とは、相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状や日付・署名などその時点の内容を明確にして、偽造・変造を防止するための手続きです。同ページでは、検認は遺言の有効・無効を判断する手続きではないことも明記されています。

注意したいのは封のある遺言書の扱いで、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いのうえ開封しなければならないとされています。見つけてもその場で開封せず、まず家庭裁判所の手続きを確認しましょう。なお、公正証書遺言と、保管制度を利用した自筆証書遺言について交付される「遺言書情報証明書」は、検認が不要とされています。

遺書・遺言書のことはどこに相談する?相談先の一覧

年配のご夫婦の暮らしの様子
写真はイメージです

遺書は自由に書けますが、遺言書は「誰に・何を・どう残すか」で書き方が変わる法的文書です。迷ったら、目的に合わせて次の窓口に相談してみてください。

相談したいこと 主な相談先
遺言書の内容・文面をどう作るか 弁護士・司法書士・行政書士
公正証書遺言を作りたい 公証役場(公証人)
自筆証書遺言を保管してもらいたい 法務局(遺言書保管所)
相続争いの心配がある・調停中である 弁護士
つらい気持ちを聞いてほしい 厚生労働省「まもろうよこころ」の電話・SNS相談窓口

また、遺書や遺言書の準備は、持ち物や財産の全体を把握する身の回りの整理と並行すると進めやすくなります。生前整理の進め方や、終活としての片付けの始め方は、次の記事で詳しく解説しています。


遺書・遺言書のよくある質問(FAQ)

Qパソコンやスマホで書いた遺言書は有効ですか?

A自筆証書遺言は、本文の全文・日付・氏名を自書して押印することが民法968条の方式とされているため、パソコンやスマホで作成した本文はこの方式を満たしません。例外的に、添付する財産目録はパソコン作成などが可能です(各ページに署名押印が必要)。気持ちを伝える遺書であれば、形式は自由です。

Q遺書や遺言書の例文・テンプレートはありませんか?

A当記事では文面の見本は掲載していません。遺言書は財産や家族の状況で適切な書き方が変わり、形だけ真似ると方式不備や解釈の争いで想定どおりに機能しないおそれがあるためです。気持ちを伝える遺書は自由に書けます。遺言書の文面は弁護士・司法書士・行政書士や公証役場に相談して作ることをおすすめします。

Q遺言書は何歳から書けますか?

A民法961条では、15歳に達した者は遺言をすることができると定められています。年齢にかかわらず、方式は本記事で解説した民法のルールに従う必要があります。

Q封筒に入って封がされた遺言書を見つけたら、開けてもいいですか?

A封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのうえ開封しなければならないとされています。その場で開封せず、家庭裁判所の検認手続きを確認してください。

※本記事は制度の一般的な解説であり、法律・税務の個別のアドバイスではありません。手数料等は執筆時点(2026年7月)の各公式サイトの情報です。実際の判断は弁護士・司法書士・行政書士・公証役場・法務局など専門の窓口にご相談ください。

まとめ

遺書は気持ちを伝える自由な手紙、遺言書は民法の方式に従って作る法的文書です。財産の分け方など法的に残したい内容があるなら、自筆証書遺言(民法968条の方式+法務局の保管制度)か、公証役場で作る公正証書遺言を検討しましょう。

どの形が合っているかはご家庭の状況によって変わります。文面を自己流で仕上げる前に専門家や公的窓口に相談しつつ、あわせて身の回りの整理も少しずつ進めていくと、終活全体がスムーズになります。

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