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引っ越しの見積もりを見て「思ったより高い。少しでも戻ってくるお金はないだろうか」と補助金を調べ始めた方は多いはずです。ところが検索すると自治体名や制度名が無数に出てきて、結局どれが自分に関係するのか分からなくなりがちです。
先に整理すると、引っ越しの補助金に「全員がもらえる国の一律制度」はありません。その代わり、結婚・子育て・地方移住という3つの場面では自治体を窓口にした条件付きの制度が用意されており、該当すれば数十万円規模の補助になる例もあります。
この記事では、当メディア編集部がこども家庭庁・内閣官房の地方創生サイトと、横須賀市・千代田区の公式ページを調査し、引っ越しで使える補助金・助成金を「3つの系統」と「自分の自治体での探し方」に分けて整理しました。制度の名前を知らなくても、自分が確かめるべき窓口までたどり着けるはずです。


【一言でいうと】引っ越しの補助金はある?国・自治体の制度一覧

結論からいうと、引っ越しをする人なら誰でも使える国の一律の補助金はなく、「結婚」「子育て」「地方移住」の3つの場面ごとに、自治体が窓口となる条件付きの制度があります。国(こども家庭庁や内閣官房)は交付金などで自治体の取り組みを後押しする立場で、申請先はいずれも市区町村や都道府県です。
もうひとつ大事な前提として、これらの制度はすべての自治体で実施されているわけではありません。同じ系統の制度でも名称・金額・条件は自治体ごとに違うため、この記事に出てくる金額は「実施自治体の実例」として読み、最終的には引っ越し先の自治体で確かめる流れになります。まずは全体像を早見表で押さえましょう。
| 系統 | 主な対象 | 金額の実例(執筆時点) | 申請の窓口 |
|---|---|---|---|
| 結婚新生活支援事業 | 新婚世帯(年齢・所得の要件あり) | 横須賀市:上限60万円(29歳以下)〜20万円(49歳以下) | 実施している市区町村 |
| 子育て世帯向けの住宅・転居助成 | 子育て世帯・新婚世帯(内容は自治体独自) | 千代田区:転居費用一律10万円+世帯人数等に応じた家賃助成 | 実施している市区町村 |
| 移住支援金 | 東京23区に在住・通勤する人が東京圏外の実施自治体へ移住し就業等をする場合 | 世帯100万円以内・単身60万円以内(18歳未満は1人につき最大100万円加算) | 移住先の都道府県・市町村 |
※金額・条件はこども家庭庁・内閣官房(地方創生サイト)・横須賀市・千代田区の公式ページの記載(2026年7月の執筆時点)にもとづく実例です。実施の有無を含め、自治体により内容は異なります。
引っ越しで使える補助金・助成金の種類は3系統
「引っ越し 補助金」で見つかる制度は数が多いように見えますが、個人の引っ越しに関わるものは大きく3つの系統に分けられます。自分がどの入口に立っているかを先に決めると、調べる範囲が一気に狭くなります。

1つめは結婚にともなう引っ越しへの補助です。新婚世帯の家賃や引越費用などを補助する自治体の事業を国が交付金で支援する仕組みで、「結婚新生活支援事業」といった名称で実施されています。
2つめは子育て世帯向けの住宅・転居助成です。こちらは自治体の独自色が強く、家賃の一部を毎月助成するもの、転居費用を定額で助成するものなど形はさまざまです。3つめは東京圏から地方への移住を対象にした移住支援金で、就業などの要件を満たすと世帯で100万円以内などのまとまった支援になります。
逆にいうと、この3つのどれにも当てはまらない引っ越し(同一市内の住み替えや通常の転勤など)では、使える制度が見つからないことも珍しくありません。その場合の考え方は記事の後半とFAQで補足します。
結婚の引っ越しで使える補助金|結婚新生活支援事業

結婚を機に引っ越す世帯がまず調べたいのが、結婚新生活支援事業の系統です。こども家庭庁は地域少子化対策重点推進交付金のページで、この交付金により、結婚に伴う新生活を経済的に支援するための取り組み(新婚世帯を対象に家賃、引越費用等を補助)を支援していると案内しています。つまり国が直接お金を配るのではなく、補助を行う自治体を国が交付金で後押しし、申請の窓口は市区町村になる構図です。
金額と条件の実例として、横須賀市の令和8年度の結婚新生活支援事業の案内を見てみましょう。補助上限は婚姻日(またはパートナーシップ宣誓日)時点の年齢で変わり、29歳以下は60万円、39歳以下は30万円、49歳以下は20万円です(1組あたり・2026年7月の執筆時点)。
対象条件も具体的に示されています。2026年1月1日〜2027年2月25日までに婚姻またはパートナーシップ宣誓をしたこと、ふたりとも49歳以下であること、ふたりの合計年間所得額が500万円未満であること(年収額だと650万円前後が目安との記載)、指定の講座の受講または相談をしたこと(39歳以下の夫婦は必須)、申請日より3年以上継続して市に居住する意思があることなどが並びます。
補助の対象になる費用は、住宅賃貸費用(敷金・礼金・家賃・仲介手数料)、住宅購入費用(建物代のみ)、住宅リフォーム費用、そして引越し費用です。引越し費用は引越し業者や運送業者を利用した場合のみ対象とされている点は、自力での引っ越しを検討している人ほど見落としやすいポイントです。
ただし、これはあくまで横須賀市の実例です。同じ系統の事業でも実施していない自治体があり、実施していても年齢区分・上限額・受付期間は別物になります。お住まいの予定地の市区町村名とあわせて調べてみてください。
子育て世帯の引っ越しで使える自治体の補助金

子育て世帯の引っ越しに使える制度は、3系統のなかでもっとも自治体差が大きい領域です。国の統一メニューではなく、住宅政策や定住促進の一環として各自治体が独自に設計しているためで、家賃の一部を毎月助成する型と、転居にかかった費用を定額で助成する型が代表的です。
実例として、千代田区の次世代育成住宅助成の案内を見てみます。対象は2区分あり、「親元近居助成」は区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯または子育て世帯が区外から区内へ(または区内で)住み替える場合、「区内転居助成」は区内に引き続き1年以上居住している子育て世帯が区内で住み替える場合です。世帯の年間所得の合計が定められた範囲内(2人世帯で189万6千円〜1,038万8千円など)であることも要件になっています。
助成の中身は、世帯人数などに応じた家賃助成(月額・最長8年間または末子が18歳に達する年度まで)に加えて、初回転居時のみ転居費用として一律10万円が助成されます。しかも令和8年7月からは家賃助成額の増額と面積要件の一部緩和が行われたと案内されており、制度が年度途中でも見直されることが分かります。
手続きの順番にも特徴があります。千代田区では仮申請が先で、区からの受領通知が届いたあと1年以内に住み替え先の賃貸借契約・売買契約を結び、引っ越しをしてから本申請という流れです。物件の契約を先に済ませてしまうと使えなくなる可能性があるため、この型の制度は「物件探しと同時に調べる」のが鉄則です。
千代田区の例は助成が手厚い都心の一例で、全国どこでも同水準というわけではありません。「お住まい予定の市区町村名+子育て 家賃 助成」のような組み合わせで、まず制度の有無から確かめてみてください。
東京から地方への引っ越しで使える移住支援金

東京圏から地方への引っ越しを考えているなら、金額の大きさで注目したいのが移住支援金です。内閣官房・内閣府の地方創生サイトの移住支援金のページによると、東京23区に在住または通勤する方が東京圏外(東京圏内の条件不利地域を含む)へ移住し、起業や就業等を行う場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。
支給額は世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内で都道府県が設定する額とされ、18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満1人につき最大100万円が加算されます。子育て世帯の地方移住では、かなりまとまった支援になり得る水準です。
そのぶん要件は細かく定められています。移住元については、移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区に在住または通勤していることが必要です。さらに移住先では、道府県のマッチングサイトに掲載された求人への就業、テレワークによる業務継続、市町村が定める関係人口の要件、起業支援金の交付決定(1年以内)のいずれかに該当する必要があります。申請は転入後1年以内で、申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があることも求められ、5年以内に転出した場合などは返還の規定もあります。
この事業も、実施している都道府県・市町村への移住が前提です。同ページには実施期間や支給額等の詳細は地方公共団体により異なる旨と、実施自治体の一覧資料が掲載されているので、移住先の候補がある人はまず一覧で該当するかを見てから、その自治体の公式ページで詳細を調べる順番が効率的です。
引っ越しの補助金の探し方と申請の流れ

ここまでの3系統は、いずれも「実施している自治体の制度を、条件を満たす人が申請する」ものです。だからこそ、記事やまとめサイトの情報だけで判断せず、自分の引っ越しに当てはめて確かめる手順が重要になります。編集部が推奨する調べ方は次の5ステップです。
1引っ越し先の自治体の公式サイトで検索する
「市区町村名+引っ越し 補助金」「市区町村名+家賃 助成」「市区町村名+結婚 新生活」のように、場面の言葉を足して検索します。情報源は自治体の公式サイト(lg.jpドメインなど)を最優先にしましょう。
2担当窓口に電話で要件を確かめる
同じ役所でも、結婚・子育て系は住宅・こども関連の部署、移住系は移住定住の部署と担当が分かれがちです。婚姻日・世帯の所得・契約予定日など自分の状況を伝えると、対象になり得るかの案内が早く受けられます。
3地方移住なら実施自治体の一覧から絞り込む
移住支援金は地方創生サイトに実施都道府県・市町村の一覧が掲載されています。候補地が一覧に載っているかを見てから、その自治体の公式ページで金額と独自要件を調べる順番が近道です。
4契約・引っ越しの前に申請の順番を確かめる
千代田区の仮申請のように契約前の手続きが必要な制度や、婚姻日・転入日から受付期限を数える制度があります。物件の契約書に判を押す前に、申請フローのどこに自分がいるかを必ず確かめてください。
5領収書・契約書類を保管する
引越し業者の領収書、賃貸借契約書、住民票などは申請書類の定番です。横須賀市の例でも引越し費用は業者を利用した場合のみ対象とされており、支払いの証拠が金額の根拠になります。
引っ越しの補助金を申請する前の注意点

補助金は「知っていれば得をする」制度である一方、期待しすぎると資金計画が狂います。編集部が公式ページを調べるなかで見えた、つまずきやすい点を挙げます。
- 実施していない自治体がある:3系統とも全国一律ではなく、制度自体がない自治体は珍しくありません。「ない」と分かるのも収穫と考えましょう
- 予算と受付期間の枠がある:横須賀市の受付は令和8年4月1日〜令和9年2月25日のように期間が区切られており、自治体によっては年度途中で受付が締め切られることもあります
- 引っ越し後では間に合わない制度がある:契約前の仮申請や転入後1年以内の申請期限など、タイミングの要件を過ぎると対象外になります
- もらえる前提で予算を組まない:審査や予算枠がある以上、補助金は「出たらラッキー」の位置づけで資金計画を立てるのが安全です
- 個別の可否は窓口の判断:対象になるかどうかの最終判断は自治体が行います。迷ったら記事ではなく担当窓口に確かめてください
補助金が使えない場合でも、引っ越し費用そのものを下げる余地はあります。時期や荷物量で料金は大きく変わるため、相場の仕組みから見直してみてください。
また、経済的な事情でそもそも引っ越し費用が用意できない場合は、ここで紹介した補助金とは別に、生活保護の住宅扶助という仕組みがあります。該当しそうな方はこちらの記事と福祉事務所の窓口を確認してください。
引っ越しの補助金のよくある質問(FAQ)
※この記事は2026年7月の執筆時点でこども家庭庁・内閣官房(地方創生サイト)・横須賀市・千代田区が公開している情報をもとに当メディア編集部がまとめたものです。補助金・助成金は年度ごとに内容が見直され、予算や受付の状況も変わります。実施の有無・金額・条件・申請方法は、必ず引っ越し先の自治体の公式サイト・担当窓口でご確認ください。
まとめ
引っ越しの補助金は、全員がもらえる国の一律制度ではなく、「結婚(結婚新生活支援事業)」「子育て(自治体独自の住宅・転居助成)」「地方移住(移住支援金)」の3系統を、実施している自治体で条件を満たした人が申請する仕組みです。横須賀市の上限60万円や千代田区の転居費用一律10万円のように実例の金額は具体的ですが、実施の有無も条件も自治体ごとに異なります。
だからこそ、やるべきことはシンプルです。引っ越し先の自治体の公式サイトで3系統を検索し、担当窓口で自分の条件を確かめ、契約・引っ越しの前に申請の順番を押さえる。この記事の早見表と5ステップを、そのままチェックリストとして使ってください。