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五徳のふちに焼き付いた黒い塊、天板に飛び散った油のべたつき、開けるたびに脂のにおいがするグリル。ガスコンロは毎日使う場所だからこそ汚れがたまりやすく、「気づいたときにはこすっても落ちなくなっていた」という声は珍しくありません。年末やお客様を迎える前に、ここだけは何とかしたいと考える方も多いはずです。
この記事では、ガスコンロの掃除を安全に進めるための準備から、五徳・バーナーキャップ・天板・グリル・受け皿という部位ごとの手順、重曹を使った焦げ付きの落とし方までを順番に整理します。掃除の可否や方法は機種によって差があるため、当メディア編集部がガス会社・コンロメーカーが公開している案内と、ハウスクリーニング各社の公開料金表を調べてまとめました。


【結論】ガスコンロの掃除は元栓を閉めて冷ましてから|部位別の掃除方法早見表
ガスコンロの掃除で最初にすることは、洗剤を用意することではありません。ガスの元栓(ガス栓)を閉め、機器が完全に冷めた状態にしてから作業を始めるのが出発点です。株式会社ノーリツ(出典:ノーリツ公式サイト)もコンロのお手入れについて、ガス栓を閉じ、機器を冷ましてから行うよう案内しています。
そのうえで、汚れの性質に合わせて部位ごとに手を分けると効率よく進みます。油汚れや焦げ付きは酸性の汚れのため、弱アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダが使われることが多く、日常のべたつきは中性洗剤で足りるケースがほとんどです。

| 手順 | 部位 | おもな汚れ | 使うもの | 目安の時間 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 五徳(ごとく) | 吹きこぼれ・油の焦げ付き | 重曹またはセスキ+歯ブラシ | つけ置き1時間〜 |
| ② | バーナーキャップ・温度センサー周り | 燃えカス・煮こぼれの目詰まり | かたくしぼった布・柔らかい歯ブラシ | 5〜10分 |
| ③ | 天板(トッププレート) | 油はね・軽い焦げ | 中性洗剤(素材で扱いが変わる) | 10分 |
| ④ | グリル(扉・焼網・庫内) | 魚の脂・においのもと | 中性洗剤+スポンジ | 15分 |
| ⑤ | 受け皿(グリル皿・汁受け) | たまった脂・こげ | 中性洗剤またはつけ置き | 10〜30分 |
ガスコンロが汚れる原因|吹きこぼれと油はねが焦げ付きに変わるまで

ガスコンロにつく汚れは、大きく分けて「調理中に飛び散った油」と「鍋から吹きこぼれた煮汁」の2つです。どちらも付いた直後はさっと拭けば落ちますが、そのまま次の加熱を受けると水分が飛び、油が酸化して膜のように固まっていきます。
この工程が何度も重なると、茶色いべたつきはやがて黒い炭のような層に変わります。焦げ付きが落ちにくいのは、汚れが化学的に変質して五徳や天板に固着しているためで、時間が経つほど洗剤だけでは歯が立たなくなります。
一方、バーナーキャップの溝にたまるのは、吹きこぼれと燃えカスが混ざったものです。ここは見た目の問題では済まず、炎の出方そのものに関わる場所になります。
ガスコンロの掃除で用意するもの|洗剤・道具の選び方

特別な道具はほとんど必要ありません。台所用の中性洗剤に、焦げ付き用として重曹かセスキ炭酸ソーダを足せば、ひととおりの部位に対応できます。歯ブラシやスポンジ、ポリ袋は100円ショップでもそろえられます。
- 台所用中性洗剤…天板・グリル・受け皿の日常汚れ全般に。素材を選びにくいのが利点
- 重曹・セスキ炭酸ソーダ…弱アルカリ性。五徳や受け皿の焦げ付きをふやかす用途に
- ウタマロクリーナー…株式会社東邦が販売する液性が中性のクリーナー。キッチンまわりに使えるが、天然の石材や漆塗りなど使えない材質が定められている
- 使い古しの歯ブラシ…バーナーキャップの溝や五徳の細部をこする
- プラスチック製のヘラ…固まった汚れを浮かせたあとにそっとはがす
- ポリ袋・大きめの桶…五徳をつけ置きする容器代わりに
- ゴム手袋・乾いた布…手荒れ防止と、部品の水分を残さず拭き取るため
反対に、そろえないほうがよいものもあります。研磨剤入りのクレンザーや金属たわしは、天板のコーティングや五徳の表面を削ってしまうため東京ガス(出典:東京ガス公式サイト)の案内でも推奨されていません。カッターの刃で削り取るのも同じ理由で避けたい方法です。
部位別のガスコンロの掃除の仕方|手順①〜⑤

取り外せる部品から順に外し、つけ置きしている間に本体側を拭くと、待ち時間が無駄になりません。以下は五徳から受け皿までの流れです。
1五徳(ごとく)を外してつけ置きする
冷えた五徳を持ち上げて外し、スポンジや歯ブラシに中性洗剤を含ませて軽くこすります。それで落ちない焦げは、後述する重曹のつけ置きに切り替えてください。洗い終えたら水分をしっかり拭き取ってから戻します。
2バーナーキャップと温度センサー周りの目詰まりを取る
バーナーキャップは上に持ち上げて外し、溝にたまった燃えカスを柔らかい歯ブラシでかき出します。株式会社ノーリツはセンサーまわりについて、洗剤を使わず水でかたくしぼった布で拭くこと、温度センサーや点火プラグを取り外したり傷つけたりしないことを案内しています。作業のあとはセンサーが上下にスムーズに動くかを確かめ、部品は完全に乾かしてから元の向きで戻します。
3天板(トッププレート)を素材に合わせて拭く
軽い汚れは、かたくしぼったふきんで拭き取るだけで十分です。ガラストップやガラスコートの天板は、丸めたラップに中性洗剤を垂らしてくるくるとこする方法が東京ガスで紹介されています。フッ素・ステンレス・アルミ・ホーローの天板は、中性洗剤を含ませたスポンジで拭いたあとに乾拭きします。
4グリルの扉・焼網・庫内を洗う
外せる焼網と扉は、使うたびに中性洗剤で水洗いし、水気をよく拭き取っておくとにおいが残りにくくなります。庫内は冷めてから、洗剤を含ませた布で届く範囲を拭きます。庫内の奥やファン部分は無理に手を入れず、届く範囲にとどめてください。
5受け皿(グリル皿・汁受け)の脂を落とす
グリル皿は中性洗剤で洗い、こびりついた脂には重曹を溶かしたぬるま湯でのつけ置きが向きます。なお水無しグリルの機種はグリル皿に水を入れない設計で、リンナイ(出典:リンナイ公式サイト)も水を入れないよう案内しています。据え置き型コンロの汁受け皿も同様に外して洗い、乾かしてから戻します。
五徳・天板の焦げ付きが落ちないときの落とし方|重曹のつけ置きと煮洗い

こすっても動かない焦げは、削るのではなくふやかすのが基本です。東京ガスのハウスクリーニング情報では、ぬるま湯200mlに重曹大さじ1杯を溶かし、1時間ほどつけ置きする方法が紹介されています。浮いてこなければ、そのまま時間を延ばしても構いません。
それでも残る場合は煮洗いという手があります。水1リットルに重曹大さじ1杯を入れた鍋で五徳を煮沸し、火を止めてから2〜3時間ほど放置する方法です。加熱すると重曹は強いアルカリ性に変わるため、取り出すときはゴム手袋を着けてください。
つけ置きの効果は汚れの厚みや放置期間に左右されるため、一度で新品同様になるとは限りません。無理に一日で終わらせようとせず、数回に分けて薄くしていくほうが部品を傷めずに済みます。
ガスコンロの掃除の注意点|研磨剤・洗剤の混合・排気口

ガスコンロは火を扱う機器のため、掃除のやり方しだいでは事故につながることがあります。特に洗剤の使い方には注意が必要です。
塩素系の洗浄剤と酸性タイプの洗浄剤が混ざると有毒な塩素ガスが発生するおそれがあり、独立行政法人国民生活センター(出典:国民生活センター公式サイト)も住宅用塩素系洗浄剤の使い方について注意を呼びかけています。製品の「まぜるな危険」表示に従い、単独で使う・同時や連続で使わない・十分に換気することを守ってください。キッチンでは酸性のクエン酸やお酢を併用しがちなので、すすぎを十分に行ってから別の洗剤に移りましょう。
また、バーナー周りや排気口をアルミホイルやテープでふさぐ使い方は、熱がこもったりセンサーの働きを妨げたりする原因になり得ます。汚れ防止のつもりが不具合の引き金になることもあるため、機器の設計どおりに使うのが安全です。部品を戻すときは、水分を完全に拭き取り、正しい向きで確実にはめることを最後に確認してください。
点火しない・炎が赤いときは使用を中止してメーカー・ガス会社へ

バーナーキャップの目詰まりは、見た目の汚れにとどまりません。東京ガスは、目詰まりが不完全燃焼や点火不良の原因になるとして、こまめな手入れを案内しています。掃除をしても炎が赤い・黄色い、火が付かない、すぐ消えるといった状態が続くなら、汚れ以外の原因が隠れている可能性があります。
東邦ガスは、バーナーの変形や燃えカスによる目詰まりで不完全燃焼が考えられる場合、コンロの使用をやめて修理サービスへ連絡するよう案内しています。分解や部品交換を自分で試すのではなく、機器のメーカーか契約中のガス会社に相談するのが確実です。賃貸住宅でビルトインコンロに不具合が出たときは、管理会社や大家さんへの連絡も忘れないでください。
汚れ自体は落としたいが手が回らない、という場合はハウスクリーニング業者に依頼する方法もあります。キッチンまわりを一式で頼んだときの公開料金は、おそうじ本舗が19,800円(税込・約2.5時間・ガス台またはIH/五徳/グリルなどを含む)、ダスキンがキッチン1ヵ所20,680円(税込)〜と案内しており、おおむね2万円前後が目安になります(いずれも執筆時点の各社公式サイト。間口や機種で変動します)。依頼先を選ぶときは、作業範囲が書面で示されるか、損害賠償保険に加入しているかを確かめておくと安心です。
ガスコンロの掃除の頻度の目安と汚れにくくするコツ

掃除の間隔に決まりはありませんが、汚れが固まる前に手を入れるほど作業は軽くなります。東京ガスも、汚れは温かいうちに取り除くこと、使用後に中性洗剤で拭くことをすすめています。以下は使用頻度が高い家庭での目安です。
| タイミング | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 使ったあと(毎回) | 天板の油はね・吹きこぼれを拭く | 焦げ付きに変わる前に落とす |
| 週に1回程度 | 五徳と受け皿を洗剤で洗う | 脂の層が厚くなるのを防ぐ |
| 月に1回程度 | バーナーキャップの溝を歯ブラシで掃除 | 目詰まりによる燃焼不良を避ける |
| 数か月に1回 | グリル庫内と焼網をまとめて洗う | においと脂の蓄積を抑える |
汚れにくくするコツはごく単純で、調理中に鍋のふたを使って油はねを減らすこと、吹きこぼれたらその場でひと拭きすることの2つに尽きます。数十秒の拭き取りが、1時間のつけ置きを不要にしてくれると考えると続けやすくなります。キッチンの油汚れはコンロだけにとどまらないため、レンジフードや電子レンジの汚れが気になる場合はあわせて手を入れておくと効率的です。
ガスコンロの掃除のよくある質問(FAQ)
※本記事の手順・料金は執筆時点でガス会社・コンロメーカー各社および各ハウスクリーニング会社が公開している情報をもとにまとめたものです。お手入れの可否や方法は機種によって異なるため、実際の作業前に必ずお手元の取扱説明書をご確認ください。
まとめ
ガスコンロの掃除は、ガスの元栓を閉めて完全に冷ますところから始まります。五徳・バーナーキャップ・天板・グリル・受け皿という順に手を入れ、落ちない焦げは削らずに重曹でふやかすのが、部品を傷めない進め方です。
気をつけたいのは、研磨剤や金属たわしで削らないこと、塩素系と酸性の洗剤を混ぜないこと、そして炎が赤い・点火しないといった症状が続くときは自分で直そうとせず使用を中止して、メーカーやガス会社へ相談することの3点です。汚れをためない習慣と、危ないと感じたら専門家に任せる判断を組み合わせれば、キッチンの安全と使いやすさを両立しやすくなります。